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オーランドの看護理論とは?「患者の行動・看護師の反応・看護師の活動」の3要素と審議的看護過程、プロセスレコードでの使い方と例文

オーランドの看護理論とは?「患者の行動・看護師の反応・看護師の活動」の3要素と審議的看護過程、プロセスレコードでの使い方と例文

オーランドの看護理論は、アメリカの看護理論家アイダ・ジーン・オーランド(1926〜2007)が示した看護理論です。患者の言葉や行動の奥にある「いま助けてほしいこと」を、看護師の思い込みではなく、患者に確かめながら見つけていくことを看護の中心に置きました。

1961年の著書『The Dynamic Nurse-Patient Relationship』(邦題『看護の探求 ダイナミックな人間関係をもとにした方法』)で発表されました。この本は、1950年代にイェール大学で行われた、看護の場面に精神衛生の原理をどう生かすかという研究をまとめたものです。

精神看護実習でプロセスレコードを書くときに名前が出てくることの多い理論です。この記事では、3つの要素、審議的看護過程、プロセスレコードでの使い方を順に整理します。

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目次
  1. オーランドの看護理論の考え方
  2. オーランドの看護理論の3つの要素
  3. 自動的な看護と、審議的看護過程の違い
    1. 審議的看護過程の進め方
  4. オーランドの看護理論をプロセスレコードで使う
    1. 欄とオーランドの3要素の対応
    2. 例文(プロセスレコードの考察)
  5. オーランドの看護理論を使うときに迷う場面
    1. 患者が言葉で答えられないとき
    2. 自分の感情を書くのに抵抗がある
    3. ペプロウやトラベルビーと何が違うのか
  6. よくある質問
    1. オーランドの理論は、どんな実習で使いますか?
    2. 「看護師の反応」の知覚・思考・感情は、必ず分けて書くのですか?
    3. 審議的看護過程と、一般的な看護過程は同じものですか?
  7. まとめ
  8. 参考

オーランドの看護理論の考え方

オーランドは、看護を次のように捉えました。

考え方 内容
看護の目的は、患者の「いまの助けの必要」に応えること 患者が自分では満たせない必要があり、それで苦痛を感じているとき、看護師の助けが要る
必要は見た目だけでは分からない 同じ行動でも、意味は人によって違う。看護師の推測が当たっているとは限らない
看護師は、自分の反応を患者に確かめる 自分が感じたこと・考えたことを患者に伝え、合っているかを一緒に確かめてから行動する

「看護師が良かれと思ってしたこと」と「患者が必要としていたこと」がずれる場面に目を向けたのが、オーランドの理論の特徴です。

オーランドの看護理論の3つの要素

オーランドは、患者と看護師の間で起きることを、次の3つの要素で説明しました。

要素 内容 例
1. 患者の行動 看護師が見たり聞いたりする、患者の言葉と言葉以外の行動。助けを求めるサインであることがある 「もう帰りたい」と言う/ナースコールを何度も押す/食事に手をつけない
2. 看護師の反応 患者の行動を受けて看護師の中で起きること。知覚→思考→感情の順に起こる 険しい表情が見えた(知覚)→検査が不安なのかもしれない(思考)→気になって落ち着かない(感情)
3. 看護師の活動 看護師が実際に行うこと。患者の助けになるように行う 「表情が硬いように見えますが、気になることがありますか」と声をかける

看護師の反応は、知覚・思考・感情がほぼ同時に起こるため、自分でも区別しにくいものです。プロセスレコードは、この3つを書き分けて見直すための記録だと考えると、欄の意味がつかみやすくなります。

自動的な看護と、審議的看護過程の違い

オーランドは、看護師の活動を2つに分けました。

種類 どう行うか 起きやすいこと
自動的な看護 看護師が自分の推測や、指示・決まりごとだけで行動する。患者に確かめない 患者の本当の必要に届かず、助けにならないことがある
審議的看護過程 看護師が自分の反応を患者と共有し、患者の必要を確かめてから行動する。行動の後、助けになったかも確かめる 患者の必要に合った助けになりやすい

「審議的」の部分は、訳書や解説によって「熟慮した」などと訳されることもあります。

審議的看護過程の進め方

  1. 患者の行動を観察する(言葉と、言葉以外の両方)
  2. 自分の中で起きた知覚・思考・感情に気づく
  3. 自分の知覚や考えを、患者に言葉で伝える(「〜のように見えますが」「〜と感じたのですが」)
  4. 患者の答えから、助けの必要が何かを一緒に確かめる
  5. 確かめた必要に合わせて行動する
  6. 行動の後、患者の様子や言葉から、助けになったかを確かめる

