ナースの勉強部屋

看護師のポケットノートの作り方|書き込む項目・ページ構成と、書いてはいけないもの

看護師のポケットノートの作り方|書き込む項目・ページ構成と、書いてはいけないもの

ポケットノートは、市販のものを買えば済むように見えます。それでも自分で作る人が多いのは、病棟ごとに手順も物品の置き場所も違うからです。

市販のノートに載っているのは一般論です。現場で本当に開きたいのは「この病棟では誰に電話するか」「この物品はどこにあるか」のほうです。この記事では、何を書き込むか、どう並べると開きやすいか、そして何を書いてはいけないかを順に整理します。

なお、薬の量や採血データの基準値のような臨床判断に使う数値は、この記事では一覧にしません。施設の採用薬や基準は病院ごとに違うため、自分の施設の資料から書き写す項目として枠だけ示します。

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目次
  1. ポケットノートは「自分の施設の手順」を持ち歩くためのもの
  2. 書き込む項目は5つのブロックに分ける
  3. 作り方の手順
    1. 手順1 ノートを選ぶ
    2. 手順2 インデックスを先に付ける
    3. 手順3 最初の1週間は「迷ったこと」だけ書く
    4. 手順4 週末に清書して、並べ替える
    5. 手順5 1か月ごとに「もう要らないページ」を抜く
  4. そのまま写せる空欄テンプレート
  5. 書いてはいけないもの
  6. 報告や申し送りのメモとは分けておく
  7. よくある質問
  8. まとめ
  9. 参考

ポケットノートは「自分の施設の手順」を持ち歩くためのもの

新人看護職員の研修について、厚生労働省は「新人看護職員研修ガイドライン」を示しています。そこでは、1年以内に到達を目指す項目が「基本姿勢と態度」「技術的側面」「管理的側面」の3つに分けて並べられています。

ガイドラインが繰り返し書いているのは、研修の中身や到達時期は各施設が決めるということです。同じ採血でも、使う物品、確認の手順、ダブルチェックの相手は病院ごとに違います。

ポケットノートの役割はここにあります。教科書には書いていない「うちの病棟ではこうする」を、1冊にまとめて持ち歩くことです。教科書の要約を作ると、分厚くなるうえに開かなくなります。

書き込む項目は5つのブロックに分ける

項目をばらばらに書き足していくと、どこに何を書いたか分からなくなります。最初にブロックを決めて、ページを割り当てておくのがコツです。

ブロック 書き込む内容 情報の出どころ
1. 連絡先と体制 病棟の内線、夜間の連絡ルート、医療安全の報告先 病棟の連絡表、オリエンテーション資料
2. 1日の流れ 日勤・夜勤のタイムスケジュール、申し送りの時刻 先輩の動き、病棟の業務基準
3. 手順メモ 自分がよく迷う処置の手順、物品と置き場所 施設の看護手順書、指導を受けたときのメモ
4. 自分で調べて書く数値 採用薬の規格、採血データの基準範囲など 施設の採用薬一覧・院内の基準値一覧(自分で写す)
5. 振り返り 指導で言われたこと、次に確認すること 自分の記録

ブロック4は、必ず施設の資料から自分で写してください。ネットや市販本の数値をそのまま書くと、施設の採用品や基準と食い違うことがあります。写したら、指導者に一度見てもらうと安全です。

作り方の手順

手順1 ノートを選ぶ

白衣のポケットに入るサイズ(おおむねA6からB7)を選びます。ページを差し替えられるリングタイプは、異動や手順の改訂に対応しやすくなります。

水に濡れる場面や、消毒用アルコールが付く場面もあります。表紙は拭けるものを選んでおくと長持ちします。

手順2 インデックスを先に付ける

5つのブロックの見出しを、インデックスシールで先に作ります。中身が空でもかまいません。書く場所が決まっていると、メモを取ったその場で正しいページへ書けるからです。

手順3 最初の1週間は「迷ったこと」だけ書く

最初からきれいに埋めようとすると、手が止まります。最初の1週間は、実際に迷ったこと、先輩に聞いたことだけを書き足していきます。

聞いたことを書くときは、次の3点をセットにします。

  • 何を迷ったか(例:夜間に病棟の物品が足りないとき、どこに連絡するか)
  • 答え(例:夜間は○○に内線)
  • 誰に確認したか・いつ確認したか

「誰に・いつ」を残しておくと、手順が変わったときに誰に聞き直せばよいか分かります。

手順4 週末に清書して、並べ替える

走り書きのメモは、週に1回まとめて清書します。このとき、よく開くページを前に、あまり開かないページを後ろに移します。

略語や医療用語で迷うことが多い人は、ブロック3の後ろに「自分が迷った略語」だけのページを作ると便利です。一覧から全部を写す必要はありません。略語の読み方は医療略語・カルテ用語一覧(診療科別)で確認できます。

