ナースの勉強部屋

看護必要度B項目の評価方法|7項目の判断基準と「患者の状態×介助の実施」の点数、評価の根拠を記録に残すポイント

看護必要度B項目の評価方法|7項目の判断基準と「患者の状態×介助の実施」の点数、評価の根拠を記録に残すポイント

「移乗の見守りは一部介助でいいの?」「食止めの日の食事摂取は何点?」。B項目は病棟の看護師が自分で判断する項目なので、迷う場面が多く、付け方が人によってぶれやすい部分です。

この記事では、厚生労働省の通知「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和8年3月5日保医発0305第7号)の別添6・別紙7にある一般病棟用の評価票と「評価の手引き」をもとに、B項目の評価方法と、評価の根拠を記録に残すときの考え方をまとめます。

手引きの定義は要約して載せています。判断に迷ったときは手引きの原文と院内研修の資料で確かめてください。手引きは「独自に定めた判断基準により評価してはならない」としています。A項目の一覧と点数は看護必要度A項目一覧で、改定で基準値がどう変わったかは看護必要度2026年改定のポイントで解説しています。

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目次
  1. 看護必要度B項目とは|「患者の状況等」7項目と点数
  2. B項目の点数の付け方|「患者の状態」×「介助の実施」
  3. 評価の前に押さえる、B項目共通事項の5つのルール
  4. B項目7項目の評価方法と、手引きが示す迷いやすい境目
    1. 8 寝返り|事前に環境を整えたのか、手を添えたのか
    2. 9 移乗|見守りが必要なら「一部介助」
    3. 10 口腔清潔|準備や磨き残しの確認も一連の行為に含む
    4. 11 食事摂取|食止め・絶食は「全介助」かつ「実施なし」
    5. 12 衣服の着脱|最後にズボンを上げるだけでも「一部介助」
    6. 13 診療・療養上の指示が通じる|1回でも指示通りでなければ「いいえ」
    7. 14 危険行動|対策を取っていたうえで起きたかどうか
  5. B項目の測定日|毎日測定と、入院5日目以降7日ごとの方式
  6. B項目を基準に使う入院料・使わない入院料
  7. B項目の評価の根拠を、記録に残すときのポイント
  8. B項目の評価でよくある誤りのチェックリスト
  9. 一般病棟・急性期病棟の看護師求人を見る
  10. よくある質問
    1. B項目は看護師でなければ評価できませんか
    2. リハビリの訓練中に介助した移乗は評価に含めますか
    3. 必要度ⅡでもB項目は看護師が付けるのですか
  11. まとめ
  12. 参考

看護必要度B項目とは|「患者の状況等」7項目と点数

B項目は、評価票で「患者の状況等」と呼ばれる部分で、項目番号8〜14の7項目です。必要度Ⅰでも必要度Ⅱでも、項目と点数は同じで、院内研修を受けた評価者が判断します。

番号 項目 患者の状態(0点/1点/2点) 介助の実施を掛けるか
8 寝返り できる/何かにつかまればできる/できない 掛けない
9 移乗 自立/一部介助/全介助 掛ける
10 口腔清潔 自立/要介助(1点)/― 掛ける
11 食事摂取 自立/一部介助/全介助 掛ける
12 衣服の着脱 自立/一部介助/全介助 掛ける
13 診療・療養上の指示が通じる はい(0点)/いいえ(1点)/― 掛けない
14 危険行動 ない(0点)/―/ある(2点) 掛けない

口腔清潔は「要介助」が1点まで、指示が通じるは「いいえ」が1点、危険行動は「ある」が2点で、1点の選択肢がありません。

B項目の点数の付け方|「患者の状態」×「介助の実施」

B9〜B12の4項目は、「患者の状態」の点数と「介助の実施」の点数(実施なし0/実施あり1)を掛けた値がその項目の点数になります。

例 患者の状態 介助の実施 点数
移乗に全介助が必要で、その日に介助した 全介助(2点) 実施あり(1) 2点
移乗に全介助が必要だが、その日は移乗の機会がなく介助していない 全介助(2点) 実施なし(0) 0点
食事摂取が一部介助で、食事のたびに介助した 一部介助(1点) 実施あり(1) 1点

