看護師のリーダーシップレポートの例文|研修で使える構成テンプレートと、日勤リーダー・プリセプター・チームリーダー別の書き方
リーダーシップのレポートで手が止まる人の多くは、「リーダーシップとは何か」から書こうとしています。研修の評価者が読みたいのは定義ではなく、あなたが実際にどの場面で、何を考えて、どう動いたかです。
型は「場面 → 自分の行動 → 理論での振り返り → 今後」の4段で足ります。この記事では、そのまま埋められる構成テンプレート、日勤リーダー・プリセプター・チームリーダー別の例文、理論を引くときの注意、字数ごとの配分をまとめます。
人事考課や目標管理シートに書く自己評価は、書く目的も形も違います。そちらは「看護師の自己評価の書き方と例文」で扱っています。
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看護師のリーダーシップレポートは「場面・行動・理論での振り返り・今後」の4段で書く
4段それぞれに、評価者が確かめたいことがあります。そこを外さなければ、文章が多少ぎこちなくても読めるレポートになります。
| 段 | 書くこと | 評価者が見ている点 | よくある失敗 |
|---|---|---|---|
| ① 場面 | いつ、どんな役割で、何が起きたか。チームの状況 | 自分で判断や調整をした場面を選べているか | 「リーダー業務を経験した」と全体を薄くなぞる |
| ② 自分の行動 | そのとき考えたこと、実際にした行動、周りの反応 | 「誰かがした」ではなく「自分が」何をしたか | 「声かけをした」で終わり、何をどう伝えたかが無い |
| ③ 理論での振り返り | 研修で学んだ理論や考え方に照らして、行動を見直す | 理論を自分の行動のどこに当てたか | 理論の説明だけが長く、自分の行動とつながっていない |
| ④ 今後 | 次の同じ場面で何を変えるか。いつ、どう試すか | 具体的で、明日からできる行動になっているか | 「リーダーシップを高めていきたい」で締める |
ポイントは場面を1つに絞ることです。うまくいった場面より、迷った場面・うまくいかなかった場面のほうが③と④が書きやすくなります。
リーダーシップレポートの構成テンプレート(書き込み式)
各段で答える問いを並べました。問いに1〜3文ずつ答えると、そのまま下書きになります。
| 段 | 答える問い | 書き出しの例 |
|---|---|---|
| 導入 | 何の研修のレポートで、どの場面を取り上げるか | 「本レポートでは、日勤リーダーとして◯◯の調整を行った場面を振り返る。」 |
| ① 場面 | 自分の役割は何だったか/チームの人数や経験年数の構成は/何が起きて、何が問題だったか | 「当日の日勤は◯名で、うち◯名が配属1年目であった。」 |
| ② 行動 | そのとき何を優先すると決めたか/誰に何を、どう伝えたか/その結果どうなったか | 「私はまず◯◯を優先すると判断し、◯◯さんに〜と依頼した。」 |
| ③ 振り返り | 研修で学んだどの考え方に当てはまるか/理論から見て、よかった点と足りなかった点は | 「状況対応型リーダーシップに照らすと、私の関わり方は〜であった。」 |
| ④ 今後 | 次に同じ場面が来たら何を変えるか/いつ、どの勤務で試すか | 「今後は、◯◯の時点で〜を確認してから業務を割り振る。」 |
| 結び | このレポートで得た学びを1文で | 「〜という点を、今後のリーダー業務の基準にしたい。」 |
レポートは「だ・である調」で書く施設が多いです。様式や文体の指定がある場合はそちらに合わせてください。
場面の書き方:患者が特定できる情報は書かない
研修レポートは複数の人が読みます。患者の氏名・年齢・病名の組み合わせ・入院日など、誰のことか分かる情報は書かず、「Aさん」「術後の患者」程度にとどめます。看護師には業務上知り得た人の秘密を守る義務があります(保健師助産師看護師法第42条の2)。リーダーシップのレポートで問われているのはチームの動かし方なので、患者の詳しい情報が無くても書けます。
同僚についても同じです。名前は「メンバーB」「新人C」とし、本人が読んで傷つく書き方は避けます。
ラダーレベル別に変えるリーダーシップレポートの書き分け
日本看護協会版のクリニカルラダーは、看護実践能力を「ニーズをとらえる力」「ケアする力」「協働する力」「意思決定を支える力」の4つで示しています。リーダーシップという名前の項目は無く、近いのは「協働する力」です。多くの病院では、リーダー役割は院内のキャリアラダーの「組織的役割遂行能力」などの項目で評価されます。ラダーの全体像は「クリニカルラダーとは?」にまとめています。
