ナースの勉強部屋

看護師の接遇目標の例文|経験年数・部署別に「場面・行動・数字」で書く書き方と、接遇委員が立てる部署目標の例

看護師の接遇目標の例文|経験年数・部署別に「場面・行動・数字」で書く書き方と、接遇委員が立てる部署目標の例

「笑顔で丁寧な対応を心がける」と書いた接遇目標は、1年後に達成したかどうかを誰も判断できません。面談で「どうでしたか」と聞かれても、「心がけました」としか答えようがない目標です。

接遇の目標は、どの場面で・何をするか・どれくらいの回数や割合での3つを入れると、測れる形になります。この記事では、その書き方と、経験年数・役割別、病棟・外来・クリニック別の例文をまとめました。自分に近い例文を選び、数字と場面を職場に合わせて書き換えれば、そのまま目標管理シートに使えます。

目標管理シート全体の書き方(部署目標とのつなげ方、テンプレート)は「看護師の目標管理シートテンプレート」で解説しています。この記事では接遇の目標に絞ります。

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目次
  1. 看護師の接遇目標は「場面・行動・数字」の3つで書く
    1. 接遇の目標の題材は新人研修ガイドラインの「基本姿勢と態度」にある
    2. 患者さんは「医師以外のスタッフの対応」をどう見ているか
  2. 接遇目標をSMARTで書き直す前と後の例文
  3. 経験年数・役割別の看護師の接遇目標の例文
    1. 新人看護師(1年目)の接遇目標の例文
    2. 2〜3年目の看護師の接遇目標の例文
    3. 中堅看護師(リーダー・プリセプター)の接遇目標の例文
    4. 主任・副看護師長の接遇目標の例文
  4. 病棟・外来・クリニック別の接遇目標の例文
    1. 病棟(入院)の接遇目標の例文
    2. 外来の接遇目標の例文
    3. クリニック(診療所)の接遇目標の例文
  5. 接遇委員・リーダーが部署の接遇目標を立てるときの例文
    1. 部署の接遇目標の例文
    2. 部署目標と個人目標をつなげる
  6. 接遇目標の達成を測る自己チェック表
  7. 評価面談で接遇目標について見られる3つのこと
    1. 1. 達成したかどうかを本人が説明できるか
    2. 2. うまくいかなかった場面を把握しているか
    3. 3. 部署の目標や役割とつながっているか
  8. よくある質問
    1. 接遇の目標は、数字にしないといけませんか?
    2. 接遇の目標と、看護技術の目標は両方書くべきですか?
    3. 接遇委員になったら、個人目標も接遇にしないといけませんか?
  9. まとめ
  10. 参考

看護師の接遇目標は「場面・行動・数字」の3つで書く

接遇の目標が抽象的になりやすいのは、「感じのよさ」をそのまま目標にしてしまうからです。感じのよさは結果であって、自分が直接コントロールできるのは行動だけです。

そこで、目標を次の3つに分解します。

要素 書くこと 例
場面 いつ、誰に対して 入院時オリエンテーション、ナースコール対応、外来の呼び出し、電話の取り次ぎ
行動 具体的に何をするか 名乗る、目線を合わせる、待ち時間の目安を伝える、復唱する
数字 どれくらいの回数・割合・期限で 受け持ち全員に、月1回、9割以上、9月末までに

「場面」が入ると、何を振り返ればいいかが決まります。「数字」が入ると、達成したかどうかを自分でも上司でも判断できます。

接遇の目標の題材は新人研修ガイドラインの「基本姿勢と態度」にある

何を目標にするか迷ったら、厚生労働省「新人看護職員研修ガイドライン【改訂版】」の到達目標が使えます。ガイドラインは「看護職員として必要な基本姿勢と態度」を、新人の時期だけでなく成長していく過程でも臨床実践能力の中核になる部分と位置づけています。

