ナースの勉強部屋

【看護師向け】医師への報告で怒られない「SBAR」の伝え方と例文|急変時や電話でのコツも解説

【看護師向け】医師への報告で怒られない「SBAR」の伝え方と例文|急変時や電話でのコツも解説

「で、結局何が言いたいの?」——。医師に報告した際、こう言われて頭が真っ白になった経験はありませんか。伝えたいことはあるのに、緊張してうまくまとまらない。看護師の多くが一度は通る悩みです。

その解決策になるのが、SBAR(エスバー)という報告の型です。伝える順番を決めておくだけで、報告は驚くほど整理されます。この記事では、SBARの4ステップと、そのまま使える報告例文を紹介します。

目次
  1. SBARとは?報告を整理する4つのステップ
  2. S・B・A・Rを1つずつ解説
    1. S:状況(まず結論から)
    2. B:背景(判断材料を渡す)
    3. A:評価(自分の考えを添える)
    4. R:提案・依頼(相手の行動を明確に)
  3. そのまま使えるSBAR報告例文
    1. 例1:発熱の報告
    2. 例2:疼痛の訴え
    3. 例3:外来クリニックでの報告
  4. 報告がさらに伝わる3つのコツ
  5. 「うまく話せない」のは、あなたのせいではない
  6. 一歩進んだ「ISBARC」も知っておこう
  7. 電話で当直医・オンコール医に報告するときの流れ
  8. まとめ
  9. よくある質問(FAQ)

SBARとは?報告を整理する4つのステップ

SBARは、医療現場で広く使われる報告のフレームワークです。次の4つの頭文字をとっています。

  • S(Situation:状況):今、何が起きているか
  • B(Background:背景):そこに至る経緯・患者情報
  • A(Assessment:評価):自分はどう考えているか
  • R(Recommendation:提案・依頼):どうしてほしいか
  • 報告が苦手な人ほど、いきなり細かい経緯(B)から話し始めてしまいがちです。SBARではまず結論に近い「状況」から入るのがポイント。聞き手の医師は、最初に「何ごとか」をつかめると、その後の情報を受け取りやすくなります。

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    S・B・A・Rを1つずつ解説

    S:状況(まず結論から)

    「誰が・何が・どうなっているか」を一文で伝えます。「〇〇号室の△△さんが、38.5度の発熱です」のように、要点を先に出します。

    B:背景(判断材料を渡す)

    その状況に関係する情報を簡潔に。既往歴、入院・受診の理由、直近のバイタルや処置などです。すべてを話す必要はなく、今の状況に関係するものだけに絞ります。

    A:評価(自分の考えを添える)

    ここが報告の質を大きく左右します。「感染の可能性があると考えます」「痛みのコントロールが不十分だと思います」など、看護師としてのアセスメントを伝えます。「わからない」場合も、「原因は判断できませんが、いつもと様子が違います」と正直に添えれば十分です。

    R:提案・依頼(相手の行動を明確に)

    最後に、医師にどうしてほしいかをはっきり伝えます。「診察をお願いできますか」「解熱剤の指示をいただけますか」など、依頼を具体的にすることで、話がスムーズに進みます。