レベルの定義は施設ごとに違うため、まず自施設のラダーの、自分が受けるレベルの評価基準を手元に置いてください。そのうえで、取り上げる場面の範囲を次のように広げていくと、レベルに合ったレポートになります。
| 自分の立ち位置(目安) | 取り上げる場面の範囲 | ②行動で書くこと | ④今後で書くこと |
|---|---|---|---|
| リーダー業務を始めたばかり(院内ラダーのⅡ前後が多い) | 自分が受け持つ勤務帯の中 | 先輩リーダーに相談しながら、何を判断したか | 次の勤務で自分ひとりで判断できるようにすること |
| リーダーを任されている(Ⅲ前後が多い) | 1つの勤務帯のチーム全体 | メンバーの力量に合わせて、どう割り振り・どう支えたか | メンバーへの関わり方を変える点 |
| チームや部署の運営に関わる(Ⅳ前後が多い) | 数か月単位のチーム運営、他職種との調整 | 仕組みや手順をどう変えたか、誰を巻き込んだか | 部署として続く形にする点 |
主任昇格のレポートで足す視点
主任への昇格で求められるレポートは、自分の行動に加えて「部署の課題をどう見ているか」と「看護師長をどう補佐するか」が問われることが多くなります。①場面を部署の課題に、④今後を「主任としてこの課題に何をするか」に置き換えると、4段の型のまま書けます。課題や評価の観点は施設ごとに示されるので、昇格試験の要項を先に確認してください。
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役割別のリーダーシップレポート例文:日勤リーダー・プリセプター・チームリーダー
例文は書き方の形を示すためのものです。場面は自分の経験に置き換えてください。例文をそのまま提出すると、場面と行動が自分の経験と合わず、面接や発表で答えられなくなります。
日勤リーダーのリーダーシップレポート例文(約800字)
本レポートでは、日勤リーダーとして、緊急入院と検査出棟が重なった時間帯の業務調整を振り返る。
当日の日勤メンバーは5名で、うち1名は配属1年目であった。午前中に緊急入院の連絡が入り、同じ時間帯に検査出棟が2件予定されていた。入院を受ける予定だったメンバーBは、受け持ち患者の処置が終わっていなかった。
私はまず、検査出棟は時刻が動かせないため優先し、入院の受け入れは手の空く見込みのある私とメンバーDで分担すると判断した。メンバーBには「処置を終えてから入院の記録を引き継いでほしい」と伝え、1年目のメンバーEには検査出棟1件に先輩と一緒に付くよう依頼した。結果として検査は予定通りに出棟できたが、リーダーである私が入院の受け入れに入ったことで、ナースコールへの対応がほかのメンバーに偏った。
研修で学んだ状況対応型リーダーシップでは、相手の経験や意欲に合わせて、指示の出し方と支援の量を変えるとされる。1年目のメンバーEに具体的に指示し、先輩と組ませた関わり方は、この考え方に沿っていたと考える。一方で、私自身が実務に入ったことで全体を見る人がいなくなった。リーダーが手を動かすかどうかも、その場の状況に合わせて判断すべきだった。
今後は、業務が重なったときは、まず自分がリーダー業務を離れてよいかを判断する。離れる場合は、その間ナースコールの取りまとめを誰に任せるかを先に決めて、メンバーに伝えてから動く。
プリセプターのリーダーシップレポート例文(約1,200字)
本レポートでは、プリセプターとして、新人看護師Fの記録が勤務時間内に終わらない状況に関わった経過を振り返る。
新人Fは配属から3か月がたち、受け持ち患者を2名持つようになっていた。日々の記録が勤務終了後までかかり、本人から「みんなはもっと早く終わっている」と話があった。私は当初、記録の書き方を指導すれば解決すると考え、記録の例を見せて説明した。しかし翌週も状況は変わらなかった。
そこで、1日の勤務に同行し、どこで時間がかかっているかを一緒に見ることにした。すると、記録そのものより、午前中の処置の準備に時間がかかり、その遅れが記録に回っていることが分かった。Fは分からない物品の場所を、忙しそうな先輩に聞けずに探していた。私はFと一緒に、午前中の処置で使う物品と手順を勤務前に確認する時間を5分取ることにした。また、教育担当者に相談し、Fが聞きやすいよう、日々の担当の先輩に一声かけてもらうよう調整した。2週間ほどで、Fが記録を勤務時間内に終える日が増えた。
厚生労働省の新人看護職員研修ガイドラインでは、実地指導者に求められる能力として、新人看護職員の置かれている状況を把握し、一緒に問題を解決する能力が挙げられている。私の最初の関わりは、記録という見えている結果だけを見て指導しており、Fが置かれている状況の把握が足りなかった。同行して原因を一緒に探したことで、Fが自分から困りごとを話せるようになった点は、この能力に沿った関わりだったと考える。また、教育担当者に相談したことで、私ひとりで抱えずに部署全体でFを支える形にできた。
