CDR(臨床認知症評価法)の評価表|6項目と0〜3の段階、記憶を軸にした全体の判定ルール、看護師が集める情報と記録の例文
CDR(Clinical Dementia Rating、臨床認知症評価法)は、認知症の重症度を、本人への問診と家族などからの聞き取りをもとに、0〜3の段階で表す評価法です。1982年にHughesらが発表し、1993年にMorrisが判定のルールを整えました。
長谷川式(HDS-R)やMMSEが本人に質問して点数を出す検査なのに対し、CDRはふだんの生活の様子から判定します。そのため、家族や病棟の看護師が持っている生活の情報が、判定の材料として大きな意味を持ちます。この記事では、CDRの6項目と段階、全体の判定ルール、看護師が集めたい情報、記録の書き方を整理します。
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CDRの6項目と段階
CDRでは、次の6つの項目をそれぞれ評価します。
| 項目 | 何を見るか |
|---|---|
| 記憶 | 最近の出来事を覚えているか、物忘れの程度 |
| 見当識 | 時間・場所・人が分かるか |
| 判断力と問題解決 | 日常の問題への対処、お金の扱い、物事の違いの判断 |
| 地域社会活動 | 仕事、買い物、ボランティア、社会的な集まりへの参加 |
| 家庭生活および趣味・関心 | 家事、趣味、関心を持ち続けているか |
| 介護状況(身の回りのこと) | 着替え、洗面、食事、排泄に手助けが要るか |
各項目は、次の段階で評価します。
| 段階 | 意味 |
|---|---|
| 0 | 障害なし |
| 0.5 | 疑わしい(境界) |
| 1 | 軽度 |
| 2 | 中等度 |
| 3 | 重度 |
介護状況(身の回りのこと)には0.5がなく、0・1・2・3の4段階で評価します。
また、CDRの評価は認知機能の低下による変化だけを対象にします。骨折で歩けない、視力が落ちて家事ができないといった、認知機能以外の理由による変化は評価に含めません。
全体のCDRの判定ルール(記憶が軸)
6項目の点数を合計して全体のCDRを出すのではない点が、CDRの特徴です。記憶を主な項目として、ほかの5項目との関係から全体のCDRを決めます。開発元のワシントン大学が示している主なルールは次のとおりです。
- 記憶と同じ段階の項目が、ほかの5項目のうち3つ以上あれば、全体のCDRは記憶と同じ段階になる
- 記憶が0.5のとき、ほかの項目の少なくとも3つが1以上なら、全体のCDRは1になる。記憶が0.5のときに全体が0になることはない
- 記憶が0のとき、ほかの項目の2つ以上が0.5以上なら、全体のCDRは0.5になる
このほかにも細かいルールがあり、すべての組み合わせを網羅しているわけではありません。実際の判定は、正式な採点表とルールに沿って、研修を受けた評価者が行います。
全体のCDRの段階は、一般に次のように整理されています。
| 全体のCDR | 目安 |
|---|---|
| 0 | 健常 |
| 0.5 | 認知症の疑い |
| 1 | 軽度の認知症 |
| 2 | 中等度の認知症 |
| 3 | 重度の認知症 |
研究などでは、6項目の点数を足した「CDR-SB(Sum of Boxes)」(0〜18)を使うこともあります。全体のCDRとは別の数字なので、記録では区別して書きます。
CDRと長谷川式・MMSEの違い
認知機能の評価で病棟の記録に並びやすい3つを比べると、次のようになります。
| CDR | 長谷川式(HDS-R) | MMSE | |
|---|---|---|---|
| 何をもとに評価するか | 本人への問診と、家族などからの生活の聞き取り | 本人への質問 | 本人への質問と簡単な作業 |
| 結果の形 | 0・0.5・1・2・3の段階 | 30点満点 | 30点満点 |
| 分かること | 認知症の重症度(生活への影響) | 認知機能の低下の目安 | 認知機能の低下の目安 |
| 評価者 | 研修を受けた医師など | 看護師が実施することもある | 看護師が実施することもある |
点数の検査は、その日の体調や緊張で結果が動くことがあります。CDRは生活の様子から判定するため、検査の点数と生活の様子が食い違うときに、全体の状態を考える手がかりになります。
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判定の材料として看護師が集めたい情報
CDRの判定は医師などの評価者が行うことが多いですが、その材料になる生活の情報は、看護師が日々の関わりの中で集めているものです。6項目に沿って記録しておくと、評価者が使いやすくなります。
| 項目 | 病棟で拾える情報の例 |
|---|---|
