ナースの勉強部屋

MMSE(ミニメンタルステート検査)の採点表|11項目と30点の配点、実施の手順、採点で迷うところと看護記録の例文

MMSE(ミニメンタルステート検査)の採点表|11項目と30点の配点、実施の手順、採点で迷うところと看護記録の例文

入院時のスクリーニングや、退院前のカンファレンスの資料づくりで「MMSEを取っておいて」と頼まれた。長谷川式なら経験があるけれど、MMSEは項目が多く、採点のルールも曖昧なまま。そんなときに確認できるよう、この記事ではMMSEの項目と配点、実施の手順、採点で迷うところ、記録の書き方をまとめます。

扱うのは検査の実施と記録までです。MMSEの点数だけで認知症かどうかが決まるわけではなく、診断は医師が問診や画像検査などとあわせて行います。

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目次
  1. MMSEとは|30点満点の認知機能スクリーニング検査
  2. MMSEの11項目と配点の表
  3. MMSEの実施手順と声かけ
    1. 始める前に整えること
    2. 目的を伝えてから始める
    3. 実施中に気をつけること
  4. MMSEの採点で迷うところ
    1. 時間の見当識の「季節」
    2. 注意と計算
    3. 再生
    4. 書字と図形模写
    5. 手の麻痺や視力の低下がある場合
  5. MMSEの点数の見方|区分点は目安として扱う
  6. MMSEと長谷川式(HDS-R)・CDRの違い
  7. MMSEの看護記録の書き方と例文
    1. 例文
  8. 認知症ケアに関わる看護師求人を見る
  9. よくある質問
    1. MMSEは看護師が実施してもよいですか?
    2. 同じ人に何度も実施すると、答えを覚えてしまいませんか?
    3. 点数が前回より下がっていたら、どうすればよいですか?
  10. まとめ
  11. 参考

MMSEとは|30点満点の認知機能スクリーニング検査

MMSE(Mini-Mental State Examination)は、1975年に米国のFolsteinらが発表した認知機能のスクリーニング検査です。質問への口頭の回答に加えて、文を書く、図形を写すといった動作の課題を含み、30点満点で評価します。所要時間は10分前後です。

日本では、原版を日本語に翻訳して標準化したMMSE-J(精神状態短時間検査-日本版)が使われています。検査用紙と実施マニュアルは市販されており、著作権で保護されています。施設で使う用紙は、正規に購入したものかどうかを確かめてください。この記事でも、設問の文言そのものは載せず、項目の構成と配点を説明します。

MMSEの11項目と配点の表

原版の構成は次のとおりです。合計すると30点になります。

項目 何を見るか 配点
1. 時間の見当識 年・季節・月・日・曜日を答えられるか 5点
2. 場所の見当識 いまいる場所(都道府県・市町村・建物など)を答えられるか 5点
3. 記銘 3つの言葉を聞いてすぐに繰り返せるか 3点
4. 注意と計算 100から7を順に引く(または言葉の逆唱) 5点
5. 再生 3で覚えた3つの言葉を思い出せるか 3点
6. 呼称 身近な物の名前を言えるか 2点
7. 復唱 短い文をそのまま繰り返せるか 1点
8. 3段階の口頭命令 3つの動作の指示に順に従えるか 3点
9. 読字 書かれた指示を読んで、そのとおりに動けるか 1点
10. 書字 自発的に文を1つ書けるか 1点
11. 図形模写 重なった2つの五角形を写せるか 1点
合計 30点

1〜5は口頭で答える課題、6〜11は言語と動作の課題です。MMSE-Jには、注意と計算の課題を7の引き算で行う版と、言葉の逆唱で行う版の2つがあります。どちらの版で実施したかは、必ず記録に残します。

MMSEの実施手順と声かけ

始める前に整えること

  • 静かな個室か、カーテンで仕切れる場所を選ぶ。テレビや同室者の会話が聞こえる場所では、注意の課題が下がりやすい
  • 眼鏡と補聴器を使っている人は、着けてから始める。読字・書字・図形模写の課題があるため、手元が見える明るさも確かめる
  • 家族が同席すると、答えを助けたり、本人が緊張したりしやすい。同席が必要なときは、答えを言わないように先にお願いする
  • 鉛筆と白紙、検査用紙を手元にそろえておく

目的を伝えてから始める

「物忘れのテスト」と伝えると身構える人が多いため、「入院中の過ごし方を考えるために、いくつか質問させてください」のように、ケアにつなげる目的を伝えます。答えにくい質問が含まれることも先に伝えておくと、途中で気分を害されにくくなります。

実施中に気をつけること

  • 項目の順番は入れ替えない。記銘と再生の間に注意と計算を挟む構成になっているため、順番を変えると再生の条件が変わる
  • ヒントや言い換えを足さない。「春夏秋冬のどれですか」のように選択肢を出すと、点数が比べられなくなる
  • 間違えても訂正しない。「大丈夫ですよ、次にいきますね」と流して進める
  • 拒否や疲れが見えたら中断し、途中までの結果と中断の理由を記録する。無理に最後まで続けない

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MMSEの採点で迷うところ

時間の見当識の「季節」

季節の変わり目は答えが分かれやすい項目です。施設で「季節の境目にどちらを正答とするか」を決めておくと、評価者によるぶれが減ります。MMSE-Jを使う場合は、実施マニュアルの採点基準に従います。

注意と計算

7の引き算は、1回ごとに正しく引けているかで採点します。途中で1回間違えても、その答えから7を正しく引けていれば、その回は正答として数える考え方が一般的です。採点の扱いは版とマニュアルで確かめ、施設内でそろえておきます。

