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手術看護記録の書き方|術前訪問・術中・病棟への申し送りで書くこと、そのまま形を借りられる記録例と施設の様式に合わせるときの確認点

手術看護記録の書き方|術前訪問・術中・病棟への申し送りで書くこと、そのまま形を借りられる記録例と施設の様式に合わせるときの確認点

手術看護記録は、手術室に入る前から病棟に戻るまでの看護を、次に患者さんを受け持つ人がたどれるように残す記録です。読み手は場面ごとに違います。術前訪問の記録は当日の手術室の看護師が、術中の記録は病棟の看護師と後から振り返る人が、申し送りの記録は病棟でその夜を受け持つ人が読みます。

どの場面にも共通する決まりは、見たこと・聞いたこと・行ったことを時刻とともに書き、推測を事実のように書かないことです。この記事では、場面ごとに書く項目、医師の記録や麻酔記録との分担、言い換え表、記録例をまとめます。

手術室の記録は施設ごとに様式が大きく違い、チェックリスト形式のところも、電子カルテのテンプレートに入力するところもあります。項目の名前や書く場所は、所属先の記載基準に合わせてください。術式ごとの看護や手技の手順、医学的な判断はここでは扱いません。

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目次
  1. 手術看護記録の書き方の基本(術前・術中・術後の3場面と読む人)
  2. 術前訪問の看護記録の書き方(患者さんの言葉と術中に引き継ぐこと)
  3. 術中看護記録の書き方(時刻・確認・体位・皮膚・カウントの記録)
    1. 術中看護記録に書く項目
    2. カウントの記録は「結果」と「確認した人」を残す
    3. 医師の記録・麻酔記録との分担
  4. 術後の病棟への申し送りの記録の書き方
  5. 手術看護記録で推測を書かない言い換え表
  6. 手術看護記録の記録例(術前訪問・術中・病棟への申し送り)
    1. 術前訪問の記録例
    2. 術中の記録例
    3. 病棟への申し送りの記録例
  7. 施設で手術看護記録の様式が違うときに確認すること
  8. よくある質問
    1. 器械出しの看護師も手術看護記録を書きますか
    2. 手術室の記録に時間がかかって残業になります
    3. 記録を書き忘れたことに後で気づいたら、どうしますか
  9. まとめ
  10. 参考

手術看護記録の書き方の基本(術前・術中・術後の3場面と読む人)

日本看護協会の「看護記録に関する指針」は、看護記録の目的として、看護実践を証明すること、看護実践の継続性と一貫性を担保すること、看護実践の評価と質の向上を図ることを挙げています。手術看護記録では、2つめの「継続性」が特に大きな意味を持ちます。病棟から手術室へ、手術室から病棟へと、短い時間に受け持ちが2回変わるからです。

場面 主に読む人 書く中心
術前訪問 当日の器械出し・外回りの看護師 患者さんの言葉、不安、術中に配慮してほしいこと
術中 病棟の看護師、後から振り返る医療チーム 入退室の時刻、確認したこと、行った看護、皮膚の状態、カウントの結果
術後の申し送り 病棟でその後を受け持つ看護師 手術室で起きたことのうち、病棟の看護に関わること、未完了のこと

同じ指針は、用語は施設内でできるだけ同じものを使い、略語は施設内で統一するとしています。手術室は略語が多い部署です。病棟の看護師が読む申し送りの記録では、施設の略語一覧にある略語だけを使います。

術前訪問の看護記録の書き方(患者さんの言葉と術中に引き継ぐこと)

術前訪問の記録は、当日に手術室で患者さんを迎える看護師への「引き継ぎのメモ」です。施設のチェックリストで確認する項目(本人確認、既往歴、アレルギー、装着物など)はその様式に入れ、経過記録には次のような、チェックリストに載らないことを書きます。

  • 手術について患者さんが話したこと(「腰が痛くて、長く横になっていられない」など)
  • 不安や質問と、そのときに伝えたこと。答えられず医師に伝えたことも書く
  • 術中に配慮してほしいこと(耳が聞こえにくい、眼鏡がないと見えない、特定の部位が痛む、など本人や家族から聞いた事実)
  • 訪問した日時、会った相手(本人・家族)、訪問した看護師

「不安が強い」とだけ書くと、当日の看護師はどう関わればよいか分かりません。「『麻酔から覚めなかったらと思うと眠れない』と話す」のように本人の言葉を残し、そのとき行ったことを書きます。

