ナースの勉強部屋

看護のリフレクションの書き方|ギブスのリフレクティブサイクル6段階と例文(実習・新人看護師)

看護のリフレクションの書き方|ギブスのリフレクティブサイクル6段階と例文(実習・新人看護師)

実習や新人研修で「リフレクションを書いてきてください」と言われ、書き始めたものの「もっと確認すればよかったです。次は気をつけます」で終わってしまう。そんな経験はないでしょうか。

リフレクションは、出来事を振り返り、次にどう行動するかを自分で見つけるための書き方です。反省文とは目的も書き方も違います。

この記事では、看護教育でよく使われるギブスのリフレクティブサイクルの6段階を表で整理し、看護学生の実習版と新人看護師版の例文を紹介します。反省文になってしまうときの直し方もあわせて解説します。

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目次
  1. 看護におけるリフレクションとは
  2. ギブスのリフレクティブサイクル6段階
  3. リフレクションの書き方のコツ(段階別)
    1. 1. 記述:評価を入れずに事実だけを書く
    2. 2. 感情:きれいにまとめず正直に書く
    3. 3. 評価:よかった点を必ず1つ入れる
    4. 4. 分析:自分の性格ではなく状況と行動を見る
    5. 5. 結論:別のやり方を複数考える
    6. 6. 行動計画:いつ・何を・どうするかを具体的に
  4. 【例文】看護学生の実習版
  5. 【例文】新人看護師版
  6. よくある失敗と直し方
    1. 提出前のチェックリスト
  7. よくある質問
    1. Q. リフレクションの題材が思いつきません。
    2. Q. どのくらいの分量で書けばいいですか?
    3. Q. ギブス以外の書き方でもいいですか?
  8. まとめ

看護におけるリフレクションとは

リフレクションは「省察」「内省」とも訳され、自分の経験を振り返って意味づけし、次の実践に活かすための思考のプロセスです。看護の現場では、実習記録、新人研修の課題、ラダーの評価資料など、さまざまな場面で求められます。

反省文との違いを整理すると、次のようになります。

比べる点 反省文 リフレクション
目的 失敗を認めて謝る 経験から学びを取り出す
中心になるもの 自分の至らなさ 何が起きたか、なぜそうなったか
感情の扱い 「申し訳ない」で終わる 感情も材料として分析する
よかった点 書かない 書く
終わり方 「気をつけます」 具体的な行動計画

リフレクションでは、うまくいかなかったことだけでなく、うまくいったことも振り返りの対象になります。「なぜうまくいったのか」を言葉にできれば、次も同じように再現できるからです。

ギブスのリフレクティブサイクル6段階

ギブスのリフレクティブサイクルは、イギリスの教育学者グラハム・ギブスが1988年の著書で示した振り返りの枠組みです。6つの段階を順番にたどることで、感想文や反省文で終わらず、行動計画まで自然にたどり着けるのが特徴です。

段階 何を書くか 問いかけの例
1. 記述 何が起きたか(事実) いつ、どこで、誰が、何をしたか
2. 感情 そのとき何を感じ、考えたか どう感じたか、何を思ったか
3. 評価 よかった点・よくなかった点 うまくいったことは何か、困ったことは何か
4. 分析 なぜそうなったのか 何が影響したか、ほかの見方はないか
5. 結論 ほかに何ができたか、何を学んだか 別のやり方はあったか、そこから分かったことは何か
6. 行動計画 次に同じ場面が来たらどうするか 次は何を、いつ、どうやってするか

6段階を書き終えたら、次に同じような場面を経験したときに、また1から振り返ります。1回で終わらず経験→振り返り→行動を繰り返す円(サイクル)になっているため、この名前で呼ばれています。

リフレクションの書き方のコツ(段階別)

