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FIM評価の採点基準表|運動13項目・認知5項目の1〜7点、介助量の見分け方と記録の例文

FIM評価の採点基準表|運動13項目・認知5項目の1〜7点、介助量の見分け方と記録の例文

FIM(Functional Independence Measure、機能的自立度評価法)は、運動13項目と認知5項目の計18項目を、それぞれ1〜7点で採点するADLの評価法です。合計は18〜126点で、点数が高いほど介助が少ないことを表します。

回復期リハビリテーション病棟では、入棟時と退棟時のFIMの得点が病棟の実績の計算にも使われます。そのため、看護師も病棟での生活場面をもとにFIMを付ける機会が多くなります。ところが「見守りなら5点?」「半分くらい手伝ったら3点?4点?」のように、介助量の見積もりで点数がぶれやすい評価でもあります。

この記事では、厚生労働省の資料と公的機関の評価マニュアルをもとに、FIMの採点基準、介助量の見分け方、評価の場面、記録の書き方を整理します。最後に、バーセルインデックスとどう使い分けるかを表にまとめます。

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目次
  1. FIM評価の採点基準表(運動13項目・認知5項目の1〜7点)
    1. 1〜7点の採点基準
  2. FIM評価は「しているADL」で採点する
    1. 日中と夜間で違うときは低い方を採る
  3. FIM評価で迷う介助量の見分け方(項目別)
    1. 6点と5点は「準備を誰がするか」で分ける
    2. 4点以下は動作を分けて割合を出す
    3. 移乗と移動は介助の手ごたえと距離で見る
    4. 排尿・排便は失敗の頻度と介助量の低い方
    5. 認知項目は「普段の会話の何割がスムーズか」で見る
  4. FIM評価を行う場面(回復期リハビリテーション病棟・リハビリの計画書)
  5. FIM評価の記録の書き方と例文
    1. 例文
  6. FIMとバーセルインデックスの違いと使い分け
    1. どちらを使うかの境目
  7. よくある質問
    1. FIMは何点満点?最低点は何点ですか?
    2. 訓練室ではできるのに、病棟ではしていない場合はどちらで付けますか?
    3. FIMの評価は看護師がしてもよいですか?
  8. まとめ
  9. 参考

FIM評価の採点基準表(運動13項目・認知5項目の1〜7点)

中央社会保険医療協議会の資料では、FIMを「『運動ADL』13項目と『認知ADL』5項目で構成」「各7~1点の7段階評価(合計:126点~18点)」と説明しています。18項目の内訳は次のとおりです。

区分 分類 項目 点数の範囲
運動項目 セルフケア 食事、整容、清拭、更衣(上半身)、更衣(下半身)、トイレ動作 6〜42点
排泄 排尿コントロール、排便コントロール 2〜14点
移乗 ベッド・椅子・車椅子、トイレ、浴槽・シャワー 3〜21点
移動 歩行・車椅子、階段 2〜14点
運動項目の計 13項目 13〜91点
認知項目 コミュニケーション 理解、表出 2〜14点
社会認識 社会的交流、問題解決、記憶 3〜21点
認知項目の計 5項目 5〜35点
合計 18項目 18〜126点

どの項目も最低点は1点なので、全介助でも合計は0点ではなく18点になります。

1〜7点の採点基準

1〜7点の意味は全項目で共通です。中医協の資料にある段階の名前に、島根県益田保健所の「FIMによる評価マニュアル」にある介助量の目安を並べると次のようになります。

点数 段階 介助者 手助けの程度(運動項目)
7 完全自立 不要 一人で、安全に、適切な時間でしている
6 修正自立 不要 一人でしているが、時間がかかる、補助具や自助具が要る、安全への配慮が要る、服薬の助けを受けている
5 監視・準備 必要 体に触れる介助はないが、見守り・準備・指示・促しが要る
4 最小介助 必要 動作の75%以上を本人がしている
3 中等度介助 必要 動作の50%以上75%未満を本人がしている
2 最大介助 必要 動作の25%以上50%未満を本人がしている
1 全介助 必要 本人がしているのは動作の25%未満

