ナースの勉強部屋

看取りの看護記録の書き方と例文|看取り期から死亡確認・エンゼルケアまで、時刻の書き分けと家族の言動の残し方

看取りの看護記録の書き方と例文|看取り期から死亡確認・エンゼルケアまで、時刻の書き分けと家族の言動の残し方

看取りの看護記録は、本人と家族が最期の時間をどう過ごしたか、医療・ケアチームが何を話し合い、何を行ったかを残す記録です。後から家族が開示を求めることもあり、時刻と言葉の一つひとつが読まれます。

迷いやすいのは、死亡にかかわる時刻の書き方です。死亡を確認し、死亡診断書を書くのは医師です。看護記録には、看護師が観察した変化と、医師へ連絡した時刻、医師が確認した時刻を分けて書きます。

この記事では、看取りの看護記録を4つの場面に分けて、書くことと例文を整理します。記録の様式や家族への連絡の手順は、所属先の記載基準とマニュアルに合わせてください。

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目次
  1. 看取りの看護記録に書く4つの場面(看取り期・臨終期・死亡確認・死後のケア)
  2. 看取り期の看護記録の書き方(本人の意向・家族との話し合い・苦痛の観察)
    1. 本人の意向と、話し合いの内容を書く
    2. 苦痛や不安の観察を書く
    3. 家族の付き添いと思いを書く
  3. 臨終期の看護記録の書き方(呼吸や反応の変化と家族への連絡)
  4. 死亡確認の看護記録の書き方(確認するのは医師、時刻の書き分け)
    1. 死亡を確認し、死亡診断書を書くのは医師
    2. 看護記録に残す時刻は4つある
    3. 家族への説明と、家族の様子を書く
  5. エンゼルケアとお見送りの看護記録の書き方
  6. 看取りの看護記録で家族の言動を書くときの言い換え表
  7. 看取りの看護記録の例文(看取り期・夜間の臨終・エンゼルケア)
    1. 看取り期の例(SOAP)
    2. 夜間の臨終から死亡確認までの例(経時記録)
    3. エンゼルケアの例
  8. よくある質問
    1. 看護記録に「死亡」と書くのは、いつからですか?
    2. 家族が間に合わなかったときは、どう書きますか?
    3. 訪問看護の看取りでも書き方は同じですか?
  9. まとめ
  10. 参考

看取りの看護記録に書く4つの場面(看取り期・臨終期・死亡確認・死後のケア)

看取りの記録は、時間の流れで4つの場面に分けると、書くことが整理しやすくなります。

場面 主に書くこと 書き方
看取り期 本人の意向、家族との話し合いの内容、苦痛や不安の観察、行ったケア SOAPやフォーカスなど、ふだんの書き方
臨終期 呼吸や反応の変化、家族への連絡、家族の到着と付き添いの様子 時刻の順に書く経時記録が向いている
死亡確認 医師への連絡、医師の到着、医師が死亡を確認した時刻、家族への説明 経時記録
死後のケア エンゼルケアの実施と家族の参加、お見送り、持ち物の確認 経時記録か、施設の所定の様式

日本看護協会の「看護記録に関する指針」は、看護実践を時間の経過とともに書くこと、時間を正確に書くこと、事実を正確に書くことを記録の基本としています。看取りの場面も、この基本は変わりません。

看取り期の看護記録の書き方(本人の意向・家族との話し合い・苦痛の観察)

本人の意向と、話し合いの内容を書く

厚生労働省の「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」は、本人・家族等と医療・ケアチームが話し合った内容を、その都度、文書にまとめておくことを求めています。本人の意思は変わることがあるため、話し合いをくり返すことも大切だとしています。

看護記録には、次のことを残します。

  • 誰が同席した話し合いか(本人、家族の続柄、医師、看護師など)
  • 医師から何が説明されたか(説明した医師と、説明の要点)
  • 本人や家族が話したこと(かぎかっこで、できるだけ言葉どおりに)
  • 決まったこと、まだ決まっていないこと

方針を決めるのは本人と医療・ケアチームです。看護記録には、話し合いの過程と本人・家族の言葉を残し、看護師が方針を決めたような書き方はしません。

苦痛や不安の観察を書く

痛み、息苦しさ、眠れない、落ち着かないなどの様子は、本人の言葉と観察した事実で書きます。痛みはNRSなど施設で使っている物差しで書くと、前後を比べられます。痛みの物差しの使い分けはペインスケールの看護での使い分けで紹介しています。

