ナースの勉強部屋

バーセルインデックス(BI)の評価表と採点基準|10項目の点数、「一部介助」の境目と記録の例文

バーセルインデックス(BI)の評価表と採点基準|10項目の点数、「一部介助」の境目と記録の例文

バーセルインデックス(Barthel Index、BI)は、食事や移乗、排泄など10項目のADLを、項目ごとに0・5・10・15点で採点し、合計100点満点で表す評価法です。

項目が少なく短時間で付けられるため、病棟・回復期・施設・訪問のどこでも使われています。一方で、「見守りがあれば一人で食べられる人は10点?5点?」「歩行器で歩ける人は15点?」のように、自立と一部介助の境目で手が止まりやすい評価でもあります。

この記事では、厚生労働省の資料に載っている採点基準をもとに、10項目の点数、項目ごとの境目、評価が求められる場面、記録の書き方を整理します。

看護師専門転職サービス
「クリアス看護」

LINE友だち追加で、希望条件に合った求人紹介や
非公開求人のご案内を無料で受けられます。
給与・働き方・勤務条件など、
転職に関するご相談もLINEで気軽に可能です。

目次
  1. バーセルインデックスの評価表(10項目と0・5・10・15点の採点基準)
  2. バーセルインデックスは「普段していること」で採点する
  3. バーセルインデックスの採点で迷う「一部介助」の境目
    1. 歩行器と車椅子は「補装具」に入らない
    2. 日によって介助量が違うときは直近の普段の様子で決める
  4. バーセルインデックスを評価する場面(入退院時・介護保険・リハビリの計画書)
  5. バーセルインデックスとFIMの違い
  6. バーセルインデックスの記録の書き方と例文
    1. 例文
  7. よくある質問
    1. バーセルインデックスは何点満点?100点なら一人暮らしができますか?
    2. 見守りや声かけだけで一人でできる場合は何点ですか?
    3. バーセルインデックスは看護師が評価してもよいですか?
  8. まとめ
  9. 参考

バーセルインデックスの評価表(10項目と0・5・10・15点の採点基準)

厚生労働省の社会保障審議会介護給付費分科会の資料では、バーセルインデックスを次のように説明しています。

ADLの評価にあたり、食事、車椅子からベッドへの移動、整容、トイレ動作、入浴、歩行、階段昇降、着替え、排便コントロール、排尿コントロールの計10項目を5点刻みで点数化し、その合計点を100点満点として評価するもの。

同じ資料に載っている判定基準は次のとおりです。

項目点数判定基準
食事10自立。手の届くところに食べ物を置けば、トレイあるいはテーブルから1人で摂食可能。必要なら介護器具をつけることができ、適切な時間内で食事が終わる
5食べ物を切る等、介助が必要
0全介助
移乗15自立。車椅子で安全にベッドに近づき、ブレーキをかけ、フットレストを上げてベッドに移り、臥位になる。再び起きて車椅子を適切な位置に置いて、腰を掛ける動作がすべて自立
10どの段階かで、部分介助あるいは監視が必要
5座ることはできるが、移動は全介助
0全介助
整容5自立(洗面、歯磨き、整髪、ひげそり)
0全介助
トイレ動作10自立。衣服の操作、後始末も含む。ポータブル便器を用いているときは、その洗浄までできる
5部分介助。体を支えたり、トイレットペーパーを用いることに介助
0全介助
入浴5自立(浴槽につかる、シャワーを使う)
0全介助
歩行15自立。45m以上歩行可能。補装具の使用はかまわないが、車椅子、歩行器は不可
10介助や監視が必要であれば、45m平地歩行可
5歩行不能の場合、車椅子をうまく操作し、少なくとも45mは移動できる
0全介助
階段昇降10自立。手すり、杖などの使用はかまわない
5介助または監視を要する
0全介助
着替え10自立。靴・ファスナー、装具の着脱を含む
5部分介助を要するが、少なくとも半分以上の部分は自分でできる。適切な時間内にできる
0全介助
排便コントロール10失禁なし。浣腸、坐薬の取り扱いも可能
5時に失禁あり。浣腸、坐薬の取り扱いに介助を要する
0全介助
排尿コントロール10失禁なし
5時に失禁あり。収尿器の取り扱いに介助を要する場合も含む
0全介助

