ナースの勉強部屋

寝たきり度とは?障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準の表と、看護師が迷わない判定・記録のコツ

寝たきり度とは?障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準の表と、看護師が迷わない判定・記録のコツ

寝たきり度は、正式には「障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)」といいます。「何ができるか」ではなく「普段どう過ごしているか」を、移動の状態に着目してJ・A・B・Cの4ランク、さらに1・2の8区分で表すものです。

看護サマリー、退院支援の情報提供、介護保険の主治医意見書や認定調査など、看護師がこのランクを書く場面は多くあります。ところが「杖で外に出られるけど、実際はほとんど家にいる人はJ?A?」のように、境目で手が止まりがちです。

この記事では、厚生労働省の判定基準の原文をもとに、各ランクの中身、判定の手順、迷いやすい境目、記録での書き方を整理します。

看護師専門転職サービス
「クリアス看護」

LINE友だち追加で、希望条件に合った求人紹介や
非公開求人のご案内を無料で受けられます。
給与・働き方・勤務条件など、
転職に関するご相談もLINEで気軽に可能です。

目次
  1. 障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準の表
    1. 4つのランクを一言でつかむ
  2. 寝たきり度の判定は「能力」ではなく「状態」で見る
    1. 判定の手順は外出→日中の過ごし方→移乗→寝返りの順
    2. 日や時間帯で状態が違うときは「おおむね過去1週間」で決める
  3. 寝たきり度の判定で迷いやすい境目と決め方
    1. よくある判定のずれ
  4. 寝たきり度が使われる書類・場面(主治医意見書・認定調査・看護サマリー)
    1. 要介護度とは別の物差し
  5. 寝たきり度と認知症高齢者の日常生活自立度は別の基準
  6. 寝たきり度の記録での書き方と例文
    1. 例文
  7. よくある質問
    1. 寝たきり度A2とはどんな状態?
    2. 杖や車いすを使っていてもランクJになりますか?
    3. 寝たきり度が変わったら書き直す必要はありますか?
  8. まとめ
  9. 参考

障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準の表

判定基準のもとになっているのは、1991年(平成3年)11月18日の厚生省大臣官房老人保健福祉部長通知「『障害老人の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準』の活用について」(老健第102-2号)です。現在は、介護保険の認定調査票記入の手引きなどで「障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)」の名称で使われています。

区分 ランク 判定基準(原文)
生活自立 ランクJ 何らかの障害等を有するが、日常生活はほぼ自立しており独力で外出する
J1 交通機関等を利用して外出する
J2 隣近所へなら外出する
準寝たきり ランクA 屋内での生活は概ね自立しているが、介助なしには外出しない
A1 介助により外出し、日中はほとんどベッドから離れて生活する
A2 外出の頻度が少なく、日中も寝たり起きたりの生活をしている
寝たきり ランクB 屋内での生活は何らかの介助を要し、日中もベッド上での生活が主体であるが、座位を保つ
B1 車いすに移乗し、食事、排泄はベッドから離れて行う
B2 介助により車いすに移乗する
寝たきり ランクC 1日中ベッド上で過ごし、排泄、食事、着替において介助を要する
C1 自力で寝返りをうつ
C2 自力では寝返りもうてない

基準の欄外には「判定に当たっては、補装具や自助具等の器具を使用した状態であっても差し支えない」と書かれています。また、障害のない、いわゆる健常な高齢者はこの基準の対象外で、書類では「自立」を選びます。

4つのランクを一言でつかむ

認定調査の手引きでは、各ランクを次の状態像にたとえています。覚えておくと判定の見当がつけやすくなります。

  • ランクJ:一人で外出できる。「障害等」は、疾病・傷害・その後遺症・老衰による身体機能の低下を指す
  • ランクA:家の中はおおむね自分でできるが、外出には介助が要る。「寝たきり予備軍」、いわゆるハウスバウンド
  • ランクB:1日の大半をベッド上で過ごすが、座っていられる。いわゆるチェアバウンド
  • ランクC:1日中ベッド上で、食事・排泄・着替えのすべてに全面的な介助が要る。いわゆるベッドバウンド

寝たきり度の判定は「能力」ではなく「状態」で見る

判定でいちばん大事なのは、この基準が「〜をすることができる」という能力の評価ではなく、「状態」、特に移動に関わる状態像で評価するものだという点です。認定調査の手引きにもそう明記されています。

たとえば、リハビリ室では歩行器で50m歩けても、自宅では外に出ることがなく日中の大半を寝たり起きたりで過ごしているなら、判定は日頃の状態にもとづいて行います。「歩けるからJ」とはなりません。

