【看護師向け】療養型病院とは?仕事内容や一般病床との違い、働くメリットを徹底解説
療養型病院への転職を考えている看護師の方の中で、「急性期病院と比べて仕事内容はどのように変わるの?」「残業が少なくて働きやすいって本当?」といった疑問を抱えている方は多いのではないでしょうか。
療養型病院は、急性期の治療を終えた慢性期の患者さんが長期的に入院する医療機関です。患者さんとじっくり向き合える環境がある一方で、介護業務の負担やスキルアップの面で不安を感じる方もいるかもしれません。
この記事では、療養型病院の基本的な定義やほかの施設との違いから、看護師の具体的な仕事内容、1日のスケジュール、メリット・デメリット、向いている人の特徴まで徹底的に解説します。
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療養型病院(療養病床)とは?基本的な定義と特徴
療養型病院とは、主に「療養病床」を主体として運営されている病院の通称です。
医療法において、病院の病床は「一般病床」「療養病床」「精神病床」「結核病床」「感染症病床」の5種類に分類されています。その中で療養病床は、長期にわたる療養を必要とする患者さんを対象とした病床と定義されています。
急性期病院の平均入院日数が約2週間程度であるのに対し、療養型病院は数ヶ月〜1年以上と非常に長いのが特徴です。
病状は比較的安定しているものの、自宅や介護施設での生活が困難で、継続的な医療ケアを必要とする慢性期の患者さんが入院しています。
一般病床や介護医療院との違い
療養型病院の役割を深く理解するために、他の病床や施設との違いを把握しておきましょう。
一般病床(急性期)との違い
一般病床は、病気の発症直後や手術前後など、状態が不安定な「急性期」の患者さんを対象としています。病気の早期治療と退院を目的としているため、高度な医療機器が揃っており、検査や処置が頻繁に行われます。
大きく異なるのは医療従事者の配置基準です。
- 一般病床:患者3人に対して看護師1人以上。
- 療養病床:患者4人に対して看護師1人以上。さらに、患者4人に対して看護補助者(介護職など)1人以上の配置が義務付けられています。
療養型病院では、看護師と看護補助者が協力して患者さんの生活をサポートする体制が整えられています。
介護医療院との違い
2018年に創設された「介護医療院」は、医療と介護の両方を必要とする要介護高齢者のための施設です。
- 療養型病院:医療保険が適用され、医療区分(医療の必要度)が高い患者さんが主に入院します。あくまで「病院」としての機能が中心です。
- 介護医療院:介護保険が適用され、要介護認定を受けた方が対象です。「生活の場」としての側面が強く、看取りや日常生活の支援に重点が置かれています。
ご家族への対応にも活きる!療養型病院の基礎知識
療養型病院で働く際、患者さんがどのような経緯や基準で入院しているのかを知っておくことは、個別性のある看護やご家族へのサポートに直結します。ここでは、看護師も知っておきたい「対象患者の基準」「費用の目安」「入院までの流れ」を解説します。
どんな患者さんが入院できる?(医療区分とADL区分)
療養型病院の入院対象となるかは、主に「医療区分」と「ADL区分」という2つの指標で判断されます。看護師はこれらの区分に基づき、患者さんの医療依存度や介護度を把握します。
- 医療区分(1〜3の3段階): 疾患や必要な医療処置の度合いを示します。療養型病院には原則として、医療依存度が高い医療区分2〜3(24時間の持続点滴、人工呼吸器の使用、頻回の痰吸引が必要な状態など)の患者さんが入院します。
- ADL区分(3段階): 日常生活自立度(起き上がり、移乗、食事、トイレなど)の指標です。点数が高いほど介助の必要性が高いことを示します。
※医療区分1(比較的状態が安定している方)の場合は、療養型病院ではなく介護老人保健施設(老健)や介護医療院などが適応となるケースが一般的です。
家族から質問されやすい「入院費用の目安と制度」
長期入院となるため、ご家族から費用について不安の声を相談されることも少なくありません。
詳細な計算は医事課が行いますが、大枠の仕組みを知り、必要に応じてソーシャルワーカー(MSW)へ繋ぐことが看護師には求められます。費用は主に以下の4つの合算です。
- 入院医療費: 医療保険が適用され、年齢や所得に応じて1〜3割負担。
- 食費: 一般的に1食510円(1ヶ月で約45,900円程度)。
- 居住費: 65歳以上の場合、1日あたり370円(1ヶ月で約11,000円程度。※指定難病患者は0円)。
- その他自己負担費用: オムツ代、テレビ利用料、個室の差額ベッド代など。
費用が高額になる場合は、「高額療養費制度」や「難病医療費助成制度」が活用できることをお伝えすると、ご家族の安心につながります。
急性期から療養型病院へ移るまでの流れ
患者さんが急性期病院から療養型病院へ転院してくる場合、以下のステップを踏みます。前医の看護師が作成した「看護サマリー」は、受け入れ後のケア計画を立てるうえで非常に重要な情報源となります。
- 相談: 急性期病院のソーシャルワーカーや地域包括支援センターへ相談。
- 書類審査: 主治医の「診療情報提供書」と、前医の「看護サマリー(これまでの看護内容やADLをまとめたもの)」を療養型病院へ提出。
- 家族面談: 療養型病院の医師・MSWなどとご家族が面談し、受け入れの可否や治療方針を確認。
- 入院・転院: 空床状況に合わせて入院日が決定。
