看護サマリーとは? 書く項目と、読む人に伝わる書き方のコツ
看護サマリー(看護要約)は、退院・転院・転棟のときに、次に受け持つ看護者へ療養上の情報を引き継ぐための文書である。
新人のうちは「何をどこまで書けばよいか分からない」でつまずきやすい。分量ではなく、受け取る人が次の勤務で使えるかどうかが基準になる。
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診療情報提供書との違い
混同されやすいが、目的も書く人も違う。
| 看護サマリー | 診療情報提供書(紹介状) | |
|---|---|---|
| 書く人 | 看護職 | 医師 |
| 中身 | 療養上の世話に必要な情報 | 診断・治療経過・検査結果 |
| 相手 | 次に受け持つ看護者 | 次の担当医 |
同じ患者について、医師と看護師がそれぞれ別の文書を書いていると考えると分かりやすい。
必ず入れる項目
施設ごとに様式が決まっているが、中身はおおむね共通している。
| 項目 | 書くこと |
|---|---|
| 基本情報 | 氏名、年齢、性別、入院期間、診断名 |
| 入院までの経過 | なぜ入院したか。既往と現在の治療 |
| ADL・日常生活の状況 | 食事・排泄・移動・清潔・睡眠。どこまで自分でできるか |
| 認知・コミュニケーション | 理解の程度、意思疎通の手段、見当識 |
| 継続が必要なケア | 創部の処置、服薬管理、吸引、経管栄養など手順と頻度 |
| 家族・社会背景 | 主介護者、キーパーソン、住環境、利用しているサービス |
| 本人・家族の受け止め | 病状や今後についてどう聞いていて、どう受け止めているか |
🔴 最も抜けやすいのは最後の2つである。処置の手順は書けても、「誰が家で見るのか」「本人はどこまで聞いているのか」が抜けると、引き継いだ側が最初から聞き直すことになる。
伝わらなくなる3つの原因
① 経過を全部書いてしまう
入院中の出来事を時系列でなぞると長くなり、いま必要な情報が埋もれる。
基準は「次の場所で使うか」である。すでに解決した問題は、再発の可能性があるときだけ書く。
② 「自立」「一部介助」だけで済ませてしまう
ADLの表記は施設ごとに解釈が違う。
- ❌ 「移動:一部介助」
- ⭕️ 「移動:手すりがあれば見守りで歩行可。夜間はふらつきがあり車椅子を使用」
何ができて、どんな条件が要るかまで書くと、そのまま次の日の計画に使える。
③ 略語と院内用語をそのまま使う
転院先では通じない略語がある。特に、部署や施設で独自に使っている言い方は書かない。
⚠️ 一般的な略語でも、初出は正式名称を添えると安全である。
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場面ごとの書き分け
| 場面 | 重点 |
|---|---|
| 在宅へ退院 | 家族が実行できるか。介護力、住環境、訪問看護・介護サービスの利用状況 |
| 施設へ転院 | その施設で継続できるケアか。医療処置の内容と頻度、必要な物品 |
| 院内の転棟 | 申し送りとの重複を避ける。口頭で伝わることは短く、記録として残すべきことを厚く |
在宅と施設では、書くべきことがはっきり違う。在宅は「家族ができるか」、施設は「その施設の体制で回るか」が判断の軸になる。
書く順番のコツ
- 先に「次の場所で何が起きるか」を思い浮かべる。朝起きて、食べて、トイレへ行く。その1日を追う
- その1日の中で、知らないと困ることを書き出す
- 書き出したものを様式へ落とす
様式から書き始めると、欄を埋めることが目的になって、肝心の情報が入らない。
個人情報の扱い
看護サマリーは個人情報そのものである。
- 渡す相手と方法を施設の手順で確認する。封をして患者に託すのか、直接送るのか
- 家族に見せてよいかは施設の運用による。本人が知らされていない情報が含まれることがある
- 控えの保管期間を確認する
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よくある質問
Q. どのくらいの分量が適切か
A. 様式に収まる範囲。A4で1枚に収まらないときは、優先度の低い経過を削る。
Q. 主観を書いてよいか
A. 観察した事実と、そこからの判断は分けて書く。「不安が強い」ではなく「退院について繰り返し質問があり、その都度説明した」のように、根拠になる事実を残す。
Q. 退院時サマリーと同じか
A. 施設によって呼び方が違う。院内の記録として残す要約を退院時サマリーと呼び、外へ渡すものを看護サマリーと呼び分ける施設が多い。
まとめ
- 看護サマリーは次の看護者へ療養上の情報を引き継ぐ文書。診療情報提供書とは別
- 抜けやすいのは家族・社会背景と、本人の受け止め
- ADLは「何ができて、どんな条件が要るか」まで書く
- 在宅は家族が実行できるか、施設はその体制で継続できるかが軸
- 様式から書き始めない。次の場所の1日を思い浮かべてから書く
参考
- 公益社団法人日本看護協会「看護記録に関する指針」