【看護師向け】血液ガス(血ガス)分析の基準値・読み方から採血手順まで徹底解説
血液ガス分析(血ガス)とは?看護師が把握すべき目的
血液ガス分析は、血中に溶けている酸素や二酸化炭素の量、血液の酸塩基平衡(pHのバランス)を評価する検査です。
臨床で広く用いられるパルスオキシメーター(SpO2)は、ヘモグロビンと酸素が結合している割合を示しますが、末梢冷感などの測定条件に左右されやすく、血中の二酸化炭素濃度(PaCO2)までは測定できません。
動脈血を直接採取する血ガス分析によって、以下の2点を正確にアセスメントすることが最大の目的です。
- ガス交換障害の有無:肺胞と毛細血管の間で、酸素の取り込みと二酸化炭素の排出が正常に行われているか。
- 酸塩基平衡障害の有無:呼吸だけでなく、腎臓などの代謝機能を含めた体内の酸・アルカリのバランスが保たれているか。
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【一覧表】血液ガス分析の主な基準値
血ガスデータを読み解くための主要な基準値を整理します。
| 測定項目 | 略語 | 基準値(正常値) | 評価する内容 |
| 動脈血酸素分圧 | PaO2 | 80〜100 Torr (mmHg) | 動脈血中の酸素の量(酸素化) |
| 動脈血酸素飽和度 | SaO2 | 95%以上 (または96±2%) | 酸素と結合したヘモグロビンの割合 |
| 動脈血二酸化炭素分圧 | PaCO2 | 35〜45 Torr (mmHg) | 動脈血中の二酸化炭素の量(換気) |
| 水素イオン濃度指数 | pH | 7.35〜7.45 | 血液の酸塩基平衡(酸・アルカリ度) |
| 重炭酸イオン | HCO3- | 22〜26 mEq/L (mmol/L) | 腎臓での酸の緩衝・代謝機能 |
| ベースエクセス | BE | -2〜+2 mEq/L (mmol/L) | 基準値からのHCO3-の過不足 |
アセスメントに必須の用語(違いに注意!)
アシドーシス
体内を酸性に傾けようとする病態・原因(プロセス)のことです。
アシデミア(酸血症)
アシドーシスの結果、実際に血液のpHが7.35未満になった状態のことです。
アルカローシス
体内をアルカリ性に傾けようとする病態・原因のことです。
アルカレミア(アルカリ血症)
結果として血液のpHが7.45を超えた状態のことです。
代償作用
酸塩基平衡が崩れた際、呼吸(肺)や代謝(腎臓)が働き、pHを正常値に戻そうとする生体の防御反応です。
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正社員の求人を見る血液ガスデータの読み方・アセスメント4つのステップ
1. 酸素化の評価(PaO2・SaO2)
PaO2が80 Torrを下回る場合は低酸素状態を疑います。直ちに患者の顔色、呼吸回数、努力様呼吸の有無などのバイタルサインを確認します。
2. 換気の評価(PaCO2)
二酸化炭素(CO2)は体内で酸として働きます。呼吸状態が悪化してCO2の排出が滞るとPaCO2が上昇し(45 Torr超)、高炭酸ガス血症(肺胞低換気)となります。過換気などで排出が進みすぎるとPaCO2は低下します。
3. 酸塩基平衡の評価(pH)
pHが7.35〜7.45の範囲内にあるかを確認します。PaCO2とHCO3-のバランスによってpHは決定されます。
4. 代謝と原因の特定(HCO3-・BE)
異常が呼吸器由来なのか、代謝(腎臓など)由来なのかを特定します。
呼吸性アシドーシス:換気障害でPaCO2が上昇し、pHが低下した状態です。
代謝性アシドーシス:腎機能障害やその他の代謝異常によりHCO3-が減少し、pHが低下した状態です。
看護師向け!動脈血ガス採血の手順と介助のポイント
動脈血採血は主に医師が実施しますが(特定行為研修修了看護師は手順書に基づき実施可能)、スムーズな進行と確実な検体管理のために看護師の介助が不可欠です。
1. 穿刺前の準備とアレンテスト
橈骨動脈、大腿動脈などが選択されます。橈骨動脈を穿刺する際は、事前に尺骨動脈の側副血行路が機能しているかを確認する「アレンテスト」を実施します。
2. 穿刺時の介助
動脈は静脈より深い位置にあるため、30〜45度(〜60度)の角度で穿刺します。陽圧のため、針先が血管に入ると自動的に血液が逆流します。アルコール綿や針捨て容器を速やかに手渡せるよう準備しておきます。
3. 抜針後の圧迫止血(最重要)
動脈穿刺後は5分以上の用手的な圧迫止血が必要です。抗凝固薬を内服している患者はさらに長時間の圧迫を行います。止血が不十分だと皮下血腫やコンパートメント症候群を引き起こす恐れがあるため、止血後は腫脹、紫斑、疼痛、しびれ(神経損傷)の有無を必ず観察します。
4. 検体の取り扱いと提出(気泡と温度に注意)
気泡は厳禁
シリンジ内に気泡が残っていると、大気(酸素分圧約150mmHg、二酸化炭素ほぼ0mmHg)の影響を受け、PaO2は実際より高く(偽高値)、PaCO2は実際より低く(偽低値)測定されてしまいます。必ず速やかに気泡を抜き、密閉します。
氷冷保存はNG
現在主流のプラスチック製シリンジはガス透過性があるため、氷冷するとシリンジの素材を通して酸素が入り込み、PaO2が不正確になります。「氷冷せず室温のまま、15〜30分以内に速やかに検査室へ提出する」のが現在のスタンダードです。
条件の記載
検査結果の解釈に不可欠な「酸素投与量(例:鼻カヌラ2L/分)」を必ず明記して提出します。
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血ガスの基準値と正しい手順をマスターしてアセスメントに活かそう
血液ガス分析は、数字の羅列に見えて苦手意識を持つ看護師も少なくありませんが、各項目の基準値と「酸・アルカリ」のシーソーの関係を理解すれば、患者の体内で起きている危機的状況をいち早く察知できるようになります。
また、検査データを正確に導き出すためには、確実な圧迫止血はもちろん、気泡の速やかな除去や「氷冷せずにすぐ提出する」といった最新の正しい検体管理が直結しています。
採血介助の手順を確実にマスターし、自信を持って呼吸・循環アセスメントに活かしていきましょう。
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