7点と6点が「自立」、5点以下が「介助あり」です。6点と5点の違いは、そばに人が要るかどうかにあります。

認知項目も1〜7点の考え方は同じですが、同マニュアルでは5点を「見守りや促しに加えて、10%未満の手助けを含む」、4点を「75%以上90%未満を本人がしている」としています。運動項目とは5点・4点の幅が少し違う点に注意が要ります。

FIM評価は「しているADL」で採点する

FIMでいちばん大事な原則は、訓練室で「できる」ことではなく、病棟や自宅の生活の中で実際に「している」ことで採点するという点です。前述のマニュアルにも、FIMは「実際に『している』状況を記録することで、介助量を測定できる」「日常の生活の中で実際に行っている事を評価」すると書かれています。診療報酬の様式であるリハビリテーション実施計画書でも、ADLの欄は「実行状況」を書く欄になっています。

たとえば、訓練室では平行棒内で一人で立ち上がれても、病棟では毎回看護師が腰を支えて車椅子からトイレに移っているなら、トイレ移乗は病棟での介助量で採点します。病棟看護師は夜間や休日を含めた生活全体を見ているので、FIMの情報源として欠かせない立場にあります。

同じマニュアルでは、評価者はリハビリの専門職である必要はないとされています。多職種で付ける場合は、誰がどの場面を見て付けたかを共有しておくと、職種による点数のずれを減らせます。

日中と夜間で違うときは低い方を採る

トイレ動作や排泄の項目では、日中は一人でしているが夜間は安全のため見守っている、といったように時間帯で状態が違うことがあります。マニュアルでは、排尿時と排便時、日中と夜間など、場面によって点数が違う場合は低い方の点数を採るとしています。夜間の様子は病棟看護師しか知らないことが多いため、評価の前に夜勤帯の記録も確かめておきましょう。

FIM評価で迷う介助量の見分け方(項目別)

採点で迷いやすいのは、「6点か5点か」と「4点以下の割合の見積もり」の2つです。

6点と5点は「準備を誰がするか」で分ける

自助具を自分で付けて一人で食べているなら6点、自助具を付けてもらえば一人で食べられるなら5点です。装具や自助具の装着、衣服を出しておく、歯ブラシに歯磨き粉をつけておく、といった手伝いは「準備」に当たり、体に触れる介助がなくても5点になります。

4点以下は動作を分けて割合を出す

4点以下は「本人が何割しているか」で決まりますが、目分量で付けると評価者ごとの差が大きくなります。動作をいくつかに分け、そのうち何個を本人がしているかで割合を出すと、ぶれを抑えられます。

項目 分け方の例 採点の例
トイレ動作 ズボンを下げる・拭く・ズボンを上げるの3動作 下げる・拭くは自分、上げるのは介助なら約67%で3点
更衣(上半身) かぶる・片袖を通す・もう片方の袖を通す・裾を下ろすの4動作 両袖を通すのを介助していれば50%で3点
清拭 胸・腹・両腕・両大腿・両下腿・陰部・臀部の10か所 3か所を自分で洗い、7か所は介助なら30%で2点

移乗と移動は介助の手ごたえと距離で見る

移乗は割合を出しにくいため、マニュアルでは介助の手ごたえを目安にしています。

  • 4点:転倒しないよう念のため体に触れている程度
  • 3点:軽く引き上げる
  • 2点:しっかり引き上げる、体を回す
  • 1点:全介助、または2人介助

歩行・車椅子は距離も採点に関わります。50m以上を移動できるかをまず見て、できれば介助量に応じて3〜7点、できなければ1点か2点です。ただし、15m以上50m未満を一人で移動しているなら5点とする扱いがあります。階段は12〜14段を昇り降りできるかが基準です。

排尿・排便は失敗の頻度と介助量の低い方

排泄コントロールは、失禁などの失敗の頻度と、介助の量の両方で採点し、低い方を採ります。尿器やおむつを自分で扱い失敗がなければ、それらを補助具とみなして6点になりえます。逆に、バルーンカテーテル留置で管理をすべて介助者が行っていれば、排尿の課題を本人がしていないとみなして1点です。

