ナースの勉強部屋

看護目標の書き方|長期目標と短期目標の分け方、評価できる形にする4つの要素と言い換え表・場面別の例文

看護目標の書き方|長期目標と短期目標の分け方、評価できる形にする4つの要素と言い換え表・場面別の例文

看護計画の看護目標は、書くたびに「これで評価できる?」と指導を受けやすい欄です。「安楽に過ごせる」「不安が軽減する」と書いたものの、評価日に達成したのかどうかを決められなかった経験がある人も多いはずです。

看護目標は、評価日に「達成した・していない」を判定するための物差しです。日本看護協会の「看護記録に関する指針」は、看護計画を、健康問題と期待する成果、そのための看護実践の計画を書いたものと説明しています。看護目標は、この「期待する成果」を言葉にした部分にあたります。

この記事は、病棟で看護計画を立てる看護師と、実習で看護計画を書く看護学生に向けて、看護目標の書き方と例文をまとめたものです。観察計画・援助計画・教育計画の書き方や、評価日の決め方は看護計画のOP・TP・EPとはで扱っています。ここでは目標の文の作り方に絞ります。

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目次
  1. 看護目標は患者を主語にして書く
  2. 長期目標と短期目標の書き分け
  3. 看護目標を評価できる形にする4つの要素
  4. 看護目標のよくある書き方と言い換え表
  5. 看護目標の場面別の例文
    1. 術後の離床
    2. 退院に向けた服薬の自己管理
    3. 転倒の予防
    4. 家族への指導
  6. 看護目標と看護問題・観察計画のつながりを見直す
  7. よくある質問
    1. 看護目標は「〜できる」で終わらせないといけませんか
    2. 患者と一緒に看護目標を決めたほうがよいですか
    3. 看護目標を途中で変えてもよいですか
  8. まとめ
  9. 参考

看護目標は患者を主語にして書く

看護目標で最初に確かめたいのは、文の主語です。看護目標は「患者がどうなるか」を書くもので、看護師が何をするかを書く欄ではありません。

主語が看護師になっている例 患者を主語にした例
転倒しないよう環境を整える ナースコールを押して看護師を呼んでから、トイレへ歩く
服薬について指導する 退院後に飲む薬の名前と飲む時間を、自分で説明できる
疼痛を緩和する 痛みの強さをNRSで伝え、夜間に眠れたと話す

左の列は、看護師が行うケアです。これらは看護計画の援助計画や教育計画に書く内容で、目標に書くと、評価日に「ケアをしたかどうか」しか確かめられなくなります。

長期目標と短期目標の書き分け

看護目標は、長期目標と短期目標に分けて書く施設が多くあります。期間の長さは施設や病棟の入院期間によって違うので、自施設の決まりに合わせます。

長期目標 短期目標
書くこと 看護問題が解決したときの患者の状態 長期目標にたどり着くまでの途中の状態
期間 退院時、入院期間の終わりなど 数日〜1〜2週間など、評価日までに確かめられる長さ
数 看護問題1つに1つ 長期目標1つに1〜3つ
書き方 少し大きな状態でよい 観察して確かめられる行動で書く

たとえば長期目標が「退院後、自宅で自分で薬を管理できる」なら、短期目標は「入院中、配られた薬を自分で時間どおりに飲める」「飲み忘れたときの対応を自分で説明できる」のように、段階を分けて書きます。

短期目標を全部達成すると長期目標に届く。この関係になっているかを、立案したあとに見直しておきましょう。

看護目標を評価できる形にする4つの要素

評価日に迷わない看護目標には、次の4つが入っています。

要素 問い 例
主語 誰が 患者が(家族が対象のときは家族が)
行動 何ができるようになるか 歩行器を使ってトイレまで歩く
条件 どんな条件で 見守りのもとで、日中に
期限 いつまでに 術後5日目までに

4つをつなげると、「術後5日目までに、日中、見守りのもとで歩行器を使ってトイレまで歩ける」になります。評価日には、この文と実際の様子を並べれば、達成したかどうかを判定できます。

行動の部分は、観察して確かめられる動詞で書くのがこつです。「理解する」「意欲を持つ」のような頭の中の変化は外から見えないため、「説明できる」「自分で選ぶ」「〜と話す」のように、見たり聞いたりできる行動に置き換えます。

