看護必要度2026年改定のポイント|10月に経過措置が終わると病棟の看護師は何が変わる?
「必要度の基準が上がるらしい」「10月から本番だから、評価の確認を徹底するように」。病棟でこんな話を聞いた方もいるのではないでしょうか。
2026年度(令和8年度)の診療報酬改定では、急性期の入院料の仕組みとあわせて、重症度、医療・看護必要度(以下、看護必要度)の基準や計算方法が見直されました。改定は2026年6月に施行されていますが、看護必要度の施設基準には2026年9月30日までの経過措置が設けられています。つまり、10月1日からは新しい基準で判定されることになります。
この記事では、厚生労働省の改定資料をもとに、制度と病棟運営の面で何が変わるのかを整理します。個々の患者さんの評価の付け方(項目ごとの採点の判断)は扱いません。評価の方法は、院内の研修や厚生労働省の評価の手引きに沿って確認してください。
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そもそも看護必要度とは
看護必要度は、入院患者さんに必要な医療や看護の量を、決められた評価票で測る仕組みです。一般病棟用の評価票は、次の3つの項目群で構成されています。
| 項目群 | 何を見るか |
|---|---|
| A項目 | モニタリング及び処置等 |
| B項目 | 患者の状況等 |
| C項目 | 手術等の医学的状況 |
病棟全体で「基準を満たす患者さんがどれくらいの割合いるか」を算出し、その割合が入院料ごとに決められた基準を上回っているかが、施設基準の要件の一つになっています。基準を満たせないと、その入院料を届け出ることができません。病院の収入や、看護職員の配置の枠組みに直結するため、病棟の看護師にとっても身近な制度です。
必要度Iと必要度IIの違い
看護必要度には「I」と「II」があります。改定資料では、A項目(必要度Iの場合は専門的な治療・処置のうち薬剤を使用するものに限る)とC項目について、レセプト電算処理システム用コードを用いて評価し、直近3か月の該当患者割合を算出する、と整理されています。必要度IIは診療実績のデータを活用する度合いが大きい方式で、基準値は必要度Iより1ポイント低く設定されている入院料が多くなっています。
2026年改定で何が変わったのか
厚生労働省の改定資料から、看護必要度に関わる主な見直しをまとめます。
| 見直しの内容 | ポイント |
|---|---|
| 急性期病院一般入院基本料の新設 | 病院の機能(救急搬送件数や手術件数など)に着目した「急性期病院A・B」の入院料が新設された |
| 「割合指数」の導入 | 急性期の入院料などでは、該当患者割合に救急患者応需係数を加えた「割合指数」で基準を判定する |
| 基準値の見直し | 割合指数の導入や対象となる治療等の追加にあわせて、基準値が引き上げられた入院料がある |
| A項目・C項目の対象の追加 | 救急搬送症例や手術なし症例を適切に評価する観点から、対象となる治療や手術などが追加された |
| B項目の測定頻度 | 毎日測定する方法に加え、入院5日目以降は7日ごとに1回の測定とする方法も選べるようになった |
| 看護・多職種協働加算の新設 | 高齢者などが主に入棟する病棟で、ADLの維持・向上などに多職種で取り組む体制を評価 |
割合指数とは
割合指数は、次のように計算されます。
割合指数 = 病棟の該当患者割合 + 救急患者応需係数
救急患者応需係数は、1病床あたりの年間救急搬送受入件数に0.005を掛けて算出し、上限は1割です。厚生労働省の資料の計算例では、100床の病棟を持つ病院が年間1,000件の救急搬送を受け入れている場合、1病床あたり10件なので、係数は5%になります。該当患者割合が15%なら、割合指数は20%です。
救急搬送を多く受け入れている病院ほど、係数の分だけ基準を満たしやすくなる設計です。
基準値の見直し(主な入院料)
急性期一般入院料の基準値は、次のように見直されています(必要度Iの場合)。
| 入院料 | 改定前(該当患者割合) | 改定後(割合指数) |
|---|---|---|
| 急性期一般入院料1 | 割合①21%、割合②28% | 割合①28%、割合②35% |
| 急性期一般入院料2 | 22% | 28% |
| 急性期一般入院料3 | 19% | 24% |
| 急性期一般入院料4 | 16% | 20% |
| 急性期一般入院料5 | 12% | 15% |
必要度IIは、いずれも必要度Iより1ポイント低い値です。数値だけ見ると大きく上がっていますが、改定後は救急患者応需係数を足した「割合指数」で判定するため、単純に同じ土俵で比べることはできません。
一方で、看護必要度加算、急性期看護補助体制加算、看護職員夜間配置加算、地域包括ケア病棟入院料などの基準値は、改定前と同じ値に据え置かれています(割合指数ではなく該当患者割合で判定)。自分の病棟がどの入院料・加算を届け出ているかによって、影響の大きさが変わります。
経過措置と「10月からの影響」
看護必要度の施設基準には、次の経過措置が設けられています(厚生労働省「経過措置」資料より)。
| 対象 | 経過措置の内容 | 期限 |
|---|---|---|
| 改定前から急性期一般入院料1〜5、7対1入院基本料(特定機能病院・専門病院・結核)、看護必要度加算、急性期看護補助体制加算、看護職員夜間配置加算、地域包括ケア病棟などを届け出ている病棟 | 看護必要度に係る施設基準を満たしているものとみなす | 2026年9月30日まで |
