看護師は失業保険をいくらもらえる?受給条件や計算式・申請手順まで徹底解説
「次の転職先を決めずに看護師を辞めてしまった」「しばらく休みたいけれど、お金が不安」
このような悩みを抱えている看護師の方にとって、心強い味方となるのが「失業保険」です。
この記事では、看護師が失業保険(基本手当)をもらうための条件や、もらえる金額の計算方法、具体的な申請手順、さらには早く転職した際にもらえる「再就職手当」まで、網羅的に詳しく解説します。失業保険の制度を正しく理解し、お金の不安をなくして転職活動を有利に進めましょう。
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看護師が退職後にもらえる失業保険(基本手当)とは?
失業保険とは、雇用保険の制度の一つで、正式には「求職者給付の基本手当」と呼びます。
勤務先を退職した方が、次の仕事に就くまでの生活費を支援し、安心して転職活動に専念できるようにすることを目的としています。
看護師を辞めた後は、次の職場が決まるまで収入が途絶えてしまいますが、失業保険を正しく受給することで、経済的な余裕を持った状態で自分のペースで求職活動を行うことができます。
看護師が失業保険をもらうための受給条件
失業保険は、退職したすべての看護師がもらえるわけではありません。以下の条件をすべて満たす必要があります。
① 雇用保険に一定期間加入している
原則として、離職日前の2年間に雇用保険の加入期間が通算して12ヶ月以上あることが条件です。
※給料の支払いが11日以上、または労働時間が80時間以上ある月を「1ヶ月」として計算します。
ただし、病院の閉院や倒産、解雇などの会社都合(特定受給資格者)による離職の場合は、離職日前の1年間に通算6ヶ月以上の加入期間があれば受給可能です。
派遣看護師やパート・アルバイトであっても、「週の所定労働時間が20時間以上かつ31日以上の雇用見込み」があれば雇用保険に加入しているため、条件を満たせば受給できます。
② 働く意思と能力がある(失業状態である)
失業保険は「いつでも就職できる能力と意思があり、積極的に求職活動を行っているにもかかわらず、仕事が見つからない状態」の方を対象としています。
したがって、次のような場合は原則として受給できません。
- すでに次の就職先が決まっている
- しばらく働くつもりがなく、専業主婦になる、または長期旅行をする
- 病気やケガ、妊娠・出産・育児などの理由ですぐには働けない
【特例措置】受給期間の延長について
妊娠、出産、育児、病気やケガなどで「引き続き30日以上働けない状態」になった場合は、ハローワークで手続きを行うことで、失業保険の受給期間を最大3年間(本来の1年と合わせて最長4年)延長することができます。働ける状態になってから受給を開始できるため、忘れずに申請しましょう。
看護師の失業保険はいくら?もらえる金額と期間
失業保険でもらえる金額や日数は、退職前の給与や年齢、勤続年数によって異なります。
もらえる金額(基本手当日額)の計算式
受給できる1日あたりの金額を「基本手当日額」と呼び、おおむね退職前の給料の50〜80%となります(給料が低い人ほど給付率が高く設定されています)。
【計算式】
賃金日額(離職日前の6ヶ月間の給与の合計 ※賞与除く ÷ 180) × 給付率(50〜80%) = 基本手当日額
基本手当日額には、離職時の年齢ごとに上限が設けられています。
- 30歳未満: 7,294円(※)
- 30歳以上45歳未満: 8,490円(※)
- 45歳以上60歳未満: 7,715円(※)
- 60歳以上65歳未満: 6,945円(※)(※金額は毎年8月に改定されるため、最新情報は厚生労働省のHPをご確認ください)
もらえる期間(所定給付日数)
手当をもらえる日数は、90日〜360日の間で決定されます。これは「離職理由(自己都合か会社都合か)」「離職時の年齢」「雇用保険の加入期間」によって決まります。
<自己都合退職の場合>
| 雇用保険の加入期間 | 全年齢の給付日数 |
| 1年未満 | 受給不可 |
| 1年以上5年未満 | 90日 |
| 5年以上10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
※閉院などの「会社都合退職」や、障がいなどがある「就職困難者」の場合は、年齢や加入期間に応じて最大330日〜360日と手厚く給付日数が設定されています。
失業保険はいつからもらえる?