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看護目標のよくある書き方と言い換え表

指導で返されやすい看護目標を、4つの要素を足して言い換えます。

よくある書き方 足りないもの 言い換えの例
安楽に過ごせる 行動・期限 3日以内に、痛みの強さを自分からNRSで伝えられる
不安が軽減する 行動(見えない変化) 手術前日までに、手術の流れについて気になることを自分の言葉で看護師に話せる
転倒しない 行動・条件 入院4日目までに、夜間はナースコールで看護師を呼んでからトイレへ行ける
ADLが拡大する 行動・条件・期限 1週間後までに、病棟内の洗面所まで杖を使って1人で歩ける
服薬の必要性を理解する 行動(見えない変化) 退院前日までに、薬の名前と飲む時間、飲み忘れたときの対応を説明できる
便秘が改善する 行動・期限 3日以内に、自分で排便の有無を看護師に伝えられる

「転倒しない」のように「〜しない」で終わる目標は、評価日まで何も起きなかったかどうかしか確かめられません。患者が自分でとる行動に言い換えると、途中の様子も評価に使えます。

「便秘が改善する」のように状態の改善を目標にしたいときも、「改善」の一語では評価日に判定できません。患者がとる行動や、施設で決めた観察の物差しで確かめられる様子を書きます。

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看護目標の場面別の例文

場面ごとに、長期目標と短期目標の組み合わせを例として示します。期間や条件は、患者の状態と施設の決まりに合わせて変えてください。

術後の離床

  • 長期目標:退院時までに、病棟内を1人で歩いて移動できる
  • 短期目標:術後2日目までに、看護師の見守りのもとでベッドの横に立てる
  • 短期目標:術後4日目までに、歩行器を使って病室のトイレまで歩ける

退院に向けた服薬の自己管理

  • 長期目標:退院後、自宅で決められた時間に薬を飲める
  • 短期目標:1週間後までに、配られた1日分の薬を自分で時間どおりに飲める
  • 短期目標:退院前日までに、飲み忘れたときにどうするかを自分で説明できる

転倒の予防

  • 長期目標:入院中、移動するときは決めた方法(ナースコールで呼ぶ・歩行器を使う)を自分で守れる
  • 短期目標:入院2日目までに、ナースコールの位置と押すタイミングを説明できる
  • 短期目標:入院4日目までに、夜間はナースコールで看護師を呼んでからトイレへ行ける

家族への指導

  • 長期目標:退院時までに、家族が自宅で体位変換を行える
  • 短期目標:1週間後までに、家族が看護師と一緒に体位変換を行える
  • 短期目標:退院前日までに、家族が手順を看護師に説明しながら1人で行える

家族が対象の目標では、主語を「家族が」にします。誰ができるようになる目標なのかを、文の頭で分かるようにしましょう。

看護目標と看護問題・観察計画のつながりを見直す

看護目標を書いたら、前後の欄とつながっているかを確かめます。

  • [ ] 看護問題1つに、長期目標が1つ対応している
  • [ ] 短期目標を全部達成すると、長期目標に届く
  • [ ] 観察計画に、目標の達成を確かめる観察が入っている
  • [ ] 援助計画・教育計画が、目標の行動を身につける内容になっている
  • [ ] 目標に期限があり、評価日と合っている

たとえば目標が「歩行器を使ってトイレまで歩ける」なのに、観察計画に歩行の様子を見る項目がなければ、評価日に判定する材料がありません。目標と観察計画は、必ず並べて読みましょう。

実習で看護計画を書く場合は、看護実習記録の書き方で、アセスメントから計画へのつなげ方も確かめておくと書きやすくなります。

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よくある質問

看護目標は「〜できる」で終わらせないといけませんか

決まりではありませんが、「〜できる」「〜と話す」のように行動で終わると、評価日に判定しやすくなります。施設で書き方が決まっていれば、それに合わせます。

患者と一緒に看護目標を決めたほうがよいですか

患者が自分の目標として受け止められると、行動につながりやすくなります。患者や家族の言葉を目標に取り入れるかどうかは、施設や病棟の方針に合わせて決めてください。

看護目標を途中で変えてもよいですか

評価日に達成の見込みが立たない場合や、患者の状態が変わった場合は、目標を修正します。修正した理由と日付を記録に残しておくと、次に読む看護師が経過を追えます。

まとめ

看護目標は、患者を主語にし、「行動・条件・期限」を入れて、評価日に達成したかどうかを判定できる形で書きます。「安楽」「理解」のような見えない言葉は、観察で確かめられる行動に置き換え、短期目標を積み上げると長期目標に届く関係になっているかを見直してください。

参考