4と6の「確かめる」が抜けると、自動的な看護になります。

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オーランドの看護理論をプロセスレコードで使う

プロセスレコードは、患者とのやりとりを場面ごとに書き出して振り返る記録です。ペプロウが看護教育で用いたことが始まりとされ、オーランドはこれを「看護過程記録」として、看護師の訓練に使いました。1972年の著書『The Discipline and Teaching of Nursing Process』(邦題『看護過程の教育訓練』)では、この記録を使った教育の研究をまとめています。

欄とオーランドの3要素の対応

プロセスレコードの欄 オーランドの要素 書くこと
患者の言動 患者の行動 言葉はそのまま「」で書き、表情や動作も書く
私が感じたこと・考えたこと 看護師の反応 見えたこと(知覚)、そこから考えたこと(思考)、生じた気持ち(感情)を分けて書く
私の言動 看護師の活動 実際に言ったこと・したことをそのまま書く
考察 審議的か、自動的か 自分の反応を患者に確かめたか。行動は患者の必要に合っていたか

欄の数や名前は学校によって違います。4つの欄の埋め方と場面の選び方は、プロセスレコードの書き方で解説しています。

例文(プロセスレコードの考察)

患者さんが昼食をほとんど残していたため、私は「食欲がないのだろう」と考え、「少しでも食べましょう」と声をかけた。患者さんは何も言わずにうなずいたが、その後も食事は進まなかった。振り返ると、私は「食欲がない」という自分の推測を確かめないまま、食べることを勧めており、オーランドのいう自動的な看護になっていた。後で話を聞くと、義歯が合わず噛むと痛いことが分かった。次は「あまり進んでいないようですが、何か食べにくいことがありますか」と、自分が見たことを伝えて、患者さんの必要を確かめてから関わりたい。

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オーランドの看護理論を使うときに迷う場面

患者が言葉で答えられないとき

オーランドの理論は、患者と言葉で確かめ合うことを重視しています。意識障害や重い認知症などで言葉のやりとりが難しい場合は、表情や体の動き、ケアの後の反応をていねいに観察し、家族やほかのスタッフの情報も合わせて確かめます。理論をそのまま当てはめにくい場面であることは、考察に書いてかまいません。

自分の感情を書くのに抵抗がある

「イライラした」「怖かった」と書くことに迷う人は多いですが、オーランドは看護師の感情も、患者の行動への反応の一部と考えています。感情が自分の言動にどう影響したかまで書けると、考察が深まります。

ペプロウやトラベルビーと何が違うのか

こういう条件なら 向いている枠組み
1つの場面で、自分の推測が患者の必要とずれていなかったかを見直したい オーランド
入院から退院までの、関係の進み方を振り返りたい ペプロウ
病気や苦しみの意味を、患者と一緒に考えたい トラベルビー
患者と看護師で目標を決めて、達成までを追いたい キング

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よくある質問

オーランドの理論は、どんな実習で使いますか?

精神看護実習のプロセスレコードで使われることが多いですが、理論そのものは患者と看護師のやりとり全般を対象にしています。急性期や在宅の実習でも、関わりがうまくいかなかった場面の振り返りに使えます。

「看護師の反応」の知覚・思考・感情は、必ず分けて書くのですか?

学校の様式によりますが、分けて書くと、どこで推測が入ったかが見えやすくなります。「表情が硬かった(知覚)」と「不安なのだろう(思考)」を分けるだけでも、確かめるべき点がはっきりします。

審議的看護過程と、一般的な看護過程は同じものですか?

同じではありません。一般的な看護過程はアセスメント・診断・計画・実施・評価の流れを指します。オーランドの審議的看護過程は、1回1回のやりとりの中で、看護師の反応を患者に確かめながら進める関わり方を指しています。

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まとめ

  • オーランドの看護理論は、患者の「いまの助けの必要」を、患者に確かめながら見つけることを中心に置く
  • 患者と看護師の間で起きることを、患者の行動・看護師の反応・看護師の活動の3要素で説明する
  • 看護師の反応は、知覚・思考・感情の順に起こる
  • 自分の推測だけで動くのが自動的な看護、反応を患者に確かめてから動くのが審議的看護過程
  • プロセスレコードでは、3要素を欄ごとに書き分け、確かめたかどうかを考察する

参考

  • Orlando IJ. The Dynamic Nurse-Patient Relationship: Function, Process and Principles. G.P. Putnam’s Sons, 1961.
  • アイダ・J・オーランド著、稲田八重子訳『看護の探求 ダイナミックな人間関係をもとにした方法』メヂカルフレンド社
  • Orlando IJ. The Discipline and Teaching of Nursing Process: An Evaluative Study. G.P. Putnam’s Sons, 1972.
  • アイダ・J・オーランド著、池田明子・野田道子訳『看護過程の教育訓練 評価的研究の試み』現代社、1977年