看護師の夜勤手当の相場はいくら?二交代・三交代の平均額と、金額差が生まれる仕組み
同期と話していて、「うちの夜勤手当、そんなに安いの?」と気づいた——そんな経験はありませんか。
夜勤手当は施設ごとに設計が違うため、同じ回数の夜勤をしていても年間で数十万円の差がつくことがあります。しかも給与明細では基本給や他の手当と混ざっていて、1回あたりいくらもらっているのかが意外と分からないという声もよく聞きます。
この記事では、公的な調査に基づく夜勤手当の相場を確認したうえで、なぜ施設によって金額が違うのかという仕組みを解説します。自分の手当が相場と比べてどうなのかを判断できる状態を目指します。
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夜勤手当の相場
二交代は約1万1,000〜1万2,000円、三交代は準夜4,000円台・深夜5,000円台
日本看護協会の病院看護実態調査によると、夜勤1回あたりの手当の平均は次のようになっています。
| 勤務形態 | 1回あたりの平均額 |
|---|---|
| 二交代制 夜勤(16時間程度) | 約1万1,000〜1万2,000円 |
| 三交代制 準夜勤(16時30分〜0時30分頃) | 約4,200〜4,600円 |
| 三交代制 深夜勤(0時〜8時30分頃) | 約5,200〜5,700円 |
直近の調査では、三交代準夜勤4,567円、深夜勤5,715円、二交代夜勤11,815円という数値が示されています。2023年の調査では準夜勤4,234円、深夜勤5,199円、二交代11,368円でした。
数年単位で見ると微増にとどまっており、「夜勤手当は横ばい」というのが全体の傾向です。一方で夜勤ができる人材の確保は年々難しくなっており、この構造は今後の待遇に影響していく可能性があります。
二交代のほうが高いのは、拘束時間が長いから
二交代の夜勤手当が三交代の倍以上に見えるのは、1回あたりの拘束時間が違うからです。
二交代の夜勤は約16時間。三交代の準夜勤・深夜勤はそれぞれ8時間程度です。準夜勤と深夜勤を足せば4,567円+5,715円=約1万円となり、二交代の1万1,815円と近い水準になります。
つまり「二交代のほうが得」とは一概に言えません。時間あたりで見ればほぼ同等で、違いは拘束時間の長さと勤務回数、そして体への負担の出方です。
夜勤手当が「2層構造」であることを知っておく
ここが最も大事なところです。夜勤でもらえるお金は、性質の異なる2つで構成されています。
1. 深夜割増賃金(労働基準法37条)——法律で必ず発生する
労働基準法により、22時から翌5時までの労働には25%以上の割増賃金を支払わなければなりません。これは法律上の義務であり、施設が自由に決められる部分ではありません。
計算は「1時間あたりの基礎賃金 × 0.25 × 深夜の労働時間」です。基礎賃金は基本給などから算出されるため、基本給が高い人ほど深夜割増も高くなります。
2. 夜勤手当(就業規則で施設が決める)——ここが施設差の正体
こちらは法律で額が決まっているものではなく、各施設が就業規則で独自に設計する固定額です。1回8,000円の病院もあれば、1回15,000円の病院もあります。
つまり施設間の差は、主にこの2つ目から生まれています。
自分の手当を分解してみる
給与明細を開いて、次の2つが分かれて記載されているかを確認してみてください。
- 「深夜割増」「深夜勤務手当」など時間に比例する項目
- 「夜勤手当」など回数に比例する固定項目
分かれていない場合、月の夜勤回数で割ってみると1回あたりの金額が出ます。上の相場と比べて、自分の水準が見えてきます。
夜勤手当が高い施設の特徴
金額に差が出やすいのは、次のような施設です。
1. 急性期・高度急性期の病院
夜間の対応負荷が高く、人材確保の競争も激しいため、手当を厚くする傾向があります。
2. 人員確保に苦戦している地域・施設
需給の反映です。募集が集まりにくい地域では、夜勤手当を引き上げて対応するケースがあります。