失業保険は、手続きをしたからといってすぐに手元に振り込まれるわけではありません。離職理由によって受給開始のタイミングが異なります。
| 区分 | 適用タイミング(いつからもらえるか) |
| 会社都合(病院都合) | 7日間の「待機期間」満了日の翌日から適用。実際に手当が振り込まれるのは約1ヶ月後。 |
| 自己都合退職 | 7日間の「待機期間」+ 給付制限期間(原則1ヶ月※) 終了後から適用。実際に手元に入るのはさらに約1ヶ月後。 |
※給付制限期間の短縮について
以前は自己都合退職の場合「2ヶ月」の給付制限がありましたが、2025年4月1日より原則1ヶ月に短縮されています。(過去5年間に自己都合退職を繰り返している場合等は延長されることがあります)
退職理由別のタイムライン:手続きした日から初回振込までの日数
ハローワークで手続きした日(受給資格決定日)を0日目として数えた目安です。認定日は4週間に1回なので、28日目・56日目・84日目と進みます。
| 段階 | 会社都合・特定理由離職者 | 自己都合(給付制限1か月) | 自己都合(給付制限3か月) |
| 離職票が届く | 退職後10日〜2週間ほど | 同左 | 同左 |
| 受給資格決定(0日目) | 離職票を出した日 | 同左 | 同左 |
| 待期7日 | 0〜6日目 | 0〜6日目 | 0〜6日目 |
| 給付制限 | なし | 7日目から1か月(約36日目まで) | 7日目から3か月(約98日目まで) |
| 支給の対象になる最初の認定日 | 初回認定日(約28日目) | 2回目の認定日(約56日目) | 4回目の認定日(約112日目) |
| 初回振込 | 約35日目 | 約63日目 | 約119日目 |
| 1回目に振り込まれる日数 | 約21日分 | 約19日分 | 約13日分 |
振込は、認定日から通常5営業日です。自己都合の人は、初回認定日にハローワークへ行っても、まだ給付制限中なのでお金は振り込まれません。最初の振込が満額の28日分にならない点も、生活費の見積もりに入れておきます。
認定日の曜日や説明会の日程はハローワークごとに決まるので、数日はずれます。表は「早くてもこの頃」と読んでください。
計算例:10月31日に退職した看護師の初回振込日
10月31日に退職し、11月13日に離職票が届き、11月17日(火)にハローワークへ行った場合です。
| 日付 | 会社都合・特定理由離職者 | 自己都合(給付制限1か月) |
| 11月17日 | 受給資格決定 | 受給資格決定 |
| 11月17日〜23日 | 待期 | 待期 |
| 11月24日〜12月23日 | 支給の対象 | 給付制限 |
| 12月15日 | 初回認定日(21日分を認定) | 初回認定日(支給なし) |
| 12月22日頃 | 初回振込 | — |
| 翌年1月12日 | 2回目の認定日 | 2回目の認定日(19日分を認定) |
| 翌年1月19日頃 | 2回目の振込 | 初回振込 |
自己都合だと、退職から初回振込まで約2か月半です。その間の家賃や保険料は貯金から出すことになるので、退職前に2〜3か月分の生活費を確保しておくと安心です。
看護師が失業保険をもらうための申請手順(5ステップ)
失業保険を受け取るためには、お住まいの地域を管轄するハローワークで自身で手続きを行う必要があります。
STEP1:必要書類を準備する
退職後、前の職場から(通常2週間以内に)送られてくる書類を中心に、以下のものを準備します。
- 離職票(-1、-2)
- 雇用保険被保険者証
- マイナンバーカード(ない場合は通知カード等の個人番号確認書類 + 運転免許証などの身元確認書類)
- 写真2枚(縦3cm×横2.5cm、最近撮影したもの)
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
- 印鑑