判定の手順は外出→日中の過ごし方→移乗→寝返りの順

上から順に絞り込むと迷いにくくなります。

  1. 一人で外出しているか:している → ランクJ(交通機関を使って遠くまで出るならJ1、町内程度ならJ2)
  2. 外出はしないが、日中は主にベッドから離れて過ごしているか:離れている → ランクA(介助があれば比較的よく外出するならA1、介護者がいてもまれにしか出ないならA2)
  3. 日中はベッド上が主体だが、座位を保てるか:保てる → ランクB(自力で車いすに移乗し、食事も排泄もベッドから離れて行うならB1、移乗に介助が要るならB2)
  4. 1日中ベッド上で、食事・排泄・着替えに全面介助が要る → ランクC(自力で寝返りをうつならC1、うてないならC2)

日や時間帯で状態が違うときは「おおむね過去1週間」で決める

朝は起きていられるが夕方は臥床している、体調によって差がある、といった場合は、調査日よりおおむね過去1週間のうち、より頻回に見られる状況や日頃の状況で選びます。そのうえで、日頃の状況の具体的な内容を特記事項に書くよう、認定調査の手引きで定められています。

病棟でのサマリーや院内の評価でも、この考え方に合わせておくと、在宅・施設側の評価とずれにくくなります。

寝たきり度の判定で迷いやすい境目と決め方

判定の説明文(認定調査の手引き)には、境目を分けるための細かい決まりが書かれています。現場で迷いやすいものをまとめます。

迷う場面 決め方
杖・歩行器・車いすを使えば一人で外出できる 補装具や自助具を使った状態で判定してよい。一人で外出しているならランクJ
一人で歩けるが、外出には家族が付き添っている 「介助なしには外出しない」に当たるのでランクA
AとBの境目 日中ベッドから離れている時間の方が長いならA、ベッド上が主体ならB。あわせて食事・排泄・着替のいずれかに部分的な介助が要るかを見る
A1とA2の境目 介助のもとで比較的多く外出するならA1、介護者がいてもまれにしか外出しないならA2
夜だけおむつを使っている 夜間のみのおむつは「介助を要する」とはみなさない
車いすを使っていない 「車いす」は一般のいすやポータブルトイレ等に読み替えてよい
B1とB2の境目 車いすへの移乗、座位の保持を自力で行うか、介助が要るか
BとCの境目 座位を保ち、ベッドから離れる時間があればB。1日中ベッド上で食事・排泄・着替のいずれにも全面介助ならC
C1とC2の境目 自力で寝返りをうち体位を変えるかどうか

なお、基準の「ベッドから離れている」は「離床」の意味で、布団を使っている人も含みます。

よくある判定のずれ

判定のずれは、次の3つのパターンで起きやすくなります。

  • できることで判定してしまう:リハビリ中の最大能力でなく、生活の中での普段の状態で見る
  • その日の様子だけで判定してしまう:入院直後や発熱時など一時的な状態で決めず、おおむね1週間の日頃の状況で見る
  • ランクだけ書いて根拠を書かない:次に読む人が再評価できないため、判定の決め手になった状態を一緒に書く

看護師専門転職サービス
「クリアス看護」

LINE友だち追加で、希望条件に合った求人紹介や
非公開求人のご案内を無料で受けられます。
給与・働き方・勤務条件など、
転職に関するご相談もLINEで気軽に可能です。

寝たきり度が使われる書類・場面(主治医意見書・認定調査・看護サマリー)

寝たきり度は、介護保険と医療・介護の報酬の両方で共通の物差しとして使われています。

場面・書類 使われ方
介護保険の認定調査票 認定調査員が、調査時の様子と日頃の状況から判定する
主治医意見書 主治医が「日常生活の自立度等について」の欄に記入する。看護師が情報提供を求められることも多い
看護サマリー・退院時の情報提供 転院先・施設・訪問看護へ、移動やADLの目安として引き継ぐ
入院中の褥瘡対策 入院基本料の褥瘡対策で使う評価の様式に日常生活自立度の欄があり、J1〜A2の患者は危険因子の評価票の作成を要しないとされている(様式は診療報酬改定で見直されることがあるため、最新の様式で確認する)
介護医療院の特別診療費(褥瘡対策指導管理) ランクB以上の利用者について、常時褥瘡対策をとっている場合に算定できる

つまり、ランクがBかどうかは、褥瘡対策の計画を立てる対象かどうかにも直結します。病棟で「なんとなくA2」と書いた評価が、褥瘡の危険因子の評価を省く根拠になってしまうこともあるため、境目の判定は丁寧に行いましょう。

看護サマリーの項目や書き方全体は看護サマリーとは?書く項目と、読む人に伝わる書き方のコツで解説しています。介護保険の制度そのものは看護師向け・介護保険法とは?医療保険との違いやサービスも参考にしてください。

