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IADL(手段的日常生活動作)の評価表|Lawtonの8項目と採点基準、ADLとの違い、退院支援で使う聞き取りと看護記録の例文

IADL(手段的日常生活動作)の評価表|Lawtonの8項目と採点基準、ADLとの違い、退院支援で使う聞き取りと看護記録の例文

IADL(Instrumental Activities of Daily Living、手段的日常生活動作)は、買い物、食事の準備、服薬の管理、お金の管理など、自宅で一人で暮らしを回していくための動作のことです。食事や排泄、移動などの基本的な動作(ADL)より、一段複雑な動作を指します。

看護師がIADLを意識するのは、主に退院支援の場面です。病棟の中ではADLが自立していても、家に帰ると薬を飲み忘れる、買い物に行けない、ということが起こります。この記事では、IADLの評価で最もよく使われるLawtonの尺度の8項目と採点基準、ADLとの違い、聞き取りのコツ、記録の書き方を整理します。

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目次
  1. IADLとADLの違い
  2. LawtonのIADL尺度の8項目と採点基準
    1. 合計点の範囲と、男女で項目数が違う理由
  3. 入院中にIADLを評価するときの聞き取り方
    1. 本人と家族の両方に聞く
    2. 「できる」と「している」を分けて聞く
    3. 一度もしたことがない項目の扱い
  4. 退院支援でIADLを見る理由
  5. IADLの看護記録の書き方と例文
    1. 例文
  6. よくある質問
    1. IADLの合計点に「正常」の基準はありますか?
    2. ADLが自立していれば、IADLも自立していると考えてよいですか?
    3. IADLの評価は、看護師と作業療法士のどちらがしますか?
  7. まとめ
  8. 参考

IADLとADLの違い

まず、ADLとの違いを表で整理します。

ADL(基本的日常生活動作) IADL(手段的日常生活動作)
何を見るか 身の回りの基本的な動作 自宅で暮らしを回すための動作
主な項目 食事、排泄、入浴、更衣、整容、移動 電話、買い物、食事の準備、家事、洗濯、外出の手段、服薬管理、金銭管理
必要な力 主に身体の機能 身体の機能に加えて、段取り・判断・記憶
代表的な尺度 バーセルインデックス(BI)、FIM Lawtonの尺度
病棟で見られるか 毎日の生活の中で観察できる 入院中は行う機会が少なく、聞き取りが中心

IADLは、段取りや判断、記憶を使う動作が多いため、認知機能の低下はADLより先にIADLに表れやすいとされています。服薬の管理やお金の管理ができなくなってきた、という変化は、家族が最初に気づく変化であることも少なくありません。

LawtonのIADL尺度の8項目と採点基準

LawtonとBrodyが1969年に発表した尺度で、8項目それぞれをできる(1点)/できない(0点)で採点し、合計します。各項目にはいくつかの段階があり、どの段階が1点になるかが決まっています。

項目 1点になる状態の例 0点になる状態の例
電話の使用 自分から電話をかけられる。よく知っている番号だけでもかけられる。電話に出るだけ(自分からはかけない)も1点 まったく電話を使わない
買い物 必要な物をすべて一人で買いに行ける 少額の物しか買えない、付き添いが要る、まったくできない
食事の準備 献立を考え、材料をそろえ、作って出せる 材料があれば作れる、温めて出すだけ、用意してもらう必要がある
家事 一人で家事をこなせる。力仕事だけ手伝ってもらう場合も含む。皿洗いなど軽い家事だけでもする、すべての家事に手助けが要る場合も1点 家事にまったく関わらない
洗濯 自分の洗濯物をすべて洗える。小物だけ洗う場合も含む すべて人にしてもらう
外出の手段(交通機関の利用) 一人で公共交通機関を使う、自分で運転する、タクシーを手配する。付き添いがあれば公共交通機関を使える場合も1点 付き添いがあってもタクシーや自家用車に限られる、まったく外出しない
服薬の管理 決められた量を決められた時間に、自分で責任を持って飲める 用意してもらえば飲める、自分では管理できない
金銭の管理 家計を自分で管理できる。日々の買い物はできて大きな金額だけ手伝ってもらう場合も含む お金を扱えない

項目ごとの細かい段階は、原典や施設で使っている評価用紙で確認してください。どの段階を1点にするかが、尺度の決まりの中心です。

合計点の範囲と、男女で項目数が違う理由

原法では、女性は8項目(0〜8点)、男性は「食事の準備」「家事」「洗濯」を除いた5項目(0〜5点)で採点します。1969年当時の家庭内の役割分担を前提に作られたためです。

