ナースの勉強部屋

看護のフローシートの書き方|項目と記入例、色分けの慣習(施設で違う)と経過記録へ書く境目

看護のフローシートの書き方|項目と記入例、色分けの慣習(施設で違う)と経過記録へ書く境目

フローシートは、バイタルサインや水分出納、観察の結果などを、時刻ごとに表の形で記録する看護記録です。施設によって「経過表」「温度板」「温度表」「観察表」などと呼び名が違い、紙のものも電子カルテの画面のものもあります。

フローシートは数値を書き込むだけの表に見えますが、迷うのは「空欄をどうするか」「色分けは何が決まりか」「どこまで表に書いて、どこから経過記録に書くか」です。この記事では、項目、書き方のルール、色分けの慣習、記入例、経過記録との書き分けを整理します。

フローシートの項目や色分けは、施設ごとに決まっています。この記事は書き方の考え方として使い、実際の運用は所属先の記載基準に合わせてください。

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目次
  1. 看護のフローシートとは(経過表・温度板と経過記録の役割分担)
  2. フローシートの項目(バイタル・水分出納・観察・処置・スケール)
  3. フローシートの書き方のルール(時刻・単位・空欄・訂正)
    1. 時刻は「測った時刻」を書く
    2. 単位と略語は施設の一覧にそろえる
    3. 空欄の扱いを決めておく
    4. 訂正は消さずに残す
  4. フローシートの色分けの慣習(施設で違う前提で確かめること)
  5. フローシートの記入例(日勤帯の観察と処置)
  6. フローシートに書くか経過記録に書くかの境目(判定表)
  7. よくある質問
    1. フローシートと温度板は同じものですか?
    2. 色ペンを間違えて書いてしまいました。
    3. フローシートに書いた内容を、経過記録にも書く必要はありますか?
  8. まとめ
  9. 参考

看護のフローシートとは(経過表・温度板と経過記録の役割分担)

日本看護協会の「看護記録に関する指針」は、看護記録の様式として基礎情報・看護計画・経過記録・要約(サマリー)を挙げ、様式に含める項目や順序、どの様式を使うかは各施設で設定するとしています。フローシートは、経過記録のうち決まった項目を時刻ごとに並べる部分を受け持つ記録です。

フローシートと、文章で書く経過記録(SOAP・フォーカスチャーティング・経時記録など)は、次のように役割を分けます。

記録 得意なこと 書くもの
フローシート 数値や決まった観察項目の変化を、時間の流れで一目で見る バイタルサイン、水分出納、食事量、排泄、スケールの点数、ケアの実施
経過記録(文章) 変化の理由、判断、行ったケアと反応を説明する 患者さんの言葉、いつもと違う変化、看護師の判断、報告、ケアの反応

入院基本料の施設基準の通知(令和8年度、別添6 別紙6)は、経過記録について、病状安定期には診療録の温度表等に状態の記載欄を設け、その要点を記録する程度でもよいとしています。フローシートは、数値だけでなく、状態が安定しているときの要点を書く場所にもなります。

フローシートの項目(バイタル・水分出納・観察・処置・スケール)

フローシートに並ぶ項目は、病棟の特徴によって違います。よく見られる項目は次のとおりです。

分類 主な項目の例 書くときの注意
バイタルサイン 体温、脈拍、血圧、呼吸数、SpO2 測った時刻を書く。酸素を使っている場合は、その条件も施設の欄に書く
水分出納 食事・飲水・点滴などの入る量、尿・排液などの出る量 単位と、集計する時間の区切り(何時から何時まで)をそろえる
食事 主食・副食の摂取量 「全量」「半量」「〇割」など、施設の書き方にそろえる
排泄 排尿・排便の回数、便の性状 便の性状をスケールで書く場合は、使うスケールを統一する
観察・スケール 痛みの数値、意識レベル、むくみの段階、皮膚の状態 どのスケールで評価したかが分かるようにする
処置・ケアの実施 清拭、体位変換、口腔ケア、ドレーン・ラインの確認 実施した時刻と、実施者が分かるようにする
体重・身長 測った値 測る時刻や条件(朝食前など)を施設で決めている場合はそろえる

スケールの付け方は、項目ごとに記事で整理しています。便の性状はブリストルスケールの看護記録|7段階の見分け方と、迷う境目(3と4・5と6)の付け方、SOAPの例文、むくみは浮腫スケールの評価と看護記録|圧痕の深さと戻る時間の段階表、施設で基準が違う理由と迷う境目、例文、意識レベルはJCS(ジャパン・コーマ・スケール)とは?GCSとの違いや正しい評価・記録方法を徹底解説を参考にしてください。

フローシートの書き方のルール(時刻・単位・空欄・訂正)

時刻は「測った時刻」を書く

フローシートの時刻の欄は、あらかじめ「6時・10時・14時」のように区切られていることがあります。実際に測った時刻がずれた場合に、区切りの時刻に合わせて書くかどうかは施設によって違います。経過を正しく追えるよう、施設の決まりに従って、実際の時刻が分かる形にしておきます。

単位と略語は施設の一覧にそろえる

前述の指針は、用語は施設内でできるだけ同じものを使い、略語は施設内で統一するとしています。また、各施設で記載基準を明文化し、その中に用語・略語の一覧を含めることを求めています。フローシートは数値が並ぶので、単位を書き忘れると読み違いの原因になります。施設の一覧にない略語は使わないようにしましょう。

空欄の扱いを決めておく

測る予定の欄が空いていると、測っていないのか、書き忘れたのかが分かりません。測らなかった場合に「測定せず」と理由を書くのか、斜線を引くのかは施設の決まりに従います。決まりがない場合は、病棟で統一しておくと、後から読む人が迷いません。