配点の幅は項目で違います。移乗と歩行は15点まで、整容と入浴は5点か0点の2段階しかありません。付け間違いが多いのはこの配点の違いなので、評価用紙は項目ごとに選べる点数が印字されたものを使うと安全です。

バーセルインデックスは「普段していること」で採点する

採点の前提として押さえておきたいのが、バーセルインデックスは「できること」ではなく「実際にしていること」を記録する評価だという点です。

英国で信頼性を検証した研究(Collinら、1988年)が示した採点の指針には、次のような決まりがあります。

  1. 患者ができることではなく、実際にしていることを記録する
  2. 目的は、どんな小さな手助けからも自立しているかを見ることで、身体的な介助だけでなく声かけも「手助け」に含む
  3. 見守りが要る場合は自立とみなさない
  4. 本人・家族・看護師から聞くのが通常の情報源で、観察も使う。改めて動作テストをする必要はない
  5. 通常は直近24〜48時間の様子で判断する
  6. 中間の点数は、本人が動作の半分以上を担っている状態を指す
  7. 補助具を使って一人でしているなら自立でよい

つまり、リハビリ室では一人でトイレ動作ができても、病棟では転倒予防のために毎回付き添っているなら、トイレ動作は10点ではなく5点です。病棟看護師は24時間の生活を見ている立場なので、BIの情報源として重要な役割を担っています。

バーセルインデックスの採点で迷う「一部介助」の境目

上の指針のうち、境目の判断によく使うのは「見守りは自立ではない」「中間点は本人が半分以上」「補助具を使っての自立は可」の3つです。これを項目ごとに当てはめると、次のように整理できます。

項目迷う場面付け方
食事自助具のスプーンを使えば一人で食べる介護器具の使用は可なので10点
食事おかずを刻む、魚をほぐすなどの介助が要る「食べ物を切る等」に当たるので5点
食事一人で食べるが、むせ込みの見守りや声かけが毎回要る見守りは自立ではないため10点はつけない。本人が食べる動作の半分以上をしていれば5点
移乗ブレーキのかけ忘れがあり、毎回声かけしているどの段階かで監視が要るので10点
移乗座位は保てるが、立ち上がりから回転まで全面的に抱えている「座ることはできるが移動は全介助」で5点
整容歯ブラシに歯磨き粉をつけてもらえば一人でできる英語版の評価票は用具が用意された状態での自立を条件にしている。準備だけなら5点、動作の一部に手が要れば0点
トイレ動作ズボンの上げ下ろしだけ介助している衣服の操作に介助が要るので5点
トイレ動作夜間はポータブルトイレを使い、中身の片づけは看護師ポータブル便器の洗浄までを含むので10点はつけない
入浴浴室内で転倒しないよう見守っている5点か0点の2段階なので、見守りが要れば0点
歩行歩行器で45m以上を一人で歩く歩行器は「不可」とされているので15点ではなく10点
歩行T字杖や短下肢装具で45m以上を一人で歩く補装具は可なので15点
歩行歩けないが、車椅子を自分でこいで45m以上移動する5点
階段昇降手すりを使えば一人で昇り降りする手すり・杖は可なので10点
着替え上着は自分で着るが、靴と靴下は全部介助半分以上を自分でしていて、時間内に終わるなら5点
排便コントロール失禁はないが、坐薬の挿入は看護師が行う坐薬の取り扱いに介助が要るので5点
排尿コントロール尿器で排尿し、あてがいと片づけは介助収尿器の取り扱いに介助が要るので5点

