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ECOGのPS(パフォーマンスステータス)の判定基準表|0〜4の5段階、1と2・2と3で迷う境目と「日中の50%」の見方、看護記録の例文

ECOGのPS(パフォーマンスステータス)の判定基準表|0〜4の5段階、1と2・2と3で迷う境目と「日中の50%」の見方、看護記録の例文

PS(Performance Status、パフォーマンスステータス)は、患者の全身状態を、日常生活でどのくらい動けているかで表す指標です。がんの治療の場面でよく使われ、なかでも米国の臨床試験グループECOG(Eastern Cooperative Oncology Group)が定めた0〜4の5段階が、日本でも広く使われています。

PSは、医師が抗がん剤治療などを検討するときの情報の1つになります。病棟や外来で患者のふだんの様子を見ている看護師の観察は、PSを判断する材料として役に立ちます。この記事では、JCOG(日本臨床腫瘍研究グループ)の日本語訳の表、迷いやすい境目、観察と聞き取りのコツ、記録の書き方を整理します。

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目次
  1. ECOGのPSの判定基準表(0〜4の5段階)
  2. PSで迷う境目(0と1、1と2、2と3)
    1. 0と1は「激しい活動ができるか」
    2. 1と2は「作業ができるか」
    3. 2と3は「日中の50%」を見る
  3. PSを判断するための観察と聞き取り
    1. 入院中の患者で見ること
    2. 外来の患者に聞くこと
  4. PSとKPSの違い
  5. PSの看護記録の書き方と例文
    1. 例文
  6. よくある質問
    1. PSは誰が判定しますか?
    2. PSは一度決まったら変わりませんか?
    3. 高齢で、もともと動く量が少ない患者はどう考えますか?
  7. まとめ
  8. 参考

ECOGのPSの判定基準表(0〜4の5段階)

JCOGが公開している日本語訳を表にすると、次のようになります。

PS 判定基準
0 全く問題なく活動できる。発病前と同じ日常生活が制限なく行える。
1 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行可能で、軽作業や座っての作業は行うことができる。例:軽い家事、事務作業
2 歩行可能で自分の身の回りのことはすべて可能だが作業はできない。日中の50%以上はベッド外で過ごす。
3 限られた自分の身の回りのことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす。
4 全く動けない。自分の身の回りのことは全くできない。完全にベッドか椅子で過ごす。

(出典:Common Toxicity Criteria, Version 2.0 Publish Date April 30, 1999。JCOGホームページ https://jcog.jp/ より引用)

原典のECOGのスケールには、死亡を表す5も含まれています。病棟の記録では0〜4を使うのが一般的です。

PSは、症状の重さではなく、生活の中でどのくらい動けているかで決まります。痛みや倦怠感があっても、ふだんどおりに動けていれば低いPSになります。

PSで迷う境目(0と1、1と2、2と3)

PSは5段階しかないため、境目で判断が分かれやすくなります。

0と1は「激しい活動ができるか」

  • 発病前と同じように、制限なく生活できている → 0
  • ジョギングや重い物を運ぶなどの激しい活動はできないが、歩けて、軽い家事や事務作業ならできる → 1

1と2は「作業ができるか」

1と2を分けるのは、軽い家事や事務作業などの作業ができるかどうかです。

  • 軽作業や座っての作業ができる → 1
  • 身の回りのことはすべてできるが、作業はできない → 2

「身の回りのこと」は、食事、着替え、トイレ、洗面などを指します。家事や仕事は「作業」に入ります。

2と3は「日中の50%」を見る

2と3を分けるのが、日中の半分以上をベッドの外で過ごしているか、ベッドや椅子で過ごしているかです。

  • 日中の50%以上はベッドの外で過ごす → 2
  • 日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす → 3

