ナースの勉強部屋

NST(栄養サポートチーム)とは?役割やラウンドの流れ、専門資格を徹底解説

NST(栄養サポートチーム)とは?役割やラウンドの流れ、専門資格を徹底解説

医療現場において、患者さまの栄養状態の改善はすべての治療の基盤となります。その栄養管理を多職種で専門的に行うのが「NST(栄養サポートチーム)」です。

なかでも、24時間患者さまの最も近くにいる看護師は、NSTにおいて欠かせないキーパーソンです。本記事では、看護師向けにNSTの目的や具体的な役割、ラウンドの流れ、さらなるキャリアアップにつながる「NST専門療法士」の資格について徹底解説します。

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目次
  1. NST(栄養サポートチーム)とは?
    1. NSTの将来性と社会的ニーズ
  2. NSTを構成する主な職種とそれぞれの役割
  3. NSTにおける看護師の重要な4つの役割
    1. 1. 24時間体制での観察と情報収集(アセスメント)
    2. 2. 多職種連携のハブ(調整役)
    3. 3. 栄養管理計画の安全な実施とモニタリング
    4. 4. 患者さま・ご家族への心理的サポートと指導
  4. NST活動(ラウンド)の具体的な流れ
  5. さらなるキャリアアップへ:「NST専門療法士」とは
    1. NST専門療法士の概要と取得要件
    2. 看護師が資格を取得するメリット
  6. NSTで看護師ならではの視点と専門性を発揮しよう!

NST(栄養サポートチーム)とは?

NST(Nutrition Support Team:栄養サポートチーム)とは、患者さま一人ひとりに最適な栄養管理を提供するため、多種多様な医療専門職が連携して活動する医療チームのことです。

適切な栄養介入を行うことで、免疫力の向上、創傷治癒の促進、感染症などの合併症予防につながります。結果として、患者さまのQOL(生活の質)向上や在院日数の短縮、さらには医療費の削減にも大きく貢献します。

NSTの将来性と社会的ニーズ

現在、日本は超高齢社会を迎え、「低栄養」や「フレイル(加齢による心身の予備能力低下)」を抱える高齢患者が増加しています。疾患の治療だけでなく、いかに栄養状態を維持・向上させるかが重要視されており、急性期から回復期、在宅医療に至るまで、NSTの介入ニーズは年々高まり続けています。

NSTを構成する主な職種とそれぞれの役割

NSTは「多職種連携」が前提であり、各専門職が知識と技術を持ち寄ることで成り立っています。施設によって構成メンバーは異なりますが、主に以下のような職種が参加しています。

  • 医師: チームのリーダーとして統括し、医学的見地から栄養療法の治療方針を決定・指示します。
  • 管理栄養士: 栄養状態の評価(アセスメント)を行い、必要カロリーの算出や、患者さまの嚥下状態・嗜好に合わせた食事形態の調整を行います。
  • 薬剤師: 輸液や経腸栄養剤の提案、現在服用している医薬品と食品・栄養剤との相互作用の確認を行います。
  • 臨床検査技師: 血液データなどの検査結果を管理・分析し、栄養状態の客観的な指標をチームに提供します。
  • リハビリテーション職(PT・OT・ST): 食事動作の訓練や適切な姿勢の保持、嚥下機能の評価と訓練(ST)を通じて、経口摂取をサポートします。
  • 歯科衛生士: 栄養摂取の入り口となる口腔内の環境を評価し、適切な口腔ケアを実施・指導します。

NSTにおける看護師の重要な4つの役割

他職種が専門的な評価を行う一方で、看護師は「患者さまの生活全体を診る」立場として、以下の重要な役割を担います。

1. 24時間体制での観察と情報収集(アセスメント)

看護師は日々のケアを通じて、数値には現れないリアルな情報を収集できる唯一の存在です。 食事の摂取量(主食・副食の割合など)だけでなく、「むせ込みはないか」「食欲低下の原因は痛みや吐き気ではないか」「皮膚の乾燥や浮腫、褥瘡の兆候はないか」「排便状況はどうか」など、全身状態を総合的にアセスメントし、栄養悪化のリスクを早期に発見します。

2. 多職種連携のハブ(調整役)

NST活動において、看護師は各専門職と現場(病棟)をつなぐ「橋渡し役」です。ベッドサイドで得た患者さまの些細な変化や訴えをチームに共有し、カンファレンスでの議論を深めます。また、医師の指示や管理栄養士のプランが、患者さまの現在のADL(日常生活動作)や病棟の業務フローにおいて無理なく安全に実施できるか、現場目線で調整を図ります。