認知項目は「普段の会話の何割がスムーズか」で見る

理解と表出は、まず複雑・抽象的な内容を手助けなしにやり取りできるかを見ます。手助けが要るなら5点以下とし、食事や排泄、痛みなど基本的な欲求についての会話のうち、何割が聞き返しや言い換えなしに通じているかで採点します。10回のうち5回がスムーズなら50%なので3点です。

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FIM評価を行う場面(回復期リハビリテーション病棟・リハビリの計画書)

看護師がFIMに関わる主な場面は次のとおりです。

場面 FIMの使われ方
回復期リハビリテーション病棟 入棟後2週間以内に入棟時のFIM運動項目の得点を、退棟時にも退棟時の得点を、合計と項目別の内訳で患者に説明することが算定の留意事項に定められている
回復期リハビリテーション病棟の実績指数 退棟時と入棟時のFIM運動項目の得点の差(FIM利得)をもとに、病棟のリハビリの効果が評価される
リハビリテーション実施計画書(診療報酬の別紙様式21) 日常生活活動の実行状況を、FIMかバーセルインデックスのどちらかで必ず記載する欄がある

実績指数の計算方法や、計算から除く患者の条件、基準値は、令和8年度の診療報酬改定で見直されています。病棟で数値を扱うときは、最新の通知と疑義解釈で確認してください。

看護師にとって大事なのは、入棟時の評価を実際の生活場面にもとづいて付けることです。入棟直後の慌ただしい時期に、訓練室での様子や前医の情報だけで点数を付けると、その後の変化を正しく追えなくなります。

FIM評価の記録の書き方と例文

記録には、運動項目・認知項目の小計と合計に加えて、点数を下げている項目と、その介助の中身を書きます。FIMは項目が18個あるため、合計点だけでは「どこに介助が要るのか」が読み手に伝わりません。

書く要素は次の4つです。

  • 評価日と評価の時点(入棟時・退棟時・定期評価など)
  • 運動項目・認知項目の小計と合計、項目ごとの点数
  • 5点以下の項目について、介助の中身と本人がしている割合の根拠
  • 日中と夜間で違う項目は、低い方を採ったことと、その理由

例文

入棟時の例

FIM 64点(運動41点・認知23点)。運動:食事5・整容4・清拭2・更衣上4・更衣下2・トイレ動作3・排尿4・排便5・ベッド移乗4・トイレ移乗4・浴槽移乗1・歩行2・階段1。認知:理解5・表出5・社会的交流6・問題解決3・記憶4。トイレ動作はズボンを上げる動作のみ介助。歩行は1名介助で15m程度。排尿は日中は尿意の訴えあり、夜間は月2〜3回失禁があり夜間の状態で採点。

退棟時の例

FIM 97点(運動70点・認知27点)。運動:食事6・整容6・清拭4・更衣上6・更衣下5・トイレ動作6・排尿6・排便6・ベッド移乗6・トイレ移乗6・浴槽移乗4・歩行5・階段4。認知:理解6・表出6・社会的交流6・問題解決4・記憶5。歩行はT字杖で50m以上、見守り下。更衣下は靴下と装具を準備すれば自分で着脱。入棟時から運動項目29点の改善。

認知項目で迷った場合の例

表出5点。痛みや排泄の訴えは短文で伝わるが、予定の変更など込み入った内容は聞き返しと言い換えが必要。

5点以下の項目に「何を手伝っているか」が書いてあれば、次の評価者が同じ基準で付け直せます。入棟時と退棟時で評価者が変わる病棟では、特に役に立ちます。

FIMとバーセルインデックスの違いと使い分け

ADLの評価法としてFIMとよく比べられるのが、バーセルインデックス(BI)です。まず仕組みの違いを並べます。

FIM バーセルインデックス
項目 運動13項目・認知5項目の18項目 10項目(認知の項目はない)
段階 全項目1〜7点の7段階 項目ごとに0・5・10・15点のうち2〜4段階
合計 18〜126点 0〜100点
評価の対象 生活の中で実際にしていること 同じく、実際にしていること
見守りの扱い 5点(介助ありの最上段) 自立とみなさず、一つ下の点数
評価にかかる手間 項目が多く、介助量の見積もりが要る 短時間で付けられる