歩行器と車椅子は「補装具」に入らない

特に取り違えやすいのが歩行の項目です。杖や装具を使った自立は15点ですが、歩行器や車椅子を使った場合は15点になりません。歩行器で安定して歩けるようになった人でも、BIの歩行は10点のままです。点数が伸びないことを「改善していない」と読まないよう、記録には使っている用具を書き添えます。

日によって介助量が違うときは直近の普段の様子で決める

日によって介助量が違う場合、直近24〜48時間の様子を見て、その期間で普段どうしているかで決めます。前日だけ体調が悪かった、リハビリの時間だけ一人でできた、といった一場面で決めないことが大切です。

看護師専門転職サービス
「クリアス看護」

LINE友だち追加で、希望条件に合った求人紹介や
非公開求人のご案内を無料で受けられます。
給与・働き方・勤務条件など、
転職に関するご相談もLINEで気軽に可能です。

バーセルインデックスを評価する場面(入退院時・介護保険・リハビリの計画書)

BIは、医療と介護の両方の制度で共通の物差しとして使われています。看護師が評価したり、評価の情報を求められたりする主な場面は次のとおりです。

場面BIの使われ方
介護保険のADL維持等加算(通所介護など)利用開始時と一定期間後にBIを測り、ADLの変化を評価する。ADLの評価は「一定の研修を受けた者」がBIを用いて行うとされている
リハビリテーション実施計画書(診療報酬の別紙様式21)日常生活活動の実行状況を、BIかFIMのどちらかで必ず記載する欄がある
地域包括医療病棟(令和6年度新設)退院・転棟時のBIの合計点が入院時より低下した患者の割合が施設基準に含まれ、BIの測定に関する研修会の開催も求められている

地域包括医療病棟では、入院時と退院・転棟時のBIを比べます。入院時の評価が実際より高く付いていると、退院時に「低下した」扱いになってしまうため、入院時の評価も普段の様子にもとづいて付けることが欠かせません。なお、低下割合の基準値などの要件は令和8年度の診療報酬改定で見直されています。病棟で数値を扱うときは、最新の通知で確認してください。

ADL維持等加算の様式には、BIと並んで「障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)」の欄もあります。寝たきり度の判定基準は寝たきり度とは?障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準の表で整理しています。

バーセルインデックスとFIMの違い

ADLの評価法としてBIとよく並べられるのが、FIM(機能的自立度評価法)です。大きな違いは次の3点です。

  • 項目数:BIは10項目。FIMは運動13項目と認知5項目の計18項目
  • 段階の細かさ:BIは項目ごとに2〜4段階。FIMは全項目が1〜7点の7段階
  • 認知面:BIに認知の項目はない。FIMは理解・表出・記憶などを含む

BIは短時間で付けられ、多職種で共有しやすい評価です。そのぶん段階が粗く、「全介助から一部介助へ」のような介助量の小さな変化は点数に表れにくくなります。どちらを使うかは、病棟や制度で決まっていることがほとんどです。

バーセルインデックスの記録の書き方と例文

記録には、合計点だけでなく、項目ごとの点数と、その点数にした理由(介助の内容・用具)を書きます。合計点だけでは、次に読む人が「どの項目が何点下がったのか」「なぜ5点なのか」を確かめられないためです。

書く要素は次の4つです。

  • 評価日と評価の時点(入院時・退院時など)
  • 合計点と項目ごとの点数
  • 点数の決め手になった介助の内容(見守り、声かけ、一部介助の中身)と使っている用具
  • 判断に使った期間や情報源(病棟での様子、夜間の状況など)

例文

入院時の例

BI 45点(食事5・移乗10・整容0・トイレ動作5・入浴0・歩行5・階段0・更衣5・排便10・排尿5)。食事は刻み食でむせ込みがあり毎回見守り。移乗はブレーキ操作に声かけが必要。歩行は困難で、車椅子を自走し病棟内を移動。トイレ動作はズボンの上げ下ろしに介助。排尿は1日1回程度の失禁あり。入院後2日間の病棟での様子で評価。