| 改定前から急性期一般入院料1を届け出ていて、旧算定方法の基準を満たしている病棟 | 急性期病院一般入院基本料の看護必要度の基準を満たすものとみなす | 2026年9月30日まで |
経過措置の期間中は、新しい基準をすぐに満たせなくても、基準を満たしているものとみなされていました。10月1日からは、この「みなし」がなくなり、新しい基準で判定されます。
新しい基準を満たせない場合、病院は入院料の区分の見直しなど、届出の変更を検討することになります。資料には「経過措置は、今後変更になる可能性がある」との注記もあるため、最新の告示・通知の確認が必要です。
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病棟で働く看護師にとって何が変わるか
経過措置の終了で、病棟の看護師が実感しやすい変化を整理します。
1. 評価の正確さがこれまで以上に問われる
割合指数で判定される入院料では、基準値が上がっています。基準を満たしているかどうかが、ぎりぎりの病棟もあるでしょう。付けるべき評価が抜けていても、根拠のない評価をしていても、病院にとってはリスクになります。院内で評価の確認や監査の頻度が上がる可能性があります。
2. B項目の測定の運用が変わる可能性がある
改定では、B項目の測定について、入院5日目以降は7日ごとに1回の測定とし、それ以外の日は直近の評価で代替する方法も選べるようになりました。退院日は必ず測定し、患者さんの状態に明らかな変化があった場合は7日を待たずに測定することが望ましいとされています。
どちらの方法を採用するかは病院・病棟の判断です。自分の病棟が毎日測定なのか、7日ごとの方式なのかを確認しておきましょう。記録の負担が軽くなる一方で、測定日のルールを病棟内で統一することが大切になります。
3. 院内研修や評価ルールの更新
A項目・C項目の対象となる治療等が追加されたことで、評価票や院内マニュアル、電子カルテの設定などが更新されている可能性があります。評価する人どうしで判断をそろえるためにも、改定内容を反映した院内研修があるかを配属先で確認しておくと安心です。
4. 病棟の役割や入院料の見直しにつながることも
基準を満たせない病棟では、入院料の区分の変更や、病棟の機能の見直しが検討されることがあります。人員配置や夜勤体制に影響する場合もあるため、師長や看護部からの説明に注意しておきましょう。
看護師が確認しておきたいチェックリスト
- □ 自分の病棟が届け出ている入院料・加算は何か
- □ その入院料は「割合指数」で判定されるのか、「該当患者割合」で判定されるのか
- □ 病棟は必要度Iと必要度IIのどちらを使っているか
- □ B項目の測定は毎日か、入院5日目以降7日ごとの方式か
- □ 改定内容を反映した院内研修を受けたか
- □ 評価の疑問を相談できる担当者(必要度委員など)は誰か
- □ 10月以降、病棟の入院料や体制に変更の予定はあるか
転職時に聞いておきたいこと
急性期病院への転職を考えている方は、面接で次のような点を確認しておくと、入職後のイメージがつかみやすくなります。
- 「配属予定の病棟は、どの入院料を届け出ていますか」
- 「看護必要度の評価について、入職時の研修はありますか」
- 「評価の確認や監査は、どのような体制で行っていますか」
- 「看護補助者や多職種との役割分担はどうなっていますか」
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制度の変更をきっかけに、急性期病棟で経験を積みたい方も、働き方を見直したい方もいるでしょう。病院の種類や勤務形態から求人を比べて、自分に合う職場を探してみてください。
よくある質問
Q. 2026年の改定はいつから適用されていますか?
2026年度の診療報酬改定は2026年6月に施行されています。ただし、看護必要度の施設基準には2026年9月30日までの経過措置があり、改定前から届出をしていた病棟は、それまで基準を満たしているものとみなされていました。
Q. 基準値が上がると、看護師の評価の付け方も変わりますか?
基準値の見直しは、病棟全体の割合をどこまで求めるかの話で、評価の付け方そのものを変えるものではありません。一方で、A項目・C項目の対象の追加やB項目の測定頻度の選択肢など、評価の運用に関わる見直しもあります。具体的な評価方法は、院内研修や厚生労働省の評価の手引きで確認してください。
Q. 地域包括ケア病棟で働いていますが、影響はありますか?
地域包括ケア病棟入院料の看護必要度の基準値は、改定前と同じ値に据え置かれています。ただし、A項目・C項目の対象の追加など評価票側の見直しは共通して関わるため、院内のルールの更新は確認しておきましょう。
まとめ
2026年度の診療報酬改定では、急性期病院一般入院基本料の新設、救急患者応需係数を加えた「割合指数」の導入、基準値の見直し、A・C項目の対象追加、B項目の測定頻度の選択肢などが盛り込まれました。看護必要度の施設基準の経過措置は2026年9月30日で終わり、10月1日からは新しい基準で判定されます。
病棟の看護師にとっては、評価の正確さや測定ルールの統一がこれまで以上に大切になります。自分の病棟の入院料と評価のルールを確認し、疑問は必要度の担当者に早めに相談しておきましょう。
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