ナースの勉強部屋

看護記録の保存期間は何年?病院・クリニック・訪問看護の早見表と、訂正・持ち出しで問題にならない書き方

看護記録の保存期間は何年?病院・クリニック・訪問看護の早見表と、訂正・持ち出しで問題にならない書き方

病院の看護記録は、医療法施行規則で2年間の保存が決まっています。保険診療を行う病院・クリニックでは、これとは別に保険医療機関及び保険医療養担当規則(療担規則)で、完結の日から3年間の保存が求められます。医師が書く診療録(カルテ)は5年間です。

訪問看護ステーションの記録は、医療保険・介護保険とも国の基準では2年間ですが、介護保険の分は自治体の条例で5年にしているところがあります。

どの法令がかかるかは、働いている場所で変わります。この記事では、記録の種類ごとの保存期間を早見表にまとめ、電子カルテでの扱い、訂正の書き方、退職時に記録を持ち出してはいけない理由まで整理します。

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目次
  1. 看護記録の保存期間の早見表(根拠法令と起算点)
  2. 病院の看護記録は2年と3年のどちらで考えるか
  3. クリニック(診療所)の看護記録は医療法の2年の対象外
  4. 訪問看護・介護保険施設の記録は自治体の条例も確かめる
  5. 保存期間の起算点「完結の日」と「過去2年間」の違い
  6. 電子カルテの看護記録は真正性・見読性・保存性で守られる
  7. 看護記録の訂正が改ざんにならない書き方
    1. 訂正・追記のチェックリスト
    2. 訂正と追記の例文
  8. 退職時に看護記録を持ち出してはいけない理由
  9. よくある質問
    1. 保存期間を過ぎた看護記録は、すぐ捨ててよいのですか?
    2. 看護記録の保存期間について、国家試験の勉強ではどう覚えればよいですか?
    3. 保健師助産師看護師法には、看護記録の保存期間は書かれていないのですか?
  10. まとめ
  11. 参考

看護記録の保存期間の早見表(根拠法令と起算点)

看護記録と、その周りの記録の保存期間です。法令が決めているのは最低限の期間で、職場の規程でこれより長くしていることがあります。

記録 保存期間 起算点 根拠 かかる場所
看護記録(診療に関する諸記録) 2年間 「過去2年間」の記録を備える 医療法第21条第1項第9号、医療法施行規則第20条第10号 すべての病院
看護記録(地域医療支援病院・特定機能病院) 2年間 「過去2年間」 医療法第22条・第22条の2、同施行規則第21条の5・第22条の3 該当する病院
療養の給付の担当に関する帳簿・書類その他の記録 3年間 完結の日から 療担規則第9条 保険医療機関(病院・クリニック)
診療録(カルテ) 5年間 医師法は起算点の定めなし。療担規則では完結の日から 医師法第24条第2項、療担規則第9条ただし書 病院・クリニック
助産録 5年間 定めなし 保健師助産師看護師法第42条第2項 分娩介助をした病院・診療所・助産所
訪問看護記録書・訪問看護指示書・計画書・報告書(医療保険) 2年間 完結の日から 指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準 第30条 訪問看護ステーション
主治医の指示の文書・訪問看護計画書・報告書・提供したサービスの記録など(介護保険) 2年間(自治体の条例で5年の例あり) 完結の日から 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準 第73条の2 訪問看護ステーション
施設サービス計画・提供したサービスの記録・身体的拘束の記録など 2年間(基準は自治体の条例で定める) 完結の日から 介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準 第38条 介護老人保健施設

医療法施行規則が「診療に関する諸記録」として挙げているのは、病院日誌、各科診療日誌、処方せん、手術記録、看護記録、検査所見記録、エックス線写真、入院患者と外来患者の数を明らかにする帳簿、入院診療計画書です。

