認定看護師の種類一覧|B課程19分野の役割と選び方、A課程からの移行まで解説
「認定看護師を目指したいけれど、分野が多すぎてどれを選べばいいかわからない」——キャリアアップを考え始めた看護師の多くがぶつかる壁です。しかも制度改正が進行中で、調べるほどにA課程・B課程・特定行為研修といった言葉が出てきて混乱しがちです。
この記事では、認定看護師の分野を一覧で整理したうえで、自分に合った分野の選び方、A課程からB課程への移行、取得にかかる費用と期間まで、迷いどころを順にほどいていきます。
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認定看護師とは?まず制度の全体像を押さえる
認定看護師は、日本看護協会が認定する資格で、特定の看護分野において熟練した看護技術と知識を用いて水準の高い看護を実践できると認められた看護師のことです。
役割は3つに整理されています。
- 実践:個人・家族・集団に対して熟練した看護を実践する
- 指導:看護実践を通じて看護職に対し指導を行う
- 相談:看護職などに対しコンサルテーションを行う
現場では「その分野のことなら、あの人に聞けばわかる」という存在です。病棟のスタッフから相談を受け、他職種とのカンファレンスで発言し、院内勉強会の講師を務める——そんな働き方に近づいていきます。
認定看護師の種類一覧(B課程19分野)
2020年度から始まった新しい教育課程(B課程)では、分野が19分野に再編されました。それぞれの特徴を整理します。
| 分野 | 主な活躍の場・役割 |
|---|---|
| 感染管理 | 院内感染対策の中心。サーベイランス、マニュアル整備、職員教育 |
| がん放射線療法看護 | 放射線治療を受ける患者の有害事象マネジメントと意思決定支援 |
| がん薬物療法看護 | 抗がん剤の安全な取り扱い、副作用対策、セルフケア支援 |
| 緩和ケア | 苦痛症状の緩和、患者・家族の全人的ケア、看取りの支援 |
| クリティカルケア | ICU・救急での急性重症患者の全身管理と早期回復支援 |
| 呼吸器疾患看護 | 慢性呼吸器疾患の増悪予防、呼吸リハビリ、在宅酸素の管理支援 |
| 在宅ケア | 療養者の生活に即した看護、多職種連携、看取りの体制づくり |
| 手術看護 | 術中の安全管理、体位管理、周術期の継続看護 |
| 小児プライマリケア | 小児の急変予防、虐待予防、成育支援 |
| 新生児集中ケア | ハイリスク新生児の状態管理、ディベロップメンタルケア、家族支援 |
| 心不全看護 | 増悪予防、セルフモニタリング指導、意思決定支援 |
| 腎不全看護 | 透析療法の管理、腎代替療法選択の支援、フットケア |
| 生殖看護 | 不妊治療を受ける人への支援、妊孕性温存の意思決定支援 |
| 摂食嚥下障害看護 | 嚥下機能評価、誤嚥性肺炎の予防、経口摂取への支援 |
| 糖尿病看護 | 血糖コントロール支援、フットケア、療養行動の継続支援 |
| 乳がん看護 | 手術・薬物療法を受ける患者の身体的・心理社会的支援 |
| 認知症看護 | BPSDへの対応、意思決定支援、身体拘束をしないケアの推進 |
| 脳卒中看護 | 急性期の重篤化回避、生活再構築の支援、再発予防 |
| 皮膚・排泄ケア | 褥瘡管理、ストーマケア、失禁ケア |
A課程(旧制度)の21分野との違い
2020年度以前の教育課程(A課程)は21分野でした。B課程への再編では、近い領域が統合されています。たとえば「救急看護」と「集中ケア」は「クリティカルケア」に、「がん性疼痛看護」「緩和ケア」は「緩和ケア」に整理されました。
分野が減ったのは役割が縮小したからではなく、特定行為研修を組み込んだ新しい教育体系に合わせて再構成されたためです。
A課程とB課程の違い
もっとも大きな違いは、特定行為研修が含まれるかどうかです。
| 項目 | A課程 | B課程 |
|---|---|---|
| 分野数 | 21分野 | 19分野 |
| 教育時間 | 600時間以上 | 800時間程度+特定行為研修 |
| 特定行為研修 | 含まない | 含む |
| 教育期間の目安 | 6か月〜1年 | 1年以内 |
| 今後 | 2026年度で教育終了、2029年度で認定審査終了 | 現行制度 |
特定行為とは何か
特定行為とは、医師・歯科医師があらかじめ作成した手順書に基づいて、看護師が実施できる診療の補助のことです。たとえば脱水症状に対する輸液による補正、褥瘡の壊死組織の除去などが該当します。
医師の到着を待たずに手順書の範囲内で対応できるため、患者を待たせない、タイミングを逃さないケアが可能になります。B課程の認定看護師は、この特定行為の実施能力を備えた存在として位置づけられています。
すでにA課程で資格を持っている場合
A課程の認定看護師がB課程に移行することも可能です。特定行為研修を修了したうえで移行手続きを行うという流れになります。すでに現場で経験を積んでいる方にとっては、実践の幅を制度的に広げる選択肢になります。
なお、A課程で取得した認定看護師の資格が無効になるわけではありません。5年ごとの更新を続ければ、認定看護師として活動を継続できます。
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自分に合う分野の選び方
19分野から1つを選ぶのは簡単ではありません。判断の軸を3つ挙げます。
