ナースの勉強部屋

ブレーデンスケールとは?6項目の採点表と危険点の考え方、評価のタイミング、迷いやすい項目の付け方と記録の例文

ブレーデンスケールとは?6項目の採点表と危険点の考え方、評価のタイミング、迷いやすい項目の付け方と記録の例文

ブレーデンスケールは、褥瘡がどのくらいできやすいかを6つの項目で点数にする評価表です。米国のBradenとBergstromが開発し、日本では真田弘美らの日本語版で広まりました。

入院時の褥瘡リスク評価や、施設・訪問での定期評価で、多くの看護師が付けているスケールです。一方で「座っていられるけど自分では動かない人の活動性と可動性は?」「経管栄養の人の栄養状態は何点?」のように、項目の境目で手が止まりやすい評価でもあります。

この記事では、6項目の採点表、合計点の見方、評価のタイミング、迷いやすい項目の付け方、記録の書き方を整理します。

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目次
  1. ブレーデンスケールの6項目と採点表
    1. 各項目の点数の目安
  2. ブレーデンスケールの合計点と危険点の考え方
    1. 危険点は施設の基準で決まっている
    2. 合計点だけでなく低い項目を見る
  3. ブレーデンスケールで評価するタイミング
  4. ブレーデンスケールで迷いやすい項目の付け方
    1. 活動性と可動性の違い
    2. 湿潤は「どのくらいの頻度で湿っているか」で付ける
    3. 栄養状態は経管栄養・点滴の人で迷いやすい
    4. 知覚の認知は「伝えられるか」まで含める
    5. 摩擦とずれはギャッチアップと移乗の場面で見る
    6. 評価者によって点数がぶれるとき
  5. ブレーデンスケールの記録の書き方と例文
    1. 例文
  6. ブレーデンスケールとOHスケールの違い
  7. よくある質問
    1. ブレーデンスケールの合計点は何点から危険ですか
    2. 摩擦とずれだけ1〜3点なのはなぜですか
    3. ブレーデンスケールは看護師以外が付けてもよいですか
  8. まとめ
  9. 参考

ブレーデンスケールの6項目と採点表

評価するのは次の6項目です。各項目を1点(最も悪い)から4点(最も良い)で付け、「摩擦とずれ」だけは1〜3点で付けます。合計は6〜23点で、点数が低いほど褥瘡のリスクが高いと読みます。

項目 何を見るか 1点 2点 3点 4点
知覚の認知 圧迫による痛みや不快を感じ、伝えられるか 全く知覚なし 重度の障害あり 軽度の障害あり 障害なし
湿潤 皮膚が汗・尿・便などで湿っている程度 常に湿っている たいてい湿っている 時々湿っている めったに湿っていない
活動性 行動の範囲(どこで過ごしているか) 臥床 座位可能 時々歩行可能 歩行可能
可動性 体位を自分で変えたり整えたりできるか 全く体動なし 非常に限られる やや限られる 自由に体動する
栄養状態 ふだんの食事摂取の状況 不良 やや不良 良好 非常に良好
摩擦とずれ 移動や体位変換のときに皮膚がこすれる・ずれるか 問題あり 潜在的に問題あり 問題なし ―

