• クリアス看護
  • お役立ち情報一覧
  • 看護研究の抄録の書き方|目的・方法・倫理的配慮・結果・考察の書き分けと字数配分、項目ごとの例文と提出前チェックリスト
ナースの勉強部屋

看護研究の抄録の書き方|目的・方法・倫理的配慮・結果・考察の書き分けと字数配分、項目ごとの例文と提出前チェックリスト

看護研究の抄録の書き方|目的・方法・倫理的配慮・結果・考察の書き分けと字数配分、項目ごとの例文と提出前チェックリスト

研究は終わり、発表のスライドもなんとか形になった。残るのは抄録。ところが、論文を短くしようとすると字数が収まらず、要点だけ書こうとすると「何をしたのか分からない」と指導者に戻される。抄録で手が止まるのは、多くの場合、論文の縮小版として書こうとしているからです。

この記事では、看護研究の抄録を項目ごとに何を書けばよいか、字数をどう配分するかを、例文とあわせて説明します。抄録の様式や字数は学会・院内発表会ごとに決まっているため、最後は必ず応募先の規定で確かめてください。

看護師専門転職サービス
「クリアス看護」

LINE友だち追加で、希望条件に合った求人紹介や
非公開求人のご案内を無料で受けられます。
給与・働き方・勤務条件など、
転職に関するご相談もLINEで気軽に可能です。

目次
  1. 看護研究の抄録とは|読み手が「聞きに行くか」を決める文章
  2. 抄録の規定は応募先で決まる|学会の例
  3. 抄録の6項目に書くこと
    1. 目的
    2. 方法
    3. 倫理的配慮
    4. 結果
    5. 考察
    6. 結論
  4. 1,600字の抄録の字数配分の目安
  5. 抄録の例文|項目ごとの書き方
  6. 抄録の提出前チェックリスト
  7. 看護研究に取り組める職場の求人を見る
  8. よくある質問
    1. 抄録は研究が終わる前に書いてもよいですか?
    2. 引用文献は抄録に書く必要がありますか?
    3. 事例研究の抄録も同じ書き方でよいですか?
  9. まとめ
  10. 参考

看護研究の抄録とは|読み手が「聞きに行くか」を決める文章

抄録は、研究の全体を1枚に要約した文章です。学会では抄録集に載り、参加者は抄録を読んで、どの発表を聞きに行くかを決めます。院内発表でも、抄録は発表を聞けなかった人が研究の中身を知るための記録になります。

論文との違いは、次の2点です。

  • 論文は「再現できるだけの詳しさ」が求められるのに対し、抄録は「何を明らかにし、何が分かったか」が1回読んで伝わることが求められる
  • 抄録は図表を入れられない規定が多い。結果の数字は文章の中に書き込む必要がある

このため、抄録は論文を削って作るより、「この研究の結論は何か」から逆算して書くほうが字数に収まります。

抄録の規定は応募先で決まる|学会の例

字数や構成は、応募先ごとに決まっています。たとえば新潟看護ケア研究学会の2026年度の演題応募要領では、次のように定められています。

  • A4判1枚以内、指定のテンプレートを使う
  • 表題は70文字以内
  • 本文は1,600字以内(1行40文字×40行)、図表の挿入は不可
  • 本文には、原則として目的・方法・倫理的配慮・結果・考察および結論を書く
  • 事例検討の場合は、結論を「今後の課題」に替えて書く

日本看護学会のように、研究報告と実践報告で項立てが分かれている学会もあります。院内発表会は施設ごとに様式が違うため、看護部や研究委員会の要項を先に手に入れておきましょう。

抄録の6項目に書くこと

目的

研究で何を明らかにしたのかを1〜2文で書きます。背景は、目的を書くために必要な最小限にとどめます。抄録で字数を食いやすいのは背景なので、文献の紹介や施設の状況の説明は1〜2文までと決めておくと収まります。

目的は「〜を明らかにする」「〜を検討する」の形で、研究の結論と対応させます。目的の書き方は看護研究の目的の書き方で詳しく解説しています。

方法

次の5つを、この順で書くと書き忘れを防げます。

  1. 研究デザイン(質問紙調査、半構造化面接による質的記述的研究、事例研究など)
  2. 対象(誰を、何人。選んだ条件)
  3. 期間(データを集めた期間)
  4. データの集め方(使った質問紙や評価スケール、面接の内容)
  5. 分析方法(単純集計、χ²検定、質的記述的分析など)

既存の尺度や評価表を使った場合は、名称を正確に書き、規定に従って出典を示します。研究デザインの選び方は看護研究のデザインの種類、分析方法は看護研究の分析方法の種類と選び方にまとめています。

倫理的配慮

多くの学会で必須の項目です。次のことを具体的に書きます。

  • 所属施設の倫理審査委員会などの承認を得たこと(規定に従い、施設名は「A病院」のように伏せる)
  • 対象者に、研究の目的・方法、参加は自由で断っても不利益がないこと、個人が特定されないように扱うことを説明し、同意を得たこと
  • データの管理方法

「倫理的配慮を行った」だけでは、何をしたかが伝わりません。

結果

抄録の中心です。字数の配分を一番多くします。図表が使えないため、数字は文章で書きます。

  • 回収数と回収率、分析対象の人数を最初に書く
  • 主な結果を、目的に対応する順に書く
  • 質的研究では、抽出したカテゴリの数と名称を書き、代表的なものを1〜2つ説明する

結果の段落に、解釈(「〜と考えられる」)を混ぜないようにします。解釈は考察で書きます。

考察

結果から何が言えるかを、目的に戻って書きます。抄録では、先行研究との比較を1つに絞り、「この結果が看護実践にどう生かせるか」までを書くと、読み手に研究の意味が伝わります。研究の限界を1文入れておくと、質疑応答で聞かれたときの備えにもなります。