退院時の例

BI 75点(食事10・移乗15・整容5・トイレ動作10・入浴0・歩行10・階段5・更衣5・排便10・排尿5)。歩行は歩行器使用で病棟内を一人で移動(歩行器のため15点ではなく10点)。入浴は浴室内の見守りが必要。階段は手すり使用で1名の見守り。更衣は靴下と靴のみ介助。入院時45点から30点改善。

訪問・施設での例

BI 60点(食事10・移乗10・整容5・トイレ動作5・入浴0・歩行10・階段0・更衣10・排便5・排尿5)。自宅内は伝い歩きで、家族が後方から見守り。排便は坐薬を訪問時に看護師が挿入。夜間は尿器を使用し、家族があてがいと片づけを行う。本人・家族からの聞き取りと訪問時の観察による。

点数の根拠となる介助の中身が書いてあれば、次に評価する人が同じ基準で付け直せます。入院時と退院時で評価者が変わる病棟では、特にこの書き方が役に立ちます。

看護師専門転職サービス
「クリアス看護」

LINE友だち追加で、希望条件に合った求人紹介や
非公開求人のご案内を無料で受けられます。
給与・働き方・勤務条件など、
転職に関するご相談もLINEで気軽に可能です。

あわせて読みたい:FIM評価の採点基準とバーセルインデックスとの違い

よくある質問

バーセルインデックスは何点満点?100点なら一人暮らしができますか?

100点満点です。ただし、100点は10項目で介助が要らないという意味で、一人暮らしができることを示すものではありません。調理・買い物・服薬管理などはBIの項目に含まれていないため、在宅への退院を考えるときは別の評価で確かめます。

見守りや声かけだけで一人でできる場合は何点ですか?

自立の点数はつけません。見守りが要る状態は自立とみなさないのがBIの考え方です。移乗や階段昇降のように「監視」が中間の点数に明記されている項目はその点数に、入浴や整容のように2段階しかない項目は0点になります。

バーセルインデックスは看護師が評価してもよいですか?

職種の制限はなく、看護師も評価します。ただし、介護保険のADL維持等加算では一定の研修を受けた者が評価することとされ、地域包括医療病棟でもBIの測定に関する研修会の開催が求められています。所属先で評価者の決まりや研修の有無を確認しておきましょう。

まとめ

  • バーセルインデックスは10項目を0・5・10・15点で採点し、合計100点満点で表す。配点の幅は項目ごとに違う
  • 採点は「できること」ではなく、直近の生活で「実際にしていること」で行う。見守りが要れば自立ではない
  • 歩行は歩行器・車椅子を使うと15点にならない。杖や装具なら15点になりうる
  • 介護保険のADL維持等加算、リハビリテーション実施計画書、地域包括医療病棟の施設基準などで使われる
  • 記録には合計点に加えて、項目ごとの点数と介助の中身を書く

参考

  • 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会 第185回(令和2年9月14日)資料「令和3年度介護報酬改定に向けて(自立支援・重度化防止の推進)」Barthel Indexについて https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000672514.pdf
  • 厚生労働省「科学的介護情報システム(LIFE)について」ADL維持等加算の様式 https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000198094_00037.html
  • 厚生労働省 中央社会保険医療協議会 診療報酬調査専門組織 入院・外来医療等の調査・評価分科会(令和7年7月31日)資料(地域包括医療病棟の施設基準)https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001527622.pdf
  • 中国四国厚生局「リハビリテーション実施計画書(別紙様式21)」(平成24年度の様式。現行の様式は最新の通知で確認)https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/chugokushikoku/news/2012/000155195.pdf
  • Mahoney FI, Barthel DW. Functional evaluation: the Barthel Index. Maryland State Medical Journal. 1965;14:61-65.
  • Collin C, Wade DT, Davies S, Horne V. The Barthel ADL Index: a reliability study. International Disability Studies. 1988;10(2):61-63.