【2026年】看護師の働き方はどう変わる?これからのキャリア戦略
昨今、業界問わず、働き方の多様化が進んでいます。医療業界も然りで、看護師の働き方も大きく変わり始めています。従来は、「病棟中心・夜勤あり」が前提でしたが、現在はその前提から崩れつつあります。
この記事では、働き方が大きく変化している理由や、そうした変化のなかで、看護師が自らの働き方について考えるべきことについて詳しく解説していきます。
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最新ニュースから見る3つの変化
まずは、看護師の働き方が変化している背景を考察していきます。
看護師の働き方が変化している構造は、次のようになっています。
①病院経営悪化→②人件費を増やせない→③看護師不足(特に夜勤)→④現場崩壊リスク→⑤配置基準の柔軟化(制度変更)→⑥働き方の多様化
この流れのなかで肝となっているについて詳しく解説していきます。
病院経営の悪化
上記の構造図の通り、この問題の根本原因は病院経営の悪化です。
日本病院会の公表しているところによると、2024年度診療報酬改定後、病床利用率は上昇傾向にあるものの、医業家規律、経営利益率は悪化しています。
医業利益の赤字病院割合は69%まで増加、経営利益の赤字病院割合は61%まで増加していることがわかっています。
この状況はいわば“未曽有の危機”ですが、病院の収益は診療報酬で固定されているため、価格転嫁もできず、病院だけの努力では、どうにも危機を脱出することはできません。
できることといえば、人員削減などですが、それによって、残された看護師一人ひとりの負担が増えることから、離職が進み、さらなる人手不足を招く結果となっています。
つまり、経営悪化が「人手不足」と「働き方悪化」を同時に生んでいるような状況となっています。
参照: 一般社団法人日本病院会「病院経営は破綻寸前 地域医療崩壊の危機」
看護師不足の深刻化
病院経営が悪化して人員削減せざるを得なくなると、看護師不足が深刻化していきます。
特に深刻なのは、夜勤に対応できる看護師の不足です。これによって何が起きるかというと、夜勤に対応できる看護師の負担増です。実際に現場では、16時間夜勤などの過酷な勤務実態がみられています。
また、人手不足によって対応が遅れた結果、医療安全リスクが顕在化しています。
つまり、「人数不足」+「働ける条件の偏り(夜勤NG)」が起きていることで、実質的に人材崩壊が起こっているということです。
参照: 「この程度の補正予算ではお小遣いにもならない」看護職員らの夜勤実態巡り、労組が調査結果発表 処遇改善訴える
配置基準の見直し
こうした看護師不足に対応するべく、現在は、制度そのものが変わり始めています。
配置基準の“緩和・柔軟化”が政策テーマに
ICT活用などを前提に、看護配置基準の柔軟化が議論・導入され、2026年度の改定では、人員配置を状況に応じて緩和する方向で政策が進んでいます。
医療DXによる代替戦略
見守り機器・ICT導入によって夜勤の負担を軽減させれば、少人数でも運用可能になります。
多職種化で「看護師依存」から脱却
看護師不足を補うために、リハビリ職・薬剤師などとの“チーム化”が強化されています。つまり、「看護師が全部やる」モデルからの転換が進んでいるということです。
働き方の多様化が進んでいる理由
このような流れが進んだ結果、従来の働き方では病院が回らなくなってきています。
働く環境が変わってきた結果、
- 夜勤免除・短時間勤務
- 外来・訪問・美容など病院外への流出
- ICT活用による省人化
- 多職種連携
といった「多様化」が不可避になっているのです。
結論|これからの変化はこの3つ
看護師の働き方は、今後さらに変化していきます。
今後の変化における大きなポイントは、人手不足→制度変化→市場競争の3段階で進むことです。これを踏まえて、今後どのような変化が起きることが予想されるのかを解説していきます。
人手不足の加速
まず結論からいうと、看護師不足は今よりさらに悪化します。
なぜ加速するのか