介助が必要な状態でも、その日に看護職員等が介助を行わなければ0点になります。B8・B13・B14は「患者の状態」だけで点数が決まります。

評価の前に押さえる、B項目共通事項の5つのルール

手引きの「B項目共通事項」は、すべてのB項目にかかるルールです。

  1. 義手・義足・コルセット等の装具を使っている場合は、装具を着けた後の状態で評価する
  2. 評価時間帯のうちに状態が変わり、異なる状態の記録がある場合は、自立度の低い方の状態で評価する
  3. 動作が制限されていない場合は、可能であれば動作を促し、観察した結果で評価する。動作を確認できなかった場合は、ふだん介助が必要な状態でも「できる」または「自立」とする
  4. 医師の指示で動作が制限されていることが明確な場合は、各項目の留意点に沿って評価する。この場合、医師の指示に係る記録があること。動作が禁止されているのに患者が無断で行ってしまった場合は「できる」または「自立」とする
  5. B9〜B12は、「患者の状態」と「介助の実施」を掛けた点数とする

3は特に注意したいルールです。「いつも介助しているから」で付けるのではなく、その日に観察した事実で付けます。

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B項目7項目の評価方法と、手引きが示す迷いやすい境目

8 寝返り|事前に環境を整えたのか、手を添えたのか

仰臥位から左右どちらかの側臥位になる動作を評価します。

  • 「できる」:何にもつかまらず、片側だけでも1人で寝返りができる
  • 「何かにつかまればできる」:ベッド柵、ひも、バー、サイドレール等につかまれば1人でできる
  • 「できない」:介助なしでは1人で寝返りができない等、何らかの介助が必要

境目は、看護職員等の関わり方です。事前に環境を整えておき、患者自身が1人で寝返りできるなら「何かにつかまればできる」。寝返りの際にベッド柵に患者の手をつかまらせる等の介助をしているなら「できない」です。医師の指示で自力での寝返りを制限されている場合も「できない」とします。

9 移乗|見守りが必要なら「一部介助」

ベッドから車椅子、車椅子からポータブルトイレなど、乗り移ることを評価します。

  • 「自立」:介助なしで移乗できる。這って動いても1人で移乗できる場合を含む
  • 「一部介助」:心身の状態等の理由から見守る必要がある場合、手を添える・体幹を支える等の一部介助が必要な場合
  • 「全介助」:1人では全くできず、抱える・運ぶ等の全面的な介助が必要な場合

手引きの留意点では、スライド式の移乗用補助具が必要な場合は「全介助」、立つ・向きを変える・数歩動く等を患者自身も行えている(力が出せる)場合は「一部介助」です。医師の指示で自力での移乗を制限されている場合は「全介助」、介助による移乗も制限されている場合は「全介助」かつ「実施なし」とします。

10 口腔清潔|準備や磨き残しの確認も一連の行為に含む

口腔内を清潔にする一連の行為が1人でできるかを評価します。一連の行為には、歯ブラシや水の用意、歯磨き粉をつける等の準備、歯磨き中の見守りや指示、磨き残しの確認も含みます。車椅子への移乗や洗面所までの移動は含みません。

  • 「自立」:一連の行為すべてが1人でできる
  • 「要介助」:一部またはすべてに介助が必要。見守りや指示が必要な場合も含む

口腔内吸引のみ、舌や口腔内への硼砂グリセリンの塗布は口腔清潔に含みません。歯がない場合は、うがいや義歯の清潔等、類似の行為で判断します。

11 食事摂取|食止め・絶食は「全介助」かつ「実施なし」

経口栄養と経管栄養を含み、朝食・昼食・夕食・補食等の食事単位で評価します。中心静脈栄養は含みません。配膳、後片付け、食べこぼしの掃除、エプロンをかける等は介助に含みません。