要介護度とは別の物差し

寝たきり度が重いほど要介護度も重くなりやすいものの、両者は別のものです。要介護度は、認定調査の結果や主治医意見書をもとに市区町村の介護認定審査会が判定します。寝たきり度は、その資料に含まれる評価項目の一つにすぎません。

また、病棟で使う「重症度、医療・看護必要度」とも目的が違います。看護必要度は入院料の要件を判定するための評価で、項目も採点方法も異なります。改定の内容は看護必要度2026年改定のポイントで整理しています。

寝たきり度と認知症高齢者の日常生活自立度は別の基準

主治医意見書や認定調査票では、寝たきり度のすぐ隣に「認知症高齢者の日常生活自立度」の欄があります。こちらは認知症による生活への支障の程度をⅠ〜Ⅳ・Mで表す別の基準で、寝たきり度とは独立して判定します。

身体はランクJでも認知症の自立度はⅢa、ということも普通にあります。2つをまとめて1つの「自立度」として書かないようにしましょう。

寝たきり度の記録での書き方と例文

記録や書類には、ランクと、その判定の決め手になった状態をセットで書きます。ランクだけでは、次に読む人が「なぜB2なのか」を確かめられないためです。

書く要素は次の4つです。

  • ランク(例:B2)
  • 判定の決め手になった状態(外出・日中の過ごし方・移乗・寝返りのどれで決めたか)
  • 補装具や介助の内容(杖、歩行器、車いす、一部介助など)
  • 状態に波がある場合は、その内容と判定に使った期間

例文

J2の例

障害高齢者の日常生活自立度:J2。T字杖使用で近所のスーパーまで一人で買い物に行く。バス等の交通機関は利用していない。

A2の例

障害高齢者の日常生活自立度:A2。屋内は伝い歩きで食事・排泄・更衣は自立。外出は通院時のみ家族の付き添いで月1回程度。日中は臥床と離床を繰り返すが、離床している時間の方が長い。

B2の例

障害高齢者の日常生活自立度:B2。日中はベッド上で過ごす時間が主体。車いすへの移乗は1名介助。食事は車いす上で自力摂取、排泄は日中トイレ誘導・夜間のみおむつ使用。

C1の例

障害高齢者の日常生活自立度:C1。終日ベッド上で臥床。食事・排泄・更衣は全介助。自力で寝返り可能。

状態が日によって違う場合は、「日中の離床は午前のみ。過去1週間では午後臥床している日の方が多くA2と判定」のように、判定に使った期間と頻度を書き添えると、受け取った側が状態を具体的にイメージできます。

看護師専門転職サービス
「クリアス看護」

LINE友だち追加で、希望条件に合った求人紹介や
非公開求人のご案内を無料で受けられます。
給与・働き方・勤務条件など、
転職に関するご相談もLINEで気軽に可能です。

よくある質問

寝たきり度A2とはどんな状態?

家の中の食事・排泄・着替えはおおむね自分でできるものの、外出の頻度が少なく、日中も寝たり起きたりの生活をしている状態です。ただし、ベッドから離れている時間の方が長いことが条件で、ベッド上が主体になっていればランクBを検討します。

杖や車いすを使っていてもランクJになりますか?

なります。判定基準には「補装具や自助具等の器具を使用した状態であっても差し支えない」とあり、杖や車いすを使って一人で外出しているならランクJです。反対に、器具があっても付き添いなしでは外出しないならランクAです。

寝たきり度が変わったら書き直す必要はありますか?

寝たきり度は判定した時点の状態を表すので、状態が変われば新しい判定を書きます。退院前後やリハビリで状態が変わった人は、サマリーや情報提供書に古いランクを転記しないよう、書く時点の状態で判定し直しましょう。

まとめ

  • 寝たきり度(障害高齢者の日常生活自立度)は、J(生活自立)・A(準寝たきり)・B・C(寝たきり)の4ランク、1・2の8区分で表す
  • 判定は「できること」ではなく、移動に関わる普段の状態で行う。補装具を使った状態でよく、状態に波があればおおむね過去1週間の日頃の状況で決める
  • 外出→日中の過ごし方→移乗→寝返りの順に絞り込むと迷いにくい
  • 主治医意見書・認定調査・看護サマリーのほか、褥瘡対策の対象判定にも使われる
  • 記録にはランクと判定の決め手になった状態をセットで書く

参考

  • 厚生労働省「『障害老人の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準』の活用について」(平成3年11月18日 老健第102-2号)https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta4269&dataType=1&pageNo=1
  • 厚生労働省「認定調査票記入の手引き」障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)・認知症高齢者の日常生活自立度 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000077382.pdf
  • 厚生労働省「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」別添6(褥瘡対策の評価様式)https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken15/dl/5-2-2.pdf
  • 厚生労働省「特別診療費の算定に関する留意事項について」(褥瘡対策指導管理)https://www.mhlw.go.jp/content/12301000/000750742.pdf