病院の看護記録は2年と3年のどちらで考えるか

病院の看護記録には、医療法施行規則の2年と、療担規則の3年の両方がかかります。保険診療をしている病院なら、長いほうの3年を守ることになります。

医療法施行規則第20条第10号は、すべての病院が備える「診療に関する諸記録」に看護記録を含めています。

職場の規程で法令より長く定めていることもあります。自分の病院で何年なのかは、文書管理規程や診療情報管理の部署で確かめられます。

クリニック(診療所)の看護記録は医療法の2年の対象外

医療法第21条の「診療に関する諸記録」は、病院だけにかかる規定です。クリニックで書く看護記録には、医療法施行規則の2年の規定はありません。

保険診療を行うクリニックは保険医療機関なので、療担規則の「療養の給付の担当に関する記録」として、完結の日から3年間の保存が求められます。クリニックの看護師は、まず3年と覚えておくと判断を誤りません。

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訪問看護・介護保険施設の記録は自治体の条例も確かめる

訪問看護ステーションは、医療保険と介護保険で根拠になる基準が違います。

利用者の保険 基準 名指しされている記録
医療保険 指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準 第30条 訪問看護記録書、訪問看護指示書、訪問看護計画書、訪問看護報告書、市町村等への情報提供書、連絡調整の記録
介護保険 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準 第73条の2 主治医の指示の文書、訪問看護計画書、訪問看護報告書、提供したサービスの内容等の記録、身体的拘束等の記録、苦情の内容等の記録など

どちらも国の基準は「完結の日から2年間」です。ただし介護保険の事業所の基準は、都道府県や市が条例で定めています。たとえば川崎市は、サービス提供の記録の保存期間を条例で5年としています。

介護保険の訪問看護や老健で働く人は、事業所がある自治体の条例と、事業所の運営規程の両方を見てください。

保存期間の起算点「完結の日」と「過去2年間」の違い

起算点の書き方は、法令によって違います。

  • 療担規則・訪問看護・介護保険の基準:「その完結の日から」
  • 医療法施行規則:「過去2年間の」記録を備える
  • 医師法の診療録、保健師助産師看護師法の助産録:「5年間これを保存」とだけ書かれている

「完結の日」が治療の終わった日なのか、最後に記載した日なのかは、法令の条文には書かれていません。外来に何年も通う患者の記録は、完結の日が先へ延び続けます。迷うときは、職場の規程で起算点がどう決められているかを確かめてください。

電子カルテの看護記録は真正性・見読性・保存性で守られる

紙で保存が決まっている記録を電子カルテで残すときは、次の3つを満たす必要があります。厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」が示している条件です。

条件 意味 看護師がすること
真正性 誰がいつ書いたかがわかり、書き換え・消去・混同が防がれている 自分のIDでログインする。他人のIDで入力しない。離席するときはログオフする
見読性 必要なときに、画面や紙ですぐ読める システムが止まったときの代わりの記録方法を、職場の手順で確かめておく
保存性 保存期間のあいだ、読める状態で残る 記録を個人のUSBメモリなどに移さない

電子カルテでは、確定した記録を後から直すと、更新の履歴が残ります。直す前と後の内容を照らし合わせられる仕組みなので、「こっそり書き直す」ことはできません。他人のIDでログインして入力すると、記録の作成者が事実と食い違い、真正性そのものが崩れます。

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看護記録の訂正が改ざんにならない書き方

日本看護協会の「看護記録に関する指針」は、改ざんを「記録の全部又は一部を意図的に、事実と異なる内容に書き換えること」としています。訂正そのものは問題ありません。問題になるのは、元の記載が読めなくなる直し方と、事実と違う内容に書き換えることです。

訂正・追記のチェックリスト

  • [ ] 訂正した人、訂正した内容、訂正した日時がわかる
  • [ ] 訂正する前の記載が読める形で残っている(紙なら二重線を引く。修正液や塗りつぶしは使わない)
  • [ ] 追記は、いつの、どの記載への追記かがわかる
  • [ ] 記載した日時と、記載した人の名前が残っている
  • [ ] 職場の記載基準(署名の仕方・訂正の方法・使ってよい略語)に沿っている

訂正と追記の例文

場面 改ざんと受け取られる書き方 問題にならない書き方
体温を書き間違えた 「38.5」を塗りつぶして「37.5」と書く 「~~38.5~~ 37.5」とし、訂正日時と訂正者名を添える
書き忘れた観察を後で書く 当時の時刻の欄に、当時書いたように書き足す 「10/8 16:30 追記(10/8 10:00の観察):腹部膨満なし。〇〇」
急変後に記録を整える 経過を後から都合よく書き直す 書いた時刻をそのまま残し、思い出して書いた内容は追記として区別する