原典の評価表には、各点数の判断基準が文章で書かれています。院内で使っている評価表の文言を確認しながら付けるのが基本です。

各項目の点数の目安

原典の判断基準をもとに、点数の分かれ目を要約します。

項目 点数の分かれ目の目安
知覚の認知 痛み刺激にも反応しない、または体の大部分で痛みを感じないなら1点。痛み刺激にしか反応せず、不快をうめきや落ち着きのなさでしか表せない、または体の半分以上で知覚が低下しているなら2点。呼びかけには反応するが、不快や体位変換の希望をいつも伝えられるわけではない、または1〜2肢に知覚の低下があるなら3点
湿潤 体を動かすたびに湿っているなら1点。各勤務帯で1回はリネン交換が要るなら2点。1日1回程度の追加交換で済むなら3点。定時の交換で足りるなら4点
活動性 ベッド上から出ないなら1点。歩けないか歩行が極めて限られ、いす・車いすへの移乗に介助が要るなら2点。日中ときどき短い距離を歩くが、大半をベッドかいすで過ごすなら3点。起きている間、病室の外へ1日2回以上、室内なら2時間に1回以上歩くなら4点
可動性 介助なしでは体や手足の位置を少しも変えないなら1点。ときどき少し変えるが、頻繁に・大きくは自分で変えられないなら2点。少しずつでも頻繁に自分で変えるなら3点。介助なしで大きく頻繁に変えるなら4点
栄養状態 出された食事の1/3以上を食べることがほとんどない、または絶食・末梢点滴のみが5日を超えるなら1点。出された食事のおよそ半分しか食べない、または経管栄養・流動食が必要量に満たないなら2点。たいていの食事で半分以上を食べる、または経管栄養・中心静脈栄養で必要量がおおむね満たされているなら3点。毎食ほぼ全量を食べ、補食がなくても足りているなら4点
摩擦とずれ 移動に中等度以上の介助が要り、シーツにこすらずに持ち上げることができない、ベッドやいすで頻繁にずり落ちる、拘縮や不穏でほぼ常にこすれるなら1点。弱々しく動くか最小限の介助が要り、ときどきずり落ちるなら2点。ベッドやいすの上で自分で動け、体を持ち上げる筋力があり、いつも良い姿勢を保てるなら3点

ブレーデンスケールの合計点と危険点の考え方

合計点が何点以下なら「褥瘡発生の危険あり」とみなすかの線を、危険点(カットオフ値)と呼びます。この線は、使う場所によって違います。

場所・出典 危険点・リスク区分
日本の病院 14点以下
日本の介護施設・在宅 17点以下
米国で使われる評価表の区分 15〜18点:軽度、13〜14点:中等度、10〜12点:高度、9点以下:重度

日本の目安は、日本老年医学会雑誌の総説(2013年)で「病院14点以下、介護施設17点以下を目安にするのが妥当」と紹介されているものです。病院と施設で線が違うのは、看護・介護の人手や観察の頻度が違い、同じ点数でも褥瘡ができる確率が変わるためと説明されています。

危険点は施設の基準で決まっている

どの点数を危険点とするかは、それぞれの病院・施設の褥瘡対策の基準で決めています。同じ病院の中でも、ICUや療養病棟など病棟ごとに運用を変えている場合があります。記録や報告では、自部署の基準の点数に照らして判断します。

合計点だけでなく低い項目を見る

合計点が危険点を上回っていても、1項目だけ1点がついている人はいます。たとえば合計18点でも湿潤が1点なら、失禁や発汗への対応が課題だと分かります。ブレーデンスケールは、どの項目が低いかを見て、ケア計画のどこを手厚くするかを決めるためにも使います。

なお、入院基本料の褥瘡対策で使う「褥瘡対策に関する診療計画書」の危険因子の評価は、厚生労働省が様式で示した項目(基本的動作能力、病的骨突出、関節拘縮、栄養状態低下、皮膚湿潤、皮膚の脆弱性など)で行います。ブレーデンスケールの点数とは別の評価なので、両方を付けている病院では混同しないようにします。計画書で使う日常生活自立度(寝たきり度)の判定は寝たきり度の判定基準で整理しています。

ブレーデンスケールで評価するタイミング

評価の頻度は施設の基準に従います。目安として、日本老年医学会雑誌の総説では次のように紹介されています。

場面 評価の目安
評価を始める時期 活動性か可動性が2点以下になったとき(寝たきりの状態になったとき)
急性期 48時間ごと
慢性期 1週間ごと
高齢者 入院後1か月は1週間ごと、状態に変化がなければその後は3か月に1回