  • 「自立」:介助・見守りなしに1人で摂取できる。自助具の使用も含む
  • 「一部介助」:行為の一部に介助が必要、または小さく切る・ほぐす・皮をむく・蓋をはずす等が必要。見守りや指示が必要な場合も含む
  • 「全介助」:1人では全く食べられず、開始から終了まですべてに介助を要する

手引きの留意点のうち迷いやすいのは次の3つです。

  • 経口栄養と経管栄養の両方を行っている場合は、自立度の低い方で評価する
  • パンの袋切り、食事の温め、果物の皮むき等を看護職員等が行う必要がある場合は「一部介助」
  • 医師の指示で食止めや絶食の場合は「全介助」かつ「実施なし」。セッティングしても患者が摂取を拒否した場合は「実施なし」

家族が行った行為や食欲の観察は含めません。

12 衣服の着脱|最後にズボンを上げるだけでも「一部介助」

パジャマ、ズボン、寝衣、パンツ、オムツ等、日常生活で着用している衣服が対象です。靴や帽子は含めません。

  • 「自立」:介助なしに1人で着脱できる。自助具の使用も含む
  • 「一部介助」:途中までは自分で行い、最後に看護職員等がズボン・パンツ等を上げる必要がある場合など。転倒防止等のための見守りや指示が必要な場合も含む
  • 「全介助」:着脱の行為すべてに介助が必要。腕や腰を上げる等の協力ができても、着脱そのものを患者が行えない場合を含む

着脱にかかる時間の長さは判断に関係しません。ふだんは自分で着脱しているが点滴のために介助している場合は、その介助の状況で評価します。

13 診療・療養上の指示が通じる|1回でも指示通りでなければ「いいえ」

指示内容や背景疾患を問わず、診療・療養上の指示に対して指示通りに実行できるかを評価します。

  • 「はい」:指示通りの行動が常に行われている
  • 「いいえ」:指示通りでない行動が1回でもみられた

評価日当日の、診療・療養上必要な指示であることが前提です。理解したように見えても、意識障害等で指示を理解できない場合や、自分なりの解釈で結果的に指示から外れた行動をした場合は「いいえ」とします。

14 危険行動|対策を取っていたうえで起きたかどうか

チューブ類・点滴ルート等の自己抜去、転倒・転落、自傷行為の発生、または「そのまま放置すれば危険行動に至ると判断する行動」を、過去1週間以内の評価対象期間に看護職員等が確認した場合に「ある」とします。

この項目は、対策がもたれている状況下で発生した危険行動が確認でき、評価当日にもその対策がもたれている場合に評価の対象になります。対策を持たない状況で発生した危険行動は評価しません。病室での喫煙や大声・暴力等の迷惑行為は含めません。他施設や他病棟から移ってきた患者は、看護職員等が記載した記録で期間内の危険行動が確認できれば対象に含めます。

B項目の測定日|毎日測定と、入院5日目以降7日ごとの方式

通知は、B項目の測定について次のどちらかを認めています(別添2第2の4の2(4)の要約)。

方式 測定する日
毎日測定する 毎日
毎日測定しない 入院初日から4日目までは毎日。5日目以降は直近の測定日から少なくとも7日ごとに1回以上。退院日は必ず測定

毎日測定しない方式でも、患者の状態に明らかな変化が生じた場合は、7日を待たずに測定することが望ましいとされています。測定日以外の日のB項目は、直近の測定日の評価で代替できます。

評価そのものは毎日行い、B項目は測定日の結果を使う、という整理です。病棟がどちらの方式を採っているかで、自分が測定する日が変わります。

B項目を基準に使う入院料・使わない入院料

B得点が「基準を満たす患者」の判定に使われるかどうかは、病棟の入院料で違います。

入院料の例 B項目の扱い
急性期病院一般入院基本料、急性期一般入院料1、7対1入院基本料(特定機能病院入院基本料(一般病棟に限る。)及び専門病院入院基本料) 基準には用いないが、評価は行う
急性期一般入院料2〜5、7対1入院基本料(結核病棟入院基本料)など 「A得点が2点以上かつB得点が3点以上の患者」が基準を満たす患者の1つ
地域包括ケア病棟入院料等 A項目とC項目のみ評価する