再生

3つの言葉は、順番が違っても思い出せたものを1点ずつ数えます。ヒントを出して思い出せた場合は正答に数えません。

書字と図形模写

書字は、主語と述語がそろった意味の通る文であれば正答とし、漢字の誤りや送り仮名は問いません。図形模写は、2つの五角形が重なり、重なった部分が四角形になっていれば正答です。線の震えや多少のゆがみは減点しません。

手の麻痺や視力の低下がある場合

書字・図形模写・読字は、手の麻痺や視力の低下があると実施できないことがあります。実施できなかった項目は0点として合計するのではなく、「実施不可(右上肢麻痺のため)」と理由を書き、合計点と分けて残します。合計点だけを次の人が見ると、認知機能の低下と区別できなくなるためです。

MMSEの点数の見方|区分点は目安として扱う

MMSE-Jの検証では、23点以下を「認知症の疑い」、24点以上を「疑いなし」とする23/24の区分点が使われています。同じ論文では、7の引き算版の区分点は23/24、逆唱版は23/24または24/25とされており、版によって目安が少し違います。ただし、これはスクリーニングの目安で、点数だけで診断が決まるわけではありません。

点数は、次のような条件で本来の認知機能より低く出ることがあります。

  • 教育歴が短い、検査に慣れていない
  • 難聴・視力低下・失語がある
  • 発熱や痛み、せん妄、睡眠不足など、その日の体調が悪い
  • 入院直後で環境に慣れていない

看護師にとって大切なのは、合計点よりも「どの項目で、どう答えたか」です。再生ができない人には説明を書いて残す、場所の見当識が下がっている人にはトイレの場所を目印で示すなど、項目ごとの結果は日々のケアに直結します。前回と比べるときは、同じ版・同じ時間帯・同じ環境で取ったかもあわせて確かめます。

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MMSEと長谷川式(HDS-R)・CDRの違い

認知機能の評価には、MMSEのほかに長谷川式認知症スケール(HDS-R)やCDRも使われます。目的と方法が違うため、施設でどれを使うかは医師の指示や運用に従います。

MMSE 長谷川式(HDS-R) CDR
方法 本人への質問と動作の課題 本人への質問のみ 本人と家族などからの情報をもとに評価者が判定
項目 11項目・30点満点 9項目・30点満点 6領域を0〜3の段階で評価
動作の課題 あり(書字・図形模写など) なし なし
向いている場面 言語と動作を含めて幅広く見たいとき 手の麻痺などで書けない人、短時間で取りたいとき 生活への影響を含めて重症度を見たいとき

長谷川式の項目と記録のしかたは長谷川式認知症スケール(HDS-R)とは?、CDRの判定ルールはCDR(臨床認知症評価法)の評価表で解説しています。

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MMSEの看護記録の書き方と例文

記録には、次に評価する人が同じ条件で比べられる情報を残します。

  • 実施日時と実施者
  • 使った版(7の引き算か逆唱か)
  • 合計点と、項目ごとの点数
  • 実施できなかった項目と理由
  • 実施時の様子(集中できていたか、疲れや拒否はあったか、眼鏡・補聴器の使用)
  • 結果からケアに生かすこと

例文

10/30 14:00 MMSE-J(7の引き算版)実施。合計22/30点。時間の見当識3/5(曜日・日付を誤答)、場所の見当識5/5、記銘3/3、注意と計算3/5、再生1/3、言語・動作の課題7/9(図形模写0/1:五角形の重なりを写せず、3段階命令2/3)。補聴器を装着し個室で実施。途中で「難しいね」と話すが最後まで実施できた。再生の低下があるため、検査や処置の予定は口頭に加えてベッドサイドに書いて掲示する。結果は主治医へ報告済み。

10/30 10:30 MMSE-J 実施を試みるが、時間の見当識の途中で「もういい」と拒否あり中断。発熱(38.2℃)があり倦怠感の訴えも強い。解熱後に再度実施を検討する旨、日勤リーダーへ申し送り。

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認知機能の評価は、急性期病棟だけでなく、療養病棟や介護施設、訪問看護でも日常的に行われます。評価とケアの経験を生かせる職場を探すときは、施設の種類や働き方から求人を比べてみてください。

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よくある質問

MMSEは看護師が実施してもよいですか?

医師の指示や施設の手順に基づいて、看護師や公認心理師、リハビリ職などが実施することは珍しくありません。施設で誰が実施するかを決めている場合はそれに従い、採点のルールは実施マニュアルでそろえておきます。

同じ人に何度も実施すると、答えを覚えてしまいませんか?

短い間隔でくり返すと、記銘・再生の言葉や計算の答えを覚えてしまうことがあります。再評価の間隔は医師の指示に従い、くり返すときは前回の実施日を記録で確かめます。

点数が前回より下がっていたら、どうすればよいですか?

まず、版・時間帯・環境・体調が前回と同じだったかを確かめます。発熱や不眠、せん妄など、その日の条件で下がることもあります。条件をそろえても下がっている場合は、項目ごとの変化とあわせて主治医に報告します。

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まとめ

MMSEは、11項目・30点満点で認知機能を評価するスクリーニング検査です。言語と動作の課題を含み、注意と計算には7の引き算版と逆唱版があります。実施するときは環境と眼鏡・補聴器を整え、順番を変えずにヒントを出さずに進めます。記録には合計点だけでなく、版、項目ごとの点数、実施できなかった項目と理由、ケアに生かすことを残しましょう。

参考