ナースの勉強部屋

看護期とは?急性期・回復期・慢性期・終末期の違いと看護師の役割・適性を徹底解説

看護期とは?急性期・回復期・慢性期・終末期の違いと看護師の役割・適性を徹底解説

病気やケガで看護を必要とする患者に対して、医療従事者が処置や治療を施す「看護期」は、患者の状態に応じて大きく4つのステージに分類されます。

4つの内訳は「急性期」「回復期」「慢性期」「終末期」となり、ステージごとに治療や処置の内容が変わっていきます。 

この記事では、それぞれの段階において、看護師が果たす役割を中心に解説していきます。

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目次
  1. 看護期とは
    1. 地域医療構想における「病床の機能区分」との違い
    2. 「地域医療構想」と併せておさえておくべき「地域包括ケアシステム」
  2. 急性期看護とは
  3. 回復期看護とは
  4. 慢性期看護とは
  5. 終末期看護(ターミナルケア)とは
  6. 4つの看護期の違い・看護期ごとに必要なスキル
    1. 急性期看護で求められるスキル
    2. 回復期看護で求められるスキル
    3. 慢性期看護で求められるスキル
    4. 終末期看護で求められるスキル
  7. 比較表でわかる「自分に合う看護期」の選び方
  8. 看護期に関するよくある質問
    1. Q. どの看護期が一番大変?
    2. Q. キャリアチェンジはできる?
    3. Q. 新人におすすめな看護期は?
  9. まとめ

看護期とは

看護期とは、患者が治療や処置を必要としている期間を指す言葉です。

患者の状態に応じて、急性期・回復期・慢性期・終末期の大きく4つのステージにわけられますが、完治する病気やケガの場合、あるいは完治しなくても命に別状はなく退院となる場合などは、その患者とのかかわりは慢性期までということになります。

なぜ、患者の状態に応じたステージ国区分されているかというと、ステージごとに、患者が必要としている処置や治療が異なるためです。各ステージに応じた最適な処置や治療を提供できるよう、基本的に患者のステージによって病棟や病院がわけられています。

地域医療構想における「病床の機能区分」との違い

基本的な看護期は、先に解説した通り急性期・回復期・慢性期・終末期の4つの区分にわけられますが、厚生労働省が推進している「地域医療構想」においては、高度急性期・急性期・回復期・慢性期の4つの区分わけが採用されています。

厚生労働省は、中長期的な人口構造の変化、地域の医療ニーズの質・量の変化を見据えたうえで、良質かつ適切な医療を効率的に提供できる体制を確保すべく、将来の必要病床数を推計して、地域医療構想を策定しています。

なぜ地域医療構想が必要かというと、背景には「2040年問題」があります。日本では高齢者が増える一方で、医療従事者は不足すると予測されています。そのため、次のように役割分担を明確にして、地域全体で患者を支える必要があるということです。

  • 重症患者は高度急性期へ
  • 治療中心は急性期へ
  • リハビリは回復期へ
  • 長期療養は慢性期へ

参照:

厚生労働省「地域医療構想」

厚生労働省・医療提供体制等について「2040年頃に向けた医療提供体制の総合的な改革」

「地域医療構想」と併せておさえておくべき「地域包括ケアシステム」

なお、厚生労働省は「地域医療構想」と併せて「地域包括ケアシステム」も推進していますが、これはどちらも2040年問題の核となる超高齢化社会に対応するための医療・介護政策です。

2つの政策は次のように役割がわかれています。

  • 地域医療構想 = 「病院・病床をどう配置するか」を考える“医療提供体制”の設計
  • 地域包括ケアシステム = 「高齢者の生活全体をどう支えるか」を考える“暮らし支援”の仕組み

ただし、両者の目的は同じで「高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らせるようにする」ということです。

そのために、

  • 地域医療構想 → 【病院内】入院医療を効率化・機能分化する
  • 地域包括ケアシステム → 【病院外】高齢者が住み慣れた地域で最後まで自分らしく生活できるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援を一体的に提供する

という役割分担になっています。

参照: 厚生労働省「地域包括ケアシステム」

急性期看護とは

急性期看護とは、病気やケガの発症直後で、患者の状態が不安定な時期に行う看護です。命に関わる場面が多く、スピード感のある判断と高度な医療対応が求められます。

主な役割・バイタルサイン管理
・異常の早期発見
・救命処置補助
・手術前後管理
・疼痛管理
・感染管理
看護のポイント患者の状態は短時間で大きく変化するため「異変を即座に察知する力」が重要になります。また、医師・多職種との迅速な連携も欠かせません。
主な職場・ICU
・救急外来
・救命救急センター
・急性期病棟

回復期看護とは

急性期を脱して、病状が安定してきた患者に対して行う看護です。単に治療するだけでなく、「元の生活へ戻る」ことを目標に支援します。

主な役割・病状悪化予防
・合併症予防
・日常生活支援
・栄養管理
・褥瘡予防
・認知症ケア
・長期療養支援
看護のポイント急性期のような劇的変化は少ない一方、「小さな変化に気づく力」が非常に重要です。また、患者と長く関わるため、信頼関係を築きやすい特徴があります。
主な職場・療養病棟
・透析クリニック
・慢性期病院