多くの病院では、これに加えて入院時に全員を評価し、次のような状態の変化があったときに付け直しています。

  • 手術の後、鎮静を始めたとき、全身状態が急に悪くなったとき
  • 麻痺の出現や安静度の変更で、自分で動ける範囲が変わったとき
  • 失禁や下痢が始まったとき、発熱で発汗が増えたとき
  • 食事量が落ちたとき、絶食になったとき、経管栄養を始めたとき
  • 転棟・退院・施設入所など、ケアする場所が変わるとき

リスク評価は「定期的に、また状態が大きく変わったときに繰り返す」ものです。定期評価の日を待たずに、変化があった時点で付け直します。

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ブレーデンスケールで迷いやすい項目の付け方

活動性と可動性の違い

2つとも「動けるか」に見えますが、見ているものが違います。

項目 見ているもの 例
活動性 どこで過ごしているか(行動の範囲) 車いすに移乗して食堂で過ごすなら、自分で体の向きを変えられなくても2点
可動性 ベッド上やいすの上で、自分で体位を変えられるか 歩けなくても、ベッド上で頻繁に自分で寝返りを打つなら3点

「歩けないから可動性も低い」と連動させて付けると、点数が実際より低く出ます。2つは切り離して考えます。

湿潤は「どのくらいの頻度で湿っているか」で付ける

おむつを使っているかどうかではなく、皮膚が湿っている頻度で付けます。目安はリネンやパッドの交換回数です。尿失禁だけでなく、便失禁、発汗、ドレーンや創からの滲出液、よだれも湿潤に含めて考えます。

栄養状態は経管栄養・点滴の人で迷いやすい

経管栄養や中心静脈栄養で、必要量がおおむね満たされている人は3点です。必要量に満たない経管栄養・流動食なら2点、絶食で末梢点滴だけの期間が5日を超えるなら1点です。点滴や経管栄養をしているだけで低く付けず、必要量に届いているかで判断します。

知覚の認知は「伝えられるか」まで含める

感覚があっても、意識レベルの低下、鎮静、認知機能の低下で「痛い」「向きを変えてほしい」と伝えられない人は、点数が下がります。麻痺による感覚の低下は、範囲が体の半分以上か、1〜2肢かで2点と3点を分けます。

摩擦とずれはギャッチアップと移乗の場面で見る

ベッドの頭側を上げたときにずり落ちるか、移乗や体位変換のときにシーツと皮膚がこすれるかを見ます。拘縮や不穏で手足がいつもこすれている人は1点です。

評価者によって点数がぶれるとき

ブレーデンスケールは、評価者によって点数がばらつきやすいと指摘されています。ぶれを減らすには、次のような工夫が役立ちます。

  • 迷った項目は、評価表の判断基準の文章に戻って読む
  • 前回と点数が2点以上変わった項目は、ほかのスタッフと一緒に確認する
  • 点数の根拠を記録に書き、次の評価者が同じ物差しで付けられるようにする

ブレーデンスケールの記録の書き方と例文

記録には、合計点、低い項目とその理由、自部署の危険点との比較をセットで書きます。合計点だけでは、次に読む人が何に注意すればよいかが分かりません。

書く要素は次の4つです。

  • 評価日と合計点(例:13点)
  • 2点以下の項目と、その根拠になった状態
  • 前回からの変化と、評価し直したきっかけ(手術、失禁の出現など)
  • 自部署の危険点を下回っているか、ケア計画に反映したか

例文

入院時(病院・危険点14点以下)

ブレーデンスケール13点(知覚3・湿潤2・活動性2・可動性2・栄養2・摩擦とずれ2)。脳梗塞後の右片麻痺で、ベッド上の体位変換は一部のみ自力。尿失禁あり、各勤務帯でパッド交換を要す。食事摂取は各食5割程度。危険点を下回るため、褥瘡対策の看護計画を立案。