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療養型病院で働く看護師の主な仕事内容
療養型病院の看護師は、医療的ケアと生活支援の両立が求められます。具体的な仕事内容は以下の通りです。
- 日常的な医療処置とバイタルサインの管理:喀痰(かくたん)吸引、胃瘻(いろう)や経鼻チューブからの経管栄養の管理、こまめな体位変換を伴う褥瘡(床ずれ)の処置など。言葉で不調を訴えられない患者さんも多いため、わずかな顔色や呼吸の変化を見逃さない観察力が求められます。
- 日常生活の介助(身体介護):看護補助者と連携しながら、食事介助、入浴・清拭の介助、おむつ交換や排泄介助などをサポートします。
- リハビリテーションのサポート:理学療法士(PT)や作業療法士(OT)と連携し、患者さんが残された機能を維持できるよう、病棟内での歩行訓練や車椅子への移乗などを補助します。
- 患者さん・ご家族とのコミュニケーション:不安を抱えるご家族への病状説明やメンタルサポートも看護師の大きな役割となります。
看護師が療養型病院で働くメリット
療養型病院への転職には、急性期病院にはない魅力が数多くあります。
- 患者さんとじっくり向き合える:入院期間が長いため、一人ひとりの患者さんの性格や生活背景を理解したうえで、個別性のある丁寧な看護が実践できます。
- 残業が少なくプライベートを充実させやすい:緊急入院や急変、緊急手術が少ないため、突発的な業務が発生しにくく、定時で退勤しやすい環境です。ワークライフバランスを重視する方に適しています。
- ルーティン業務中心で精神的なプレッシャーが少ない:1日のスケジュールの見通しが立ちやすく、心電図モニターのアラーム音に常に気を張るような精神的ストレスが軽減されます。
- ブランクがある方や手技に不安がある方でも働きやすい:高度な医療スキルやスピードよりも、確実な基礎看護技術と観察力が求められるため、復職を目指す看護師にも人気の職場です。
療養型病院で働くデメリットや大変なこと
一方で、療養型病院ならではの苦労や注意点も存在します。
- 高度な医療スキルの習得が難しい:採血や点滴などの基本的な手技はありますが、最先端の医療機器を扱ったり、多様な症例を経験したりする機会は限られます。急性期で最前線のスキルを磨きたい方には物足りなく感じるかもしれません。
- 力仕事が多く体力的な負担がある:寝たきりの患者さんが多いため、体位変換や移乗介助、入浴介助など、腰や身体に負担のかかる力仕事が多くなります。
- 看取り(ターミナルケア)による精神的負担:長く関わった患者さんが亡くなるケースも少なくありません。深い信頼関係を築いている分、別れに対して精神的なショックを受けることもあります。
【日勤】療養型病院で働く看護師の1日のスケジュール例
療養型病院における日勤の一般的なスケジュールをご紹介します。
| 時間 | 業務内容 |
| 08:30 | 出勤・夜勤からの申し送り、本日のスケジュール確認 |
| 09:00 | バイタルサイン測定、全身状態の観察、配薬 |
| 10:00 | オムツ交換、体位変換、清拭や入浴介助(看護補助者と連携) |
| 11:30 | 昼食前の経管栄養の準備、血糖測定など |
| 12:00 | 昼食の配膳、食事介助、食後の口腔ケア、配薬 |
| 13:00 | 休憩(交代でしっかりとる施設が多い) |
| 14:00 | 午後のラウンド、褥瘡の処置、リハビリテーションの補助 |
| 15:00 | カンファレンス(多職種での情報共有) |
| 16:00 | 看護記録の入力、夕方のバイタル測定、オムツ交換 |
| 17:00 | 夜勤担当者への申し送り |
| 17:30 | 業務終了・退勤(残業は少なめ) |
療養型病院の看護師の給料事情とキャリアパス
療養型病院で働く看護師の平均年収は、おおよそ380万〜550万円程度が相場とされています。夜勤に入ることで急性期病院と遜色ない給与水準を維持できます。ただし、残業が少ないため、残業代を含めた手取りベースでは下がったと感じるケースもあります。
キャリアパスとしては、ここで培った「生活を支える看護」のスキルを活かし、訪問看護ステーション、介護老人保健施設(老健)、特別養護老人ホーム、デイサービスなどへのキャリアチェンジが非常にスムーズに行える強みがあります。
療養型病院の勤務に向いている看護師の特徴
ここまでの特徴を踏まえ、療養型病院は以下のような看護師におすすめです。
- 患者さん一人ひとりと長期的に寄り添った看護がしたい人
- 多職種(介護職やリハビリ職)と連携してチーム医療を実践したい人
- 仕事とプライベート(育児や趣味など)をしっかり両立させたい人
- バタバタした環境よりも、落ち着いたペースで着実に業務をこなしたい人
- 高齢者看護やターミナルケアに興味関心がある人
療養型病院は、急性期の治療を終えた患者さんが安心して長期療養を送るための重要な医療機関です。
一般病床のような目まぐるしい忙しさや高度な医療行為は少ない反面、喀痰吸引や褥瘡ケア、日常生活の介助など、患者さんの「生活の質(QOL)」を直接的に支えるやりがいに満ちています。
残業が少なくワークライフバランスが整いやすいため、自身のライフステージに合わせて長く働き続けられるのも大きな魅力です。転職やキャリアチェンジを考えている方は、ぜひ選択肢の一つとして検討してみてください。
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