申し送り事項の書き方とコツ|新人看護師でも迷わない6項目チェックリスト
「何から話せばいいかわからない」「大事なことを言い忘れた」——申し送りに苦手意識を持つ看護師は少なくありません。情報量が多いうえに、勤務交代の限られた時間で要点だけを渡す必要があるためです。
この記事では、申し送り事項として必ず押さえておきたい6項目と、情報を整理して伝えるための型(5W1H・SBAR・I-SBAR-C)を、場面別の具体例とあわせて整理します。
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申し送りとは?何のために行うのか
申し送りは、勤務交代の際に、担当していた患者の状態やケアの状況を次の担当者へ引き継ぐ業務です。カルテに記録が残っていても、直近の変化や今後の注意点は口頭で補わないと伝わりにくいものです。
目的は大きく2つあります。
- ケアの継続性を保つこと——観察や処置が途切れず、次の担当者が同じ判断基準で動けるようにする
- 急変や事故のリスクを減らすこと——気になる変化や指示の変更を、記録だけに頼らず確実に伝える
つまり申し送りは単なる引き継ぎの儀式ではなく、患者の安全を次の担当者へ橋渡しする作業です。
申し送り事項で必ず押さえる6項目【チェックリスト】
何を伝えるべきか迷ったときは、次の6項目に沿って整理すると抜け漏れが減ります。
- バイタルサインと病状の変化——基準値からの逸脱、直近の変化の有無
- 本日の処置・検査・与薬の実施状況——実施済みか未実施か、次回の予定
- 医師の指示内容と変更点——新しい指示、中止・変更になった指示
- 食事・水分・排泄の状況——摂取量、制限の有無、異常の有無
- 患者・家族への説明内容(IC)——誰が、いつ、何を説明したか
- 特記事項・要観察ポイント——転倒リスク、精神的な変化、次の担当者に見ておいてほしいこと
多くても10項目程度に絞ると、聞く側の負担も減ります。緊急性の高いものから順に伝えるのが基本です。
情報を整理して伝えるコツ:5W1HとSBAR・I-SBAR-Cの使い分け
項目が決まっても、順番や言葉の選び方で伝わりやすさは大きく変わります。代表的な整理の型を2つ紹介します。
5W1Hで事実を整理する
日常的な申し送りには、いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どうしたかの5W1Hが向いています。「いつからその症状が出ているか」「誰が対応したか」を落とさずに伝えられます。
SBAR・I-SBAR-Cで緊急度の高い情報を整理する
状態変化や急変時の報告には、SBAR(Situation・Background・Assessment・Recommendation)という型が使われます。
- S(状況):いま何が起きているか
- B(背景):これまでの経過、直近のバイタル
- A(アセスメント):自分がどう考えているか
- R(提案):次に何をしてほしいか
さらに、名乗りを加えた「I(Identify)」と、指示を復唱する「C(Confirm)」を加えたI-SBAR-Cという型もあります。医師への報告に特化した使い方はSBARの伝え方と例文で詳しく解説していますが、看護師同士の申し送りでも、急変時や状態が不安定な患者については同じ型を使うと情報が整理しやすくなります。
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【場面別】申し送り事項の具体例
夜勤から日勤への申し送り
「◯号室の◯◯さん、深夜2時に38.5℃の発熱があり、指示に基づき解熱剤を使用しました。その後解熱し、現在は平熱です。食事は変わらず全量摂取、排泄も問題ありません。次回検温は8時の予定です」
急変時の申し送り(SBAR型)
「S:◯◯さんが呼吸苦を訴えています。B:もともと呼吸器疾患があり、SpO2は普段95%前後です。今は91%まで低下しています。A:気道分泌物の増加による低下と考えています。R:吸引と医師への報告をお願いします」
退院前の申し送り
「◯◯さんは明日退院予定です。退院指導は昨日実施済みで、家族も同席されています。内服薬の自己管理に不安が残るとのことで、退院後の外来でも継続確認をお願いしたい状況です」
申し送りが苦手を克服する3つの習慣
1. メモは項目ごとに分けて取る
思いついた順にメモを取ると、話すときも順番がバラバラになります。日頃から6項目の枠に沿ってメモを取る習慣をつけると、申し送り時に整理し直す手間が減ります。
2. 事実と自分の解釈を分けて話す
「顔色が悪い気がする」だけでは伝わりにくいものです。「顔色不良あり。SpO2は◯◯%」と事実を先に伝え、そのうえで「感染の悪化を疑っています」と自分のアセスメントを分けて伝えると、相手も判断しやすくなります。
3. 部署でテンプレートをそろえる
個人ごとに項目の順番が違うと、聞く側は毎回頭を切り替える必要があります。部署単位で申し送りのフォーマットをそろえておくと、新人でも同じ型に沿って伝えられるようになります。
申し送りノート(書面)に書くときのポイント
口頭だけでなく、申し送りノートやカルテの経過記録に書面で残す場面も多くあります。書面の場合は、次の担当者があとから読んでも状況を再現できるかが基準になります。
- 主観と客観を分ける——「つらそうだった」ではなく「顔をしかめて『痛い』と発言」のように、観察した事実を書く
- 時刻を明記する——「先ほど」「さっき」ではなく「14時」「14時30分」と具体的な時刻を書く
- 未完了のタスクを明確にする——「対応済み」「未対応」「◯時に再確認予定」を区別して書く
口頭の申し送りと書面の記録は、どちらか一方で済ませるのではなく、重要度の高い情報は両方に残すのが基本です。口頭だけだと聞き逃しのリスクがあり、記録だけだと緊急性が伝わりにくいためです。
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よくある質問
Q. 申し送りと引き継ぎの違いは?
現場ではほぼ同じ意味で使われることも多いですが、「申し送り」は主に勤務交代時の口頭伝達を指す場面で使われ、「引き継ぎ」は担当替えや異動、退職時など、より広い場面で使われる傾向があります。
Q. 電子カルテがあっても口頭の申し送りは必要ですか?
必要です。記録として残る情報と、「次の担当者にとくに見ておいてほしいこと」は必ずしも一致しません。記録だけに頼らず、口頭でも要点を補うことで伝え漏れを防げます。
Q. 申し送りが苦手なのは経験不足のせいですか?
経験だけの問題ではありません。情報を整理する型(6項目・5W1H・SBAR)を知っているかどうかで、伝わりやすさは大きく変わります。型を意識して練習すれば、経験年数に関わらず改善できます。
まとめ
申し送り事項は、バイタル・処置と与薬・医師の指示・食事排泄・IC・特記事項の6項目を軸に整理すると、抜け漏れなく伝えられます。日常的な申し送りは5W1H、急変時や状態が不安定な場面はSBAR・I-SBAR-Cというように、場面に応じて型を使い分けることも有効です。
まずは自分のメモを6項目の枠に沿って書き直すところから始めてみてください。整理された情報は、次の担当者だけでなく、患者の安全にもつながります。