ナースの勉強部屋

転倒転落リスクの看護計画|長期目標・短期目標の例文と、OP・TP・EPの具体例、患者さんに合わせて書き換えるポイント

転倒転落リスクの看護計画|長期目標・短期目標の例文と、OP・TP・EPの具体例、患者さんに合わせて書き換えるポイント

入院時の転倒転落アセスメントで点数が高く出た患者さん。看護計画を立てるように言われたけれど、どの患者さんにも同じ内容をコピーしてしまい、「個別性がない」と言われる。そんなときに確認できるよう、この記事では転倒転落リスクの看護計画の例と、患者さんに合わせて書き換えるポイントをまとめます。

ここで紹介するのは、計画を立てるときのたたき台です。実際の計画は、施設の標準看護計画や使っているアセスメントシートの項目に合わせて書いてください。

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目次
  1. 転倒転落リスクの看護計画を立てる流れ
    1. 看護診断名は「成人転倒転落リスク状態」
  2. 転倒転落の危険因子を洗い出す
  3. 長期目標・短期目標の例文
    1. 長期目標の例
    2. 短期目標の例
  4. OP・TP・EPの具体例
    1. 観察計画(OP)
    2. 援助計画(TP)
    3. 教育計画(EP)
  5. 患者さんに合わせて計画を書き換えるポイント
  6. 看護計画の評価と見直しのタイミング
  7. よくある書き方の間違い
  8. 療養・回復期の看護師求人を見る
  9. よくある質問
    1. 転倒転落リスクの看護計画は、いつ立てればよいですか?
    2. 短期目標の期間はどのくらいにしますか?
    3. 転倒転落のリスクがある患者さんに、ベッド柵を4本つけてもよいですか?
  10. まとめ

転倒転落リスクの看護計画を立てる流れ

看護計画は、次の順に組み立てます。

  1. アセスメントシートと情報収集で、転倒転落の危険因子を洗い出す
  2. 看護診断(看護問題)を決める
  3. 長期目標と短期目標を立てる
  4. 観察計画(OP)・援助計画(TP)・教育計画(EP)を書く
  5. 評価日を決め、計画を見直す

個別性は、1で洗い出した危険因子から生まれます。目標やOP・TP・EPは、その患者さんの危険因子に対応させて書くのが基本です。

看護診断名は「成人転倒転落リスク状態」

NANDA-I看護診断では、2021-2023年版から、転倒転落のリスクが「成人転倒転落リスク状態」と「小児転倒転落リスク状態」に分かれました。施設でNANDA-Iを使っていない場合は、「転倒・転落のリスクがある」のように、看護問題として書く形でもかまいません。

転倒転落の危険因子を洗い出す

転倒転落アセスメントスコアシートの点数だけで計画を立てると、どの患者さんも同じ計画になります。点数の内訳から、その患者さんの危険因子を具体的に書き出します。

分類 危険因子の例 情報の取り方
既往・経過 過去の転倒歴、入院前の生活での転びやすさ 本人・家族への聞き取り、紹介状
身体機能 筋力の低下、ふらつき、麻痺、視力・聴力の低下 歩行の観察、ADLの評価
認知・精神 認知機能の低下、せん妄、危険の理解が難しい 言動の観察、認知機能の評価結果
排泄 頻尿、夜間の排尿、尿意切迫、下剤や利尿薬の使用 排泄の回数と時間帯の記録
薬剤 睡眠薬、抗不安薬、降圧薬、利尿薬などの使用 内服薬の確認、薬剤師との情報共有
環境 慣れない病室、点滴やドレーン類、ベッドの高さ 病室の環境の確認

とくに、夜間のトイレ、睡眠薬の使い始め、入院から間もない時期は、転倒転落が起きやすい場面として意識しておきます。

長期目標・短期目標の例文

目標は、患者さんを主語にして、評価できる形で書きます。「転倒しない」だけでは、何ができればよいのかが分からず、評価もしにくくなります。

長期目標の例

  • 入院中に転倒転落による外傷を起こさず、退院を迎えられる
  • 転倒を防ぐための行動を身につけ、自宅での生活に戻ることができる

短期目標の例

危険因子に合わせて、1〜2週間で評価できる行動を書きます。

危険因子 短期目標の例
夜間にひとりでトイレに行く 夜間にトイレへ行くときは、ナースコールを押して看護師を呼ぶことができる
筋力低下・ふらつき ベッドから立ち上がるときに、手すりをつかんでから立つことができる
睡眠薬の内服 睡眠薬を飲んだあとは、ひとりで歩かないことを説明できる
点滴を受けている 点滴スタンドを押して歩くときに、ルートを足に引っかけない持ち方ができる
認知機能の低下 ベッド周囲の環境を整えることで、ひとりで動いたときにつまずく物がない状態を保てる(家族・看護師が整える目標)

認知機能の低下などで、患者さん自身の行動を目標にしにくい場合は、環境を整えた状態を目標にすることもあります。

目標の立て方の基本は、看護目標の書き方|長期目標と短期目標の分け方でも解説しています。

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OP・TP・EPの具体例

ここでは、夜間のトイレ歩行と睡眠薬の内服があり、筋力が低下している70代の患者さんを例に、計画を書きます。

観察計画(OP)

