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慢性期看護とは?役割・仕事内容・回復期との違いまで徹底解説

慢性期看護とは?役割・仕事内容・回復期との違いまで徹底解説

慢性期看護とは、ケガや病気を発症した直後の不安定な状態は脱したものの、後遺症が残っており、長期的な療養を必要とする患者に対する看護のことをいいます。

慢性期看護を提供する場において、看護師は主にどんな役割を担っているのか、慢性期以外の看護期の患者へのケアとはどのような違いがあるのかなどを詳しく解説していきます。

また、慢性期看護のやりがいや大変なことなどに関して、株式会社Donutsが独自に集計したアンケート結果も紹介していきます。

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目次
  1. 慢性期看護とは
  2. 慢性期機能を有した病棟・施設とは?
    1. 療養病床
    2. 介護医療院
    3. 特別養護老人ホーム
    4. 養護老人ホーム
    5. 軽費老人ホーム
    6. 有料老人ホーム
    7. 介護老人保健施設
  3. 慢性期看護の役割・主な仕事内容
    1. 慢性期看護師に任される主な仕事
  4. 慢性期看護の特徴
  5. 回復期看護と慢性期看護の違い
  6. 慢性期看護で求められる能力
    1. 観察力
    2. コミュニケーション能力
    3. 忍耐力・継続力
    4. 傾聴力・共感力
    5. チーム連携力
    6. 急変対応力
    7. 家族看護
    8. 指導力
    9. 倫理観
  7. 慢性期看護のやりがい
  8. 慢性期看護の大変さ
  9. 慢性期看護に向いている人
  10. 慢性期看護に携わる看護師の1日
  11. 慢性期看護からのキャリアパス
  12. 慢性期看護に関するFAQ
    1. Q. 慢性期看護は楽?
    2. Q. 慢性期看護に必要なスキルは働きながら習得できる?
    3. Q. 急性期から慢性期への転職は可能?
  13. 慢性期看護で大切なことは「病気だけではなく、その人の生活を見ること」

慢性期看護とは

慢性期看護とは、病状・ケガの状態が安定してきた患者が、“その人らしい”日常生活を送ることができるよう、長期的な視点を持って提供する看護です。

厚生労働省では、医療機関の機能を分類した説明において、「慢性期」を含む看護期ごとの機能を次のように定義づけています。

医療機能の名称医療機能の内容
高度急性期機能急性期の患者に対して、状態の早期安定化に向けて、診療密度が特に高い医療を提供する機能

【高度急性期機能に該当すると考えられる病棟の例】
救命救急病棟、集中治療室、ハイケアユニット、新生児集中治療室、新生児治療回復室、小児集中治療室、総合周産期集中治療室であるなど、急性期の患者に対して診療密度が特に高い医療を提供する病棟
急性期機能急性期の患者に対して、状態の早期安定化に向けて医療を提供する機能
回復期機能急性期を経過した患者への在宅復帰に向けた医療やリハビリテーションを提供する機能。

特に、急性期を経過した脳血管疾患や大腿骨頚部骨折などの患者に対して、ADLの向上や在宅復帰を目的としたリハビリテーションを集中的に提供する機能(回復期リハビリテーション機能)
慢性期機能・長期にわたり療養が必要な患者を入院させる機能
・長期にわたり療養が必要な重度の障害者(重度の意識障害者を含む)、筋ジストロフィー患者又は難病患者等を入院させる機能

参照:  厚生労働省「慢性期機能を有する病床の機能分化・連携の推進について」より「病床機能報告における慢性期機能について」

なお、上記4種類の機能を有した医療機関とは別に、治療による病気の回復が難しいと判断された「終末期」の患者に対して看護を提供する「緩和ケア病棟」などもあります。

慢性期機能を有した病棟・施設とは?

厚生労働省は、前述の資料のなかで、慢性期機能の医療需要について次のように述べています。

「慢性期機能の医療需要については、医療機能の分化・連携により、現在では療養病床で入院している状態の患者数のうち一定数は、2025年には、在宅医療などで対応するものとして推計する

「在宅医療など」とは、居宅、特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム、介護老人保健施設、その他医療を受ける者が療養生活を営むことができる場所であって、現在の病院・診療所以外の場所において提供される医療を指す」