一方で、Fの「みんなはもっと早く終わっている」という言葉には、焦りや自信のなさも表れていた。私は業務の改善に意識が向き、その気持ちを受け止める声かけが後回しになった。ガイドラインが新人への精神的な支援を重視していることを踏まえると、業務の指導と同じ重さで気持ちの面にも関わる必要があった。
今後は、新人の困りごとを聞いたときに、すぐに解決策を示すのではなく、まず1日の動きを一緒に見て原因を確かめる。また、毎週の振り返りの時間に、できるようになったことを本人と一緒に言葉にし、自信につなげる関わりを続けたい。
プリセプターの役割は、厚生労働省のガイドラインでは「実地指導者」にあたります。理論の代わりにガイドラインの記述を振り返りの軸にすると、研修の内容とつながったレポートになります。
チームリーダーのリーダーシップレポート例文(約1,200字)
本レポートでは、チームリーダーとして、チーム内で退院支援の情報共有が遅れていた課題に取り組んだ経過を振り返る。
私のチームでは、退院に向けた家族への説明や、退院後のサービスの調整状況が、受け持ち看護師の手元にとどまり、ほかのメンバーが把握できていないことがあった。受け持ちが休みの日に家族から問い合わせがあり、答えられない場面が続いた。
私はまず、なぜ共有されないのかをメンバーに聞いた。その結果、「どこに書けばよいか決まっていない」「カンファレンスで話す時間が取れない」という2つの理由が分かった。そこで、退院支援の進み具合を書く欄を決め、毎日の短いカンファレンスで退院が近い患者だけを確認する流れを提案した。提案は私が決めて伝えるのではなく、チーム会で案を示し、メンバーの意見を聞いて変えた。書く欄はメンバーの意見で、すでにある記録の項目を使う形にした。
三隅のPM理論では、リーダーの行動を、目標を達成するための働きかけ(P)と、集団のまとまりを保つ働きかけ(M)の2つから捉える。仕組みを決めて回すことはPの働きかけ、メンバーの意見を聞いて案を変えたことはMの働きかけにあたる。振り返ると、私は初めPの面だけを考えて案を作っていた。チーム会で意見を聞いたことで、メンバーが自分たちの仕組みとして受け入れやすくなったと考える。
一方で、カンファレンスの時間は勤務によって確保できない日があり、仕組みが続かない日もあった。仕組みを作ることに力を入れたが、続けられるかを確かめる段階が弱かった。
今後は、新しい取り組みを始めるときに、1か月後に続いているかをチームで確認する日を先に決めておく。続かない理由が出てきたら、そのつどメンバーと一緒に形を見直す。
リーダーシップ理論をレポートに引くときの注意と出典
研修レポートでよく使われる理論は、次の3つです。研修で指定された理論やテキストがある場合は、それを優先してください。
| 理論 | 要点 | 当てやすい場面 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 状況対応型リーダーシップ(SL理論) | 相手の経験や意欲に合わせて、指示と支援の量を変える | 経験年数の違うメンバーへの割り振り、新人への関わり | Hersey, P. & Blanchard, K. H. “Life Cycle Theory of Leadership”(Training and Development Journal, 1969) |
| PM理論 | リーダーの行動を、目標達成の働きかけ(P)と集団維持の働きかけ(M)の2軸で捉える | 仕組みづくり、チームの雰囲気づくり、両立の難しさ | 三隅二不二『リーダーシップ行動の科学』(有斐閣、改訂版2005年) |
| ギブスのリフレクティブ・サイクル | 経験を「記述・感情・評価・分析・結論・行動計画」の6段階で振り返る | レポート全体の振り返りの型として使う | Gibbs, G. “Learning by Doing”(1988) |
引くときは、次の4点に気をつけます。
- 理論の説明は2〜3文で止める。評価者は理論を知っています。長く説明するほど、自分の行動の分析が薄く見えます
- 「理論のどの部分」が「自分のどの行動」に当たるかを書く。「状況対応型リーダーシップを意識した」だけでは、何をしたのか分かりません
- 用語は研修テキストの訳語に合わせる。状況対応型リーダーシップは、もとは1969年に「ライフサイクル理論」として発表され、のちに名前が変わりました。その後、Hersey版と Blanchard版(SLⅡ)に分かれ、4つのスタイルの呼び名や訳語も版によって違います。テキストと違う訳語を混ぜると、理解が浅く見えます