家族の付き添いと思いを書く

付き添いの有無、家族の疲れの様子、家族が話した不安や希望も記録に残します。グリーフケアは死亡の前から始まるといわれ、看取り期の家族の言葉は、その後のケアの手がかりになります。家族へのグリーフケアの考え方は看護師向けグリーフケア・グリーフワークとは?で紹介しています。

臨終期の看護記録の書き方(呼吸や反応の変化と家族への連絡)

臨終が近づくと、短い時間に変化が続きます。この時期は経時記録で、観察した変化と、行ったことを時刻とともに書きます。

書くこと 例
呼吸の変化 下顎を動かすような呼吸になった、呼吸の間隔が空いてきた
呼びかけへの反応 呼びかけに目を開けない、手を握ると握り返す
モニターの表示 施設の決まりで、表示された値や波形の変化を書く
医師への報告 誰に、何時に、何を伝えたか
家族への連絡 誰に、何時に、何を伝えたか。到着の時刻
家族の付き添い 誰がそばにいたか、声をかけていた様子

表に書いた変化は「観察した様子」です。「死期が近い」「危篤」のような判断は、医師の説明として書くか、医師が説明した事実として書きます。

家族への連絡は、つながらなかった場合も時刻とともに残します。「2:10 長男へ電話。つながらず、留守番電話に折り返しの依頼を残す」のように書きます。

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死亡確認の看護記録の書き方(確認するのは医師、時刻の書き分け)

死亡を確認し、死亡診断書を書くのは医師

医師法第20条は、医師が自ら診察しないで診断書を交付することを禁じており、厚生労働省の「死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル」は、ここでいう診断書に死亡診断書も含まれると説明しています。看護記録に「死亡」「永眠」と書くのは、医師が死亡を確認した後です。

看護師が先に呼吸の停止などに気づいた場合も、その時点では観察した事実を書きます。

看護記録に残す時刻は4つある

看取りの場面では、似た時刻がいくつも出てきます。何の時刻かを言葉で添えて書き分けます。

時刻 誰の行為か 書き方の例
変化に気づいた時刻 看護師の観察 3:02 訪室時、胸の動きが見られない。呼びかけに反応なし
医師へ連絡した時刻 看護師の行為 3:03 当直医へ電話で報告
医師が到着した時刻 医師の行為 3:15 当直医到着
医師が死亡を確認した時刻 医師の行為 3:20 当直医が死亡を確認。家族(妻・長男)同席

死亡診断書の「死亡したとき」の欄について、記入マニュアルは「死亡確認時刻ではなく、死亡時刻を記入」するとしています。つまり、死亡診断書に書かれる時刻と、医師が死亡を確認した時刻は同じとは限りません。死亡時刻を判断して死亡診断書に書くのは医師です。

看護記録では、医師が確認した時刻を「死亡確認」と書き、医師が死亡時刻を示した場合は「医師が死亡時刻を〇時〇分と説明」のように、医師の説明として書きます。看護師が死亡時刻を決めたように読める書き方はしません。

家族への説明と、家族の様子を書く

医師が家族へ説明した内容の要点と、同席した家族、家族の言葉や様子を書きます。説明の中身を詳しく残すのは、医師の記録の役割であることも多いため、看護記録には「誰が・誰に・何について説明したか」と家族の反応を書きます。

エンゼルケアとお見送りの看護記録の書き方

死後のケアの記録には、次のことを残します。

書くこと 例
開始と終了の時刻 4:00 開始、4:50 終了
実施した人と、家族の参加 看護師2名で実施。妻が整髪を一緒に行う
家族の希望 「この服を着せてあげたい」と浴衣を持参
体の状態で気づいたこと 皮膚の傷や、医療器具を抜いた部位の状態など、見た事実
持ち物・貴重品の確認 眼鏡、入れ歯、指輪を妻へ返却。確認者
お見送り 6:00 葬儀社の迎えで退院。見送った職員