訂正は消さずに残す

前述の指針は、訂正する場合は訂正した人・内容・日時が分かるようにし、訂正前の記載は読み取れる形で残すことを求めています。紙のフローシートでは、修正液や塗りつぶしは使わず、施設の訂正方法(二重線と訂正者の署名など)で直します。電子カルテでは、システムの訂正の機能を使います。

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フローシートの色分けの慣習(施設で違う前提で確かめること)

紙の温度板では、体温・脈拍・血圧などを1つのグラフに重ねて書くため、色や記号で項目を区別することがよくあります。一般に、体温は青、脈拍は赤で書くことが多いとされますが、全国で統一された決まりはありません。血圧や呼吸数の色、点の形(●や×など)も施設によって違います。

色分けには、項目だけでなく、勤務帯ごとにペンの色を変える(日勤と夜勤で色を分けるなど)使い方をしている施設もあります。

異動や応援、就職したばかりのときは、次の点を最初に確かめましょう。

  • グラフに書く項目ごとの色と記号(凡例がフローシートに印刷されているか)
  • 勤務帯でペンの色を変える決まりがあるか
  • 色を使えないとき(コピーや印刷)に、記号で区別できるようになっているか
  • 電子カルテのグラフの色が、紙の時代の色と同じかどうか

電子カルテでは、グラフの色はシステムの設定で決まり、自分で選ぶことはほとんどありません。紙と電子カルテを併用している病棟では、両方の凡例を見比べておくと、読み違いを防げます。

フローシートの記入例(日勤帯の観察と処置)

以下は、架空の患者さんの日勤帯の記入例です。項目や書き方の形を示すためのもので、値の良い悪いの判断は含めていません。

項目 9:00 13:00 16:00
体温(℃) 36.8 37.0 36.9
脈拍(回/分) 78 82 80
血圧(mmHg) 124/72 128/76 122/70
呼吸数(回/分) 18 18 18
SpO2(%) 97(室内気) 97(室内気) 96(室内気)
痛み(NRS) 2 4 2
食事(主食/副食) 朝 8割/8割 昼 5割/6割 —
飲水(mL) 200 300 200
尿(回数) 2 1 2
排便(回数・性状) 0 1(ブリストル4) 0
ケアの実施 清拭・寝衣交換 体位変換 体位変換
記入者 看護師A 看護師A 看護師B

この例で、13:00に痛みの数値が上がり、昼食の量が減っています。フローシートでは数値を書くところまでで、なぜ上がったのか、何をしたのか、その後どうなったのかは経過記録に書きます。

13:10(フォーカス:疼痛)NRS4。「昼ごはんの後から、お腹が張る感じ」と話す。体位を整え、腹部を温めた。15:00 NRS2、「楽になった」と話す。

経過記録の書き方は、フォーカスチャーティングやSOAPなど、施設の方法に合わせてください。SOAPのS情報とO情報の書き分けはS情報とO情報の書き方の違いは? 看護スタッフのSOAP苦手意識をどう克服する?で紹介しています。

関連記事:フォーカスチャーティングの書き方|FDARの例文とフォーカスの立て方、SOAPとどちらで書くかの判定表

フローシートに書くか経過記録に書くかの境目(判定表)

こういう情報なら 書く場所 考え方
予定どおり測った数値・スケールの点数 フローシート 文章で書き写さない
予定どおり行ったケア(清拭・体位変換など) フローシートの実施欄 実施の時刻と記入者が分かればよい
状態が安定していて、変わったことがない フローシートの状態の記載欄(施設にある場合) 要点を短く書く。経過記録に毎回長文を書かない
数値やスケールがいつもと違う フローシートに数値、経過記録に理由と対応 数値は表、説明は文章、と分ける
患者さんの言葉・訴え 経過記録 表の欄には収まらないので文章で残す
医師への報告、家族への説明 経過記録 誰に、何時に、何を伝えたかを書く
予定外に測った数値(訴えがあって追加で測ったなど) フローシートに数値、経過記録に測った理由 追加で測ったことが後から分かるようにする

迷ったときは、「数値や印だけで後から読む人に伝わるか」で考えます。伝わるならフローシート、理由や判断の説明が要るなら経過記録です。

看護記録は、患者さんから求められれば開示の対象になります。厚生労働省の「診療情報の提供等に関する指針」は、看護記録を診療記録の一つに挙げています。フローシートも、医療者以外が読んで分かるよう、略語と単位を施設の一覧にそろえておきましょう。看護記録の保存期間は看護記録の保存期間は何年?病院・クリニック・訪問看護の早見表と、訂正・持ち出しで問題にならない書き方で整理しています。

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よくある質問

フローシートと温度板は同じものですか?

施設によって呼び方が違うだけで、同じものを指していることが多くあります。体温などのグラフを中心にした表を「温度板」、観察項目やケアの実施まで含めた表を「フローシート」と呼び分けている施設もあります。

色ペンを間違えて書いてしまいました。

色を間違えた場合も、施設の訂正方法で直します。塗りつぶしたり修正液を使ったりせず、元の記載が読める形で訂正しましょう。

フローシートに書いた内容を、経過記録にも書く必要はありますか?

同じ数値を文章でもう一度書く必要はありません。数値がいつもと違うときに、その理由や行ったことを経過記録に書きます。どちらに何を書くかは、施設の記載基準を確認してください。

まとめ

  • フローシートは、決まった項目を時刻ごとに並べる記録。理由や判断の説明は経過記録に書く
  • 時刻は測った時刻、単位と略語は施設の一覧、空欄と訂正は施設の決まりに従う
  • 色分けに全国共通の決まりはない。凡例、勤務帯ごとの色、紙と電子カルテの違いを最初に確かめる
  • 数値や印だけで伝わるならフローシート、説明が要るなら経過記録に書く

参考