試用期間中に退職するデメリットは?看護師が辞める前に確かめる履歴書・失業手当・保険への影響と、辞めるか続けるかの判定表
入職して1か月、2か月。「ここで続けるのは無理かもしれない」と思いながら、試用期間中に辞めたら何が不利になるのかが分からず、決めきれない看護師は少なくありません。
試用期間中の退職で実際に生じるデメリットは、履歴書・失業手当・健康保険と年金・次の転職での説明の4つです。どれも「辞めたら終わり」というほど重いものではありませんが、知らずに辞めると、手続きの期限を過ぎたり、受け取れると思っていた手当が出なかったりします。
この記事では4つのデメリットを事実ベースで整理したうえで、「辞めたほうがいい/もう少し続けたほうがいい/辞める前に配置転換を相談する」の境界を判定表にまとめます。
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試用期間中に退職するデメリットは4つ:履歴書・失業手当・保険・次の転職
先に全体を表で見ておきます。
| デメリット | 何が起きるか | どのくらい重いか |
|---|---|---|
| 履歴書の職歴 | 短期間の職歴が1行増える | 書き方と面接での説明で印象は変わる |
| 失業手当 | 被保険者期間が足りず受け取れないことがある | 前の職場の期間を合わせられるかで大きく変わる |
| 健康保険・年金 | 任意継続が使えず、自分で切り替える手続きが要る | 期限(14日・20日)を守れば実害は小さい |
| 次の転職での説明 | 「またすぐ辞めないか」と見られる | 辞めた理由と次に求める条件を一貫させれば通る |
試用期間中でも雇用契約はすでに成立しているので、退職のルールや手続きは本採用後と同じです。「試用期間だから履歴書に書かなくていい」「試用期間だから保険の手続きは要らない」とはなりません。
試用期間の退職は履歴書の職歴に書く:記入例
雇用されて働いた期間は、試用期間中に辞めた場合でも職歴です。短いからと省くと、次の職場の面接で空白期間を聞かれたときに説明が食い違い、後から分かったときに経歴を伏せていたとみなされて信頼を失います。書いたうえで、短く説明できる形にしておくほうが安全です。
2026年4月に入職し、6月に試用期間中に退職した場合は、次のように書きます。
| 年 | 月 | 職歴 |
|---|---|---|
| 2026 | 4 | 医療法人○○会 ○○病院 入職(内科病棟 看護師) |
| 2026 | 6 | 一身上の都合により退職 |
- 退職理由は「一身上の都合により退職」で足ります。履歴書に詳しい事情を書く必要はありません
- 求人票と労働条件が違ったなど、病院側に原因がある場合は「労働条件相違のため退職」と書く選択肢もあります。ただし面接で必ず聞かれるので、説明の準備とセットで使います
- 「試用期間中に退職」と書く必要はありません
退職理由の書き分けは「看護師の退職理由の書き方|退職届・退職願・履歴書で変わる書き分けと例文」で詳しく扱っています。
試用期間で退職したときの失業手当:被保険者期間と給付制限1か月
試用期間中の退職で、いちばん影響が大きいのが失業手当(雇用保険の基本手当)です。
受け取れるかは「離職前2年間に被保険者期間12か月」で決まる
自己都合で辞めた場合、基本手当を受け取るには、離職日以前2年間に雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上必要です。被保険者期間は、賃金の支払いの基礎になった日数が11日以上(または労働時間が80時間以上)ある月を1か月として数えます(雇用保険法第13条・第14条)。
試用期間の数か月だけでは12か月に届きません。ただし、前の病院の期間を合わせて数えられることがあります。
| あなたの状況 | 失業手当の見通し |
|---|---|
| 前の病院を辞めてすぐ今の病院に入り、前の退職では失業手当の手続きをしていない | 前の病院の期間と通算でき、12か月を満たす可能性が高い |
| 前の病院を辞めたときに失業手当の受給資格の決定を受けた | その前の期間は通算されず、今の病院の期間だけになる(多くは不足) |
