ツルゴール反応の看護記録の書き方|記録に残す項目のチェックリスト、「低下」だけで終わらせない言い換え表と例文
「ツルゴール低下あり」。記録でよく見る一文ですが、これだけでは、どこを見て、どのくらい戻りにくかったのかが次の勤務者に伝わりません。前回と比べてよくなったのか悪くなったのかも分からず、観察した意味が半分になってしまいます。
ツルゴール反応は、皮膚をつまんで離したときに元に戻るまでの様子から、皮膚の張りを見る観察です。数値の機械で測るものではなく、看護師の目と手で見るため、同じ条件で見て、見たままを書くことが記録の要になります。
この記事は、病棟や訪問看護でツルゴール反応を記録する看護師に向けて、記録に残す項目と書き方、例文をまとめたものです。観察の手技、脱水の判定、何秒で異常とするかといった基準は扱いません。観察の方法や報告の基準は、必ず自施設の手順と医師の指示に従ってください。
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ツルゴール反応を看護記録で使うときの意味
看護記録の「ツルゴール」は、皮膚の張り(緊張度)を指す言葉として使われています。記録では次のような表し方が混在しがちです。
| 記録で見かける表現 | 読み手が知りたいこと |
|---|---|
| ツルゴール低下 | どの部位で、どのくらい戻りにくかったのか |
| ツルゴール良好 | 何を見て良好としたのか |
| 皮膚の張りなし | ツルゴール反応を見たのか、見た目の印象なのか |
| ツルゴール(+)(−) | 施設で(+)と(−)のどちらを異常とするか決まっているか |
(+)(−)や「良好・低下」のような表し方は、施設によって意味が逆になることがあります。日本看護協会の「看護記録に関する指針」は、用語はできるだけ施設内で統一し、略語も施設内で統一するよう求めています。異動や応援の際は、まずその病棟の表し方を確かめましょう。
ツルゴール反応の看護記録に書く項目のチェックリスト
「低下」「良好」の一語で終わらせず、次の項目を確かめて記録します。
- [ ] 観察した時刻
- [ ] 観察した部位(施設の手順で決まっている部位)
- [ ] 戻り方(すぐ戻った、ゆっくり戻った、しわが残った など見たまま)
- [ ] 秒数を見ている施設では、その秒数
- [ ] 前回の観察との比較(同じ部位で比べたか)
- [ ] 皮膚のほかの状態(乾燥、冷感、むくみの有無 など)
- [ ] 本人の訴え(のどの渇き、だるさ など)
- [ ] 報告した場合は、報告した相手・時刻・指示の内容
部位は毎回そろえることが大切です。部位が変わると、前回と比べた記録が比べられなくなります。部位を変えた場合は、変えたことと理由を書いておきます。
「ツルゴール低下」だけで終わらせない言い換え表
ツルゴール反応の記録を、見たまま・比べられる形に言い換えた例です。言葉づかいは施設の記載基準に合わせて調整してください。
| 避けたい書き方 | 言い換えの例 |
|---|---|
| ツルゴール低下あり | 前胸部の皮膚をつまんで離すと、元に戻るまでゆっくり。前回(日勤)より戻りが遅い |
| ツルゴール良好 | 前胸部の皮膚は、つまんで離すとすぐに戻る |
| 脱水っぽい | 前胸部の皮膚の戻りが遅い。口唇の乾燥あり。本人より「のどが渇く」と発言あり |
| 皮膚の張りがない | 手背の皮膚にしわが残り、戻るまで時間がかかる。普段から皮膚のしわが多く、前回と同程度 |
| ツルゴール改善 | 前胸部の皮膚の戻りが、昨日の同時刻と比べて速い |
「脱水っぽい」「脱水疑い」のように、状態に名前を付ける書き方は避けます。看護師が書くのは、その言葉を使いたくなった観察そのものです。看護師としての考えを書く場合は、SOAPのA(アセスメント)に、観察した事実を根拠として並べます。
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ツルゴール反応の観察がぶれる要因と記録への残し方
ツルゴール反応は、観察する条件で見え方が変わります。値がぶれやすい条件は、記録に残しておくと、次の勤務者が比べるときに役立ちます。
| ぶれる要因 | 記録への残し方 |