1. 記述:評価を入れずに事実だけを書く

「うまく話せなかった」は評価です。「声をかけたが、返事がなく会話が1往復で終わった」のように、見たこと・聞いたこと・自分がしたことを書きます。

2. 感情:きれいにまとめず正直に書く

「焦った」「恥ずかしかった」「嬉しかった」など、そのときの感情をそのまま書きます。感情は、あとの分析で「なぜ焦ったのか」を考える手がかりになります。

3. 評価:よかった点を必ず1つ入れる

よくなかった点だけを並べると、反省文に近づきます。よかった点と、よくなかった点を両方書くのがポイントです。

4. 分析:自分の性格ではなく状況と行動を見る

「私の準備不足」で止めずに、「なぜ準備が足りなかったのか」「その場の状況はどうだったか」を考えます。授業や研修で学んだ知識と照らし合わせるのも有効です。

5. 結論:別のやり方を複数考える

「こうすればよかった」を1つに決めず、選択肢を2〜3個出してみると、学びが広がります。

6. 行動計画:いつ・何を・どうするかを具体的に

「気をつける」ではなく、「明日の実習では、訪室前に話したいことを3つメモしてから行く」のように、確認できる行動で書きます。

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【例文】看護学生の実習版

実習でよくある、受け持ち患者さんとのコミュニケーションの場面を例にします。

段階 例文
1. 記述 実習2日目の午前、受け持ちのAさんの部屋を訪問し「今日は何をして過ごしますか」と声をかけた。Aさんは「別に」と答え、窓の外を見た。私は何を話せばよいか分からず、「また来ます」と伝えて1分ほどで退室した。
2. 感情 返事が短く、嫌がられているのではないかと不安になった。沈黙が怖く、早くその場を離れたいと思った。
3. 評価 自分から名乗って声をかけられた点はよかった。一方で、沈黙を避けることを優先し、Aさんの様子を観察する前に退室してしまった。
4. 分析 「会話を続けなければならない」と思い込み、自分が話すことばかり考えていた。「何をして過ごしますか」という質問は答えが広く、答えにくかった可能性がある。また、Aさんが窓の外を見ていたことに気づいていたのに、それを会話のきっかけにできなかった。
5. 結論 沈黙は必ずしも拒否ではない。窓の外の景色の話題を出す、少しそばにいて様子を見る、答えやすい質問にするなど、別のやり方があった。コミュニケーションは話すことだけでなく、相手を観察することも含むと学んだ。
6. 行動計画 明日は訪室前に、答えやすい話題を3つメモしておく。沈黙になっても、すぐに退室せず1分は様子を見る。午後に指導者さんに今日の場面を報告し、声のかけ方について助言をもらう。

【例文】新人看護師版

新人看護師の、業務の優先順位や報告にかかわる場面を例にします。

段階 例文
1. 記述 日勤で受け持ち4名を担当していた。10時、受け持ちのBさんの家族から「退院の日程について聞きたい」と声をかけられ、私は「確認します」と答えた。その後、別の業務が続き、リーダーに伝えたのは12時過ぎだった。家族からは「まだですか」と再度声をかけられた。
2. 感情 家族を待たせてしまい申し訳なく、焦った。同時に、業務が次々に入り、自分だけでは回らないと感じた。
3. 評価 家族の質問をその場で受け止め、「確認します」と返事をした点はよかった。一方で、いつまでに答えるかを伝えず、リーダーへの相談も遅れた。
4. 分析 質問を頭の中だけで覚えていたため、別の業務が入ったときに後回しになった。また、退院日程は自分では答えられない内容だったのに、すぐにリーダーにつなぐ判断ができなかった。「自分で何とかしなければ」という思いが強かったことも影響している。
5. 結論 自分で答えられない質問は、その場で「◯時までにお返事します」と目安を伝え、すぐにリーダーへ相談すればよかった。メモに書いておく、優先順位の低い業務と入れ替えるといった方法もあった。一人で抱えないことが、結果として家族を待たせないことにつながると学んだ。
6. 行動計画 明日から、患者さんや家族からの質問はポケットのメモに時刻と一緒に書く。自分で答えられない内容は、受けてから15分以内にリーダーへ相談する。1週間後の振り返り面談で、実践できたかをプリセプターと確認する。

よくある失敗と直し方

よくある失敗 どうなってしまうか 直し方
記述に「できなかった」「悪かった」を書く 最初から反省文になる 見たこと・したことだけを書く
感情を書かない 分析の手がかりがなくなる 「焦った」「不安だった」を1文入れる
よくなかった点しか書かない 自己否定で終わる よかった点を必ず1つ書く
分析が「自分の努力不足」で止まる 次の行動が見えない 「なぜ」を2回繰り返し、状況や思い込みを見る
行動計画が「気をつける」 実行したか確認できない 「いつ・何を・どうする」を入れる
1つのレポートに複数の出来事を詰め込む どれも浅くなる 場面を1つにしぼる

提出前のチェックリスト

  • □ 振り返る場面を1つにしぼった
  • □ 記述に自分の評価の言葉が混ざっていない
  • □ そのときの感情を書いた
  • □ よかった点を1つ以上書いた
  • □ 分析で「なぜ」を掘り下げた
  • □ 別のやり方を2つ以上考えた
  • □ 行動計画に「いつ・何を・どうする」が入っている
  • □ 患者さんが特定される情報(氏名・部屋番号など)を書いていない

実習記録やレポートでは、患者さんの個人情報の扱いにも注意が必要です。イニシャルや「Aさん」などの表記にするなど、学校や施設のルールに沿って書きましょう。

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よくある質問

Q. リフレクションの題材が思いつきません。

大きな失敗である必要はありません。「なぜかうまくいった声かけ」「少しモヤモヤした場面」「先輩の対応で印象に残ったこと」も題材になります。その日の記録を読み返し、感情が動いた場面を探すと見つけやすくなります。

Q. どのくらいの分量で書けばいいですか?

学校や施設の指定がある場合はそれに従います。指定がない場合は、6段階それぞれを数行ずつ書き、とくに分析と行動計画を厚めにするとバランスがよくなります。記述だけが長くなるのは避けましょう。

Q. ギブス以外の書き方でもいいですか?

振り返りの枠組みはギブスのサイクル以外にもあり、学校や施設によって指定される型が違います。指定された型がある場合はそちらを使いましょう。どの型でも、「事実を書く」「理由を考える」「次の行動を決める」という流れは共通しています。

まとめ

看護のリフレクションは、失敗を謝る反省文ではなく、経験から学びを取り出し、次の行動を決めるための書き方です。ギブスのリフレクティブサイクルの記述・感情・評価・分析・結論・行動計画の6段階に沿って書くと、自然と行動計画までたどり着けます。

まずは今日の実習や勤務の中から、感情が動いた場面を1つ選び、「何が起きたか」を事実だけで3行書くところから始めてみてください。