慢性期看護とは

病状は比較的安定しているものの、長期療養が必要な患者に対する看護です。高齢者や慢性疾患患者が中心となります。

主な役割・病状悪化予防
・合併症予防
・日常生活支援
・栄養管理
・褥瘡予防
・認知症ケア
・長期療養支援
看護のポイント急性期のような劇的変化は少ない一方、**「小さな変化に気づく力」**が非常に重要です。また、患者と長く関わるため、信頼関係を築きやすい特徴があります。
主な職場・療養病棟
・透析クリニック
・慢性期病院

終末期看護(ターミナルケア)とは

治癒が難しく、人生の最終段階にある患者に対して行う看護です。「延命」だけでなく、「その人らしく最期を迎える」ことを重視します。

主な役割・疼痛緩和
・苦痛緩和
・精神的支援
・家族ケア
・ACP支援(人生会議)
・看取り
看護のポイント終末期では、身体的苦痛・精神的苦痛・社会的苦痛・スピリチュアルペインといった**「全人的苦痛」への対応**が重要になります。患者本人だけでなく、家族支援も大切です。
主な職場・緩和ケア病棟
・ホスピス
・在宅看護

参照: 厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」

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4つの看護期の違い・看護期ごとに必要なスキル

4つの看護期の看護の目的・内容の違いは次の表の通りです。

区分患者の状態看護の目的主な特徴
急性期看護発症直後・状態不安定命を守る状態悪化を防ぐ迅速な治療につなげる迅速判断・救命
回復期看護病状安定・回復途中ADL回復自立支援退院支援リハビリ支援
慢性期看護長期療養が必要生活維持悪化予防QOL維持長期的支援
終末期看護治癒困難・人生最終段階苦痛緩和尊厳保持その人らしい最期の支援全人的ケア

上記のような違いがあることから、看護期によって、看護師に求められるスキルが違ってきます。

急性期看護で求められるスキル

急性期看護で求められるスキルは次の通りです。

観察力・アセスメント力バイタルや意識レベルなどの「いつもと違う」状態を瞬時に察知する力、急変の兆候を早期発見する力
緊急対応能力急変時に素早く行動する能力(BLS・ACLSの資格取得、除細動補助スキル、医師へのスピーディな報告など)
高度な医療機器への対応医療依存度が高いため不可欠な機器管理能力(人工呼吸器、モニター、シリンジポンプ、ドレーン管理など)
優先順位判断力短時間で複数患者を管理する力(急性期において「何を最優先するか」を迅速に判断する)

回復期看護で求められるスキル

回復期看護で求められるスキルは次の通りです。

リハビリ支援能力移乗介助、歩行訓練支援、食事動作支援などを通して、「できない」ことを「できる」に変える支援
多職種連携力PT(理学療法士)、OT(作業療法士)、ST(言語聴覚士)、MSW、ケアマネジャーなどとの緊密な協働
退院支援能力在宅生活を見据えた調整力(家族指導、福祉制度説明、在宅サービス調整など)
モチベーション支援「もう無理」「リハビリしたくない」といった心の葛藤に対し、患者を励まし目標を共有する心理的支援

慢性期看護で求められるスキル

慢性期看護で求められるスキルは次の通りです。

長期的関係構築力患者と長期間関わる中で、深い信頼関係を丁寧に深めていく力
生活支援能力「治療」より「生活」に重点を置いた支援(食事・排泄のサポート、服薬管理など)
セルフケア支援糖尿病・透析の自己管理や血圧管理など、患者自身が病気をコントロールできるよう促す支援
小さな変化への気づき食欲低下、活動量低下、表情変化など、徐々に悪化する微細な変化を早期にとらえるアセスメント力

終末期看護で求められるスキル

終末期看護で求められるスキルは次の通りです。

緩和ケア能力疼痛コントロール、呼吸苦緩和、不安軽減など、身体的・精神的苦痛を和らげる専門スキル
コミュニケーション能力死への不安や家族の葛藤に寄り添い、意思決定を支援する高度な対話力
倫理的判断力延命治療やDNAR(心肺蘇生不実施)など、正解がない場面で本人の意思尊重を第一に考える力
グリーフケア患者本人へのケアにとどまらず、家族支援や遺族(グリーフ)ケアを行う能力

比較表でわかる「自分に合う看護期」の選び方

自分に合う看護期を選ぶときは、「何にやりがいを感じるか」「どんな働き方をしたいか」を考えることが必要です。4つの看護期の特徴・やりがい・大変なことは次の通りです。