「日中」は起きて活動している時間を指します。夜間の睡眠は含めません。外来の患者であれば、自宅で日中どう過ごしているかを聞き取ることになります。

PSを判断するための観察と聞き取り

PSは本人の答えだけで決めると、実際より良く出ることも悪く出ることもあります。看護師が持っている情報が役に立つのはここです。

入院中の患者で見ること

  • 日中、ベッドの上で過ごしている時間が長いか、離床して過ごしているか
  • 食事、トイレ、洗面、着替えを自分でしているか
  • 病棟内を歩いているか、売店などに一人で行っているか
  • 検査や治療の前後で、動ける量が変わっていないか

外来の患者に聞くこと

  • 「日中は、横になっている時間と起きている時間、どちらが長いですか」
  • 「家事や仕事は、以前と同じように続けられていますか」
  • 「食事やトイレ、着替えで、誰かの手を借りることはありますか」

「大丈夫です」という答えだけで終わらせず、具体的な時間や場面で聞くと判断しやすくなります。家族が付き添っていれば、家族の見方も聞いておきます。

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PSとKPSの違い

PSと似た指標に、KPS(Karnofsky Performance Status)があります。

ECOGのPS KPS
段階 0〜4(原典は5の死亡を含む) 0〜100%の10%刻み
数字の向き 数字が大きいほど状態が悪い 数字が大きいほど状態が良い
よく使う場面 がんの臨床試験、抗がん剤治療の記録 がんの領域の一部、研究

数字の向きが逆なので、記録では必ず「PS」「KPS」の名前を添えます。施設で使っている指標に合わせましょう。

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PSの看護記録の書き方と例文

記録には、PSの数字だけでなく、判断の根拠になった生活の様子を書きます。

  • 何を根拠にしたか(日中の過ごし方、身の回りのこと、作業ができるか)
  • いつの状態か(入院時、治療前、外来受診時)
  • 誰から聞いたか(本人、家族、観察)
  • 前回からの変化

例文

日中は離床して病棟内を歩行、食事・トイレ・洗面は自立。本人より「家では洗濯もしていた」。PS 1相当と考えられ、医師へ情報提供。

外来受診時、本人より「日中はほとんど横になっている」。食事とトイレは自分で行えるが、着替えに妻の手伝いが要る(妻より)。前回受診時より臥床時間が増えている。

入院後3日間、日中の大半をベッド上で過ごす。トイレは歩行器で自立、食事は配膳されれば自力摂取。

PSの最終的な判定は医師が行う施設が多いため、記録では「PS ◯相当」のように書き、根拠となる観察を添えておくと伝わりやすくなります。施設で看護師が判定する決まりがあれば、それに従ってください。

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よくある質問

PSは誰が判定しますか?

治療の判断に使うPSは、医師が判定することが多いです。看護師は、日中の過ごし方や身の回りのことの様子など、判定の材料となる情報を提供する役割を担うことがよくあります。

PSは一度決まったら変わりませんか?

変わります。治療の副作用や病状の変化で、短い期間でも変わることがあります。いつの時点のPSかを必ず書き添えましょう。

高齢で、もともと動く量が少ない患者はどう考えますか?

PSは、いまの状態を基準に照らして判断します。もともとの生活の様子も、判断の材料として記録に残しておくと役に立ちます。判断に迷うときは、観察した事実をそのまま書き、医師と相談します。

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まとめ

  • ECOGのPSは、全身状態を日常生活でどのくらい動けているかで0〜4に表す指標
  • 1と2は作業ができるか、2と3は日中の50%以上をベッドの外で過ごしているかで分ける
  • 本人の答えだけでなく、具体的な時間や場面での聞き取りと観察を合わせる
  • KPSとは数字の向きが逆なので、記録には指標の名前を添える
  • 記録にはPSの数字に加え、根拠、時点、情報源、前回からの変化を書く

参考

  • JCOG(日本臨床腫瘍研究グループ)「ECOGのPerformance Status(PS)の日本語訳」 https://jcog.jp/doctor/tool/ps/
  • Oken MM, Creech RH, Tormey DC, et al. Toxicity and response criteria of the Eastern Cooperative Oncology Group. American Journal of Clinical Oncology. 1982;5(6):649-655.