高齢化によって医療需要が増える一方、生産年齢人口は減少するため、「需要>供給」のギャップが拡大します。
実際に最新の議論でも、「看護職員の確保は今後非常に難しくなる」といわれています。
参照: 少子高齢化進む2040年に向け看護師の養成・確保をどう進めるか、看護の魅力アップ、勤務環境改善が重要―看護職員養成・確保検討会
今後起きること
高齢化が進んで若手看護師が減少することで、一人あたりの負担が増えます。それが原因で離職率も高くなると考えられます。
さらに、夜勤に対応できる人材がさらに希少化すると予想されるため、地方の病院や中小病院は採用が厳しくなるでしょう。現状は、「不足している」状態ですが、これに対して将来は「不足し続ける構造に入る」といえます。
働き方の多様化の加速
働き方の多様化も、今以上に加速すると考えられます。
ここでいう“多様化”とは、“自由”ではなく“分岐”です。つまり、「家庭の事情で夜勤に対応できない」「物価高が進んで、今より高い収入を得なければ生活が苦しい」などの理由が原因の多様化ということです。
具体的には、次のような働き方が増えることが予想されます。
【これから増える働き方】
- 短時間勤務・夜勤免除
- 派遣・単発バイト
- 夜勤専従・高収入型
- 訪問看護・地域医療
- 美容・企業・産業看護
なお、日本看護協会も、「多様で柔軟な働き方」を推進しています。一言でいうと、「病院一択の時代は終わる」ということになります。
なぜ多様化が進むのか
なぜ多様化がさらに進むかというと、理由はシンプルで、「フルタイム・夜勤あり」に対応できる人が少なくなるためです。
育児や介護、あるいは自身の高齢化によってフルタイムで働けない人が増えて、各自が、「自分に合った働き方とは?」を考えるようになります。
なお、今後は次の2つの働き方の重要度が高まります。
①在宅・訪問看護
シンプルに、在宅・訪問看護の需要が増加していることが理由です。
②ICT・効率化前提の働き方
少人数でも回せる体制を整える病院が増えていきます。そのため、看護師一人ひとりもDXに対応する必要性が高まります。
職場間の格差拡大
職場間の格差が拡大することは、もっとも大きなインパクトとなります。同期の看護師であっても、年収や負担が大きく異なるという結果を招きます。
格差が広がる理由
職場間の格差が広がる理由は次の3つです。
| 項目(要因) | 詳細・現場への影響 |
| ① 人材獲得競争が激化 | ・人手不足により、条件を上げた(待遇の良い)職場に人が集中 |
| ② 病院の経営力の差 | ・儲かる病院:給料UP、人員の確保が可能 ・赤字病院:人員削減、現場スタッフの負担増 |
| ③「保険診療は儲からない」の認識がさらに広がる | ・美容医療や訪問看護などの他分野へ人材が流出 ・医療・看護への思い(使命感)が強い人が病院に残る |
個人レベルでも格差が拡大
なお、職場間だけでなく、個人レベルでも格差が拡大します。
「職場間の格差拡大」で解説した通り、「保険診療は儲からない」と分かっていても、「患者の役に立ちたい」との思いから、病院に残る選択をする人もいれば、高収入を目指して、美容や訪問看護の領域へシフトする人もいます。
また、夜勤OK、専門性が高いなどの場合も高収入となり、育児や介護で働く時間などに制限があると低収入となります。
つまり、「看護師資格で横並びの時代」から、「市場価値で差がつく時代」へとシフトしていくということです。
看護師はもはや“安定職”ではない
ここまでをまとめると、
人材不足の加速→働き方の多様化→人材の奪い合い→職場間・個人間の格差拡大
といった流れが生じることによって、看護師は「安定職」から「選択と戦略で差がつく職業」へとシフトしていく時代に入ったということになります。
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看護師がこれから取るべき行動
病院経営の悪化が主な原因で、看護師の働き方が多様化していくなかで、看護師が取るべき行動の3つの大きなポイントは次の通りです。
- 自分の“軸”を決める
- 理想の職場に出逢うために情報を収集する
- 早めに動く
それぞれ詳しく解説していきます。