| 記憶 | 前日の面会や検査を覚えているか、同じ質問を繰り返すか |
| 見当識 | 日付や曜日、病院にいることが分かっているか、時間帯で変わるか |
| 判断力と問題解決 | ナースコールを適切に使えるか、困ったときにどう対処するか |
| 地域社会活動 | 入院前の仕事、買い物、集まりへの参加(家族から聞き取り) |
| 家庭生活および趣味・関心 | 入院前の家事や趣味、関心を持ち続けていたか(家族から聞き取り) |
| 介護状況 | 着替え、洗面、食事、排泄で声かけや手助けが要るか |
家族からの聞き取りのコツ
地域社会活動や家庭生活は、入院中には見えません。家族に聞くときは、いつごろから、何ができなくなったかを具体的に聞くと、評価に使える情報になります。
- 「料理は、以前と同じように作っていましたか。いつごろから変わりましたか」
- 「一人で買い物に行って、必要な物を買ってこられましたか」
- 「お金の支払いや通帳の管理は、どなたがしていましたか」
認知機能以外の理由を書き分ける
CDRは認知機能の低下による変化だけを評価します。歩けないから買い物に行けない、目が見えにくいから家事をしない、という場合は、その理由も書いておくと、評価者が判断を誤りません。
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正社員の求人を見るCDRの看護記録の書き方と例文
記録には、CDRの段階を書く場合でも、判定の根拠になった生活の様子と情報源を残します。
例文
前日の面会を覚えておらず「誰も来ていない」と話す。同じ質問を1時間に3回繰り返す。日付は分からないが、病院にいることは理解している。
長女より、1年前から料理の段取りが難しくなり、現在は総菜を買ってきている。通帳の管理は半年前から長女が代行。一人での買い物は可能。
着替えは声かけがあれば自分で行える。洗面・食事は自立。排泄は自立だが、トイレの場所を夜間に迷うことがある。
医師の評価でCDR 1(軽度)。記憶1、見当識1、判断力1、地域社会活動1、家庭生活0.5、介護状況1。
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正社員の求人を見るよくある質問
CDRは看護師が判定してもよいですか?
CDRは、研修を受けた評価者が、本人への問診と家族などからの聞き取りをもとに判定する評価法です。施設によって担当は違いますが、医師が判定することが多いです。看護師は、判定の材料となる生活の情報を集めて記録する形で関わることがよくあります。
CDR 0.5はどういう状態ですか?
全体のCDR 0.5は「認知症の疑い」とされ、軽い物忘れなどはあるが、生活への影響ははっきりしない段階です。軽度認知障害(MCI)に相当する段階として扱われることがあります。診断は医師が行います。
長谷川式の点数が高いのにCDRが1になることはありますか?
あります。検査では答えられても、生活の中で段取りや判断が難しくなっていることがあるためです。点数と生活の様子が食い違うときは、その食い違い自体を記録しておくと、チームで状態を考える材料になります。
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まとめ
- CDRは、本人への問診と家族などからの聞き取りをもとに、認知症の重症度を0〜3で表す評価法
- 6項目を0・0.5・1・2・3で評価する。介護状況(身の回りのこと)には0.5がない
- 全体のCDRは合計点ではなく、記憶を軸にしたルールで決める
- 認知機能以外の理由による変化は評価に含めない
- 看護師は、6項目に沿って生活の様子と情報源を記録しておくと、判定の材料として役に立つ
参考
- Knight Alzheimer Disease Research Center, Washington University School of Medicine「CDR Scoring Rules」 https://knightadrc.wustl.edu/professionals-clinicians/cdr-dementia-staging-instrument/cdr-scoring-rules/
- Hughes CP, Berg L, Danziger WL, Coben LA, Martin RL. A new clinical scale for the staging of dementia. British Journal of Psychiatry. 1982;140:566-572.
- Morris JC. The Clinical Dementia Rating (CDR): current version and scoring rules. Neurology. 1993;43(11):2412-2414.