看護師の目標管理シートテンプレート|ラダー・経験年数別の書き方例文と面談で見られるポイント
年度はじめに配られる目標管理シート。「去年と同じような目標しか思いつかない」「『頑張る』以外に書くことがない」と、提出期限ぎりぎりまで手が止まってしまう看護師は少なくありません。
この記事では、そのまま使える目標管理シートのテンプレートと、目標を数値で書くための考え方(SMART)、経験年数・ラダー段階別の目標の例文を紹介します。面談での使い方や、評価で見られやすいポイントもあわせて整理します。
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看護師の目標管理(MBO)とは
目標管理は、「目標による管理」を意味する英語の頭文字をとってMBOとも呼ばれます。組織の目標と個人の目標をつなげ、本人が自分で目標を立て、上司との面談を通じて進み具合を確認していく仕組みです。
看護部で目標管理を行う目的は、主に次の3つです。
- 病院・看護部・部署の方針と、個人の成長をそろえる——部署の課題に自分がどう関わるかを言葉にする
- 成長の見える化——1年でできるようになったことを振り返りやすくする
- 公平な評価の材料——期初に合意した目標にもとづいて評価する
多くの施設では、目標管理はクリニカルラダー(看護実践能力を段階的に示す仕組み)と組み合わせて運用されています。日本看護協会も、日本看護協会版の看護師のクリニカルラダーをもとに、看護師に求められる能力の全体像をまとめた資料を公開しています。ラダーの段階の名称や数は施設ごとに異なるため、自施設のラダーの到達目標を手元に置いてからシートを書き始めるのがおすすめです。
目標管理シートのテンプレート
まずは、シートの基本形です。施設ごとに様式は違いますが、多くの場合は次の項目で構成されています。自施設に様式がない場合や、下書き用に使ってください。
| 項目 | 書く内容 | 記入例 |
|---|---|---|
| 部署目標 | 看護部・部署の年度目標を転記 | 退院支援の充実、超過勤務の削減 |
| 自分の現状と課題 | 昨年度の振り返りから見えた課題 | 申し送りに時間がかかり、定時に終われない日が多い |
| 年度目標 | 1年後になりたい姿を1文で | 申し送りを要点化し、定時退勤できる日を増やす |
| 達成基準(数値) | 何ができたら達成かを数字で | 申し送り時間を1人3分以内にする |
| 行動計画 | 達成のために具体的にやること | SBARの型でメモを作る、月1回先輩に聞いてもらう |
| 期限 | いつまでに | 9月末に中間確認、3月末に達成 |
| 中間評価(自己) | 半年時点の進み具合と修正点 | 3分以内は6割。夜勤明けに長くなる |
| 最終評価(自己) | 達成度と理由、次年度への課題 | 8割達成。次年度は後輩への伝え方を課題にする |
| 上司コメント | 面談での助言・評価 | (上司が記入) |
目標は2〜3個にしぼるのが基本です。項目が多すぎると、行動計画が薄くなり、どれも中途半端に終わりやすくなります。
目標はSMARTで数値化する
「患者さんに寄り添う看護をする」「知識を深める」といった目標は、方向性としては正しくても、1年後に達成したかどうかを判断できません。そこで役立つのが、5つの視点の英語の頭文字をとったSMART(スマート)という考え方です。
| 視点 | 意味 | チェックの問い |
|---|---|---|
| S | 具体的 | 誰が見ても同じ行動を思い浮かべられるか |
| M | 測定できる | 回数・時間・件数・割合で確認できるか |
| A | 達成できる | 今の業務量と経験で届く範囲か |
| R | 関連している | 部署目標や自分のラダー段階とつながっているか |
| T | 期限がある | いつまでに、を決めているか |
NG例とOK例の書き換え
| NG例 | どこが足りないか | OK例 |
|---|---|---|
| 申し送りを上手にする | 具体性・測定 | 9月末までに、SBARの型で申し送りを1人3分以内で行う |
| 勉強を頑張る | 具体性・期限 | 院内研修を年6回受講し、受講後1週間以内に部署で要点を共有する |
| 後輩の指導をする | 測定・期限 | プリセプターとして、新人と月1回振り返り面談を行い、記録を残す |
| 業務改善に取り組む | 具体性・測定 | 物品補充の手順書を12月までに作成し、補充漏れの報告件数を半減させる |
ポイントは、「何を」「どれくらい」「いつまでに」の3つを1文に入れることです。数字にしにくい目標は、「回数」「期限」「成果物(手順書・資料・記録)」のどれかに置きかえると書きやすくなります。
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【経験年数・ラダー段階別】目標の書き方例文
ここでは、よくある経験年数・役割の段階ごとに例文を紹介します。施設のラダーの段階と照らし合わせて、近いものを参考にしてください。
新人看護師(1年目)
1年目は「一人でできる業務を増やす」ことが中心です。
- 部署の新人チェックリストのうち、9月末までに日勤業務の項目を8割「一人でできる」にする
- 分からないことはその日のうちに先輩に確認し、学んだことを週1回ノートにまとめる
- 報告の型(SBAR)を使い、リーダーへの報告を毎勤務1回以上行う
2〜3年目
