呼吸療法認定士とは?看護師の受験資格・12.5点の集め方と、取ったあとに変わること
「呼吸療法認定士、取っておくといいよ」と先輩に言われて調べ始めると、
受験資格のところで手が止まります。
実務経験2年、それに加えて「12.5点以上」という見慣れない条件。
この点数を集めるところから始まるので、思い立ってすぐ受けられる資格ではありません。
この記事では、受験資格の中身と点数の集め方、
そして取ったあとに現場で何が変わるのかを、看護師の目線で整理します。
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呼吸療法認定士は「3学会合同」の認定資格
正式名称は3学会合同呼吸療法認定士です。
日本胸部外科学会・日本呼吸器学会・日本麻酔科学会の3学会が合同で認定しています。
国家資格ではなく、学会が認定する民間の資格です。
とはいえ人工呼吸器を扱う現場では広く知られていて、
ICU、救急、呼吸器内科、在宅の人工呼吸管理などで評価されます。
看護師だけの資格ではありません。
臨床工学技士、理学療法士、作業療法士も同じ試験を受けます。
職種をまたいで同じ知識の土台を作るところに、この資格の性格が表れています。
受験資格は2つの条件を両方満たす必要がある
ここがいちばん複雑なので、順に見ていきます。
条件1:実務経験
看護師の場合、2年以上の実務経験が必要です。
職種によって年数が異なり、准看護師は3年以上とされています。
条件2:認定委員会が認める講習会・学会で12.5点以上
申請時点からさかのぼって5年以内に、
認定委員会が指定する講習会や学会に参加し、合計12.5点以上を取っている必要があります。
この点数は、参加する講習会や学会ごとに配点が決まっています。
どの会が何点になるかは毎年更新されるため、
受けようと決めた時点で最新の一覧を確認するのが確実です。
ここでよくあるのが、「点数を集めていない状態で申し込み時期を迎える」というつまずきです。
点数は1回の学会参加ですぐ埋まるとは限りません。
受験の1〜2年前から集め始めるつもりでいると余裕があります。
全体の流れと時期
おおまかな1年の流れは次のとおりです。
- 点数(12.5点以上)を集める — 受験を決める1〜2年前から
- 申込みの受付期間に申請する — 例年、年の前半に受付
- 認定講習会を受講する — テキストが配られ、講義を受ける
- 認定試験を受ける — 例年11月下旬〜12月上旬の日曜日
- 合格後、認定登録を行う
講習会と試験はセットです。
講習会を受けずに試験だけ受けることはできません。
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試験の内容と、勉強の進め方
試験は筆記(マークシート)で、範囲は講習会で配られるテキストからです。
出題は解剖生理から人工呼吸器の設定、血液ガス、酸素療法、
在宅酸素療法(HOT)、感染対策まで広く及びます。
「呼吸」という切り口で、基礎から機器の実際までを一通り問われる構成です。
勉強で多くの人がつまずくのは、次の2か所です。
血液ガスの解釈
pH、PaCO2、HCO3−の関係を、パターンで暗記せず理屈で理解しているかが問われます。
ここは時間をかける価値があります。日々の受け持ちでも直接役に立つ部分です。
人工呼吸器のモード
現場で使っているモードは覚えていても、
使っていないモードや、メーカーごとに呼び名が違うものが出ると混乱します。
テキストの用語で整理し直すのが近道です。
5年ごとの更新がある
取って終わりではありません。認定は5年間有効で、更新が必要です。
更新には、5年間で合計50点以上を集める必要があります。
点数は、認定委員会が認めた講習会や学会への参加、
学会発表、論文の執筆などで加算されます。
つまり、受験資格の12.5点と同じ仕組みが、資格を持ち続ける間ずっと続きます。
学会に出る習慣がない職場だと、更新が負担になるという声はよく聞きます。
転職を考えるとき、学会参加の費用補助や出張扱いの有無を確認しておくと、
この負担がかなり変わります。
取ったあとに変わること
変わること
- 人工呼吸器を装着した患者の受け持ちで、設定の意味が分かった状態で観察できる
- 医師との会話で、根拠を持って提案できる
- RST(呼吸ケアサポートチーム)などの院内チームに入る道が開ける
- 呼吸器内科、ICU、救急、在宅人工呼吸管理といった配属で評価される
- 履歴書に書いたときに、興味の方向がはっきり伝わる
変わらないこと
- 資格手当が付くとは限りません。 手当の有無は施設ごとの規定によります
- 業務独占の資格ではないので、この資格がないとできない処置が増えるわけではありません
- 基本給がすぐ上がる資格ではありません
ここは正直なところを押さえておいたほうがよいと思います。
待遇よりも、担当できる領域と、判断の質が変わる資格です。
手当を重視するなら、応募先の求人票で
「資格手当」の欄に呼吸療法認定士が明記されているかを確認してください。
明記がなければ、面接で聞いて構いません。
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呼吸ケアに関わる求人を探すなら
人工呼吸器を扱う経験を積みたい場合、配属先の選び方が重要になります。
ICUや救急に限らず、療養病棟や在宅(訪問看護)でも人工呼吸器の管理はあります。
看護師の求人を条件から探すと、
配属先や勤務形態から絞り込めます。
資格取得を支援している職場かどうかは、求人票の福利厚生欄で確認できることがあります。
よくある質問
Q. 実務経験2年は、呼吸器領域での経験でなければいけませんか。
看護師としての実務経験が対象で、配属領域は問われないのが原則です。
ただし試験の内容は呼吸器領域が中心なので、経験があるほうが理解は早くなります。
Q. 12.5点は1回の学会で埋まりますか。
会によって配点が違うため、1回で足りることも、複数回必要なこともあります。
申込み前に、自分が参加した会が何点かを一覧で確認してください。
Q. 合格率はどのくらいですか。
回によって変動します。国家試験のように極端に低いわけではありませんが、
講習会に出ただけで受かる試験でもありません。テキストの通読は必要です。
Q. ブランクがあっても受けられますか。
実務経験の要件を満たしていれば申請できます。
ただし点数の取得は申請時点から5年以内という条件があるため、
復職してから点数を集め直す必要が出る場合があります。
Q. 認定看護師(集中ケア・慢性呼吸器疾患看護)とはどう違いますか。
認定看護師は日本看護協会の制度で、教育課程の受講に長い期間と費用がかかります。
呼吸療法認定士は多職種共通の認定資格で、取得のハードルはより低い位置にあります。
段階として、先に呼吸療法認定士を取る人は多くいます。
まとめ
呼吸療法認定士は、実務経験2年に加えて、
5年以内に12.5点以上という点数の条件があります。
この点数集めから始まるので、受験を決めてから最短でも数か月〜1年は見ておく必要があります。
取ったあとに変わるのは、待遇よりも担当できる領域と判断の質です。
5年ごとの更新があるため、学会参加を続けられる環境かどうかも、
資格を活かし続けるうえでは無視できません。
まず、直近5年で自分が何点持っているかを数えるところから始めてください。
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参考
- 3学会合同呼吸療法認定士認定委員会(日本胸部外科学会・日本呼吸器学会・日本麻酔科学会)
- 公益財団法人医療機器センター「3学会合同呼吸療法認定士」
- 日本呼吸器学会