自分の“軸”を決める
第一にすべきは、「どんな働き方をしたいか」の言語化です。
働き方が多様化して、選択肢が増えすぎている状況においては、自分の軸が定まっていないと、「なんとなく転職してしまい、結果的にミスマッチとなってしまう」ということが起こり得ます。
それを防ぐためにも、自分がどんな職場でどんなふうに活躍したいのかを、自分の言葉で説明できるようにしておくことが大切です
軸の決め方(3ステップ)
自分の軸を決めるには、次の3つのステップを踏むことが役立ちます。
| ステップ | 具体例・ポイント |
| Step 1 絶対に譲れない条件(Must) | ・夜勤なし ・年収○○万円以上 ・人間関係が穏やか など |
| Step 2 あればうれしい条件(Want) | ・休みが取りやすい ・教育制度が整っている など |
| Step 3 将来どうなりたいか(Goal) | ・管理職になりたい ・専門性を高めたい ・ワークライフバランスを大切にしていきたい など |
典型的な3つの軸タイプ
次の3つは典型的な軸ですが、自分の軸を考えるうえでも参考になるでしょう。
| タイプ(志向) | 適した職場・働き方の例 |
| ① 収入重視型 | 美容クリニック・夜勤多め・高稼働病院 など |
| ② 安定・ゆるく働く型 | 療養・外来・クリニック など |
| ③ キャリア志向型 | 急性期・専門病院・認定看護師 など |
どれを選んだら“正解”ということはありません。“どれが自分に合っているか”だけが基準です。
理想の職場に出逢うために情報を収集する
今の時代、「情報を持っている人=勝つ人」です。病院は外から見ても実情がわかりません。
同じ「月給30万」でも、残業40時間ありのブラックもあれば、残業ほぼなしのホワイトもあります。数字や表面的な情報だけでは判断できないのです。
集めるべき情報は以下の通りです。
| 評価項目 | チェックポイント・詳細 |
| ① 経営状態 | ・赤字か黒字か ・病床稼働率 ・離職率 ※経営状況が悪いと、給与・人員に直撃するため要注意 |
| ② 人間関係・離職状況 | ・1年以内離職率 ・中堅が残っているか ※若手しかいない職場は、何らかの問題が潜んでいる可能性があり要注意 |
| ③ 実際の働き方 | ・残業時間 ・夜勤回数 ・休みの取りやすさ |
情報収集の具体手段
職場の情報を集める手段としては、以下のようなものがあります。
| 情報収集手段 | 特徴・注意点 |
| 転職サイト・エージェント | 職場の内部情報を教えてもらえる |
| 口コミサイト | 情報に偏り(ネガティブな意見への偏りなど)がある場合があるため注意が必要 |
| 知人・元同僚 | リアリティのある生の情報を確認できる |
| 病院の決算・ニュース | 経営状態や財務状況などの客観的なデータを確認できる |
一歩差がつく行動
複数の情報を組み合わせると、より有益な情報となり、勝ち組となれる可能性が高まります。たとえば、「エージェントから内部事情を聴きだし、口コミで現場のリアルな声を確認する」などの組み合わせ方があります。
早めに動く
転職活動において、結果として最も大きな差を生むのは「早めに動くこと」です。これには、大きく分けて3つの明確な理由があります。
まず1つ目の理由は、条件の良い優良求人はすぐに埋まってしまうからです。高給与や良好な人間関係など、魅力的な条件が揃った求人は人気が集中するため、募集が出た瞬間に採用枠が消えてしまいます。
2つ目の理由は、年齢によって選択肢や求められる役割が変わるからです。転職市場における評価基準は年齢とともに変化し、20代はポテンシャル(将来性)、30代は即戦力(経験・スキル)、40代は管理能力や高い専門性が重視される傾向にあります。
同じ人物であっても、例えば29歳と30歳では採用側の見る目が大きく変わるため、年代の節目を迎える前に動くことで、より有利に転職を進められるケースが多くなります。
そして3つ目の理由は、病院の経営状況や職場環境は急変するリスクがあるからです。経営状態の悪化は人員削減や補充ストップを招き、人手不足による現場の激務化、さらには連鎖的な離職による職場崩壊へと急速に発展する恐れがあります。