※離職票がなかなか届かない場合は、早めに前職に問い合わせましょう。2025年1月からはマイナポータルを通じて離職票を受け取ることも可能になっています。
STEP2:ハローワークで求職の申し込み・失業保険の申請
準備した書類を持参し、管轄のハローワーク窓口で「求職の申し込み」と「失業保険の申請」を行います。午前中の早い時間に行くと混雑を避けられます。
STEP3:雇用保険受給者初回説明会への参加
受給資格が認められると、後日開催される「雇用保険受給者初回説明会」に参加します。制度の仕組みや就職活動の方法についての説明があり、「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」が渡されます。無断欠席すると受給手続きが進まないため必ず参加しましょう。
STEP4:失業認定日にハローワークへ行く
原則として4週間に1回指定される「失業認定日」にハローワークへ行き、求職活動の状況を報告します。
失業手当を受け取るには、前回の認定日から今回の認定日までに原則2回以上(自己都合退職の初回は待機期間終了後から3回以上)の求職活動実績が必要です。
- 求人への応募や面接
- ハローワークや転職エージェントでの職業相談
- 資格試験の受験や公的セミナーの参加 などが実績となります。(単なる求人サイトの閲覧は不可)
STEP5:失業手当の受給(振り込み)
失業状態であると認定されると、通常5営業日程度で指定した口座に失業手当が振り込まれます。
早めに転職するなら「再就職手当」をもらう方がお得?
失業保険を受給している途中で、早めに新しい転職先が決まった場合、手当がもらえなくなって損をするわけではありません。条件を満たせば「再就職手当」というお祝い金のような一時金を受け取ることができます。
【再就職手当をもらう主な条件】
- 7日間の待機期間終了後に再就職したこと
- 失業保険の給付日数が1/3以上残っていること
- 前職と無関係の職場であること
- 1年以上の雇用が見込まれること
- (自己都合で給付制限期間中の最初の1ヶ月以内の場合)ハローワークや許可を受けた転職サイト経由での就職であること
【再就職手当の金額】
基本手当日額 × 支給残日数 × 給付率(60% または 70%)
- 残日数が2/3以上ある場合:給付率 70%
- 残日数が1/3以上ある場合:給付率 60%
早く再就職するほど給付率が高くなるため、失業保険を満額受け取るよりも、早期に転職して再就職手当をもらう方が、給与と手当を両方得られてトータルで経済的にお得になるケースが多くあります。
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正社員の求人を見る退職前後で忘れずにやるべきその他の手続き
失業保険以外にも、退職の前後では以下の手続きが必要です。
- 貸与品・健康保険証の返却: 退職日までに制服や名札、職場の健康保険証を返却します。
- 年金の切り替え: 退職後すぐに転職しない場合は、退職から14日以内に市役所等で「厚生年金」から「国民年金」へ切り替えるか、配偶者の扶養(第3号被保険者)に入る手続きが必要です。
- 健康保険の切り替え: 同様に、退職から14日以内に「国民健康保険」に加入する、前職の健康保険の「任意継続」をする、または「配偶者の扶養」に入る手続きが必要です。
「自己都合」でも会社都合と同じ扱いになることがある
看護師の退職では、ここが大きく効きます。
特定理由離職者という区分があり、次のような理由で辞めた場合は、 自己都合であっても給付制限が付きません。
- 体調不良・けがにより、その仕事を続けられなくなった
- 家族の介護のため通勤や勤務時間の継続が難しくなった
- 配偶者の転勤に伴う転居で通勤が困難になった
- 妊娠・出産・育児により離職し、受給期間の延長措置を受けた
夜勤の負担で体調を崩した、腰を痛めて業務が続けられない、といったケースは、 ここに当たる可能性があります。