受け持ちや夜勤に慣れ、チームの一員として動く段階です。
- 夜勤の独り立ち後、半年間でインシデントレポートの振り返りを自分で3件まとめ、カンファレンスで共有する
- 退院支援カンファレンスに年間10回参加し、うち3回は受け持ちとして情報を提示する
- 院内研修の中から自分の課題に合うものを年4回選んで受講する
中堅看護師(4〜6年目程度)
自分の実践に加えて、後輩や部署全体に目を向ける段階です。
- プリセプターとして新人1名を担当し、月1回の振り返り面談と記録を1年間継続する
- 部署の業務マニュアルのうち1項目を担当し、12月までに改訂案を作成する
- 委員会活動で、担当テーマの勉強会を年2回企画・実施する
リーダー層・主任を目指す段階
チーム運営や部署目標への貢献が求められる段階です。
- リーダー業務の際、業務の割り振りを勤務開始15分以内に終え、定時退勤率を前年より上げる
- 部署の超過勤務の要因を3か月分集計し、改善案を師長に提案する
- 院内の看護研究発表に、共同研究者として年度内に1題参加する
復職・異動1年目
新しい環境に慣れることを優先します。前の部署での経験を活かす目標もおすすめです。
- 異動後3か月以内に、部署の主要な業務手順を一通り経験し、チェックリストで確認する
- 前部署で経験した業務の工夫を1つ、半年以内にカンファレンスで紹介する
面談での目標管理シートの使い方
目標管理は、シートを提出して終わりではありません。多くの施設では、期初・中間・期末の3回を目安に上司と面談します。
| 時期 | 面談の目的 | 準備しておくこと |
|---|---|---|
| 期初(4〜5月) | 目標のすり合わせ | 昨年度の振り返り、部署目標とのつながり |
| 中間(9〜10月) | 進み具合の確認と修正 | 数値の途中経過、うまくいかない理由 |
| 期末(2〜3月) | 達成度の評価と次年度の課題 | 最終的な数値、できたこと・できなかったこと |
面談の前に、「相談したいこと」を1つ決めておくと、面談が一方的な評価の場になりにくくなります。たとえば「この目標は今の業務量だと難しいので、期限を延ばしたい」「研修を受けたいが勤務との調整が難しい」など、具体的に伝えると上司も助言しやすくなります。
評価で見られやすい3つのポイント
1. 部署目標とのつながり
個人の目標が部署の方針と関係しているかは、多くの施設で重視されます。シートの冒頭に部署目標を書き、「そのうち自分はどこを担うか」を1文で示すと伝わりやすくなります。
2. 結果だけでなくプロセス
目標に届かなかった場合でも、何を試して、何が分かったかを具体的に書けば、評価の材料になります。「できなかった」で終わらせず、「〇〇が原因だったので、次年度は△△から始める」とつなげましょう。
3. 自分の段階に合った目標か
経験年数に対して目標が低すぎると成長が見えにくく、高すぎると途中で失速します。自施設のラダーで、今の段階の到達目標と、次の段階の到達目標を見比べてから書くと、ちょうどよい高さに調整できます。
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目標が思いつかないときのチェックリスト
- □ 昨年度のシートを読み返し、達成できなかった項目を書き出した
- □ 部署目標のうち、自分が関われそうなものに印をつけた
- □ 自施設のラダーで、次の段階に必要な項目を確認した
- □ 最近「時間がかかる」「困った」と感じた業務を3つ書き出した
- □ 受けてみたい研修や取りたい資格を書き出した
- □ 書いた目標に「何を・どれくらい・いつまでに」が入っているか見直した
困った業務は、そのまま業務改善の目標になります。「困っていること」から出発すると、自分ごとの目標が立てやすくなります。
よくある質問
Q. 目標は毎年変えないといけませんか?
同じテーマを続けてもかまいません。ただし、達成基準や行動計画は前年より一段上げるのが一般的です。たとえば「自分ができる」から「後輩に教えられる」へ、というように段階を進めると成長が伝わります。
Q. 数字にできない目標はどう書けばいいですか?
「回数」「期限」「成果物」のどれかに置きかえて考えます。「コミュニケーションを良くする」なら、「受け持ち患者の家族と面会時に毎回声をかけ、話した内容を記録に残す」のように、行動と記録に落とし込むと確認できる形になります。
Q. 目標を途中で変更してもいいですか?
異動や部署の方針変更、休職などで状況が変わった場合は、中間面談で上司に相談して修正するのが一般的です。無理に当初の目標を続けるより、合意したうえで見直した方が、期末の評価も適切に行えます。
まとめ
看護師の目標管理シートは、部署目標・現状と課題・年度目標・数値の達成基準・行動計画・期限の順に書くと整理しやすくなります。目標はSMARTの5つの視点で見直し、「何を・どれくらい・いつまでに」を1文に入れることがポイントです。
まずは昨年度のシートを読み返し、「困った業務」を3つ書き出すところから始めてみてください。そこから、自分の段階に合った具体的な目標が見えてきます。
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参考
- 公益社団法人日本看護協会「生涯学習支援」(看護師のまなびサポートブック) https://www.nurse.or.jp/nursing/learning/index.html