看護期(フェーズ)主な特徴・役割看護師としてのやりがい大変な点・
苦労するポイント
急性期命を救う患者が急変から回復する瞬間に立ち会える・忙しく夜勤負担が大きい
・精神的緊張が強い
・急変対応が多い
回復期回復を支える患者ができなかったことができるようになる過程を支えられる・退院調整が複雑
・家族支援・指導が必要
・長期的で根気が必要
慢性期長く生活を支える患者と長く付き合いながら信頼関係を築ける・医療処置より生活支援中心
・業務がルーチン化しやすい
・認知症対応が多め
終末期最期に寄り添う患者や家族から「あなたがいてよかった」と感謝されやすい・死と向き合う精神的負担が大きい
・感情移入しやすい
・家族ケアが難しい

これらの特徴ややりがいをもとに、それぞれの看護期に向いている人の特徴をまとめると次の通りです。

看護領域向いている人の基本特徴・志向さらに適性が高い人の傾向
(適性が高めの人)
急性期看護・テキパキ動きたい
・医療技術を高めたい
・緊張感ある環境が好き
・判断の速さに自信がある
・救急・ICU・手術に興味がある
・刺激がある環境が好き
・勉強を続けたい
・キャリアアップ志向が強い
回復期看護・患者とじっくり関わりたい
・リハビリ支援に興味がある
・多職種連携が好き
・「生活支援」に関心がある
・コミュニケーションが好き
・相手の成長を見るのが好き
・チーム医療が好き
慢性期看護・患者と長く関わりたい
・落ち着いた環境が好き
・高齢者ケアに興味がある
・日常生活支援が好き
・穏やかな関わりが好き
・高齢者と話すのが好き
・長期的支援に魅力を感じる
終末期看護・人の人生に深く関わりたい
・精神的ケアに関心がある
・傾聴が得意・好き
・緩和ケアに興味がある
・共感力が高い
・相手の話を聞くのが得意
・心理的支援に関心がある

看護期に関するよくある質問

続いては、看護期に関するよくある質問とその答えをみていきましょう。

Q. どの看護期が一番大変?

A.「何を辛いと感じるか」は人によって異なるため、「この看護期が一番大変」と言い切ることはできません。

それぞれの大変さの特徴は、先にも解説しましたが、次の通りです。

  • 急性期:忙しい・夜勤負担が大きい・精神的緊張が強い・急変対応が多い
  • 回復期:退院調整が複雑・家族支援が必要・根気が必要
  • 慢性期:医療処置より生活支援中心・業務がルーチン化しやすい・認知症対応が多め
  • 終末期:死と向き合う精神的負担・感情移入しやすい・家族ケアが難しい

このうち、どれが自分にとって大変と感じるのか”を考えてみることによって、その人にとっての答えが見つかります。

Q. キャリアチェンジはできる?

A.キャリアチェンジすることは可能です

実際、多くの看護師が、「急性期→回復期」「慢性期→終末期」「急性期→在宅」などとキャリアをチェンジしています。

よくあるパターンとしてまず挙げられるのが、「急性期→回復期・慢性期」です。理由としては、夜勤や残業がきつく、体力的負担を減らしたいことは、ワークライフバランスを重視したいことが挙げられます。

地域包括ケアの推進で在宅需要が増えていることから、「急性期→訪問看護」のキャリアチェンジも増えています。

つまり、「自分の望む働き方」「需要の高さ(=よりよい条件で働ける)」などによってキャリアをチェンジするケースが多いということです。

なお、キャリアチェンジに適したタイミングは、3年目、5年目前後、結婚・出産後、管理職に就く前、バーンアウト前(バーンアウトを防ぐため)などであるといえます。

Q. 新人におすすめな看護期は?

A.一般的には、新人看護師には急性期看護がすすめられます。

理由は大きく3つにわけられます。1つめは、基礎技術を幅広く学べることです。点滴、モニター管理、術後管理、急変対応、フィジカルアセスメントなどの多くの基本技術を身につけることができます。

2つめは、教育体制が整ってケースが多いことです。大規模急性期病院では、プリセプター制度や新人研修、ラダー制度、シミュレーション教育などの制度が整っている場合が多いです。

3つめは、将来の選択肢が広がりやすいことです。急性期経験があると、回復期、慢性期はもちろん、訪問看護などに必要な技術も身につきやすいです。訪問看護の求人では、「急性期経験3年以上」の歓迎条件が記されている場合も多いです。

ただし、新人看護師は必ずしも急性期看護から入ったほうがいいというわけではありません。たとえば、患者とじっくり関わりたいのであれば回復期のほうが向いていますし、高齢者ケアが好きなら、慢性期からはじめてみるのもいいかもしれません。

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まとめ

急性期・回復期・慢性期・終末期の4つの看護期は、患者の状態も、必要とする治療・処置も異なります。そのため、自分はどの看護期に携わりたいのか、自分にとっての理想の働き方、向き・不向きを考えて、キャリアを形成していくことが大切です。

ただし、大まかな流れとしては「急性期→回復期→慢性期→終末期」となりますが、実際には、慢性期に急変することは、回復期での再悪化、慢性疾患患者の終末期移行などもあり得ます。

そのため、自分に合った看護期を見極めつつも、どんな状態の患者にも最低限は対応できるよう、知識・スキルに磨きをかけていくことも大切にしてください。