結論

目的に対する答えを1〜2文で書きます。考察の要約にならないように、「〜が明らかになった」の形でまとめます。

看護師専門転職サービス
「クリアス看護」

LINE友だち追加で、希望条件に合った求人紹介や
非公開求人のご案内を無料で受けられます。
給与・働き方・勤務条件など、
転職に関するご相談もLINEで気軽に可能です。

1,600字の抄録の字数配分の目安

本文1,600字の場合の配分の目安です。研究の内容によって前後しますが、背景と目的で3割を超えたら削りどころです。

項目 字数の目安 割合
目的(背景を含む) 250〜300字 約15〜20%
方法 300〜350字 約20%
倫理的配慮 100〜150字 約8%
結果 450〜500字 約30%
考察 350〜400字 約22%
結論 50〜100字 約5%

抄録の例文|項目ごとの書き方

架空の研究「夜勤帯の転倒予防策の実施状況と、病棟看護師の負担感」を例にします。

目的 A病院の内科病棟では、夜勤帯の転倒が日勤帯の約2倍発生している。本研究は、夜勤帯に行う転倒予防策の実施状況と、看護師が感じる負担感との関係を明らかにすることを目的とした。

方法 研究デザインは、無記名の自記式質問紙による横断研究である。対象はA病院内科病棟2病棟に勤務する看護師48名、調査期間は2026年6月1日〜6月30日とした。質問紙は、転倒予防策8項目の実施頻度と負担感(4段階)で構成した。分析は単純集計と、実施頻度別の負担感の比較にMann-WhitneyのU検定を用いた。

倫理的配慮 A病院倫理審査委員会の承認を得て実施した。対象者には、研究の目的、参加の自由、無記名で個人が特定されないことを文書で説明し、質問紙の提出をもって同意とした。

結果 回収数は42名(回収率87.5%)で、全数を分析対象とした。実施頻度が「毎回実施」と答えた割合が最も低かったのは「2時間ごとの排泄誘導」(38.1%)であった。負担感が「とても負担」「やや負担」と答えた割合は、排泄誘導を毎回実施している群で高かった(p=0.03)。

例文はあくまで形の参考です。数字は研究の結果に置き換えてください。

クリアス看護では、正社員の看護師求人を掲載しています。気になる職場があれば、条件で絞り込んで探せます。

正社員の求人を見る

抄録の提出前チェックリスト

規定から外れると、内容がよくても受け付けられないことがあります。提出前に次を確かめます。

  • [ ] 表題・本文が規定の字数に収まっている(記号やスペースの数え方も規定を確認)
  • [ ] 指定のテンプレートの余白・フォント・行数を変えていない
  • [ ] 規定の項目(目的・方法・倫理的配慮・結果・考察・結論など)がそろっている
  • [ ] 施設名・委員会名・個人名を伏せている
  • [ ] 図表を入れていない(入れられない規定の場合)
  • [ ] 目的と結論が対応している
  • [ ] 結果の段落に解釈を書いていない
  • [ ] 既存の尺度・評価表を使った場合、名称と出典を規定どおりに書いている
  • [ ] 共同研究者の氏名・所属の順番と表記を全員に確認した
  • [ ] 抄録の数字と、発表スライド・ポスターの数字が一致している

ポスター発表の場合は、抄録とポスターで構成をそろえておくと、当日の説明がしやすくなります。ポスターの作り方は看護研究のポスターの作り方をご覧ください。

看護師求人を
クリアス看護で探す

全国約4.9万件(2026年10月時点)の看護師求人から、
勤務地・施設・働き方で絞り込めます。
気になる求人は、
そのままお問い合わせできます。

看護師専門転職サービス
「クリアス看護」

LINE友だち追加で、希望条件に合った求人紹介や
非公開求人のご案内を無料で受けられます。
給与・働き方・勤務条件など、
転職に関するご相談もLINEで気軽に可能です。

看護研究に取り組める職場の求人を見る

院内研究の支援体制は、病院によって大きく違います。研究委員会や教育担当者がいる職場で経験を積みたい方は、病院の種類や働き方から求人を比べてみてください。

看護師の求人を探す

よくある質問

抄録は研究が終わる前に書いてもよいですか?

学会によっては、演題の締め切りがデータ分析の途中になることがあります。結果が出ていない状態で抄録を出すと、発表までに内容が変わったときに抄録と食い違います。応募先が「結果が出ていること」を求めているかを確かめ、締め切りから逆算して研究の日程を組みましょう。

引用文献は抄録に書く必要がありますか?

応募先の規定によります。既存の尺度を使った場合だけ書く、字数に含める、書かないなど、扱いが分かれます。規定に書かれていなければ、指導者や事務局に確認します。

事例研究の抄録も同じ書き方でよいですか?

基本の構成は同じですが、方法に「事例の概要」と「看護の実践内容」を書き、結論を「今後の課題」に替えるよう求める学会もあります。事例研究の書き方は看護のケーススタディの書き方で解説しています。

まとめ

看護研究の抄録は、論文の縮小版ではなく、「何を明らかにし、何が分かったか」を1枚で伝える文章です。目的・方法・倫理的配慮・結果・考察・結論の項目に沿って書き、字数は結果に一番多く配分します。背景は1〜2文にとどめ、数字は文章の中に書き込みます。最後は応募先の規定とチェックリストで、字数・様式・伏せ字を確かめてから提出しましょう。

看護師専門転職サービス
「クリアス看護」

LINE友だち追加で、希望条件に合った求人紹介や
非公開求人のご案内を無料で受けられます。
給与・働き方・勤務条件など、
転職に関するご相談もLINEで気軽に可能です。

参考