  • 転倒転落アセスメントスコアの点数と、点数が変わった項目
  • 歩行の様子(ふらつき、すり足、歩幅、手すりや杖の使い方)
  • ベッドからの起き上がり、立ち上がりの動作
  • 夜間の排尿の回数と時間帯、トイレに行くときのナースコールの使用
  • 睡眠薬の内服時間と、内服後の覚醒の様子・ふらつき
  • 意識の状態、せん妄の兆候(落ち着きのなさ、つじつまの合わない言動)
  • 履物、衣服のすそ、ベッドの高さ、ベッド周囲の物の置き方
  • 点滴やドレーンなど、体につながっている管の状態

援助計画(TP)

  • ベッドの高さを、座ったときに足の裏が床につく高さにする
  • ナースコール、眼鏡、飲み物など、よく使う物を手の届く位置に置く
  • 夜間は足元灯をつけ、トイレまでの通り道に物を置かない
  • 夜間の排尿のパターンに合わせて、決まった時間にトイレ誘導を行う
  • 睡眠薬の内服後にトイレへ行くときは、看護師が付き添う
  • かかとのある、滑りにくい履物を使ってもらう
  • ひとりで起き上がってしまう、ナースコールを押さないなどの場合は、離床センサーや低床ベッドの使用をチームで検討する
  • 理学療法士と、歩行の介助方法や歩行補助具の使い方を共有する

離床センサーやベッド柵の使い方は、患者さんの行動を制限することにもつながります。使うときは、施設の手順に沿って必要性を検討し、本人や家族に説明して記録に残します。

教育計画(EP)

  • 転びやすい理由(筋力の低下、薬の影響、慣れない環境)を、患者さんに分かる言葉で説明する
  • 夜間にトイレへ行くときは、ナースコールで看護師を呼ぶように伝える
  • 起き上がるときは、いったんベッドに腰かけてから立ち上がるように伝える
  • 家族には、すり減った靴やスリッパではなく、かかとのある履物を用意してもらうよう依頼する
  • 退院が近づいたら、自宅のトイレや段差など、転びやすい場所を家族と一緒に確認する

OP・TP・EPそれぞれの意味と書き方は、看護計画のOP・TP・EPとは?で解説しています。

患者さんに合わせて計画を書き換えるポイント

同じ「成人転倒転落リスク状態」でも、危険因子によって計画の中心が変わります。

患者さんの状態 計画の中心にすること
夜間の排尿が多い 排尿パターンの観察と、時間を決めたトイレ誘導
睡眠薬を使い始めた 内服後の様子の観察と、夜間の付き添い
認知機能の低下・せん妄がある 環境の調整と、ひとりで動いたときにすぐ気づける体制
片麻痺がある 麻痺側に合わせたベッドの配置と、移乗の介助方法の統一
自立心が強く、ナースコールを押さない 押したくない理由の聞き取りと、本人が納得できる約束の決め方

ナースコールを押さない患者さんには、「遠慮して押さない」「看護師が忙しそうで悪い」と考えている人もいます。押すように指導するだけでなく、押さない理由を聞くと、計画を書き換える手がかりになります。

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看護計画の評価と見直しのタイミング

計画は立てて終わりではありません。次のようなときに評価し、目標に届いていない項目や、危険因子が変わった項目を書き換えます。

  • 短期目標で決めた評価日
  • 転倒転落アセスメントスコアの点数が変わったとき
  • 睡眠薬などの薬が変わったとき、手術や処置の前後
  • 実際に転倒転落が起きたとき、ヒヤリとする場面があったとき

転倒転落が起きたときは、発見時の状況と観察した内容を記録に残し、計画のどこに足りない点があったかを見直します。記録の書き方は、転倒転落の看護記録の書き方と例文を参考にしてください。

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よくある書き方の間違い

  • 目標に「転倒しない」とだけ書く:何ができればよいかが分からない。行動の形で書く
  • OPに「転倒に注意する」と書く:何を観察するのかが分からない。観察する項目を具体的に書く
  • TPとEPの内容が入れ替わる:看護師が行うことはTP、患者さんや家族に説明・指導することはEPに書く
  • すべての患者さんに同じ計画をコピーする:危険因子に対応していない項目は消し、その患者さんに必要な項目を足す

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転倒転落の予防は、急性期病棟だけでなく、回復期リハビリテーション病棟や療養病棟、介護施設でも中心となる看護です。経験を生かせる職場を探すときは、施設の種類や働き方から求人を比べてみてください。

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よくある質問

転倒転落リスクの看護計画は、いつ立てればよいですか?

入院時のアセスメントでリスクがあると判断したときに立てます。施設によっては、アセスメントスコアが一定の点数以上の場合に計画を立てる決まりがあります。入院中に状態や薬が変わり、リスクが上がったときにも追加します。

短期目標の期間はどのくらいにしますか?

1〜2週間程度で評価できる期間にすることが多いです。入院期間が短い場合や、状態が変わりやすい時期は、数日で評価日を設定します。

転倒転落のリスクがある患者さんに、ベッド柵を4本つけてもよいですか?

ベッド柵で四方を囲むと、乗り越えようとしてかえって転落することがあり、身体拘束にあたる場合もあります。柵の本数や使い方は、施設の身体拘束に関する手順に沿って、チームで必要性を検討して決めます。

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まとめ

転倒転落リスクの看護計画は、アセスメントで洗い出した危険因子から組み立てます。目標は「転倒しない」ではなく、ナースコールを押せる、手すりをつかんで立てる、のように評価できる行動で書きます。OP・TP・EPは、夜間の排尿、睡眠薬、認知機能の低下など、その患者さんの危険因子に対応させて書き、評価日や状態が変わったときに見直しましょう。