3. 栄養管理計画の安全な実施とモニタリング

立案された栄養ケア計画を実際にベッドサイドで提供するのは主に看護師です。 経腸栄養(胃管や胃瘻)や静脈栄養(中心静脈・末梢静脈)の管理においては、チューブの自己抜去防止、投与速度の調整、感染予防対策など、高度な安全管理が求められます。実施後は、下痢や嘔吐、血糖値の変動などの合併症が起きていないか継続的にモニタリングを行います。

4. 患者さま・ご家族への心理的サポートと指導

長期間食事が摂れない、あるいは経管栄養に切り替わるといった変化は、患者さまやご家族に大きな精神的ストレスを与えます。看護師は不安な気持ちに寄り添い、栄養管理の必要性をわかりやすく説明します。 また、退院を見据えて、在宅での栄養剤の取り扱い方法や経管栄養の管理手順をご家族に指導し、スムーズな在宅移行を支援するのも重要な役割です。

NST活動(ラウンド)の具体的な流れ

多くの病院では、週に1回程度のペースで「NSTラウンド(回診)」が実施されます。一般的な活動の流れは以下の通りです。

  1. 情報共有(事前のカンファレンス): ラウンド前にチームが集まり、対象患者さまの基本情報、血液データ、食事摂取状況などを共有します。看護師は直近の様子や現場での課題を報告します。
  2. 病棟ラウンド(患者さまの観察): 実際にベッドサイドへ赴き、患者さまの顔色、皮膚状態、口腔内、食事の姿勢などを多職種で直接観察します。患者さま本人からの訴えを直接ヒアリングすることも重要です。
  3. 改善策の検討: 観察結果をもとにチームで意見を交わし、「栄養剤の種類の変更」「食事形態のアップ」「車椅子乗車時の姿勢調整」など、具体的な改善策を決定します。
  4. 記録と病棟へのフィードバック: 決定事項をカルテや栄養管理計画書に記録し、担当医や病棟スタッフに共有します。計画が日々の看護業務に落とし込まれるよう、NST担当看護師が病棟スタッフへ周知・指導を行います。

さらなるキャリアアップへ:「NST専門療法士」とは

NST活動に参加するために特別な資格は必須ではありません。しかし、より専門的な知識を持ってチームに貢献したい看護師には、「NST専門療法士」の資格取得をおすすめします。

NST専門療法士の概要と取得要件

NST専門療法士は、一般社団法人日本臨床栄養代謝学会(JSPEN)が認定する資格です。エビデンスに基づいた適切な栄養管理を実践できるスペシャリストであることを証明します。

看護師が取得するための主な要件(※最新情報は学会HPを参照)は以下の通りです。

  • 看護師免許取得後、医療・福祉施設で3年以上の勤務経験があること(その間、栄養サポート関連業務に従事していること)
  • 学会が主催する学術集会や必須セミナーを受講し、所定の単位(30単位以上)を取得すること
  • 認定教育施設において合計40時間の実地修練を修了すること
  • 認定試験に合格すること

看護師が資格を取得するメリット

  • 専門性の向上と自信: 栄養学や代謝のメカニズム、各種栄養剤の深い知識が身につき、カンファレンスで根拠に基づいた的確な提案ができるようになります。
  • キャリアアップと転職での優位性: NST加算を取得している病院は増えており、有資格者はチーム医療の即戦力として高く評価されます。転職活動時に有利に働くほか、職場によっては資格手当の対象となるケースもあります。
  • 後輩指導・リーダーシップの発揮: 院内での勉強会の企画や、病棟スタッフへの指導を通じて、施設全体の看護の質向上に貢献できます。

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NSTで看護師ならではの視点と専門性を発揮しよう!

栄養管理は「万病に効く薬」とも呼ばれるほど、医療の根幹をなすものです。 NSTにおいて、24時間患者さまの生活を見つめ、多職種の専門知識を日々のケアに統合していく看護師の役割は計り知れません。

「なぜ食事が進まないのか?」「どうすれば安全に栄養を摂取できるか?」という日々の気づきが、患者さまの回復を後押しする大きな一歩になります。日々の業務のなかで栄養への意識を高め、ぜひNSTというチーム医療の舞台であなたの専門性を存分に発揮してください。