判断するのはハローワークです。 自分で「自己都合だから」と決めてしまわず、 医師の診断書など、事情を裏づける書類を持って相談してください。 書類があるかどうかで結論が変わることがあります。
教育訓練を受けると給付制限がなくなる
2025年4月からの新しい仕組みです。
離職日前1年以内、または離職後に、 厚生労働大臣が指定する教育訓練を自ら受けた場合、給付制限がかかりません。 7日の待期期間だけで支給が始まります。
看護師の場合、実務に結びつく講座が対象になっていることがあります。 ただし、すべての講座が対象になるわけではありません。 対象講座は制度で指定されているため、受講前に確認が必要です。
注意点が1つあります。 受講したことをハローワークに申し出る必要があります。 受給資格決定日や初回認定日までに申し出ないと、この扱いを受けられません。 黙っていても自動では適用されません。
看護師が損しやすい3つのポイント
1. すぐ次の職場が決まりそうでも、まず求職の申込みをしておく 待期や給付制限は、求職の申込みをした日から進みます。 申込みが遅れると、その分だけ支給開始も後ろにずれます。
2. 受給期間には1年という期限がある 離職日の翌日から1年以内に受け取り終える必要があります。 所定給付日数が残っていても、1年を過ぎた分は受け取れません。 病気や出産で働けない期間がある場合は、受給期間の延長申請ができます。 最大3年延長できるので、産休・育休で離職した場合は必ず手続きしてください。
3. 単発バイトの申告を忘れない 受給中に働いた日は申告が必要です。 「1日だけの応援」でも申告しないと、不正受給として扱われます。 申告すれば、その日の分が後ろにずれるだけで、権利が消えるわけではありません。
看護師の失業保険に関するよくある質問(Q&A)
Q. 失業保険をもらいながらアルバイトはできる?
A. 可能です。ただし、細かいルールと申告義務があります。
最初の7日間の待機期間中は一切の労働が禁止されていますが、その後はハローワークに申告すればアルバイト可能です。ただし、収入額によっては手当が減額されたり、週20時間以上働くと「就職した」とみなされて手当がストップしたりするため注意が必要です。
Q. 失業保険をもらいながら配偶者の扶養に入れる?
A. 失業手当の日額によります。
失業保険の「基本手当日額」が3,612円未満(60歳以上は5,000円未満)であれば扶養に入れますが、それを超える手当を受給している期間は、一時的に扶養から外れて自分で国民健康保険と国民年金に加入する必要があります。
Q. 職業訓練を受けながら失業保険はもらえる?
A. はい、もらえます。さらにメリットもあります。
ハローワークが案内する公共職業訓練を受講する場合、訓練が終了するまで失業手当の受給期間が延長されます。看護師以外のスキルを身につけたい場合などに有効な制度です。
Q. 求職活動をしていないのに「した」と嘘をついたらバレる?
A. 確実にバレます。絶対にやめましょう。
ハローワークは事業所への確認などを厳格に行っています。嘘の申告(不正受給)が発覚した場合、支給が即座に停止されるだけでなく、受給額の返還に加えてその2倍の額を納付させられる(いわゆる3倍返し)厳しい罰則があります。
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まとめ
看護師が退職した際、条件を満たせば退職前の給料の50〜80%程度の失業保険を受給することができます。
手続きはハローワークで行う必要があり、離職票やマイナンバーカードなどの書類が必須となります。
- ゆっくり休みながら転職活動をしたい人 → 失業保険を活用して自分のペースで探す。
- すぐにでも働き始めたい人 → 「再就職手当」を狙って早期に転職を決定する。
どちらの選択肢も、看護師の転職を経済的にサポートしてくれる強力な制度です。退職を決めたら、まずは必要な書類を手元にそろえ、早めに管轄のハローワークへ足を運びましょう。