ナースの勉強部屋

プロセスレコードの書き方|4つの欄の埋め方と場面の選び方、そのまま形を借りられる記入例と考察の書き方

プロセスレコードの書き方|4つの欄の埋め方と場面の選び方、そのまま形を借りられる記入例と考察の書き方

実習で「この場面をプロセスレコードにしてきて」と言われた。患者さんとの会話を思い出して書いてみたけれど、ただの会話の書き起こしになってしまう。「私が感じたこと」の欄に何を書けばいいのか分からない。そんなときに確認できるよう、この記事ではプロセスレコードの書き方を、欄ごとに例を挙げて説明します。

様式は学校や施設によって少しずつ違います。この記事では、多くの様式に共通する4つの欄を前提にしています。実際に提出するときは、指定された様式の欄に読み替えてください。

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目次
  1. プロセスレコードとは|患者さんとのやりとりを振り返る記録
  2. プロセスレコードの4つの欄
  3. 書き始める前に決めること
    1. 取り上げる場面を選ぶ
    2. 場面の前に書く3つのこと
  4. 欄ごとの書き方と、差し戻されやすい書き方
    1. ①患者の言動は、解釈を入れずに書く
    2. ②私が感じたこと・考えたことは、その場の気持ちを正直に書く
    3. ③私の言動は、何も言わなかったことも書く
    4. ④分析・考察は、行を指して書く
  5. プロセスレコードの記入例
  6. プロセスレコードを書くときの注意
    1. 個人が特定される情報を書かない
    2. 記録は正確さより、振り返りの深さを見られる
  7. よくある質問
    1. プロセスレコードと看護記録の違いは?
    2. 何行くらい書けばいいですか?
    3. 場面がうまくいかなかったことばかりで、書くのがつらいです
  8. まとめ

プロセスレコードとは|患者さんとのやりとりを振り返る記録

プロセスレコードは、患者さんと看護師のあいだで交わされた言葉や行動を、そのときの自分の考えや気持ちと一緒に時系列で書き出し、あとから振り返る記録です。

もとになっているのは、ペプロウが『人間関係の看護論』(原著 Interpersonal Relations in Nursing、1952年)で示した、患者と看護師の関係を看護の中心に置く考え方です。その後、ウィーデンバックやオーランドが、看護師が自分の考えや感情を意識して援助に生かす方法として発展させました。

目的は、うまく話せたかどうかを評価することではありません。次の2つにあります。

  • 自分の言動が、自分のどんな考えや気持ちから出ていたかに気づく
  • 患者さんの言動の意味を、あとから落ち着いて考え直す

そのため、精神看護の実習でよく使われますが、成人看護や老年看護の実習、新人看護師の研修でも出されます。

プロセスレコードの4つの欄

一般的な様式は、次の4つの欄を横に並べ、やりとりの順に行を足していく形です。

欄 書くこと 書き方のポイント
①患者の言動 患者さんが話したこと、表情、しぐさ、沈黙 言葉は「」で、聞いたとおりに書く。表情や間(ま)も書く
②私が感じたこと・考えたこと そのとき自分の中に浮かんだ気持ちや考え その場で思ったことを書く。あとから考えたことは書かない
③私の言動 自分が話したこと、とった行動 言葉は「」で書く。うなずき、目線、何も言わなかったことも書く
④分析・考察 振り返って気づいたこと ②と③が患者さんにどう影響したか、別の関わり方はなかったかを書く

行の頭に番号を振っておくと、考察で「③-2の発言で」と行を指して書けるので、読み手が流れを追いやすくなります。

書き始める前に決めること

取り上げる場面を選ぶ

プロセスレコードにする場面は、うまくいった会話より、自分が戸惑ったり、迷ったり、気持ちが揺れたりした場面を選びます。たとえば次のような場面です。

  • 患者さんの言葉に、どう返せばよいか分からなかった
  • 自分の返事のあと、患者さんが話さなくなった
  • 患者さんの言葉に、自分がいら立ったり、悲しくなったりした
  • 患者さんが急に話題を変えた

やりとりの長さは、数分から10分程度が扱いやすい目安です。長い会話を全部書こうとすると、振り返る焦点がぼやけます。

場面の前に書く3つのこと

4つの欄に入る前に、次の3つを短く書いておきます。読み手が場面を理解するためです。

  • 患者さんの紹介:年代、病名、入院の経過、関わる上で大切な背景(個人が特定されない範囲で)
  • 場面の状況:いつ、どこで、何をしていたときのやりとりか
  • この場面を選んだ理由:なぜこの場面を振り返りたいと思ったか

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欄ごとの書き方と、差し戻されやすい書き方

①患者の言動は、解釈を入れずに書く

患者さんの言葉は、自分の言葉に言い換えず、聞いたとおりに書きます。覚えていない部分を作文で埋めないようにします。

表情やしぐさも書きます。「寂しそうだった」ではなく「窓の外を見たまま、小さな声で話した」のように、見えたままを書きます。「寂しそう」は自分の解釈なので、②の欄に書きます。