慢性期機能を有する病床の機能分化・連携の推進について

また、同じ資料内で、療養病床については次のように説明しています。

療養病床は、病院または診療所の病床のうち、主として長期にわたり療養を必要とする患者を入院させるものである

医療保険の『医療療養病床(医療保険財源)』と介護保険の『介護療養病床(介護保険財源)』がある

要介護高齢者の長期療養・生活施設である新たな介護保険施設『介護医療院』を創設(平成30年4月施行)

慢性期機能を有する病床の機能分化・連携の推進について

つまり、「慢性期機能を有した病棟・病院」また慢性期看護に携わりたい看護師の職場候補をまとめると、

  • 療養病床
  • 介護医療院
  • 特別養護老人ホーム
  • 養護老人ホーム
  • 軽費老人ホーム
  • 有料老人ホーム
  • 介護老人保健施設

などということになります。それぞれの職場について簡単に説明すると次の通りです。

療養病床

慢性的かつ長期的な医療ケアを必要とする患者が入院するための病床です。前述の通り、「医療保険病床」と「介護保険病床」にわけられており、それぞれの保険制度に基づいて運営・管理されています。

参照: 厚生労働省「療養病床に関する基礎資料」

介護医療院

医療的ケアが必要な要介護高齢者(要介護1~5)に対して、「長期療養のための医療」と、「日常生活を送るにあたって必要な介護」の両方を提供する介護保険施設です。

参照: 厚生労働省「介護医療院公式サイト」

特別養護老人ホーム

原則として「要介護3以上・65歳以上」で、「常に介護が必要な高齢者」が入居する介護施設です。「特養」と略して呼ばれることも多いです。

参照: 厚生労働省「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)

養護老人ホーム

特別養護老人ホームとは異なり、「身体的には自立していせ身の回りのことは自分でできるが、経済的・環境的な理由で在宅生活が困難な高齢者」を養護して、社会復帰を促す施設です。入居対象者の年齢は65歳以上です。

軽費老人ホーム

身寄りがない、または住宅事情や経済的な理由によって、自宅での生活が困難な高齢者が入居できる福祉施設です。自治体の助成を受けることができるため、比較的低額な料金で入居できます。

有料老人ホーム

有料老人ホームは、「介護付き有料老人ホーム」「住宅型有料老人ホーム」「健康型有料老人ホーム」の大きく3つに分類されます。このうち、看護師の配置基準が設定されているのは「介護付き有料老人ホーム」のみです。

介護老人保健施設

介護老人保健施設は、病院から退院した要介護者が在宅復帰するための“橋渡し”としての役割を果たしている施設です。

参照: 厚生労働省「介護老人保健施設」

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慢性期看護の役割・主な仕事内容

慢性期看護においては、患者が“その人らしい”日常生活を送ることができるよう、患者やその家族に寄り添いながらサポートすることが大切です。

コミュニケーションに重きを置きながらも、患者の状態をしっかり観察して、異変が感じられる場合はすぐに医師に報告して、必要な処置を施すことが必要です。また、活動量の低下によって心身機能が低下する廃用症候群や合併症の予防や、場合によってはターミナルケア(終末期ケア)が求められることもあります。

慢性期看護師に任される主な仕事

具体的には、主に次のような仕事を任されます。

業務項目具体的な業務・サポート内容
状態観察バイタルサイン測定、皮膚や顔色、呼吸状態の観察などを通して、患者の状態に変化がないかを観察します。
処置・検査与薬、点滴、注射・採血などの処置や検査が中心ですが、患者によっては経管栄養管理なども必要です。
褥瘡ケア皮膚の清潔保持・処置、体位変換などによって、患者の快適な生活をサポートします。
呼吸ケア喀痰吸引、呼吸器管理などを必要とする患者も多いです。
その他の医療的ケア胃ろう、人工肛門などの医療処置が必要な患者に対しては、継続的な医療管理が必要です。
診療の補助診察介助、医師への報告など
日常生活援助(ADL支援)食事・入浴・清拭・排泄・口腔ケアなどの介助を必要とする患者も多いです。
患者・家族の精神面のケア長期にわたる療養生活に不安やストレスを抱えている患者やその家族の精神面のケアも大切です。
身の回りの世話環境整備、散髪の手配、持ち物の整理など、看護あるいは介護に該当しない業務もあります。

慢性期看護の特徴

慢性期看護の特徴を理解するためにまず確認しておきたいのが、内閣府が公表している「療養病床の在り方等に関する検討会」での整理 です。

上記をもとに慢性期看護の特徴をまとめると次の通りです。

【慢性期看護の特徴】

  • 患者一人ひとりと長期間関わるため、信頼関係構築が大切
  • 患者の多くが高齢者で要介護率が高い→医療だけでなく介護も提供する必要がある
  • 日常生活のサポートが重要
  • 患者やその家族がストレスなく療養生活を過ごせる環境を整えることが大切
  • 看取りを行うこともある→状態が変化しにくいとはいえ、急変することもある。患者やその家族の精神的ケアも重要