|---|---|
| 部位が違う | 観察した部位を毎回書く |
| 高齢で、普段から皮膚のしわや弾力の変化がある | 「普段と比べて」の比較を書く。入院時の様子を基準として残す |
| むくみがある部位 | むくみの有無と部位を書き、別の部位で見た場合はその部位を書く |
| 観察する人が違う | 前の勤務者の記録の言葉づかいに合わせて書く |
高齢の患者では、加齢による皮膚の変化があり、ツルゴール反応だけでは判断しにくいとされています。1回の観察で何かを決めるのではなく、同じ部位での変化を記録で追うことが、読み手にとって役に立つ記録になります。
むくみの程度を記録する場合は、浮腫スケールの評価と看護記録で、段階の書き方と施設で基準が違う点を整理しています。
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正社員の求人を見るツルゴール反応と一緒に記録する観察項目
ツルゴール反応は、ほかの観察と並べて記録したときに意味が伝わります。施設の手順や医師の指示で決まっている項目に沿って、次のような観察を同じ時刻で残します。
| 観察項目 | 記録の例 |
|---|---|
| 口腔・口唇 | 口唇の乾燥あり、舌の表面が乾いている |
| 飲水量・食事量 | 日勤帯の飲水 300mL、昼食 主食5割 |
| 尿量・尿の色 | 日勤帯の尿量 400mL、濃い黄色 |
| 体重 | 指示がある場合、測定の時刻と条件(朝食前など)を添える |
| 本人の訴え | 「口が乾く」「だるい」など、かぎかっこで |
どの項目をどの頻度で観察するかは、施設と医師の指示によります。観察項目を1枚に並べて記録する病棟では、看護のフローシートの書き方で、経過記録に書く内容との境目を確かめておくと書き分けやすくなります。
ツルゴール反応の看護記録の例文
SOAPで書く例
S:「口が乾く。水はあまり飲みたくない」
O:14時、前胸部の皮膚をつまんで離すと、元に戻るまでゆっくり。朝の観察(9時)より戻りが遅い。口唇の乾燥あり。日勤帯の飲水 200mL、尿量 300mL、濃い黄色。
A:飲水量が少なく、皮膚の戻りが朝より遅い。口唇の乾燥もあり、経過を見ていく必要がある。
P:14時20分、主治医に報告し、指示を受けた。16時に前胸部の皮膚の戻り、口唇、尿量を再度観察する。
経時記録で書く例
10:00 前胸部の皮膚、つまんで離すとすぐに戻る。口唇の乾燥なし。
13:00 昼食は主食3割。「食欲がない」と発言あり。
15:00 前胸部の皮膚、10時と比べて戻りが遅い。口唇の乾燥あり。尿量 日勤帯 250mL。
15:10 リーダー看護師に報告。主治医へ報告し、指示を受ける。
例文のAやPの中身は一例です。報告するかどうか、何を観察し直すかは、施設の基準と医師の指示に沿って判断してください。
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正社員の求人を見るよくある質問
ツルゴール反応は何秒で「低下」と書けばよいですか
秒数で判断するかどうか、何秒を目安にするかは、施設の手順によります。記録では、決まっている場合はその基準と実際の秒数を、決まっていない場合は見たままの戻り方と前回との比較を書きます。
毎回の勤務でツルゴール反応を記録する必要がありますか
観察の頻度は、看護計画や医師の指示で決まります。看護計画の観察項目に入っている場合は、決めた頻度で記録します。
「ツルゴール」と書かずに「皮膚の張り」と書いてもよいですか
施設の記載基準で決まっている言葉に合わせます。他職種や家族が読む場面も考えると、「皮膚の張り」と言葉で書き添えるほうが伝わりやすい場合もあります。
まとめ
ツルゴール反応の看護記録は、「低下」「良好」の一語ではなく、部位・戻り方・前回との比較を見たまま書くのが基本です。ほかの観察項目と同じ時刻で並べ、判断や報告の基準は施設の手順と医師の指示に沿ってください。
参考
- 日本看護協会「看護記録に関する指針」(2018年) https://www.nurse.or.jp/nursing/home/publication/pdf/guideline/nursing_record.pdf