急変やインシデントの後は、記録を見直したくなる場面です。そのときほど、元の記載を残したまま追記で補う、という順番を守ってください。

退職時に看護記録を持ち出してはいけない理由

看護記録は、書いた看護師個人のものではありません。診療録や助産録の条文が保存の責任を「病院又は診療所の管理者」に置いているように、記録は職場が管理するものです。

持ち出しが問題になる理由は3つあります。

  1. 守秘義務に触れる。看護師は、業務上知った人の秘密を、正当な理由なく漏らしてはいけません。看護師をやめた後も同じです(保健師助産師看護師法第42条の2)。違反すると6か月以下の拘禁刑または10万円以下の罰金です(同法第44条の4。告訴がなければ起訴されない)
  2. 職場の保存義務を損なう。記録の写しが外に出ると、職場は保存性や漏えい防止の責任を果たせなくなります
  3. 個人のメモやワークシートも同じ扱いになる。患者名や病状が書かれていれば、患者の個人情報です

退職前に、ロッカーや自宅に患者の情報が書かれたメモ、申し送りの紙、印刷した記録が残っていないかを確かめて、職場の手順でシュレッダーや回収に回してください。研究や事例検討で記録を使いたいときは、退職前に所属の手続きで許可を取ります。

よくある質問

保存期間を過ぎた看護記録は、すぐ捨ててよいのですか?

法令の期間を過ぎても、職場の規程でもっと長く残すことになっていることがあります。日本看護協会の指針も、法令どおりの保存に加えて、証拠としての保管を考える必要があるとしています。捨てるかどうかは個人で判断せず、職場の規程に従います。

看護記録の保存期間について、国家試験の勉強ではどう覚えればよいですか?

数字だけでなく、根拠の法令とセットで覚えると混同しません。診療録は医師法で5年、助産録は保健師助産師看護師法で5年、看護記録は医療法施行規則で2年、保険診療の記録は療担規則で3年です。

保健師助産師看護師法には、看護記録の保存期間は書かれていないのですか?

書かれていません。同法が記載と保存を定めているのは、助産師が書く助産録(5年間)だけです。看護記録の保存期間は、医療法施行規則や療担規則、訪問看護・介護保険の基準など、働く場所ごとの法令で決まります。

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まとめ

  • 病院の看護記録は医療法施行規則で2年。保険診療を行う病院・クリニックは療担規則で完結の日から3年
  • クリニックは医療法の2年の対象外で、療担規則の3年が根拠になる
  • 訪問看護・介護保険施設は国の基準で2年。介護保険分は自治体の条例で5年の例がある
  • 電子カルテでは自分のIDで入力し、確定後の訂正は履歴が残る前提で行う
  • 訂正は元の記載を読める形で残し、追記はいつの何への追記かを明記する。退職時は記録もメモも持ち出さない

参考

  • e-Gov法令検索「医療法」https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000205
  • e-Gov法令検索「医療法施行規則」https://laws.e-gov.go.jp/law/323M40000100050
  • e-Gov法令検索「医師法」https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000201
  • e-Gov法令検索「保健師助産師看護師法」https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000203
  • e-Gov法令検索「保険医療機関及び保険医療養担当規則」https://laws.e-gov.go.jp/law/332M50000100015
  • e-Gov法令検索「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準」https://laws.e-gov.go.jp/law/412M50000100080
  • e-Gov法令検索「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」https://laws.e-gov.go.jp/law/411M50000100037
  • e-Gov法令検索「介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準」https://laws.e-gov.go.jp/law/411M50000100040
  • 厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第7.0版」https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000516275_00006.html
  • 日本看護協会「看護記録に関する指針」https://www.nurse.or.jp/nursing/home/publication/pdf/guideline/nursing_record.pdf
  • 川崎市「記録の整備・保存」https://www.city.kawasaki.jp/350/cmsfiles/contents/0000105/105693/kirokunoseibi_hozon.pdf