3. 夜勤専従枠を設けている施設
夜勤専従は月の夜勤回数の上限が定められる代わりに、1回あたりの単価を高く設定していることがあります。
4. 経営に余力のある大規模法人
給与規程が整備され、手当も一定水準以上に設計されていることが多くなります。
ただし、手当が高い=働きやすいとは限りません。1回あたりの金額が高い背景に、重い夜間対応や薄い人員体制があるケースもあります。金額と体制はセットで確認してください。
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求人票を見るときの注意点
「夜勤手当込み」の表記に注意
月給例が「夜勤手当込み」で書かれている場合、月に何回の夜勤を想定した金額なのかが重要です。月4回想定と月8回想定では、実態がまったく違います。
確認すべきは次の3点です。
- 想定している月あたりの夜勤回数
- 夜勤1回あたりの手当額
- 深夜割増が夜勤手当とは別に支給されるか
3つ目は見落とされがちです。夜勤手当の中に深夜割増が含まれている(込み)という設計の施設もあり、その場合は実質の上乗せが見た目より小さくなります。
年収に占める割合を意識する
月4回の夜勤で1回1万1,000円なら、年間では約53万円。これは年収の1割前後を占める規模です。
夜勤の回数や有無を変えるときは、この影響を織り込んで考える必要があります。夜勤なしの働き方に移行した場合の年収の変化については、【看護師】夜勤なしで年収はどのくらい減る?でも詳しく整理しています。
よくある質問
Q. 夜勤手当の相場はいくらですか?
日本看護協会の病院看護実態調査によると、二交代制の夜勤が1回あたり約1万1,000〜1万2,000円、三交代制は準夜勤が約4,200〜4,600円、深夜勤が約5,200〜5,700円です。
Q. 二交代と三交代、どちらが手当は高いですか?
1回あたりの金額は二交代が高くなりますが、拘束時間が約2倍のため、時間あたりで見ればほぼ同等です。回数と体への負担で比較するのが実際的です。
Q. 深夜割増と夜勤手当は違うものですか?
違います。深夜割増は労働基準法で定められた22時〜翌5時の25%以上の割増賃金で、支払いは義務です。夜勤手当は各施設が就業規則で独自に設定する固定額で、施設差はこちらから生まれます。
Q. 夜勤手当が明細に見当たりません。
「夜勤手当」という名称ではなく、「特殊勤務手当」「交代制勤務手当」などの名目で支給されている場合があります。就業規則の給与規程を確認するか、事務担当に問い合わせてみてください。
Q. 夜勤専従にすると手当は増えますか?
1回あたりの単価を高く設定している施設があります。ただし夜勤専従は労働時間の上限が定められており、回数を無制限に増やせるわけではありません。単価と回数の両方を確認してください。
Q. パート・非常勤でも夜勤手当は出ますか?
出るのが一般的です。深夜割増は雇用形態にかかわらず法律上の支払い義務があります。夜勤手当の扱いは施設の規程によるため、契約時に確認しておくと安心です。
まとめ
夜勤手当の相場は、二交代で1回あたり約1万1,000〜1万2,000円、三交代では準夜勤が約4,200〜4,600円、深夜勤が約5,200〜5,700円です(日本看護協会 病院看護実態調査)。全体としては横ばいの傾向が続いています。
施設によって金額が違う理由は、夜勤でもらうお金が「法律で決まった深夜割増」と「施設が独自に決める夜勤手当」の2層でできているからです。差が出るのは後者であり、ここは転職の際に交渉・比較できる部分でもあります。
まずは直近の給与明細を開いて、夜勤に関する項目を月の夜勤回数で割ってみてください。1回あたりの金額が分かれば、自分の待遇が相場のどのあたりにあるのかが判断できます。そのうえで求人を見比べると、条件の違いが具体的な金額として見えてきます。
参考
– 公益社団法人日本看護協会「病院看護実態調査」
– 労働基準法 第37条(時間外、休日及び深夜の割増賃金)