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    そのまま使えるSBAR報告例文

    例1:発熱の報告

    S:3号室の田中さんが、38.6度の発熱です。

    B:昨日、腹部の手術をされた方で、これまで平熱でした。血圧は120/70、脈拍は92です。

    A:術後の感染の可能性があるのではないかと考えています。

    R:一度、診察をお願いできますでしょうか。あわせて採血の指示も必要でしょうか。

    例2:疼痛の訴え

    S:5号室の佐藤さんが、強い腹痛を訴えています。

    B:本日入院された方で、1時間前に鎮痛剤を使用しましたが、痛みが引きません。表情も苦しそうです。

    A:現在の鎮痛では不十分で、状態が変化している可能性を感じています。

    R:追加の指示をいただくか、診察に来ていただくことは可能でしょうか。

    例3:外来クリニックでの報告

    S:待合の山本さんが、急に気分が悪いと訴え、顔色が悪くなっています。

    B:先ほど採血をした方で、血圧を測ると88/50でした。

    A:迷走神経反射の可能性があると考えています。

    R:横になれる場所へ移動させました。すぐに診ていただけますか。

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    報告がさらに伝わる3つのコツ

    1. 報告前に一度、頭の中でSBARに並べる
    慌てて電話をかける前に、S・B・Aの3点だけメモに書き出すと、話がぶれません。

    2. 数字を具体的に
    「熱が高い」より「38.6度」、「血圧が低い」より「88/50」。具体的な数値は、医師の判断を速くします。

    3. 緊急度を最初に示し、必要なら「S(状況)」と「R(依頼)」を優先する
    急を要するときは、冒頭で「緊急でのご報告です」と明確に宣言します。特に一刻を争う急変時は、背景(B)や評価(A)を順番に追うのではなく、「◯◯さんの意識レベルが急激に低下しています(S)。至急、ベッドサイドに来ていただけますか(R)」と、まずSとRを直ちに伝えてからバイタルや経過の補足に入る臨機応変さが重要です。

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    「うまく話せない」のは、あなたのせいではない

    報告が苦手だと、「自分は要領が悪い」と落ち込んでしまいがちです。でも、報告は生まれ持った才能ではなく、型を知って練習すれば身につくスキルです。SBARという地図を手に入れれば、道に迷わず伝えられるようになります。

    もし、日々の報告や人間関係のプレッシャーが大きく、「もっと落ち着いて働きたい」と感じているなら、環境を変えるのも一つの選択です。クリニックは病棟に比べて医師との距離が近く、コミュニケーションが取りやすい職場も多くあります。

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    一歩進んだ「ISBARC」も知っておこう

    SBARをさらに実践的にした型が「ISBARC(アイエスバーク)」です。頭にI(Identify:自分と患者の確認)、末尾にC(Confirmation:復唱確認)を加えます。

  • I:「〇〇病棟の看護師△△です。□□さんの件でご報告します」と、自分と対象患者を最初に明確化する
  • C:C:受けた指示を「〜ということで承知しました」と必ず薬剤名や数値を含めて復唱(Read back)し、指示の誤解を防ぐ
  • 報告の本来の目的は「医師に伝えること」ではなく、「患者さんに安全な医療を提供すること」です。特に電話口では「5mg」と「15mg」などの聞き間違い(医療事故)が起きやすいため、指示の復唱による相互確認は患者さんの安全を守るために不可欠です。

    電話では相手の顔が見えません。名乗りと復唱を足すだけで、取り違えのリスクがぐっと下がります。

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    電話で当直医・オンコール医に報告するときの流れ

    夜間や休日、当直医へ電話する場面は特に緊張します。次の流れを頭に入れておくと落ち着けます。

    1. 名乗る(I):所属・氏名・患者名
    2. 状況(S):いま何が起きているかを一文で
    3. 背景(B):関係する経緯・バイタルだけ
    4. 評価(A):自分の懸念・アセスメント
    5. 依頼(R):診察・指示・来棟のいずれを求めるか
    6. 復唱(C):得た指示を必ず復唱する

    「起こしてしまって申し訳ない」と気後れして要点がぼやけるより、簡潔に整理して伝えるほうが、医師にとってもありがたいものです。

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    まとめ

    医師への報告は、SBARの4ステップで組み立てれば、ぐっと伝わりやすくなります。

  • S:まず状況(結論)から
  • B:関係する背景だけを簡潔に
  • A:自分のアセスメントを添える
  • R:してほしいことを具体的に
  • 最初はメモを見ながらで構いません。繰り返すうちに、自然とこの順番で話せるようになります。焦らず、一つずつ身につけていきましょう。

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    よくある質問(FAQ)

    Q. SBARとSOAPはどう違いますか?
    A. SBARは「口頭で報告・依頼する」ための型、SOAPは「記録を書く」ための型です。目的が異なるため、報告はSBAR、看護記録はSOAPと使い分けます。

    Q. 新人でもうまく使えますか?
    A. 使えます。むしろ型があるぶん、経験が浅いうちほど助けになります。最初はメモにS・B・A・Rの4項目を書き出してから報告しましょう。

    Q. アセスメント(A)に自信がありません。
    A. 断定できなくて構いません。「原因はわかりませんが、いつもと様子が違います」も立派なアセスメントです。気づいた変化を率直に伝えることが大切です。

    Q. 申し送りにもSBARは使えますか?
    A. 使えます。勤務交代時の申し送りや、多職種への連絡でも、SBARの順番はそのまま役立ちます。