| 新卒で入職し、試用期間中に辞める | 12か月に届かず、原則として受け取れない |
| 体調不良や家族の介護など正当な理由のある自己都合、または求人票と条件が大きく違った | 離職前1年間に6か月以上で足りる場合がある |
最後の行の「正当な理由」や「条件の相違」に当たるかは、ハローワークが離職理由を確認して判断します。自分で決めつけず、離職票を持って相談してください。
自己都合なら給付制限は原則1か月(2025年4月改正)
自己都合で辞めた場合、7日間の待期のあとに給付制限がかかり、その間は基本手当が出ません。この給付制限は、退職日が2025年4月1日以降なら原則1か月です(それより前は原則2か月)。
ただし、退職日から遡って5年間のうちに、正当な理由のない自己都合退職で受給資格の決定を2回以上受けている場合は3か月になります。また、2025年4月以降に一定の教育訓練を受けた場合は、給付制限が解除されます。
給付制限中の過ごし方や初回の振込日は「自己都合で辞めた看護師の失業保険はいつから?」に計算例を載せています。
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試用期間で退職した後の健康保険と年金:任意継続が使えないことがある
次の職場がまだ決まっていない場合、退職日の翌日から健康保険と年金を自分で切り替えます。
加入2か月未満なら健康保険の任意継続は使えない
退職後も今の健康保険に入り続ける「任意継続」は、資格を失う日の前日までに継続して2か月以上の加入期間があることが条件です。申し出は資格喪失日から20日以内です。
入職から2か月未満で辞めると、任意継続は選べません。その場合の選択肢は次の2つです。
| 選択肢 | 向いている人 | 期限・注意 |
|---|---|---|
| 国民健康保険 | 自分で加入する人 | 退職日の翌日から14日以内に市区町村へ届け出る |
| 家族の健康保険の扶養 | 年収の見込みが扶養の基準内に収まる人 | 失業手当を受け取ると、日額によっては扶養に入れない |
失業手当を受けながら扶養に入れるかは「失業手当を受けながら扶養に入れる?」で判定表にしています。
国民年金への切り替えも14日以内
厚生年金から国民年金(第1号被保険者)への切り替えも、退職日の翌日から14日以内に市区町村で届け出ます。退職してすぐ次の職場の厚生年金に入るなら、この届出は要りません。
手続き全体を期限順に並べたものは「退職後の手続き一覧」にあります。
試用期間の退職を次の転職面接で説明するとき
次の病院・施設の面接では、短期間で辞めた理由をほぼ確実に聞かれます。見られているのは「同じ理由でまた辞めないか」です。
説明は、事実→そこから分かった自分の条件→応募先がその条件に合う理由の順に組み立てます。
- 例:「入職後に、日勤の人員配置が求人票の内容と違い、新人への指導の時間が取れない状態でした。教育体制が整った職場で経験を積みたいと考え、プリセプター制度のある御院に応募しました」
- 前の職場の悪口にしない。人間関係が理由でも「どう合わなかったか」ではなく「次にどういう職場を選ぶか」に話を寄せる
- 応募先の求人票や見学で、その条件が満たされていることを確かめてから応募する。ここが一致していないと説明に説得力が出ません
伝え方の例文は「試用期間中に「合わない」で辞める看護師へ」でも扱っています。
試用期間で辞めるか続けるか:看護師の境界線判定表
デメリットを踏まえたうえで、今の状況がどこに当てはまるかを見てください。
| 判定 | 当てはまる条件 |
|---|---|
| 辞めたほうがいい | ・求人票や面接で聞いた労働条件(給与・夜勤回数・勤務形態など)と実際が大きく違う ・パワハラなど、相談しても改善が見込めない扱いを受けている ・眠れない、食欲がない、出勤前に体調が悪くなるなどの状態が続いている |
| 辞める前に配置転換を相談する | ・病院そのものではなく、配属された病棟・診療科の業務が合わない ・特定の人との関係がつらいが、他部署なら働けそう ・院内に複数の病棟や外来があり、異動の実績がある |
