ナースの勉強部屋

看護記録監査表の項目例と作り方|形式監査と質監査の違い、判定の付け方、監査する側・される側のポイント

看護記録監査表の項目例と作り方|形式監査と質監査の違い、判定の付け方、監査する側・される側のポイント

記録委員になって「来月から監査表を作り直して」と頼まれた。あるいは、監査で返ってきた指摘の意味が分からない。看護記録の監査は、どちらの立場でも戸惑いやすい業務です。

日本看護協会の「看護記録に関する指針」は、看護記録の監査を、施設で決めた記載基準に沿って看護実践の一連の過程が記録されているか、質と量が十分かを確かめることと説明しています。そのうえで、監査項目と評価基準は各施設で設定するとしています。全国共通の監査表があるわけではありません。

この記事は、記録委員や監査担当になった看護師と、監査を受ける病棟の看護師に向けて、監査表の項目例と作り方をまとめたものです。項目は例なので、自施設の記載基準に合わせて入れ替えてください。診療報酬の算定要件の細かい確認や、電子カルテの監査機能の使い方は扱いません。

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目次
  1. 看護記録監査の目的と、指針が求めていること
  2. 看護記録監査の2つの種類|形式監査と質監査の違い
  3. 看護記録監査表の項目例|形式監査
  4. 看護記録監査表の項目例|質監査
  5. 看護記録監査表の判定の付け方(2段階・3段階)
  6. 看護記録監査表を自施設用に作る手順
  7. 看護記録監査をする側のポイント
  8. 看護記録監査をされる側のポイント
  9. よくある質問
    1. 看護記録の監査はどれくらいの頻度で行いますか
    2. 監査する記録は何件くらい抜き取ればよいですか
    3. 監査で指摘された記録は、あとから書き直してよいですか
  10. まとめ
  11. 参考

看護記録監査の目的と、指針が求めていること

指針は看護記録の目的として、看護実践を証明すること、継続性と一貫性を担保すること、評価と質の向上を図ることの3つを挙げています。監査は、この3つが記録で果たせているかを確かめる作業です。

指針は、各施設で記載基準を明文化しておくことも求めています。記載基準には、記録の様式、署名や訂正の方法、記録方法、用語・略語の一覧などを含めるとしています。監査表は、この記載基準を「チェックできる問い」に置き換えたものと考えると作りやすくなります。

逆にいえば、記載基準が決まっていない項目は監査できません。監査表を作る前に、自施設の記載基準を手元に置いてください。

看護記録監査の2つの種類|形式監査と質監査の違い

多くの施設では、監査を「形式監査」と「質監査」に分けて行っています。呼び方は施設によって違い、量的監査・質的監査と呼ぶところもあります。

形式監査 質監査
見るもの 決められた項目が、決められた形で書かれているか 書かれた内容が、看護実践の過程として筋が通っているか
判定のしかた ある・ない、守れている・守れていないで判定しやすい 監査者の読み取りが入るため、判定基準を言葉で決めておく
監査する人 病棟の看護師どうし、記録委員など 記録委員、看護師長・主任、経験のある看護師など
件数の目安 多めに抜き取って回しやすい 1件にかかる時間が長く、件数は絞ることが多い
見つかりやすい課題 署名の抜け、日時の抜け、略語の不統一 アセスメントの根拠不足、計画と経過記録のずれ

形式監査だけでは「書いてはあるが、読んでも状態が分からない記録」を見逃します。質監査だけでは件数が回りません。2つを組み合わせる施設が多いのはこのためです。

看護記録監査表の項目例|形式監査

形式監査の項目は、記載基準をそのまま問いにすると作れます。

区分 監査項目の例 判定
基本 記載した日時と記載者の名前が残っている はい・いいえ
基本 時刻が24時間表記など施設の決まりで書かれている はい・いいえ
訂正 訂正した人・内容・日時が分かり、訂正前の記載が読める はい・いいえ・該当なし
訂正 追記は、いつのどの記載への追記かが分かる はい・いいえ・該当なし
用語 施設の略語一覧にない略語を使っていない はい・いいえ
様式 入院時の基礎情報が決められた期限内に記載されている はい・いいえ
様式 看護計画が決められた期限内に立案されている はい・いいえ
様式 看護計画の評価日に評価が記載されている はい・いいえ・該当なし
様式 退院・転棟時の要約(サマリー)が作成されている はい・いいえ・該当なし
代行 看護補助者などが代行した記載に、看護師の確認の署名がある はい・いいえ・該当なし