エンゼルケアの手順や、医療器具の扱いは施設のマニュアルに従います。目的や流れはエンゼルケアとは?看護師向けの実践マニュアルで紹介しています。

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看取りの看護記録で家族の言動を書くときの言い換え表

家族の言葉や様子は、看護師の解釈に置き換えずに、見たこと・聞いたことで書きます。

解釈が入った書き方 事実で書いた書き方
家族は死を受け入れている 長女「お母さん、よく頑張ったね」と声をかけ、手をさすっている
家族は納得された 医師の説明後、妻「分かりました。家に連れて帰ります」と話す
家族は不穏 長男が病室の外で声を荒げ「なぜもっと早く連絡しなかったのか」と話す
家族は悲嘆が強い 妻が涙を流し、ベッドのそばから離れない
家族の協力が得られない 「仕事があるので夜は来られない」と話す
穏やかな最期だった 3:00 まで呼びかけに手を握り返す。家族3名が付き添い、声をかけていた

家族の言葉は、受け止め方が人によって違います。記録は家族が読む可能性もあるため、評価する言葉や決めつけの言葉は使わないようにします。

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看取りの看護記録の例文(看取り期・夜間の臨終・エンゼルケア)

以下の例文に出てくる患者さんと家族の情報は、すべて架空のものです。値や薬の名前は省き、記録の形だけを示しています。

看取り期の例(SOAP)

S:本人「家に帰るのはもう無理かな。家族がそばにいてくれたらいい」
O:日中はうとうとしている時間が長い。呼びかけには目を開け、返答あり。妻が午後から付き添い。
A:本人は病院で家族と過ごすことを望んでいる。妻の付き添いの負担が増えている。
P:妻の休める時間を一緒に考える。本人の希望を医療・ケアチームのカンファレンスで共有する。
15:00 担当医から本人・妻・長男へ病状の説明。看護師同席。妻「最期までここでお願いしたい」と話す。説明の内容は医師記録に記載。

夜間の臨終から死亡確認までの例(経時記録)

1:30 下顎を動かすような呼吸。呼びかけに目を開けない。手を握ると弱く握り返す。
1:32 当直医へ電話で報告。医師の指示で家族へ連絡。
1:35 妻へ電話で連絡。状態が変わってきていることを伝える。「すぐ行きます」と話す。
2:10 妻・長男到着。妻が手を握り声をかけている。
2:48 呼吸の間隔が空いてきた。家族へその様子を伝える。
3:02 胸の動きが見られない。呼びかけに反応なし。
3:03 当直医へ電話で報告。
3:15 当直医到着。
3:20 当直医が死亡を確認。妻・長男同席。当直医から家族へ説明。妻「最後まで一緒にいられてよかった」と話す。

エンゼルケアの例

3:50 家族へエンゼルケアの流れを説明。妻が一緒に行うことを希望。
4:00 看護師2名でエンゼルケアを開始。妻が髪を整え、持参した浴衣を着せる。
4:50 終了。眼鏡、入れ歯、腕時計を妻へ返却(看護師2名で確認)。
6:00 葬儀社の迎えで退院。看護師2名と当直医で見送り。

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よくある質問

看護記録に「死亡」と書くのは、いつからですか?

医師が死亡を確認した後です。それまでは、呼吸や反応などの観察した変化を書きます。医師が死亡を確認した時刻は「当直医が死亡を確認」のように、誰が確認したかが分かる形で書きます。

家族が間に合わなかったときは、どう書きますか?

家族へ連絡した時刻、家族が到着した時刻、到着時の様子と言葉を事実として書きます。「間に合わなかった」と書くより、時刻が並んでいるほうが、後から読んだ人に経過が伝わります。家族への声のかけ方は施設のマニュアルと、チームでの振り返りで確かめておきましょう。

訪問看護の看取りでも書き方は同じですか?

観察した変化と時刻、医師への連絡、医師が確認した時刻を分けて書く考え方は同じです。在宅では、家族が先に変化に気づいて連絡してくることも多いため、「家族から何時に、どんな連絡を受けたか」も書きます。記録の様式は事業所の決まりに従ってください。

まとめ

  • 看取りの看護記録は、看取り期・臨終期・死亡確認・死後のケアの4つの場面に分けて書く
  • 看取り期は、本人の意向と話し合いの内容を、本人と家族の言葉でその都度残す
  • 死亡を確認し、死亡時刻を判断するのは医師。看護記録には、看護師が気づいた変化、医師へ連絡した時刻、医師が確認した時刻を分けて書く
  • 家族の言動は、評価の言葉に置き換えず、聞いた言葉と見た様子で書く

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