②私が感じたこと・考えたことは、その場の気持ちを正直に書く

この欄が、プロセスレコードでいちばん大事な欄です。そのときに浮かんだ気持ちを、そのまま書きます。

  • 差し戻されやすい書き方:「患者さんの気持ちに寄り添おうと思った」
  • 直した書き方:「急に重い話になって、どう返せばいいか分からず焦った。早く明るい話題に変えたいと思った」

「焦った」「困った」「いやだと思った」のような気持ちを書いてかまいません。きれいな言葉に直すと、自分の言動がどこから来ていたのかが見えなくなります。

③私の言動は、何も言わなかったことも書く

話した言葉だけでなく、うなずいた、目をそらした、手を握った、何も言わなかった、という行動も書きます。沈黙も、患者さんに何かを伝えていることがあるからです。

④分析・考察は、行を指して書く

④の欄には、振り返って気づいたことを書きます。次の3つの問いで考えると書きやすくなります。

  • 患者さんのこの言動には、どんな気持ちやニーズがあったと考えられるか
  • 自分のこの言動は、②のどの気持ちから出ていたか
  • 別の返し方をしていたら、患者さんの反応はどう変わったと考えられるか

「もっと傾聴すべきだった」のような反省だけで終わらせず、なぜそうできなかったのか、次にどうするかまで書きます。

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プロセスレコードの記入例

精神看護の実習で、統合失調症で入院している50代の男性患者さんを受け持った場面を例にします。

場面の状況:実習3日目の午後、デイルームでテレビを見ていた患者さんの隣に座り、話しかけた。

この場面を選んだ理由:患者さんの言葉に返事ができず、会話が途切れてしまい、どう関わればよかったのか振り返りたいと思ったため。

番号 ①患者の言動 ②私が感じたこと・考えたこと ③私の言動 ④分析・考察
1 テレビを見たまま、こちらを見ない 話しかけて迷惑ではないかと不安になった 「お隣、座ってもいいですか」 断りを入れたことで、患者さんが距離を選べるようにできた
2 小さくうなずく 座ってよいと分かり、少し安心した 隣に座り、一緒にテレビを見る 言葉を交わさずに同じものを見る時間が、関係づくりのきっかけになった
3 「家族はもう来ないよ。見捨てられたんだ」 急に重い話になり、どう返せばいいか分からず焦った 「そんなことないですよ。きっと来てくれますよ」 焦りから、根拠のない励ましで話を終わらせようとしていた。患者さんの寂しさを受け止める前に否定してしまった
4 無言でテレビに視線を戻す 怒らせてしまったかもしれないと思った 何も言えず、しばらく何も話さなかった 3の返事で、患者さんは気持ちを分かってもらえないと感じた可能性がある。「見捨てられたと感じているんですね」と気持ちをくり返すことで、話を続けられたかもしれない

全体の考察:患者さんの「見捨てられた」という言葉に、自分は気まずさを感じ、早く明るい話に戻したいと思っていた。その気持ちから、事実を確かめないまま「きっと来てくれますよ」と励ましてしまった。患者さんにとっては、寂しさを打ち明けたのに否定された体験になった可能性がある。次に同じような言葉を聞いたときは、すぐに答えを返そうとせず、患者さんの気持ちを言葉にしてくり返し、話の続きを待つ。

プロセスレコードを書くときの注意

個人が特定される情報を書かない

患者さんの氏名、生年月日、住所、病院名などは書きません。年代や病名も、特定につながらない範囲で書きます。提出物や実習記録の扱いは、学校や施設の決まりに従います。

記録は正確さより、振り返りの深さを見られる

会話の一言一句をそのまま再現することは、誰にもできません。大切なのは、覚えている範囲で正直に書き、④で自分の関わり方を見直すことです。

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よくある質問

プロセスレコードと看護記録の違いは?

看護記録は、患者さんの状態と行ったケアを、チームで共有するための公式な記録です。プロセスレコードは、自分の関わり方を振り返るための学習の記録で、自分の気持ちや考えを書く欄があるのが大きな違いです。プロセスレコードの内容を、そのまま看護記録に写すことはしません。

何行くらい書けばいいですか?

様式や課題によって違いますが、5〜10行程度のやりとりで書くことが多いです。行数より、戸惑った場面をしっかり振り返れているかが大切です。

場面がうまくいかなかったことばかりで、書くのがつらいです

プロセスレコードは、うまくいかなかった場面を振り返るための記録です。失敗した場面を選んだからといって、評価が下がるわけではありません。気持ちが揺れた場面ほど、自分の関わり方の癖に気づくきっかけになります。

まとめ

プロセスレコードは、患者さんとのやりとりを、そのときの自分の気持ちと一緒に書き出して振り返る記録です。場面は、戸惑ったり迷ったりしたものを選びます。①患者の言動は解釈を入れずに、②私が感じたことはその場の気持ちを正直に、③私の言動は沈黙も含めて書き、④分析では行を指して、自分の言動がどの気持ちから出ていたか、別の関わり方はなかったかを考えます。反省で終わらせず、次にどうするかまで書くと、実習や研修での学びにつながります。