状態変化時の再評価

術後1日目、ブレーデンスケール再評価。17点→12点(活動性4→1、可動性4→2、摩擦とずれ3→2)。術後安静でベッド上臥床、体位変換は介助で実施。ギャッチアップ時に下方へずれる。

施設・在宅(危険点17点以下)

ブレーデンスケール16点(知覚3・湿潤3・活動性2・可動性3・栄養3・摩擦とずれ2)。日中は車いす上で過ごし、座位でずり落ちる様子あり。施設基準の17点以下に該当。摩擦とずれへの対応をケアプランに追加するよう、ケアマネジャーへ情報提供。

点数に変化がないとき

ブレーデンスケール定期評価15点、前回と同点。湿潤2点(夜間の尿失禁継続)が最も低い項目。

項目別の内訳を括弧でまとめて書いておくと、どこが変わったかが次の評価者にもすぐ伝わります。

ブレーデンスケールとOHスケールの違い

OHスケールは、日本人の寝たきり高齢者の褥瘡の特徴をもとに作られたスケールです。ブレーデンスケールとは、見ている範囲が違います。

ブレーデンスケール OHスケール
項目 知覚の認知・湿潤・活動性・可動性・栄養状態・摩擦とずれの6項目 自力体位変換能力・病的骨突出(仙骨部)・浮腫・関節拘縮の4項目
点数の向き 低いほど高リスク(6〜23点) 高いほど高リスク(0〜10点)
見ている範囲 本人の状態に加え、湿潤や摩擦などケア・環境の要因も含む 本人の身体の要因のみ
向いている場面 病院・施設・在宅で幅広く 寝たきりの高齢者。項目が少なく付けやすい

どちらを使うかは、施設の褥瘡対策の基準で決まっていることがほとんどです。異動や転職で使うスケールが変わったときは、点数の向きが逆になる点に注意します。

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よくある質問

ブレーデンスケールの合計点は何点から危険ですか

日本では、病院で14点以下、介護施設・在宅で17点以下が危険点の目安として紹介されています。ただし、どの点数を基準にするかは施設ごとの褥瘡対策の基準で決まっているため、自部署の基準を確認してください。

摩擦とずれだけ1〜3点なのはなぜですか

原典の評価表で、摩擦とずれは「問題あり」「潜在的に問題あり」「問題なし」の3段階で定義されているためです。そのため合計点の最高は24点ではなく23点になります。

ブレーデンスケールは看護師以外が付けてもよいですか

評価者の職種は決まっておらず、介護施設では介護職が付けている場合もあります。評価者によって点数がばらつきやすいスケールなので、同じ部署の中で判断基準をそろえておくことが大切です。

まとめ

  • ブレーデンスケールは、知覚の認知・湿潤・活動性・可動性・栄養状態・摩擦とずれの6項目で褥瘡のリスクを点数にする。合計6〜23点で、低いほど高リスク
  • 危険点は、日本では病院14点以下、施設・在宅17点以下が目安。実際の運用は自部署の基準に従う
  • 定期評価に加え、手術・失禁・食事量の低下など状態が変わったときに付け直す
  • 活動性と可動性は切り離して付け、栄養状態は必要量に届いているかで判断する
  • 記録には合計点と、低い項目の根拠をセットで書く

参考

  • 岡田克之「褥瘡のリスクアセスメントと予防対策」日本老年医学会雑誌 50巻5号(2013年) https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/publications/other/pdf/clinical_practice_of_geriatrics_50_5_583.pdf
  • 日本皮膚科学会「創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン(2023)―2 褥瘡診療ガイドライン(第3版)」 https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/guideline/zyokusou2023.pdf
  • Braden B, Bergstrom N. Braden Scale for Predicting Pressure Sore Risk(Indiana Department of Health掲載の評価表) https://www.in.gov/health/files/Braden_Scale.pdf
  • 厚生労働省「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」別添6(褥瘡対策の評価様式) https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken15/dl/5-2-2.pdf