認定看護管理者とは?3つの教育課程と認定審査の要件、認定看護師との違い
主任や師長を任されるようになると、それまでとは違う種類の壁にぶつかります。看護の技術ではなく、人をどう動かすか、組織をどう作るかという壁です。
その領域の専門性を証明する資格が認定看護管理者です。認定看護師や専門看護師が「看護実践」の専門性を示すのに対し、こちらは「看護管理」の専門性を示します。
この記事では、認定看護管理者の位置づけと3つの教育課程、認定審査の要件、そして取得によって何が変わるのかを整理します。
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認定看護管理者とは
組織を発展させる能力を認められた看護管理者
認定看護管理者とは、日本看護協会の認定看護管理者認定審査に合格し、管理者として優れた資質を持ち、創造的に組織を発展させることができる能力を有すると認められた者を指します。
看護の質を左右するのは、個々の看護師の技術だけではありません。人員配置、育成の仕組み、他部門との連携、労務管理——こうした組織の設計が、現場で提供される看護の質を大きく規定します。
認定看護管理者は、この領域を担う専門職として位置づけられています。
認定看護師・専門看護師との違い
3つの資格はいずれも日本看護協会の認定ですが、専門性の方向が異なります。
| 資格 | 専門性の方向 |
|---|---|
| 認定看護師 | 特定の看護分野における熟練した看護技術と知識 |
| 専門看護師 | 特定の専門看護分野における水準の高い看護実践・調整・研究 |
| 認定看護管理者 | 看護管理——組織の運営とマネジメント |
認定看護師・専門看護師が「患者に向かう」専門性であるのに対し、認定看護管理者は「組織に向かう」専門性です。目指す方向がまったく違うため、どちらが上位ということはありません。
3つの教育課程
日本看護協会は、認定看護管理者に必要な教育課程をファーストレベル・セカンドレベル・サードレベルの3課程と定めています。
ファーストレベル
看護専門職として必要な管理に関する基本的知識・技術・態度の習得が教育目標です。
管理を初めて学ぶ段階で、これから主任・係長クラスを担う人、あるいは担い始めた人が対象になります。認定看護管理者への第一歩であると同時に、資格取得を目指さない人が管理の基礎を学ぶために受講することもあります。
セカンドレベル
看護管理者として基本的責務を遂行するために必要な知識・態度の習得が目的です。師長クラスに求められる内容になります。
受講要件は次のとおりです。
- 日本国の看護師免許を有すること
- 看護師免許取得後、実務経験が通算5年以上あること
- ファーストレベルを修了していること(または看護部長相当の立場にある、副看護部長相当の立場に1年以上就いている)
サードレベル
質の高い組織的看護サービスを提供するのに必要な知識・技術・態度の習得が目的です。
特徴は、看護サービスの対象範囲が広がることです。「多様なヘルスケアニーズをもつ個人や家族、地域住民および社会」までを視野に入れます。看護部長クラス、あるいは地域全体を見る立場を想定した内容といえます。
認定審査の要件
認定看護管理者になるには、看護師免許取得後、通算5年以上の実務経験に加えて、次のいずれかを満たす必要があります。
- 認定看護管理者教育課程サードレベルを修了している
- 看護系大学院で看護管理を専攻し修士号を取得後、実務経験が3年以上ある
- 師長以上の管理職経験が3年以上あり、看護系大学院で看護管理を専攻して修士号を取得している
- 師長以上の管理職経験が3年以上あり、大学院で管理に関連する学問領域の修士号を取得している
ルートが4つあるのがこの資格の特徴です。教育課程を段階的に積み上げる道と、大学院で修士号を取得する道の両方が用意されています。
認定審査は日本看護協会が毎年1回実施しています。合格して登録手続きを行うと、認定看護管理者として認定されます。資格の有効期間は5年間で、更新が必要です。
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取得すると何が変わるか
給与への影響
医療機関ごとに規定が異なるというのが正直なところです。資格そのものに手当を設けている施設もありますが、一律ではありません。
実際に効いてくるのは、管理職への昇進に伴う役職手当です。認定看護管理者の資格が昇進の判断材料になり、結果として待遇が変わるという流れが一般的です。
また、転職時の交渉材料としての価値もあります。管理職候補として採用される場合、資格の有無は評価に直結します。
役割の変化
資格を取ることで、担う範囲が変わります。
- 部署単位の管理から、部門横断・組織全体の視点へ
- 目の前の業務改善から、中長期の人材育成・組織設計へ
- 院内の調整から、地域の医療機関との連携へ
サードレベルで「地域住民および社会」まで対象に含まれるのは、この役割の広がりを反映したものです。
目指すときに考えておきたいこと
時間と費用の負担は小さくない
3つの教育課程を順に修了するには、相応の期間と費用がかかります。各レベルの受講には所定の時間数が定められており、働きながら通うことになります。
勤務先の支援制度(受講料の補助、勤務調整、研修扱いでの参加)の有無で、負担はまったく変わります。まずは自分の職場に制度があるかを確認してください。
ファーストレベルは資格取得だけが目的ではない
ファーストレベルだけを受講するという選択も十分にあります。管理の基礎を体系的に学べるため、主任や係長として現場を任され始めた段階で受けると、日々の判断が整理されます。
「認定看護管理者を目指すかどうか」を決める前に、まずファーストレベルを受けてみる——この順序で問題ありません。
大学院ルートという選択肢
修士号を取得するルートは時間がかかりますが、看護管理を体系的に研究として学べるという利点があります。将来的に教育職や研究職も視野に入れるなら、こちらを検討する価値があります。
よくある質問
Q. 認定看護管理者と認定看護師はどう違いますか?
専門性の方向が違います。認定看護師は特定分野の看護技術、認定看護管理者は看護管理(組織運営)が専門領域です。どちらが上位という関係ではありません。
Q. 必ずサードレベルまで修了する必要がありますか?
いいえ。看護系大学院で看護管理を専攻して修士号を取得するルートもあります。認定審査の受験資格は4つのルートが用意されています。
Q. 働きながら取得できますか?
多くの方が働きながら取得しています。ただし各課程の受講には所定の時間数が必要なため、勤務調整が不可欠です。職場の支援制度の有無を先に確認してください。
Q. 資格の更新はありますか?
あります。有効期間は5年間で、更新の手続きが必要です。
Q. 給料は上がりますか?
資格手当の有無は施設によります。実際には管理職への昇進に伴う役職手当という形で反映されるケースが一般的です。転職時の交渉材料としても機能します。
Q. ファーストレベルだけ受けても意味がありますか?
あります。管理の基本的知識を体系的に学べるため、主任・係長クラスの実務にそのまま活きます。 資格取得を決めていない段階で受講する人も少なくありません。
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まとめ
認定看護管理者とは、日本看護協会の認定審査に合格し、組織を創造的に発展させる能力を認められた看護管理者です。認定看護師・専門看護師が「患者に向かう」専門性であるのに対し、こちらは「組織に向かう」専門性を示します。
教育課程はファーストレベル(管理の基礎)・セカンドレベル(師長クラス)・サードレベル(看護部長クラス・地域まで視野に)の3段階。認定審査の受験資格は、教育課程を積み上げるルートと、大学院で修士号を取得するルートの計4つが用意されています。
給与への直接的な反映は施設によりますが、管理職への昇進と、それに伴う役職手当という形で効いてくるのが実際のところです。
いま主任や係長として現場を任され始めているなら、まずファーストレベルを受けてみるのが現実的な一歩になります。資格を目指すかどうかは、その先で決めても遅くありません。
参考
– 公益社団法人日本看護協会「認定看護管理者」