回復期看護と慢性期看護の違い

回復期看護と慢性期看護は、いずれも、急性期を経るなどして、病状・症状が比較的安定している患者に提供されるものです。

しかし、両社には決定的な違いがあります。「在宅・社会復帰をゴールとしているかどうか」です。

このことは、先に解説した、厚生労働省による、回復期機能と慢性期機能の説明の違いからも明らかです(2者の説明を下記に再度抜粋します)

  • 回復期機能:急性期を経過した患者への在宅復帰に向けた医療やリハビリテーションを提供する機能
  • 慢性期機能:長期にわたり療養が必要な患者を入院させる機能

さらに、令和6年12月3日に開かれた「第13回新たな地域医療構想等に関する検討会」では、2040年に向けて増加する高齢者救急などの受け皿として、急性期と回復期の機能を併せ持った病床が重要となることを踏まえて、「回復期機能」を「包括期機能」と位置付ける案が出されています。

「回復期機能」が「包括期機能」へと変更された場合の病床区分については、次のように説明されています。

【包括期機能】

  • 高齢者等の急性期患者について、治療と入院早期からのリハビリなどを行い、早期の在宅復帰を目的とした治し支える医療を提供する機能
  • 急性期を経過した患者への在宅復帰に向けた医療やリハビリテーションを提供する機能
  • 特に、急性期を経過した脳血管疾患や大腿骨頚部骨折等の患者に対して、ADLの向上や在宅復帰を目的としたリハビリテーションを集中的に提供する機能(回復期リハビリテーション機能)

つまり、今後はより、「在宅・社会復帰をゴールとしているかどうか」の違いが強調されるという流れになりそうです。

参照: (文部科学省ホームページ内資料)厚生労働省「新たな地域医療構想について」より「病床機能について(案)」

厚生労働省が公表している別の資料では、慢性期医療のニーズについては次のように言及されています。

「すべての方が自身の状態に応じて、適切な場所で適切な医療・開業を受けられるよう、必要な慢性期の病床の確保とともに、在宅医療や介護施設、高齢者住宅を含めた医療・介護サービスの確保が必要」

参照: (内閣府ホームページ内資料)慢性期の医療ニーズに対応する医療・介護サービスの確保について

つまり、慢性期看護は今後、地域医療構想の推進に伴い、療養病床や介護施設だけでなく、患者・利用者の居宅でも提供されるケースが増えるということだと読み取れます。

慢性期看護で求められる能力

慢性期看護では、主に次のような能力が求められます。

  • 観察力
  • コミュニケーション能力
  • 忍耐力・継続力
  • 傾聴力・共感力
  • チーム連携力
  • 急変対応力
  • 家族看護
  • 指導力
  • 倫理観

それぞれ詳しく解説していきます。

観察力

慢性期の患者は、状態が大きく変化することは少ないです。しかし、だからこそ、小さな変化にも気づける力が重宝されます。小さな変化が、結果的に急変サインであったというケースも多いです。

コミュニケーション能力

慢性期においては、患者やその家族と積極的にコミュニケーションをとって、信頼関係を築くことがとても大切です。また、多職種で患者や家族を支えていくことが不可欠であるため、他職種とのスムーズな報連相を大事にすることも大切です。

忍耐力・継続力

慢性期看護においてはルーティン業務が多いため、辛抱強く同じことを続けられる人は強いです。また、高齢患者が多いことから、認知症やせん妄の症状などが出ている患者に対応しなければならないことがあります。

時には、患者から辛く当たられることもありますが、そのたびに落ち込むことなく、自分の業務をやり遂げる力が必要です。

傾聴力・共感力

慢性期の患者は、入院期間が長い場合や、退院が見込めない場合が多いため、ストレスやネガティブな感情を抱えやすいです。その辛い気持ちに寄り添い、共感する姿勢を示すことができれば、患者の孤独感や不安を和らげることができます。