表の1行目の入院料は、B得点を基準に使わなくても、B項目の評価は行います。地域包括ケア病棟入院料等はB項目を評価しません。自分の病棟がどこに当たるかは、必要度の担当者に確認してください。

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B項目の評価の根拠を、記録に残すときのポイント

手引きの「評価の根拠」は、B項目について次のように定めています(要約)。

  • 評価は観察と記録に基づいて行い、推測で付けない
  • 当日の実施記録が無い場合は評価できないため、B項目は自立度の一番高い評価とする
  • B項目は「患者の状態」が評価の根拠となるため、重複する記録を残す必要はない

B項目のためだけの記録を別に作る必要はありません。そのかわり、ふだんの看護記録に患者の状態と、行った介助が読み取れる形で残っていないと、介助していても最も自立度の高い評価になります。

記録で押さえたいのは次の4点です。

  • 動作の状態を、手引きの選択肢と照らし合わせられる事実で書く(例:「車椅子への移乗時、立ち上がりは自力で行い、向きを変える際に体幹を支えた」)
  • 介助をした事実を書く。「全介助」の状態でも、その日に介助した記録が無ければ「実施なし」と区別できない
  • 医師の指示で動作を制限している場合は、その指示の記録があることを確かめる(共通事項4)
  • 危険行動は、発生した事実に加えて、事前に取っていた対策と、評価当日も対策を続けていることが分かるように書く

「ADL低下あり」「介助にて実施」のような書き方だけでは、どの選択肢に当たるかを後から判断できません。主観や曖昧な語の言い換えは看護記録の表現の言い換え表にまとめています。ADLを点数で見る他の尺度との違いが気になる方は、バーセルインデックスの評価表やFIM評価の採点基準表も参考になります。

B項目の評価でよくある誤りのチェックリスト

  • □ 介助が必要な状態なのに、その日に介助していないのに「実施あり」にしていないか
  • □ 動作を確認できなかった日に、ふだんの状態で「一部介助」「全介助」を付けていないか
  • □ 見守りだけの移乗・衣服の着脱を「自立」にしていないか(手引きでは見守りが必要なら「一部介助」)
  • □ 食止め・絶食の日の食事摂取を「実施あり」にしていないか
  • □ 状態が変わった日に、自立度の高い方で付けていないか
  • □ 対策を取っていない状況で起きた転倒を「危険行動 ある」にしていないか
  • □ 測定日以外の日に、直近の測定日と違う評価を付けていないか(病棟の方式による)

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よくある質問

B項目は看護師でなければ評価できませんか

手引きは、評価は院内研修を受けた者が行うこととし、医師、薬剤師、理学療法士等が一部の項目の評価を行う場合も院内研修を受けることとしています。介助の実施は「看護職員等」が行ったかどうかで判断します。

リハビリの訓練中に介助した移乗は評価に含めますか

手引きは、A項目では訓練や退院指導等の目的の行為を評価に含めない一方、B項目では患者の訓練を目的とした行為であっても評価の対象に含めるとしています。

必要度ⅡでもB項目は看護師が付けるのですか

はい。必要度ⅡではA項目とC項目はレセプト電算処理システム用コードで評価しますが、B項目は院内研修を受けた評価者が判断します。

まとめ

B項目は7項目で、B9〜B12は「患者の状態」と「介助の実施」を掛けて点数にします。動作を確認できなかった日は「できる」「自立」、状態が変わった日は自立度の低い方、記録が無ければ自立度の一番高い評価、という共通事項を押さえるとぶれが減ります。根拠になるのはふだんの看護記録なので、患者の状態と行った介助を、選択肢と照らし合わせられる事実で残しましょう。

参考

  • 厚生労働省「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和8年3月5日保医発0305第7号)別添2第2の4の2、別添6・別紙7「一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Ⅰに係る評価票」「一般病棟用の重症度、医療・看護必要度Ⅱに係る評価票」「一般病棟用の重症度、医療・看護必要度に係る評価票 評価の手引き」 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001757361.pdf
  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html