術中看護記録の書き方(時刻・確認・体位・皮膚・カウントの記録)

術中の記録は、外回りの看護師が書くことが多い記録です。経時的に書く場面が多いので、時刻の書き方は経時記録の書き方|急変・処置中に使う場面と時刻の書き方も参考にしてください。

術中看護記録に書く項目

項目 書くこと
入室・退室 入室時刻、退室時刻、誰と入室したか、入室時の患者さんの様子と言葉
確認 本人確認、手術部位の確認、タイムアウトなどを施設の手順で行ったこと、行った時刻
体位 医師と確認してとった体位、体位をとった時刻、除圧や保護をした部位(施設の手順に沿って行った事実)
皮膚 入室時と退室時の皮膚の状態。発赤があれば部位・大きさ・色
器械・ガーゼ・針のカウント カウントした時点、結果、確認した人。合わなかったときに行ったこと
検体 検体の名称、確認した人、提出した先と時刻
看護 保温、声かけ、家族への連絡など、看護師が行ったこと

WHOの手術安全チェックリストは、麻酔導入前、皮膚切開前、手術室退室前の3つの時点で、チームで確認を行う形をとっています。日本の多くの施設も、これをもとに自施設のチェックリストを作っています。記録には、施設のチェックリストのどの確認を、いつ、誰と行ったかを残します。

カウントの記録は「結果」と「確認した人」を残す

日本医療機能評価機構は、閉創前にガーゼカウントを行ったのに体内にガーゼが残った事例が57件報告され、うち48件はカウントが合っていた事例だったと注意を促しています(医療安全情報 No.152、集計期間 2016年1月〜2019年3月)。背景には、丸まったガーゼを目視で数えたことなどが挙げられています。

カウントの方法そのものは施設の手順で決まっています。記録では「カウント合致」の一言で済ませず、どの時点のカウントか、誰と確認したか、合わなかった場合に誰に報告し何を行ったかを、事実として残します。

医師の記録・麻酔記録との分担

手術中は複数の記録が同時に作られます。同じことを何か所にも書くと、ずれが生じたときにどれが正しいか分からなくなります。

内容 主に書く記録(一般的な分担)
術式、所見、手術の経過 医師の手術記録
バイタルサイン、麻酔薬、輸液、出血量・尿量 麻酔記録
入退室、確認、体位、皮膚、カウント、検体、看護 手術看護記録

施設によって、出血量を看護記録にも書く、輸液の記録を看護師が担当するなど分担は違います。新しい部署に移ったら、何をどの記録に書くかを最初に確認します。

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術後の病棟への申し送りの記録の書き方

術後の申し送りでは、手術室で起きたことのうち、病棟の看護に関わることを伝えます。手術の経過をすべて読み上げる必要はありません。病棟の看護師がすぐに必要とするのは次のような情報です。

  • 退室時刻と、退室時の患者さんの様子・言葉
  • 入っているライン・ドレーン・カテーテルの種類と位置(施設の書式で)
  • 皮膚の状態。手術中にできた発赤などがあれば、部位と大きさ
  • 医師からの指示や、病棟で続けてほしいこと
  • 家族への連絡の状況(誰に、何時に、誰が伝えたか)
  • 手術室で終わっていないこと(検体の結果待ち、持ち物の返却など)

記録には、申し送った時刻、相手、伝えた内容、終わっていないことを書きます。口頭で伝えたことを記録に残しておくと、後から「聞いていない」とならずに済みます。

術後訪問をしている施設では、訪問した日時、患者さんの言葉(「背中が痛かった」「寒かった」など)、手術室の看護の振り返りに使えることを書きます。

手術看護記録で推測を書かない言い換え表

手術室の記録は、短い時間に多くのことを書くため、判断や推測が入りやすくなります。

推測が入った書き方 事実に置き換えた書き方
不安が強い 「麻酔から覚めなかったらと思うと眠れない」と話す。手術の流れを説明し、質問は担当医に伝えた
体位による褥瘡なし 退室時、仙骨部・両踵部に発赤は見当たらない
体位で圧迫されたため発赤 退室時、右腸骨部に3cm×2cmの発赤あり。病棟看護師に申し送った
カウントOK 閉創前、器械・ガーゼ・針のカウントを器械出し看護師と2人で行い、数は合っていた
問題なく帰室 10:40 退室。呼びかけに目を開け、「終わったの」と話す
家族に説明済み 10:50 家族控室で長男に、手術が終わったことを伝えた。医師の説明は11:00の予定と伝えた