そのうち「患者の理解と患者・家族との良好な人間関係の確立」には、次のような項目が並んでいます。

  • 患者を一個人として尊重し、受容的・共感的態度で接する
  • 患者・家族にわかりやすい説明を行い、同意を得る
  • 守秘義務を厳守し、プライバシーに配慮する
  • 看護は患者中心のサービスであることを認識し、患者・家族に接する

同じ表の「組織における役割・心構え」の区分には、同僚や他の医療従事者とのコミュニケーションの項目もあります。接遇は患者さんへの対応だけでなく、職員どうしの言葉づかいや申し送りの態度も含めて目標にできます。

患者さんは「医師以外のスタッフの対応」をどう見ているか

厚生労働省「令和5年受療行動調査(概数)」では、「医師以外の病院スタッフの対応」に満足と答えた人は外来で63.7%、入院で71.9%でした。不満と答えた人は外来で4.0%、入院で5.0%です。

外来では、29.8%が「ふつう」と答えています。不満ではないものの、満足とも言えない人が3割近くいます。接遇の目標は、クレームを減らすことだけでなく、この「ふつう」を満足に変える行動を決めることでもあります。

接遇目標をSMARTで書き直す前と後の例文

SMARTは、目標を「具体的(Specific)・測定できる(Measurable)・達成できる(Achievable)・関連している(Relevant)・期限がある(Time-bound)」の5つで見直す考え方です。接遇の目標に当てはめると、次のように書き直せます。

書き直す前 書き直した後
笑顔で丁寧な対応を心がける 受け持ち患者さんへの朝の訪室時に、名乗ってから目線を合わせて挨拶し、9月末までに受け持ち全員に実施できたかを週1回振り返る
患者さんを待たせない ナースコールにすぐ行けないときは、「◯分ほどで伺います」と目安を伝える。月末に、伝えられなかった場面を勤務表の余白に記録して数を減らす
言葉づかいに気をつける 患者さんを「◯◯さん」と姓で呼び、「ちゃん」付けや愛称で呼ばない。上期に、同じチームの先輩1人に月1回チェックしてもらう
わかりやすい説明をする 退院指導の最後に、患者さんに要点を自分の言葉で言ってもらう確認を入れる。下期の退院指導の8割以上で実施する
電話対応をよくする 外来の電話は3コール以内に出て、所属と名前を名乗り、用件を復唱してから取り次ぐ。6月末までに、取り次ぎメモの書き方をチームでそろえる

書き直した後の文は長くなりますが、それで構いません。目標管理シートの「目標」欄に1文目、「行動計画」や「評価方法」の欄に2文目を分けて書くと、すっきり収まります。

数字は職場の実情に合わせて変えてください。ここに挙げた「8割」「月1回」は例で、根拠のある基準値ではありません。今の自分ができている割合を一度数えてから、少し上を目標にするのが現実的です。

経験年数・役割別の看護師の接遇目標の例文

接遇の目標は、経験年数が上がるほど「自分の行動」から「周りへの働きかけ」へ広がります。自分の段階の例文を選んでください。

新人看護師(1年目)の接遇目標の例文

1年目は、基本の行動を毎回できるようにすることが中心です。

  • 訪室時は必ずノックと名乗りをしてから入室し、上期のうちに受け持ち患者さん全員に毎回実施できるようにする
  • 処置やケアの前に「これから◯◯をします」と目的と所要時間を伝える。プリセプターに月1回、実施できていたかを確認してもらう
  • 患者さんから質問されて答えられないときは、「確認して◯時までにお返事します」と伝え、その時刻までに戻る。戻れなかった件数を毎月記録し、下期は0件にする

1年目の評価の目安は「新人看護師の独り立ちの基準」でも整理しています。

2〜3年目の看護師の接遇目標の例文

基本の行動が身についてきたら、相手に合わせた対応や、忙しい時間帯でも崩れない対応を目標にします。

  • 高齢の患者さんへの説明では、ゆっくり話すことに加えて、紙に要点を書いて渡す。下期の入院時オリエンテーションで、対象の患者さんの8割以上に実施する
  • 夜勤帯のナースコール対応で、すぐ行けないときに待ち時間の目安を伝える。月末に伝えられなかった場面を振り返り、件数を前月より減らす
  • 家族からの電話問い合わせで、個人情報を伝えてよい相手かを確認してから答える手順を、9月末までにチーム内で確認して実施する