BIは「できるADL」、FIMは「しているADL」と説明されることがありますが、BIも原典の採点指針で「患者がしていることの記録」とされています。両者の差は評価の対象ではなく、段階の細かさと認知項目の有無にあります。

どちらを使うかの境目

実際には、病棟や制度でどちらを使うかが決まっていることがほとんどです。自分で選べる場面では、次の条件で考えると迷いません。

条件 向いている評価
回復期リハビリテーション病棟で、入棟時・退棟時の得点を説明・報告する FIM(運動項目)
全介助から最大介助へ、のような介助量の小さな変化を追いたい FIM
理解・表出・記憶など、認知面の介助量も合わせて伝えたい FIM
介護保険のADL維持等加算や、地域包括医療病棟のADL低下の評価 バーセルインデックス
介護事業所や訪問看護へ、短時間で共有できるADLの目安を渡したい バーセルインデックス
リハビリテーション実施計画書のADL欄 どちらでもよい(施設で決めた方に統一する)
移動の状態を大まかな区分で書類に書く(主治医意見書など) どちらも要らない。寝たきり度を使う
入院料の要件として患者の状態を評価する どちらも要らない。重症度、医療・看護必要度を使う

寝たきり度は寝たきり度とは?障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準の表、看護必要度は看護必要度2026年改定のポイントで整理しています。

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あわせて読みたい:バーセルインデックスの評価表と採点基準

よくある質問

FIMは何点満点?最低点は何点ですか?

満点は126点(運動項目91点・認知項目35点)です。どの項目も最低が1点なので、最低点は0点ではなく18点(運動13点・認知5点)になります。

訓練室ではできるのに、病棟ではしていない場合はどちらで付けますか?

病棟でしている方で付けます。FIMは実際の生活の中でしていることを評価するためです。訓練室でできることとの差は、目標設定の材料として記録に書き添えておくと、リハビリ職との話し合いに役立ちます。

FIMの評価は看護師がしてもよいですか?

はい。評価者はリハビリの専門職である必要はないとされています。回復期リハビリテーション病棟では、看護師・リハビリ職などの多職種で付けることが多いため、項目ごとに誰がどの場面の情報で付けるかを病棟で決めておきましょう。

まとめ

  • FIMは運動13項目・認知5項目を1〜7点で採点し、合計18〜126点で表す
  • 採点は訓練室で「できる」ことではなく、生活の中で「している」ことで行う。時間帯で違えば低い方を採る
  • 6点と5点は人の手が要るか、4点以下は本人がしている割合で分ける。動作を分けて数えるとぶれが減る
  • 回復期リハビリテーション病棟では、入棟時・退棟時のFIM運動項目が説明や実績指数に使われる
  • 介助量の細かな変化や認知面を見るならFIM、短時間で共有できる目安ならバーセルインデックスが向く

参考

  • 厚生労働省 中央社会保険医療協議会 総会(平成29年10月25日)資料「個別事項(その5:リハビリテーション)」FIMの概要、リハビリテーション実績指数 https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000182077.pdf
  • 厚生労働省 中央社会保険医療協議会(平成29年11月10日)資料 中医協 検-2-2参考「日常生活動作(ADL)の指標 FIMの概要」https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000184198.pdf
  • 東北厚生局「A308 回復期リハビリテーション病棟入院料」(留意事項通知の抜粋。過年度の通知のため、現行は最新の通知で確認)https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/tohoku/shido_kansa/documents/kaifukuki-bassui1.pdf
  • 中国四国厚生局「リハビリテーション実施計画書(別紙様式21)」(平成24年度の様式。現行の様式は最新の通知で確認)https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/chugokushikoku/news/2012/000155195.pdf
  • 島根県益田保健所「FIMによる評価マニュアル」https://www.pref.shimane.lg.jp/medical/kenko/kikan/masuda_hoken/tiikiriha/ryouyouno-to.data/no2fimmamyuaru.doc
  • Collin C, Wade DT, Davies S, Horne V. The Barthel ADL Index: a reliability study. International Disability Studies. 1988;10(2):61-63.