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手術看護記録の記録例(術前訪問・術中・病棟への申し送り)

以下は架空の症例です。値や処置の中身は省き、記録の形だけを示しています。

術前訪問の記録例

10/20 15:00 病室にて本人と妻に術前訪問。
本人「腰が悪くて、硬いところに長く寝ていると痛くなる」と話す。手術室での体位や保温について説明。「眼鏡がないと何も見えない」と話し、手術室入室までは眼鏡をかけてよいことを伝えた。
妻より「耳が少し遠いので、大きめの声で話してほしい」と話あり。
麻酔について「途中で目が覚めたりしないか」と質問あり。担当の麻酔科医に伝え、麻酔科の術前診察で説明があることを本人に伝えた。

術中の記録例

9:00 病棟看護師とともに入室。眼鏡は入室後に外し、病棟看護師へ返却。「寒い」と話し、保温を開始。
9:05 施設の手順で本人確認、手術部位の確認を担当医・麻酔科医と行った。
9:25 医師と確認し体位をとった。施設の手順に沿って、腰部と両踵部を除圧。体位をとる前、腰部に発赤なし。
9:40 タイムアウトを実施。
10:25 閉創前、器械・ガーゼ・針のカウントを器械出し看護師と2人で行い、数は合っていた。
10:30 検体(名称は検体ラベルどおり)を担当医と確認し、病理検査室へ提出。
10:40 退室前、仙骨部・両踵部・腰部に発赤は見当たらない。呼びかけに目を開け「終わったの」と話す。退室。

病棟への申し送りの記録例

10:50 病棟看護師(〇〇)へ申し送り。退室時の様子、体位をとった部位と退室時の皮膚の状態に発赤がないこと、入っているラインの種類と位置、検体を病理検査室へ提出したこと、医師の指示は指示簿のとおりであることを伝えた。
本人の眼鏡は入室時に病棟看護師へ返却済み。妻へは10:45に手術が終わったことを伝え、医師の説明は11:00の予定と伝えた。

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施設で手術看護記録の様式が違うときに確認すること

異動や転職で手術室の記録が変わったら、次の点を先に確かめると、書き方で迷う時間が減ります。

  • [ ] チェックリストに入れる項目と、経過記録に書く項目の分け方
  • [ ] 出血量・輸液・バイタルサインを看護記録にも書くか、麻酔記録だけか
  • [ ] カウントの記録欄と、確認者の書き方(署名・入力者の名前)
  • [ ] 手術室で使ってよい略語の一覧
  • [ ] 術前訪問・術後訪問の記録をどこに書くか(看護記録の経過記録、専用の様式など)
  • [ ] 病棟への申し送りを記録に残す範囲

書き方の形を決めるときに迷ったら、経過記録の書式は施設の記載基準に従います。フォーカスチャーティングを使う施設なら、フォーカスチャーティングの書き方|FDARの例文とフォーカスの立て方で書き方を確認できます。

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よくある質問

器械出しの看護師も手術看護記録を書きますか

施設によります。外回りの看護師がまとめて書き、器械出しの看護師はカウントの確認者として名前を残す形が多くあります。自施設でどちらが何を書くかは、記載基準か先輩に確認してください。

手術室の記録に時間がかかって残業になります

チェックリストで済む項目を経過記録にも書いていないかを見直すと、重複が減ります。手術室の働き方全体についてはオペ室(手術室)看護師はきつい?仕事内容・年収・向いている人の特徴でも紹介しています。

記録を書き忘れたことに後で気づいたら、どうしますか

日本看護協会の指針は、追記する場合はいつの、どの箇所への追記かが分かるようにし、訂正する場合は訂正した人・内容・日時が分かるようにして、訂正前の記載も読める形で残すとしています。電子カルテなら、施設の追記・修正の手順に従います。

まとめ

  • 手術看護記録は、術前訪問・術中・術後の申し送りで読む人が違う。場面ごとに、次に受け持つ人が必要なことを書く
  • 術前訪問は患者さんの言葉と配慮してほしいこと、術中は時刻・確認・体位・皮膚・カウントの結果と確認者、申し送りは病棟の看護に関わることと終わっていないことを書く
  • 医師の手術記録・麻酔記録と同じことを重ねて書かず、施設の分担と略語一覧に合わせる

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