当直とは?看護師の「当直」と「夜勤」の決定的な違いと、給料が変わる宿日直許可の仕組み
求人票に「当直あり」と書かれていたので夜勤のことだと思って入職したら、
手当の額も、働き方も、想像していたものと違った——という話は珍しくありません。
当直と夜勤は、現場では同じ意味で使われることがあります。
しかし労働基準法の扱いは別物で、その差は給料に直接効きます。
この記事では、法律上の当直(宿日直)と夜勤の違い、
そして求人票のどこを見れば実態が分かるかを整理します。
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結論:分かれ目は「労働基準監督署の許可」があるかどうか
| 当直(宿日直) | 夜勤 | |
|---|---|---|
| 法律上の位置づけ | 労働基準監督署の許可を受けた断続的労働(労働基準法第41条第3号) | 通常の労働時間 |
| 主な業務 | 予期しない事態への対応、巡回、電話番など待機が中心 | 通常の看護業務 |
| 労働時間 | 労働時間規制の適用除外 | 労働時間に算入 |
| 時間外・休日の割増 | 適用されない | 通常どおり発生 |
| 深夜割増(22時〜5時) | 必要 | 必要 |
| 給与 | 宿日直手当(定額) | 基本給+夜勤手当+深夜手当 |
法律上の「当直」は、正確には宿直・日直といい、
労働基準法第41条第3号に基づいて労働基準監督署長の許可を受けたものを指します。
許可を受けていない夜間勤務は、名前が「当直」でも法律上は通常の労働時間です。
その場合、時間外労働の割増賃金も、通常どおり発生します。
宿日直許可が下りる条件
厚生労働省は、宿日直許可の基準として次のような考え方を示しています。
- 業務が常態としてほとんど労働する必要がないこと(待機が中心であること)
- 定期的な巡視、緊急の文書・電話の収受、非常事態への準備など、軽度または短時間の業務であること
- 相当の睡眠設備が確保されていること
- 宿直は週1回、日直は月1回が限度であること(原則)
- 手当が、同種の労働者の1日平均賃金額の3分の1を下らないこと
医療機関については、
「医師、看護師等の宿日直許可基準」として、一般の基準に加えた考え方が示されています。
病院の宿日直では、通常の勤務時間と同態様の業務(外来対応、手術、頻繁な処置など)が
恒常的に発生する場合、許可の対象にならないとされています。
つまり、忙しい夜勤は法律上の当直にはなりません。
「当直」と呼ばれていても実態が通常業務なら、それは夜勤として扱われるべきものです。
なぜ違いが給料に効くのか
宿日直許可を受けた当直では、時間外・休日の割増賃金が適用除外になります。
その代わりに支払われるのが宿日直手当で、金額は定額であることがほとんどです。
一方、夜勤は通常の労働時間なので、
所定労働時間を超えた分には時間外割増(25%以上)がつきます。
ただし、どちらであっても深夜割増(22時〜5時の25%以上)は必要です。
ここを混同して「当直だから深夜手当は出ない」と説明されるケースがありますが、
宿日直許可を受けた場合でも、深夜の時間帯については割増賃金の支払いが必要とされています。
「当直だから割増は一切つかない」は誤りです。
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職場の種類で当直の中身は変わる
有床診療所・小規模病院
入院患者が数名で、夜間の処置がほとんど発生しない場合、
宿日直許可を取得しているところがあります。
仮眠を取れる前提の勤務なので、拘束時間は長くても実働は短い形です。
一般病棟のある病院
夜間も定期的な処置・観察・記録が発生するため、
実態としては夜勤であり、宿日直許可の対象になりにくい勤務です。
呼び方が「当直」であっても、中身を確認する必要があります。
介護施設・老健
夜間の見守りが中心の施設では、宿直の形をとっているところがあります。
ただし施設によって夜間の業務量に幅があるため、施設ごとに確認が要ります。
クリニック・無床診療所
そもそも夜間勤務が発生しないため、当直も夜勤も無いのが一般的です。
求人票で見るべき4か所
「当直あり」という記載だけでは判断できません。次の4つを確認してください。
- 手当の名称と金額 — 「宿直手当」なのか「夜勤手当」なのか。
宿直手当で1回あたりの金額が低めなら、宿日直許可を前提にしている可能性が高い - 深夜手当が別建てか — 手当に含むと書かれている場合、内訳の説明を求める
- 仮眠時間の有無と、その扱い — 仮眠中に呼び出しがある運用なら、実態は夜勤に近い
- 1回あたりの拘束時間 — 16時間を超えるなら、実働と待機の内訳を確認する
面接では「当直中、実際に何回くらい起きますか」と聞くのが最も実態に近い答えが返ります。
回数が多ければ、それは法律上の当直ではありません。
夜勤の条件で求人を絞って探す
クリアス看護の求人検索では、勤務形態(常勤(夜勤あり)/常勤(夜勤なし)/常勤(夜勤のみ)など)や、
「日勤のみ」「残業少なめ」といった条件で絞り込めます。
「どちらが良いか」ではなく、自分の条件で選ぶ
当直(宿日直)が向いている人
- 拘束時間は長くても、実働が少ないほうがよい
- 日中に別の予定(学業・家庭・副業)を組みたい
- 夜間の急変対応が少ない環境で働きたい
夜勤が向いている人
- 夜勤手当と深夜手当を積み上げて収入を増やしたい
- 急性期の経験を積みたい
- 日勤より人数が少ない環境のほうが集中できる
どちらも避けたほうがよい人
- 睡眠リズムの乱れが体調に強く出る
- 家庭の事情で夜間に家を空けられない
- 通勤に時間がかかり、夜間の移動手段が確保しにくい
3つ目を選ぶことは後退ではありません。
夜勤なしの常勤やクリニック外来など、日勤のみで働ける選択肢は実際にあります。
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よくある質問
Q. 「当直」と書かれているのに通常業務が続く場合、どうなりますか。
宿日直許可の基準を満たしていない可能性があります。
実態が通常の労働時間であれば、時間外・深夜の割増賃金が発生します。
記録を残したうえで、職場または労働基準監督署に確認するのが手順です。
Q. 宿直中の仮眠時間は労働時間になりますか。
呼び出しに備えて待機している時間は、実際に業務をしていなくても
労働からの解放が保障されていなければ労働時間と判断されうるものです。
宿日直許可の有無と、実際の呼び出し頻度の両方で見ることになります。
Q. 当直の回数に上限はありますか。
宿日直許可の基準では、宿直は週1回、日直は月1回が限度とされています
(例外的に認められる場合があります)。
Q. 看護師の当直に医師の当直と同じルールが適用されますか。
「医師、看護師等の宿日直許可基準」は職種をまとめて示していますが、
実際の許可は業務の実態ごとに判断されます。同じ病院でも職種によって扱いが異なりえます。
まとめ
- 法律上の当直(宿日直)は、労働基準監督署の許可を受けたもの。呼び方だけでは決まらない
- 許可があると時間外・休日の割増は適用除外。ただし深夜割増は必要
- 忙しい夜勤は宿日直許可の対象にならない。実態が通常業務なら夜勤として扱われる
- 求人票では手当の名称・深夜手当の別建て・仮眠の扱い・拘束時間の4点を見る
「当直あり」の求人に応募する前に、
1回の当直で実際に何回起きるかを確認してください。
その答えが、法律上の扱いと給料の両方をほぼ決めます。