1. これまでの実務経験と重なるか
認定看護師の受験には通算5年以上の実務経験(うち3年以上は希望する認定分野での経験)が必要です。つまり、まったく経験のない分野をいきなり選ぶことはできません。今いる領域の延長線上で考えるのが現実的です。
2. 職場に活躍の場があるか
資格を取っても、勤務先にその分野のニーズがなければ力を発揮しにくくなります。たとえば感染管理はほとんどの医療機関で需要がありますが、新生児集中ケアはNICUを持つ施設に限られます。取得後にどこでどう働くかまで想像してから決めることをおすすめします。
3. 施設の支援制度を受けられるか
後述するとおり、費用も期間もそれなりにかかります。勤務先が奨学金制度や研修派遣制度を持っているか、対象分野の指定があるかは事前に確認しておきましょう。
認定看護師になるまでの流れ
- 受験資格を満たす——看護師免許取得後、通算5年以上の実務経験(うち3年以上は該当分野)
- 認定看護師教育機関に入学——出願・選考を経て入学。競争率は機関により異なる
- 教育課程を修了——B課程は800時間程度+特定行為研修
- 認定審査(筆記試験)を受験——合格率はおおむね80〜90%台
- 認定看護師として登録——以後5年ごとに更新審査
費用と期間の目安
- 受講料:おおむね70万〜100万円台(教育機関により幅がある)
- 期間:1年以内(B課程)
- そのほか、入学金、教材費、遠方の場合は住居費・交通費が別途かかります
働きながら通えるかどうかは教育機関の開講形態次第です。近年はオンライン学習を取り入れる機関も増えていますが、実習は現地で行う必要があります。休職や勤務調整が必要になるケースが多いため、早い段階で上司に相談しておくのが現実的です。
認定看護師を取得するメリット
資格手当がつく
日本看護協会の調査では、認定看護師の資格手当について92.2%が「毎月支払われる」と回答し、平均支給額は月8,530円でした。年間にすると約10万円です。手当だけで受講費用を回収するには数年かかる計算ですが、資格を持つこと自体が昇給・昇格の評価対象になる施設もあります。
働き方の選択肢が広がる
院内の専従ポジションに就く、教育機関で講師を務める、地域の研修会に呼ばれる——といったキャリアが開けます。夜勤中心の勤務から日勤中心へ移るきっかけになることもあり、生活リズムを整えたい人にとっての選択肢にもなります。
転職市場での評価が上がる
専門性を客観的に証明できるため、転職時の交渉材料になります。とくに感染管理、緩和ケア、皮膚・排泄ケア、認知症看護あたりは求人での需要が安定しています。
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専門看護師との違い
似た制度に「専門看護師(CNS)」があります。混同されやすいので整理しておきます。
| 項目 | 認定看護師 | 専門看護師 |
|---|---|---|
| 分野数 | 19分野 | 14分野 |
| 学歴要件 | 不要(教育課程の修了が必要) | 看護系大学院修士課程の修了が必要 |
| 役割 | 実践・指導・相談 | 実践・相談・調整・倫理調整・教育・研究 |
| 平均資格手当 | 月8,530円 | 月11,279円 |
| 方向性 | 特定分野の実践のスペシャリスト | 組織横断的な調整・研究も担う |
現場での実践を極めたいなら認定看護師、研究や組織全体への関与まで視野に入れるなら専門看護師、という整理が実感に近いでしょう。
なお看護職の資格全体の体系については、看護職の種類を徹底解説!資格・働き方・職場の違いをわかりやすく紹介でも解説しています。
よくある質問
Q. 認定看護師の資格はなくなるのですか?
なくなりません。A課程の教育が2026年度で終了し、2029年度で認定審査が終了する予定ですが、これはA課程という教育課程の話です。B課程による認定看護師制度は継続します。
Q. A課程で取得した資格は使えなくなりますか?
使えます。5年ごとの更新を続ければ認定看護師として活動を継続できます。B課程への移行を希望する場合は、特定行為研修の修了が必要です。
Q. 働きながら取得できますか?
教育機関の開講形態によります。オンラインを併用する機関も増えていますが、実習期間は通学が必要です。多くの場合、休職や長期の勤務調整が前提になります。
Q. どの分野が取得しやすいですか?
認定審査の合格率は全体で80〜90%台と高く、分野による極端な差は公表されていません。ただし教育機関の数と定員は分野ごとに異なるため、入学の競争率は分野差が出ます。開講している教育機関の数を日本看護協会のサイトで確認してみてください。
Q. 資格を取ったあと、必ず異動になりますか?
施設の方針次第です。専従ポジションを設ける施設もあれば、病棟勤務を続けながら院内活動を担う形もあります。取得前に施設側と役割について話し合っておくと、取得後のミスマッチを防げます。
まとめ
認定看護師の分野は、新制度(B課程)で19分野に再編されました。選ぶうえでの軸は、これまでの実務経験と重なるか・職場に活躍の場があるか・施設の支援を受けられるかの3つです。
費用は70万〜100万円台、期間は1年以内。決して軽い決断ではありませんが、専門性を形にすることで働き方の選択肢は確実に広がります。まずは自分が3年以上関わってきた領域を書き出して、そこに当てはまる分野から検討を始めてみてください。