訂正と代行の項目は、指針がはっきり書いている部分です。訂正前の記載を読める形で残すこと、代行した記載は看護職が内容を確認して署名することが求められています。

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看護記録監査表の項目例|質監査

質監査は、看護過程の流れに沿って項目を並べると、監査者が迷いにくくなります。

看護過程 監査項目の例
情報収集 基礎情報から、看護問題につながる情報が読み取れる
アセスメント 看護問題を挙げた根拠が、観察した事実で書かれている
計画 看護目標が患者を主語にし、評価できる形で書かれている
計画 観察計画・援助計画・教育計画が看護問題と対応している
実施 経過記録に、計画に沿って行ったケアと患者の反応が書かれている
実施 主観的な言葉や決めつけではなく、見たこと・聞いたことで書かれている
評価 評価日に、目標に照らした評価と、継続・修正・終了の判断が書かれている
継続性 勤務帯が変わっても、同じ問題の経過が追える
共有 他職種や家族が読んでも意味が通じる言葉で書かれている

質監査で多い指摘は、「計画にない観察が経過記録に続いている」「評価日が過ぎても計画が更新されていない」の2つです。計画と経過記録を並べて読む項目を、必ず入れておきましょう。

看護目標の書き方を確かめる項目は、監査する人によって判定が分かれやすい部分です。病棟内で目線をそろえるときは、看護計画のOP・TP・EPのように、計画の書き方の見本を一緒に示すと話が早く進みます。

看護記録監査表の判定の付け方(2段階・3段階)

判定の段階は、形式監査と質監査で分けると使いやすくなります。

判定の形 向いている監査 例
2段階(はい・いいえ) 形式監査 署名がある・ない
3段階(できている・一部・できていない) 質監査 根拠が十分・一部不足・書かれていない
該当なしを足す 両方 訂正がない記録の訂正項目

3段階にするときは、「一部」が何を指すのかを言葉で決めておきます。たとえば「アセスメントに根拠が1つ以上あるが、看護問題とつながっていない」のように、監査者が同じ記録を読んで同じ判定になる書き方にします。

点数を合計して割合を出す施設もあります。その場合も、点数より「どの項目で落ちたか」を病棟に返すほうが、記録の改善に直結します。

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看護記録監査表を自施設用に作る手順

監査表は、次の順で作ると手戻りが少なくなります。

  1. 自施設の記載基準と、記録の様式(基礎情報・看護計画・経過記録・要約)を確認する
  2. 形式監査は、記載基準の決まりを1つずつ「はい・いいえ」で答えられる問いにする
  3. 質監査は、看護過程の流れに沿って10項目前後に絞る
  4. 判定の段階と、「一部」などの基準を言葉で書く
  5. 試しに同じ記録を2〜3人で監査し、判定が分かれた項目の言葉を直す
  6. 1年ごとなど時期を決めて、記載基準の変更に合わせて項目を見直す

5の試行は省かれがちですが、ここで判定のずれをなくしておくと、病棟からの「監査者によって言うことが違う」という不満が減ります。

項目を増やしすぎると、監査そのものが負担になります。記録の量を減らす取り組みと監査を一緒に考えたいときは、看護記録の簡素化も参考にしてください。

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看護記録監査をする側のポイント

  • 監査表の項目にないことは、指摘ではなく「提案」として分けて返す
  • 「書けていない」だけでなく、どう書けばよかったかの例を1つ添える
  • 個人名を出して病棟に掲示しない。病棟全体の傾向として返す
  • よく書けている記録も共有し、見本として使う

監査の目的は、記録と看護の質を上げることです。指摘の数を競うものではありません。

看護記録監査をされる側のポイント

  • 返ってきた監査表は、落ちた項目だけでなく、その項目の基準の言葉まで読む
  • 同じ項目で何度も落ちるなら、記録のどの時点で抜けやすいかを振り返る
  • 基準の意味が分からないときは、記録委員に例を聞く

監査で指摘されるのは、記録の書き方の癖であって、看護の腕そのものではありません。基準に合わせた書き方が身につくと、記録にかかる時間も短くなります。

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よくある質問

看護記録の監査はどれくらいの頻度で行いますか

決まった頻度はなく、各施設で決めています。月1回の形式監査と、年に数回の質監査を組み合わせる施設もあります。

監査する記録は何件くらい抜き取ればよいですか

件数の決まりもありません。病棟の規模と監査にかけられる時間から逆算し、続けられる件数にするのが現実的です。

監査で指摘された記録は、あとから書き直してよいですか

事実と違う内容に書き換えることは改ざんにあたり、指針もはっきり禁じています。書き忘れを補う場合は、追記であることと日時が分かる形で書きます。

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まとめ

看護記録監査表は、施設の記載基準を問いに置き換えて作ります。形式監査は「はい・いいえ」で答えられる項目に、質監査は看護過程の流れに沿った10項目前後に絞り、判定の基準を言葉で決めておくと、監査者によるぶれが減ります。

参考