現在は、性別にかかわらず8項目で採点する研究や施設もあります。病棟で使う場合は、どちらの採点法かを決めておき、記録に「8項目中◯点」のように分母を書くと、読み違えがありません。

入院中にIADLを評価するときの聞き取り方

IADLの多くは、病棟の中では行う機会がありません。そのため、入院前の生活を聞き取って評価するのが基本になります。

本人と家族の両方に聞く

本人は「全部自分でできていた」と答えても、家族からは「薬は毎朝娘がセットしていた」と返ってくることがあります。本人の答えだけで1点を付けず、可能なら家族やケアマネジャーにも確認します。

「できる」と「している」を分けて聞く

Lawtonの尺度は、ふだんしていることを見る考え方です。「やろうと思えばできる」と「実際にしている」は違います。

  • 聞き方の例:「入院前、薬はどなたが用意していましたか」「お一人で買い物に行くことはありましたか。最後に行ったのはいつごろですか」

一度もしたことがない項目の扱い

もともと料理をしたことがない、お金の管理は配偶者に任せていた、という人もいます。原法ではできない(0点)に数えるため、点数が実際の力より低く出ることがあります。記録には「もともと家事は配偶者が担当」のように理由を添えておくと、退院後の支援を考えるときに誤解されません。

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退院支援でIADLを見る理由

退院後の生活で困るのは、ADLよりIADLの項目であることが多いです。

IADLで0点だった項目 退院前に確認しておきたいこと
服薬の管理 誰が薬を用意するか、一包化やお薬カレンダーが要るか
買い物・食事の準備 配食サービスや家族の支援が入るか
外出の手段 通院の手段(付き添い、タクシー、送迎)があるか
金銭の管理 支払いを誰が担うか、手続きの支援が要るか

ここで挙がった項目を、医師、ソーシャルワーカー、ケアマネジャーと共有すると、退院後のサービスを検討する材料になります。サービスの種類や量を決めるのはチームでの話し合いで、看護師は評価と生活の情報を持ち寄る役割です。

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IADLの看護記録の書き方と例文

記録には、合計点だけでなく次の点を書くと、退院支援の材料として使えます。

  • 何項目で採点したか(8項目中◯点、5項目中◯点)
  • 0点だった項目と、その理由(身体の理由か、認知の理由か、もともとしていないか)
  • 誰から聞いたか(本人、家族、ケアマネジャー)
  • 入院前の状態か、現在の状態か

例文

入院前のIADL(Lawton、8項目)6点。服薬管理・金銭管理が0点。服薬は長女が週1回カレンダーにセット、支払いも長女が代行(長女より聴取)。

IADL 5項目中3点(男性・原法)。買い物・外出は妻の運転に同乗。電話・服薬・金銭管理は自立と本人・妻ともに回答。

本人は「すべて自分でできる」と回答。長男より、半年前から薬の飲み忘れがあり、残薬が多いとの情報あり。服薬管理は0点として評価。

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よくある質問

IADLの合計点に「正常」の基準はありますか?

Lawtonの尺度は、合計点で正常と異常を分けるより、どの項目ができなくなっているかを見る使い方が中心です。点数の変化と、0点になった項目の組み合わせを記録しておきましょう。

ADLが自立していれば、IADLも自立していると考えてよいですか?

そうとは限りません。歩行や食事が自立していても、服薬の管理や買い物の段取りが難しい人はいます。退院前には、ADLとは別にIADLを聞き取ることが大切です。

IADLの評価は、看護師と作業療法士のどちらがしますか?

施設によって違います。作業療法士が詳しく評価する施設もあれば、入院時の情報収集で看護師が聞き取る施設もあります。誰が評価したかを記録に残し、評価が重なる場合は結果をすり合わせましょう。

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まとめ

  • IADLは、買い物・服薬管理・金銭管理など、自宅で暮らしを回すための動作
  • Lawtonの尺度は8項目を1点/0点で採点する。原法は女性8項目、男性5項目
  • 入院中は入院前の生活の聞き取りが中心。本人と家族の両方に、ふだん「している」ことを聞く
  • 記録には分母、0点の項目とその理由、誰から聞いたかを書く
  • 0点の項目は、退院後の支援を考える材料としてチームで共有する

参考

  • Lawton MP, Brody EM. Assessment of older people: self-maintaining and instrumental activities of daily living. The Gerontologist. 1969;9(3):179-186.
  • 科学技術振興機構(JST)社会技術研究開発センター 資料「手段的日常生活動作(IADL)尺度」 https://www.jst.go.jp/s-innova/pdf/h22theme05_siryo01.pdf