男性は助産師になれる?法律で「女子」と定められている理由と、代わりに選べる3つの道
「男性でも助産師になれますか」——看護学生や、周産期に関心のある男性看護師からよく出る問いである。
答えははっきりしていて、なれない。法律の条文で「女子」と定められているためで、実習先の方針や病院の判断ではない。
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条文で「女子」と書かれている
保健師助産師看護師法(保助看法)は、4つの資格をそれぞれ定義している。助産師の条文だけが、対象を女子に限定している。
| 資格 | 条文の書き方 |
|---|---|
| 保健師(2条) | 「…保健指導に従事することを業とする者」 |
| 助産師(3条) | 「…助産又は妊婦、じよく婦若しくは新生児の保健指導を行うことを業とする女子」 |
| 看護師(5条) | 「…療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者」 |
| 准看護師(6条) | 「…行うことを業とする者」 |
保健師・看護師・准看護師は「者」、助産師だけが「女子」である。この1語の違いが、男性が受験できない根拠になっている。
助産師国家試験の受験資格そのものが、女子に限られる。助産師養成課程(大学院・専攻科・専門学校)も、男性の入学を受け付けていない。
なぜ助産師だけが限定されているのか
1948年(昭和23年)に保助看法が制定された時点で、この規定が置かれている。それ以前の産婆規則(1899年)から続く形が引き継がれた。
その後、たびたび見直しの議論が行われてきた。男性看護師が増え、他の医療職に性別の制限が無いことから、助産師だけを女子に限る合理性が問われた場面がある。
議論のなかで挙げられてきた論点は、おおむね次の2つに整理される。
- 職業選択の自由・性別による差別の観点 —— 他の資格に性別要件が無いなかで、助産師だけを限定する根拠が問われる
- 出産・内診という場面の特性 —— 出産する側が男性の立ち会いを望まない場合に、どう配慮するか
2026年時点で、条文は「女子」のまま変わっていない。今後改正される可能性はあるが、いま進路を決めるなら「なれない」という前提で考える必要がある。
周産期に関わりたい男性が選んでいる3つの道
助産師にはなれないが、周産期の現場で働くこと自体は制限されていない。男性看護師が実際に選んでいるのは次の3つになる。
1. 産科・NICU の看護師として働く
産婦人科病棟や新生児集中治療室に、男性看護師が配属されている施設はある。助産行為(分娩の介助)はできないが、次のような業務は看護師の資格で行える。
- 妊婦・褥婦の療養上の世話
- 新生児のケア(保育器の管理、沐浴、観察)
- 診療の補助(点滴、投薬、器械の準備)
- 家族への説明の同席、退院指導の一部
施設によっては、患者の希望を踏まえて配属を限定していることがある。求人に応募する前に、男性看護師の配属実績を確認するのが現実的である。
NICU は比較的、男性看護師の配属が進んでいる分野とされる。新生児のケアが中心で、分娩の場面に直接関わらないためである。
2. 母子保健に関わる保健師になる
保健師には性別の要件が無い。自治体の保健センターで、乳幼児健診、家庭訪問、育児相談などに関わる道がある。
「出産の瞬間」ではなく「産前産後の生活」を支える側に回る形になる。妊婦訪問や産後うつのスクリーニングなど、周産期と地続きの業務が多い。
3. 周産期の周辺領域へ進む
- 不妊治療のクリニック —— 培養室(胚培養士は別資格)、外来看護
- 小児科 —— 乳幼児期以降の継続的な関わり
- 母子保健に関わる企業・行政 —— 母子手帳アプリ、医療機器、行政の母子保健事業
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進路を決める前に確認すること
「助産師になれない」で終わらせず、何をしたいのかを分けて考えると選びやすい。
| やりたいこと | 助産師でなければできないか |
|---|---|
| 分娩の介助をする | 助産師でなければできない(保助看法30条。医師・助産師以外の業として禁止) |
| 内診・分娩の進行を判断する | 助産師(または医師)でなければできない |
| 妊婦・褥婦の看護 | 看護師でできる |
| 新生児のケア | 看護師でできる |
| 育児相談・母子保健指導 | 保健師・看護師でできる |
| 産前産後の家族支援 | 看護師・保健師でできる |
分娩の介助そのものが目的なら、男性には道が無い。それ以外なら、看護師や保健師として関わる形が残っている。
よくある質問
海外なら男性の助産師になれますか。
国によっては男性の助産師が存在する。ただし、その資格で日本国内の助産行為はできない。日本で働くには日本の助産師免許が必要で、男性は取得できない。
助産師学校に男性が入学した例はありますか。
受験資格が女子に限られるため、養成課程への入学もできない。問い合わせても案内されるのは同じ内容になる。
男性看護師が産婦人科に配属されることはありますか。
ある。ただし施設によって方針が分かれる。求人票に「産科病棟」とあっても、男性の配属実績があるとは限らないため、面接や見学の段階で確認する。
将来、法律が変わる可能性はありますか。
議論は過去に何度も行われてきたが、2026年時点で条文は変わっていない。改正の時期を見込んで進路を決めるのは現実的ではない。
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産科・NICU・小児科は、施設によって男性看護師の受け入れ方針が違う。条件から絞り込んで、実際にどんな職場があるかを見ておくと判断しやすい。
勤務地・施設形態・こだわり条件で絞り込める。いますぐ動かなくても、どんな条件の職場があるかは見ておける。
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まとめ
- 助産師は保健師助産師看護師法3条で「女子」と定められており、男性は資格を取れない。保健師・看護師・准看護師は「者」で性別の要件が無い
- 受験資格そのものが女子に限られるため、養成課程にも入学できない
- 分娩の介助と内診は助産師(または医師)でなければできない。それ以外の周産期の看護は看護師の資格で行える
- 実際に選ばれている道は、産科・NICUの看護師/母子保健の保健師/周産期の周辺領域の3つ