チーム連携力

急性期や回復期同様、慢性期においても、医師、リハビリ職、介護職、ソーシャルワーカーなどと協力して支援する力が不可欠です。

急変対応力

比較的症状の変化の少ない慢性期においても、誤嚥や心不全悪化、感染などで急変することは起こり得るため、もしものときに迅速に動くことが不可欠です。

家族看護

慢性期の患者は入院期間が長く、退院が望めない場合も多いため、患者もその家族も疲弊しがちです。そのため、看護師には、患者のケアだけでなく、家族の精神的なケアも求められます。

指導力

前述の通り、厚生労働省は、慢性期患者の今後について、「退院して居宅や地域で看護を続けていく」という選択肢もとれるよう、仕組み作りを進めていこうという考えであることがわかります。

そうなった場合は特に、患者の家族に対しても、介護方法などをわかりやすく説明する力が求められます。

倫理観

患者の尊厳や意思を尊重して、意思決定支援を行っていく能力も大切です。

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慢性期看護のやりがい

慢性期看護を提供している病床や施設においては、基本的に社会復帰は目標としておらず、患者一人ひとりが“その人らしく”日常生活を送れるようにサポートすることを最優先としています。

そうした環境下ゆえに、自分のサポートによって、患者がより快適に、より自分らしく過ごせていることを実感できる場面においては、やりがいを感じやすいといえます。

また、基本的に患者一人ひとりと長期的に関わることから、患者とのきずなが深まったと実家できた際にも、「がんばってきてよかった」と感じやすいでしょう。

現役看護師へのアンケートでは次のような声が上がっています。

「慢性期の患者は身体機能的には大きな変化はないですが、何気ない日常のなかで、患者の成長を見いだせる看護師もいます」(まきさん・30代女性)

「患者の小さな変化に気づける観察力があれば、悪化予防に貢献できます」(milkさん・30代女性)

「患者さん一人ひとりと長く、深く関わりながら、落ち着いた環境で寄り添った看護を提供できる」(まゆみさん・40代女性)

慢性期の患者は劇的な改善、あるいは急変のリスクはほとんどないことから、“小さな変化”に気づける人ほど、やりがいを感じやすいという回答が多く寄せられました。

また、ルーティン業務が中心だからこそ、何気ない日常において患者に寄り添って看護できることに、やりがいを見いだせるという看護師もいるようです。

慢性期看護の大変さ

慢性期の患者・施設利用者は基本的に社会復帰を目標としていないことから、慢性期看護においては、「患者・利用者がよくなっていく過程を目の当たりにできる」ケースはあまりありません。

つまり、患者・利用者の状態が変化しづらいです。それどころか、先に書いた通り、死亡退院となる割合が非常に高いため、看護する側はモチベーションを保ちづらいといえます。

また、介護を必要とする患者が多く、患者を身体的に支えなければならないシーンなどもあるため、肉体的負担も大きくなります。認知症を患っているケースもあるため、精神的にも負担が大きい場合があります。

現役看護師へのアンケートでは次のような声が上がっています。

「慢性期病棟は、寝たきりの患者や死期が近い患者が多いので精神的には楽ではありません。自分は、患者様の死に向き合うことが苦しく向いていませんでした」(にくまんさん・20代女性)

「回復期に比べると高齢者が多く、認知症患者、介助量が多い患者がほとんどであるため、認知症対応や介助が得意ではない人にとっては楽な職場ではないと思います」(juninoaloveさん・30代女性)

「高齢者が多いぶん、看取りも多いが、急変の対応をはじめとする、とりわけ急性期で求められる処置に関しては学ぶ機会がほとんどないので、急性期を経験したことがない看護師にとっては大変なことが多いと思う」(nursepapaさん・30代男性)

「慢性期=状態が安定している患者が多く、ルーティン業務がほとんど」というイメージを抱いている人は、認知症患者や看取りが多いことにショックを受けやすい傾向にあるようです。

慢性期看護に向いている人

患者・利用者の入院期間あるいは施設入所期間が長いため、一人ひとりと長く関わることになるため、一人ひとりとじっくり関わるのが好きな人や、信頼関係を構築することが得意な人には向いています。また、高齢の患者・利用者が多いため、傾聴力があり、相手の気持ちに寄り添える人も向いています。

現役看護師へのアンケートでは次のような声が上がっています。

「寝たきり患者や死期が近い患者が多く、看護に当たっていると辛くなることが多いので、感情移入しない人が向いています」(nursepapaさん・30代男性)

「患者とゆっくり話すことが好きで、相手のことを理解したいと思える人は向いている気がする」(りょうさん・30代女性)

「患者やその家族だけでなく、ケアマネなどともきちんとコミュニケーションをとれる人が向いています」(お団子さん・40代男性)