中堅看護師(リーダー・プリセプター)の接遇目標の例文

中堅になると、自分の接遇に加えて、後輩やチームの接遇に働きかける目標が求められます。

  • プリセプティの訪室場面に月1回同行し、接遇の良かった点と直す点を1つずつその日のうちに伝える
  • リーダー業務の日に、患者さんや家族からの要望・苦情を勤務終了時にチームで共有する時間を5分取る。上期に実施できた日の割合を8割以上にする
  • 申し送りで患者さんの呼び方や、配慮が必要な関わり方(耳が遠い、方言で話すと安心するなど)を伝える項目を追加し、下期から病棟で運用する

主任・副看護師長の接遇目標の例文

主任クラスは、仕組みを作る・数字で見る目標が中心になります。

  • 病棟に寄せられた患者さんの意見箱の内容を毎月集計し、接遇に関するものを分類してスタッフ会議で共有する
  • 年2回、スタッフ全員の接遇の自己チェックと他者チェックを実施し、2回目で「できている」の割合が上がった項目と上がらなかった項目を分析する
  • 接遇に関する苦情が入ったときの対応手順(誰が受け、誰に報告し、いつまでに返答するか)を上期中に文書化し、病棟の新任者オリエンテーションに入れる

自己評価欄の書き方は「看護師の自己評価の書き方と例文」で、経験年数別に紹介しています。

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病棟・外来・クリニック別の接遇目標の例文

同じ経験年数でも、部署によって患者さんと接する場面がまったく違います。自分の部署の場面に置き換えて使ってください。

病棟(入院)の接遇目標の例文

病棟の接遇は、長い時間を一緒に過ごす中での関わりが中心です。

  • 入院時オリエンテーションで、病棟の1日の流れとナースコールの使い方を説明し、最後に「わからないことはありますか」と聞く。上期の担当入院の全員に実施する
  • 清拭や排泄介助の際に、カーテンを閉め、露出を最小限にする手順を毎回守る。月1回、同じチームの看護師と相互にチェックする
  • 面会に来た家族に、勤務中に一度は声をかけて様子を伝える。下期に受け持ち患者さんの家族の8割以上に実施する

外来の接遇目標の例文

外来は、短い時間で多くの患者さんと接するので、待ち時間と呼び出しの対応が中心になります。

  • 診察が予定より30分以上遅れているときは、待合の患者さんに遅れていることと目安の時間を伝える。上期に、遅れが出た日に毎回実施する
  • 患者さんの呼び出しでは、フルネームではなく番号や姓で呼ぶ運用を外来で確認し、9月末までに全員が同じ呼び方にそろえる
  • 診察後に、次回の予約日と検査の注意点を口頭と紙の両方で伝える。下期の担当患者さんの9割以上に実施する

クリニック(診療所)の接遇目標の例文

クリニックでは、看護師が受付や電話、会計の近くで患者さんと接することも多く、医院全体の印象を左右します。

  • 電話は3コール以内に出て、医院名と名前を名乗る。月1回、院長または事務スタッフに電話対応を聞いてもらい、気になった点を1つ直す
  • 初診の患者さんには、診察後に処置や検査の流れを説明する時間を1分取る。上期の初診患者さんの8割以上に実施する
  • 受付スタッフと、待ち時間が長くなったときに誰が声をかけるかを決める。6月末までに分担を決め、朝礼で共有する

電話対応の基本は「医療現場の電話対応マナー」にトークスクリプトつきでまとめています。

接遇委員・リーダーが部署の接遇目標を立てるときの例文

接遇委員やリーダーとして部署目標を立てるときは、個人目標と違い、部署全体で測れる指標を1つ決めることが出発点になります。

部署の接遇目標の例文

  • 病棟スタッフ全員が、年2回の接遇自己チェックを提出する(提出率100%)
  • 意見箱に寄せられた接遇に関する指摘を毎月集計し、同じ内容の指摘が3か月続いたものは、改善策をスタッフ会議で決める
  • 患者満足度調査の「看護師の対応」の項目で、前年度より「満足」の割合を上げる(調査を実施している施設の場合)
  • 接遇の勉強会を年2回開き、1回目と2回目の間に、各スタッフが自分の接遇目標を1つ実践して報告する