| もう少し続けたほうがいい | ・つらさの中心が「業務に慣れていない」「覚えることが多い」 ・入職から1〜2か月で、教育計画がまだ途中 ・前の病院の期間と合わせても失業手当の条件を満たさず、次の職場も決まっていない |
「辞めたほうがいい」の1つ目、労働条件が明示された内容と違う場合は、労働基準法第15条2項により、労働者は即時に労働契約を解除できます。
「辞めたほうがいい」の3つ目に当てはまる場合は、退職を決める前に医療機関を受診してください。体調を理由とする退職は、失業手当で「正当な理由のある自己都合」と扱われることがあり、その判断に医師の意見が役立つことがあります。
「もう少し続けたほうがいい」に当てはまる場合でも、我慢を前提にする必要はありません。続ける期限(「次の面談まで」「夜勤が独り立ちするまで」など)を自分で決め、その時点でもう一度この表を見直すと判断がぶれにくくなります。
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試用期間の退職は何日前に申し出るか:民法627条の2週間と就業規則
正職員など期間の定めのない雇用なら、民法第627条1項により、退職の申し出から2週間で雇用契約は終わります。試用期間中でもこのルールは変わりません。
一方、多くの病院の就業規則には「退職の1か月前までに申し出る」などの定めがあります。法律上は2週間で辞められるとされていますが、シフトの組み直しや引き継ぎを考えると、就業規則の日数に合わせて師長に相談するほうが話は進めやすくなります。
申し出の流れは次のとおりです。
- 就業規則で、退職の申し出の時期と方法(口頭か書面か)を確かめる
- 師長に面談の時間を取ってもらい、退職の意思と希望する退職日を伝える
- 退職日が決まったら、離職票・源泉徴収票・年金手帳などの受け取り方法を確認する
契約職員など期間の定めがある雇用の場合は、期間の途中で辞めるには「やむを得ない事由」が必要とされる(民法第628条)ため、2週間のルールがそのまま使えません。雇用契約書の期間を先に確認してください。
退職届を出すかどうかは「試用期間の退職に退職届はいらない?」で整理しています。
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辞めるか続けるかを決める前に、次の職場の候補を見ておくと判断材料が増えます。面接で説明する「次に求める条件」(教育体制、夜勤の回数、診療科など)が求人票に書かれているかを見比べてください。
よくある質問
試用期間中の退職は「自己都合」になりますか?
自分から申し出て辞める場合は、原則として自己都合退職です。ただし、求人票と労働条件が大きく違った、体調不良で働けなくなったなどの事情があれば、ハローワークの判断で給付制限がかからない扱いになることがあります。
試用期間中に辞めると、次の転職は不利になりますか?
短期間の職歴は面接で必ず聞かれますが、それだけで不採用が決まるわけではありません。辞めた理由と次に求める条件が一貫していて、応募先がその条件を満たしていることを説明できれば、評価は大きく下がりません。
試用期間中に病院から「本採用しない」と言われたら、自分から辞めたことになりますか?
なりません。病院側が本採用しないと決めた場合は解雇にあたり、自己都合退職とは扱いが変わります。この場面で退職届を出すと自己都合として扱われるおそれがあるので、求められても出す前に理由を書面で確認してください。
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まとめ
試用期間中の退職のデメリットは、履歴書・失業手当・保険・次の転職の4つで、いちばん差が出るのは失業手当を受け取れるかどうかです。辞めると決める前に、前の病院の期間と合わせて被保険者期間が12か月あるかを確かめてください。
判定表で「配置転換を相談する」や「もう少し続ける」に当てはまったなら、辞める前に打てる手が残っています。「辞めたほうがいい」に当てはまったなら、手続きの期限を押さえたうえで、次の職場の条件を先に固めてから動きましょう。