手順5 1か月ごとに「もう要らないページ」を抜く

身についた手順のページは抜いて、別のファイルに保管します。ポケットノートは厚くなるほど開かなくなります。薄く保つことが、使い続けるための条件です。

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そのまま写せる空欄テンプレート

ブロック3とブロック4は、次の枠で書くと後から見返しやすくなります。

手順メモの枠

項目 記入欄
処置・業務の名前
施設の手順書の該当ページ
物品と置き場所
ダブルチェックの相手
迷いやすいポイント
確認した人・日付

自分で調べて書く数値の枠

項目 記入欄
何の数値か
出典(施設のどの資料か)
資料の版・更新日
指導者の確認 済・未

数値の欄には必ず「出典」と「版」を書きます。採用薬や測定方法が変わったとき、古い情報のまま使い続けるのを防ぐためです。

書いてはいけないもの

ここが一番大事です。ポケットノートは病院の外にも持ち出す可能性があります。

保健師助産師看護師法第42条の2は、看護師が「業務上知り得た人の秘密」を漏らしてはならないと定めています。看護師でなくなった後も同じです。新人看護職員研修ガイドラインの到達目標にも「プライバシーを保護して医療情報や記録物を取り扱う」が1年以内に到達を目指す項目として入っています。

具体的には、次のものは書かないでください。

  • 患者の氏名、イニシャル、病室番号とベッド番号の組み合わせ
  • 生年月日、住所、家族構成など、組み合わせると個人を特定できる情報
  • その日の受け持ち患者の病名やデータ

その日の受け持ちのメモは、施設が用意した用紙に書き、勤務終了時に施設のルールどおりに処分します。ポケットノートには、患者に関係しない「手順」と「連絡先」だけを残す、と線を引いておくと迷いません。

医療機関での個人情報の扱いは、厚生労働省が医療・介護関係事業者向けのガイダンスとしてまとめています。自分の施設の個人情報保護規程も、オリエンテーションで一度確認しておきましょう。

報告や申し送りのメモとは分けておく

ポケットノートに、報告の型や申し送りのチェック項目まで詰め込む人もいます。ただ、これらはその場で使う型なので、別のカードにしたほうが取り出しやすくなります。

ブロック5の「振り返り」には、指導で言われたことを一言だけ書き、詳しい振り返りは別のノートや研修手帳に回します。

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よくある質問

Q. 市販のポケットノートと自作、どちらがいいですか。

両方を使い分ける人が多いです。一般的な知識は市販のもので調べ、自分の病棟の手順や連絡先は自作のノートに書きます。市販のものに書かれた数値を使う前には、施設の資料と一致しているかを確認してください。

Q. デジタル(スマホのメモ)で作ってもいいですか。

施設のルール次第です。勤務中の私用スマホの持ち込みを禁止している施設や、撮影を禁止している施設があります。持ち込める場合でも、患者情報を入力しない点は紙と同じです。

Q. 異動したら作り直すべきですか。

ブロック1〜3は作り直したほうが早いです。連絡先、1日の流れ、物品の置き場所は部署ごとに違います。ブロック5の振り返りは、前の部署のものも残しておくと、自分の成長を確認する材料になります。

Q. 先輩のノートを写させてもらってもいいですか。

参考にするのは有効です。ただし、先輩のノートの数値や手順が最新とは限りません。写した後に、施設の手順書と照らし合わせてください。

まとめ

  • ポケットノートは、教科書の要約ではなく「自分の施設の手順」を持ち歩くためのもの
  • 書き込む項目は、連絡先・1日の流れ・手順メモ・自分で調べて書く数値・振り返りの5ブロックに分ける
  • インデックスを先に付け、最初の1週間は迷ったことだけ書く
  • 数値は施設の資料から自分で写し、出典と版を添える
  • 患者の氏名や個人を特定できる情報は書かない
  • 1か月ごとに身についたページを抜き、薄く保つ

参考

  • 厚生労働省「新人看護職員研修ガイドライン【改訂版】」(平成26年2月) https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000049466_1.pdf
  • 保健師助産師看護師法(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000203
  • 厚生労働省「個人情報保護法等」(医療・介護関係事業者向けガイダンス) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000027272.html