部署目標と個人目標をつなげる

部署目標を決めたら、スタッフ一人ひとりの個人目標がその下に入るようにします。たとえば部署目標が「意見箱の指摘を減らす」なら、過去の指摘で多かった場面(ナースコールへの返事、待ち時間の説明など)を共有し、各自がその場面から1つ選んで個人目標にします。

部署目標を数字にするときは、自分たちの行動で変えられる指標を選んでください。患者満足度は病院の設備や待ち時間にも左右されるので、それだけを目標にすると、努力しても結果が動かないことがあります。「チェックの提出率」「勉強会の実施回数」のような行動の指標と組み合わせると、達成の見通しが立ちやすくなります。

接遇目標の達成を測る自己チェック表

接遇の目標は、振り返りの仕組みがないと「なんとなくできた」で終わります。次のような自己チェック表を月1回つけると、面談での説明材料になります。

チェック項目 できた ときどき できなかった
訪室時にノックと名乗りをしてから入室した
患者さんを姓に「さん」をつけて呼んだ
処置やケアの前に、目的と所要時間を伝えた
すぐに対応できないとき、待ち時間の目安を伝えた
説明の後に、理解できたかを確認した
答えられない質問に、戻る時刻を伝えて戻った
露出やプライバシーに配慮してケアをした
同僚や他職種に、患者さんの前で配慮した言葉づかいをした

自分の目標に関係する項目だけ残し、職場の場面に合わせて書き換えてください。自己チェックだけだと甘くなりやすいので、月に1回は同じチームの看護師に同じ表でチェックしてもらうと、自分では気づけない癖が見えます。

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評価面談で接遇目標について見られる3つのこと

1. 達成したかどうかを本人が説明できるか

面談で一番困るのは、「できたと思います」としか言えない状態です。自己チェック表や記録の件数があれば、「上期は8割、下期は9割の場面でできた」と数字で答えられます。

2. うまくいかなかった場面を把握しているか

接遇の目標は、忙しい時間帯や、対応が難しい患者さんの場面で崩れやすいものです。「夜勤の多重業務のときに待ち時間を伝えられなかった」のように、できなかった場面を具体的に挙げられると、次の目標につながる振り返りとして評価されます。

3. 部署の目標や役割とつながっているか

部署で接遇を重点目標にしているなら、個人目標がその一部になっているかが見られます。中堅以上は、自分の接遇だけでなく、後輩やチームへの働きかけが入っているかも確認されやすい点です。

よくある質問

接遇の目標は、数字にしないといけませんか?

必ずしも数字でなくても構いません。ただし、達成したかどうかを判断できる形にします。「◯月までに手順を文書化する」「勉強会で発表する」のように、終わったかどうかがはっきりする行動でも測れます。

接遇の目標と、看護技術の目標は両方書くべきですか?

目標の数や組み合わせは施設の様式によって決まります。目標管理シートに書ける目標が1〜2つなら、部署の重点目標に近いほうを優先し、もう一方は行動計画の中に含める書き方もあります。

接遇委員になったら、個人目標も接遇にしないといけませんか?

決まりはありませんが、委員としての役割を個人目標に入れておくと、1年間の活動が評価の対象として扱われやすくなります。「委員会で決めた部署目標を病棟で浸透させる」のように、役割に沿った目標を1つ入れておくと説明しやすくなります。

まとめ

看護師の接遇目標は、「笑顔で丁寧に」を「どの場面で・何をするか・どれくらいの回数や割合で」に置き換えると、測れる目標になります。自分の経験年数と部署に近い例文を1つ選び、数字と場面を職場に合わせて書き換えるところから始めてみてください。

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参考