完全に手遅れになって身動きが取れなくなる前に、離職の連鎖などの危険な兆候に気づいた時点ですぐに行動を開始することが、ご自身を守るための重要な防衛策となります。
具体的に何をすればいいか
すぐに転職するかどうか決める必要はありません。
まずは“準備”を始めることが大切です。
次の“準備”を進めておくだけでも、いざというときの選択肢が増えます。
- 求人を定期的にチェック
- 転職エージェントに登録
- 気になる職場をストック
- 面接だけ受けてみる
今後は「動いた人から得をする時代」になる
今後は次の流れがどんどん進みます。
- 人手不足 → 売り手市場
- 病院格差 → 給料・環境の差が拡大
- 働き方 → 完全に二極化
つまり、「動いた人から得をする時代」になるということです。
看護師に今後おすすめの働き方
看護師の働き方は、病院経営の変化や人手不足の影響で「自分で選ぶ時代」に入っています。そのなかで考えるべきは、「働くうえで何を重視するか」ということです。
重視するものの違いによって、働き方は大きく次の3つにわけられます。
- 収入重視
- 安定重視
- バランス重視
それぞれの働き方を表で比較しています。
| 志向(戦略) | 該当・具体例 | 特徴 | メリット | デメリット | 向いている人 | ポイント |
| ① 収入重視 | 自由診療・夜勤専従 ・美容クリニック ・自費点滴、再生医療 ・夜勤専従 | ・年収が最も伸びやすい ・成果やスキルで報酬が変動 ・病院より「サービス業」に近い | ・短期間で収入を最大化できる ・条件交渉がしやすい ・インセンティブがある | ・景気や集客に左右される ・夜勤は体力的負担が大きい ・技術、接遇レベルが求められる | ・まずは年収を上げたい ・体力、営業的コミュ力に自信あり ・将来の資金づくりを優先したい | “稼げるときに稼ぐ”戦略 長期安定より短〜中期の収益最大化 |
| ② 安定重視 | 公務員・大規模病院 ・公立病院(自治体病院) ・大学病院 ・大規模医療法人 | ・雇用と収入が安定 ・制度、福利厚生が整っている ・教育体制が強い | ・解雇、倒産リスクが低い ・育休や時短など制度が使いやすい ・専門スキルが体系的に身につく | ・給与の伸びは限定的 ・急激な待遇改善が起きにくい ・業務負担が重いことも多い | ・長期的に安定したキャリア希望 ・ライフイベントを重視 ・教育、スキル習得を重視したい | “崩れにくいキャリア”を作る戦略 リスク耐性が高い |
| ③ バランス重視 | インフラ系・専門クリニック ・透析クリニック ・訪問看護ステーション ・健診センター、内視鏡 | ・収入/働きやすさ/安定の“中間” ・夜勤なし、または少なめ ・特定領域に特化 | ・ワークライフバランスが取りやすい ・一定の専門性が身につく ・比較的離職率が低い | ・高収入にはなりにくい ・スキルが特化しすぎるリスク ・職場によって質の差が大きい | ・無理なく長く働きたい ・家庭、プライベートと両立したい ・安定しつつも環境を選びたい | “長く続ける”戦略 無理せず安定収入を維持 |
3つの働き方の使い分け
この3つは、実はライフステージで移動させることがおすすめです。
- 若手 → 収入重視で資金形成
- 中堅 → バランス型へ移行
- ライフイベント期 → 安定型へ
といった流れです。
ただし、その流れが正解ということはなく、今後は“自分の軸に合わせて選び続ける力”が重要になってきます。
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看護師の働き方は確実に変わる
ここまで解説してきた通り、看護師の働き方は今後確実に変わっていきます。そのため、従来の働き方に固執することなく、変化に柔軟に適応していけるタイプが有利になることは間違いありません。
これからは、「選ばれる側」ではなく「選ぶ側」になることを意識することで、自分にとっての理想の働き方を追求できるだけでなく、看護師としてより多くの人の役に立つことができるはずです。