前述の通り、療養病床の患者の平均年齢は80歳以上です。その年代の患者が自分らしく日常生活を送れるよう支援するためには、患者やその家族の希望を尊重して、多職種で一丸となってサポートすることが大切だということがわかりました。

慢性期看護に携わる看護師の1日

慢性期看護に携わる看護師の働き方は、「生活支援」「状態観察」「長期的視野でのケア」に割く時間の割合が大きいという特徴があります。

一般的な療養病床などにおける、日勤の日の1日のスケジュール例は次の通りです。

【慢性期における日勤の場合のスケジュール例】

時間業務内容
8:30出勤・申し送り(夜勤看護師から患者状態を共有)
9:00バイタルサイン測定・状態観察
9:30清潔ケア(清拭・口腔ケア・おむつ交換など)
10:30点滴・処置・経管栄養・服薬介助
11:30昼食準備・食事介助
12:30休憩
13:30カンファレンス・記録・家族対応
14:30リハビリ連携・離床介助・レクリエーション支援
15:30おむつ交換・体位変換・巡回
16:00看護記録・夜勤者への情報整理
16:30申し送り
17:00退勤

なお、慢性期の患者は急変が少ないぶん、予定通り業務が進む場合が多いので、残業は比較的少なめであるといえます。

また、夜勤の場合のスケジュール例は次の通りです。

【慢性期における夜勤の場合のスケジュール例(二交代制)】

時間業務内容
16:30出勤・申し送り
17:00バイタル測定・夕食介助
18:00服薬介助・経管栄養・口腔ケア
19:00おむつ交換・体位変換・巡回
20:00記録・ナースコール対応
21:00消灯・睡眠状況確認
22:00巡回・吸引・排泄介助
0:00休憩(交代で仮眠)
2:00巡回・体位変換・急変対応
4:00おむつ交換・経管栄養準備
5:00採血・早朝ケア・起床介助
6:00バイタル測定・朝食準備
7:00朝食介助・申し送り準備
8:30日勤へ申し送り・退勤

なお、慢性期の患者は急変が少ないことから、病棟や施設にもよりますが、夜勤人数は少ない傾向にあります。そのため、特に夜勤においては、観察力と優先順位判断が重要になります。

また、高齢患者が多いことから、誤嚥、転倒、不穏、不眠、痰詰まり、呼吸状態悪化、おむつ交換、トイレ介助、尿量確認、せん妄などへの対応が必要になることも多いです。

慢性期看護からのキャリアパス

慢性期看護で経験を積んだ看護師は、「長期療養支援」「生活支援」「高齢者ケア」「多職種連携」に強みを持つため、地域医療・在宅分野へキャリアを広げるケースが多くあります。

代表的なキャリアパスは次の通りです。

キャリアパス概要
回復期リハビリテーション病棟リハビリ支援や在宅復帰支援に関わる。慢性期経験がADL支援に活かされやすい
地域包括ケア病棟急性期後の在宅復帰支援を担う。退院調整や多職種連携経験が活きる
訪問看護在宅療養者を支援する仕事。慢性疾患管理や家族支援経験が強みになる
介護施設(※同じ慢性期でも病棟から施設へ転職するケース)特養・老健・有料老人ホームなどで高齢者ケアに従事する
緩和ケア・ホスピス終末期支援や苦痛緩和に関わる。慢性期での看取り経験が活かされる
外来・クリニック慢性疾患患者への継続支援経験が役立つ
ケアマネジャー介護支援専門員としてケアプランを作成する。地域連携経験が強みとなる
認定看護師・専門看護師皮膚・排泄ケア、摂食嚥下、慢性心不全看護など専門性を深める
看護管理者病棟主任・師長としてマネジメントへ進む
教育担当・実習指導者新人教育や看護学生指導を担う

また、よくある“キャリアの流れ”は次の3パターンです。

パターン1:病院内でステップアップ

同じ病院内で経験を積み、管理職へと進む道です。転職に時間を割かず、安定的に稼げます。

  • STEP 1:慢性期病棟
  • STEP 2:回復期リハビリテーション病棟
  • STEP 3:地域包括ケア病棟
  • STEP 4:退院支援看護師・師長

パターン2:在宅・介護分野へ

夜勤を減らしワークライフバランスを保ちたい人に人気です。独立の道もあります。

  • STEP 1:慢性期病棟
  • STEP 2:介護施設(医師不在でも的確な判断が可能に)
  • STEP 3:訪問看護ステーション(代表としての起業も)