- 出典は自分が読んだ本で書く。理論の初出の年や版は資料によって書き方がずれることがあります。研修テキストで学んだ理論なら、テキスト名をそのまま出典に書くのが確実です
理論で自分の行動を「正しかった」と裏付けるだけでは、振り返りになりません。理論に照らして足りなかった点を1つ書くと、④今後につながります。
字数別のリーダーシップレポートの構成:800字・1,200字・2,000字
字数が変わっても4段の型は同じで、配分が変わります。
| 字数 | ① 場面 | ② 行動 | ③ 振り返り | ④ 今後 | 導入・結び |
|---|---|---|---|---|---|
| 800字 | 150字 | 250字 | 250字 | 100字 | 50字 |
| 1,200字 | 200字 | 350字 | 400字 | 150字 | 100字 |
| 2,000字 | 300字 | 550字 | 700字 | 300字 | 150字 |
字数が増えたときに厚くするのは③振り返りです。①場面を長くすると「何があったか」の報告になり、レポートとしての評価が上がりません。2,000字なら、③で理論を2つ使って比べる、または「よかった点」と「足りなかった点」を分けて書くと、字数に見合う中身になります。
字数が足りないときは、②で「そのとき迷った別の選択肢」と「それを選ばなかった理由」を足すと、判断の過程が伝わります。
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提出前のリーダーシップレポートのチェックリスト
- [ ] 取り上げた場面は1つに絞れている
- [ ] ②の主語が「私」になっている(「チームで」「みんなで」だけになっていない)
- [ ] 誰に、何を、どう伝えたかが書かれている
- [ ] 理論の説明より、自分の行動への当てはめのほうが長い
- [ ] 理論に照らして足りなかった点が1つ以上ある
- [ ] ④今後が、次の勤務で試せる具体的な行動になっている
- [ ] 患者や同僚が特定できる情報を書いていない
- [ ] 理論の出典と用語が研修テキストと合っている
- [ ] 指定の字数・様式・文体に合っている
よくある質問
リーダー経験が少なく、書ける場面がありません。
リーダー業務そのものでなくても書けます。メンバーとしてリーダーに報告・相談した場面や、新人に声をかけた場面、カンファレンスで意見を出した場面も、チームに働きかけた行動です。ラダーの初めのレベルでは、こうした場面のほうが評価基準に合うこともあります。
失敗した場面を書くと評価が下がりませんか?
失敗そのものより、そこから何を学んだかが見られます。うまくいかなかった場面は、③で理論と照らし合わせやすく、④今後も具体的に書けます。ただし、患者に影響が出た出来事を取り上げる場合は、院内の報告の手順が済んでいるかを確かめ、書いてよいか上司に一度相談してください。
参考文献はいくつ書けばいいですか?
研修の指定があればそれに従います。指定がなければ、③で使った理論の出典1〜2点で十分です。インターネットの解説記事ではなく、研修テキストや理論の原典など、自分が実際に読んだものを書きます。
まとめ
- リーダーシップのレポートは「場面・自分の行動・理論での振り返り・今後」の4段で書き、場面は1つに絞る
- レベルが上がるほど、取り上げる場面の範囲を勤務帯からチーム、部署へ広げる。評価基準は自施設のラダーで確かめる
- 理論の説明は短くし、自分のどの行動に当たるか、何が足りなかったかを書く。用語と出典は研修テキストに合わせる
- 字数が増えたら③振り返りを厚くする
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参考
- 厚生労働省「新人看護職員研修ガイドライン【改訂版】」(平成26年2月) https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000049466_1.pdf
- e-Gov法令検索「保健師助産師看護師法」(第42条の2) https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000203
- Hersey, P. & Blanchard, K. H. “Life Cycle Theory of Leadership”, Training and Development Journal, 1969
- 三隅二不二『リーダーシップ行動の科学』改訂版、有斐閣、2005年
- Gibbs, G. “Learning by Doing”, 1988