パターン3:専門分野への特化

現場での経験を極め、スペシャリストを目指す道です。

  • STEP 1:慢性期病棟
  • STEP 2:褥瘡管理・摂食嚥下ケア経験などを深める
  • STEP 3:認定看護師資格取得

慢性期看護に必要なスキルを極めて資格を取得すれば、よりよい条件での転職が叶いやすくなります。また、資格取得後に、病棟内で教育担当・実習指導者として活躍したり、あるいは看護学校の教員に転職したりといったキャリアパスも考えられます。

慢性期看護に関するFAQ

続いては、慢性期看護に関してよくある質問とその答えをみていきましょう。

Q. 慢性期看護は楽?

A.そうとも言えません。

慢性期看護は急性期看護と比べて、救急対応や医療処置、手術後管理などが少ないことから、「看護師は楽」というイメージを持たれやすいです。しかし、慢性期看護には、そうした大変さとはまた別の大変さがあります。

まず、慢性期にはADLが低い患者も多いため、オムツ交換や体位変換、移乗介助、清潔ケア、食事介助などの身体介助量が多くなります。そのため、体力的負担は大きめです。

また、慢性期病棟の患者は比較的状態が安定しているため、急性期より受け持ち人数が多い場合が多く、巡回、ケア、記録、コール対応などを効率よく回す必要があります。特に夜勤は、配置される看護師人数が少なく、一人で広い範囲を見なければならないことから、急変時などは負担を感じやすいです。

また、ルーティン業務が多いことや、看取りがあること、認知症患者が多いことなどから、根気強く寄り添う看護が求められるため、精神的にタフである必要があります。

Q. 慢性期看護に必要なスキルは働きながら習得できる?

A.慢性期看護に必要なスキルの多くは、実際に働きながら習得できます。

むしろ慢性期看護は、「患者との長期的な関わり」「日々の観察」「生活支援」など積み重ねによって身につく能力を必要とするため、現場経験が非常に重要な分野であるといえます。

たとえば観察力は、毎日のバイタル・表情・食事量・睡眠などを見ているうちに磨きがかかっていくものですし、介助技術の腕は、食事介助、移乗、体位変換、おむつ交換を繰り返し経験することで上がります。高齢者ならではの必要な対応は、認知症患者などとの関わりを通じて学ぶことができますし、家族対応は、面会対応や説明補助を繰り返すうちに身についていきます。

看取りケアに関しては、誰しも最初は不安を感じやすいですが、患者との関わりを通して学べることはたくさんあります。

いずれのスキルに関しても、最初から完璧という人はいませんし、完璧にできる必要もありません。

Q. 急性期から慢性期への転職は可能?

A.急性期から慢性期への転職は多いです。

急性期で培った観察力、急変対応力、医療処置スキル、報告・連携能力などは、慢性期においても高く評価されるためです。

急性期から慢性期への転職理由としてよくある理由は次の通りです。

  • 心身の負担軽減:救急・術後管理・高い緊張感から離れたいと感じるようになるケースです。
  • 患者と長く関わりたい:短期入院患者の看護ではなく、継続看護をしたいと感じるようになるケースです。
  • 高齢者看護に携わりたい:慢性疾患や生活支援への関心が高いケースです。
  • ワークライフバランス重視:残業や緊急対応を減らしたいという考えから、急性期を離れる人もいます。

在宅・地域医療への興味:将来的に訪問看護などを考えている場合、まず慢性期にシフトするのは得策です。

なお、急性期から慢性期にシフトすると次のようなことにギャップを感じる場合があります。

  • 医療より「生活支援」が中心
  • 介助量が多い
  • 患者の回復スピードが違う

そのため、急性期から慢性期への転職を希望している場合、まずは、慢性期看護ではどのようなことが求められるのかを自分なりに調べて納得することが大切です。

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慢性期看護で大切なことは「病気だけではなく、その人の生活を見ること」

慢性期看護をはじめ、すべての看護期は患者にとって大切なものですが、それぞれ役割が異なるため、看護師が自分に合った働き方を見極めるにあたっては、それぞれの看護期における役割を理解することが大切です。

いろいろな看護期があるなかで、慢性期看護においては、「患者はどんな生活を送りたいのか」「どうすれば苦痛なく過ごせるか」「家族とはどう関わるか」など、病気だけでなく、生活全体を支える視点が重要です。慢性期看護に携わるにあたっては、その意識をしっかり持つよう心がけましょう。