改訂水飲みテスト(MWST)の手順と評価点|冷水3mLの注ぎ方、1〜5点の判定基準表、迷う境目と記録の例文
改訂水飲みテスト(Modified Water Swallowing Test、MWST)は、冷水3mLを口に含んで飲み込んでもらい、嚥下の有無、むせ、呼吸の変化、声の変化を見て1〜5点で評価する嚥下のスクリーニングテストです。特別な機器が要らず、ベッドサイドで短時間に行えます。
日本摂食嚥下リハビリテーション学会の「摂食嚥下障害の評価 2019」は、スクリーニングテストを、摂食嚥下障害のおそれがある患者を早く見つけ、その後の精査や診断、治療につなげるために行うものとしています。あわせて、スクリーニングは障害の有無や異常を推定するためのもので、詳しい障害の様子までは分からないことにも注意を促しています。
看護師が改訂水飲みテストを行う場面は、脳卒中の急性期や回復期、高齢者の入院時など、さまざまです。この記事では、学会の資料に沿って、手順、評価点、迷いやすい境目、記録の書き方を整理します。実施してよいかの判断や、結果を受けた食事の進め方は、施設の手順と医師・言語聴覚士の指示に従ってください。
看護師専門転職サービス
「クリアス看護」
LINE友だち追加で、希望条件に合った求人紹介や
非公開求人のご案内を無料で受けられます。
給与・働き方・勤務条件など、
転職に関するご相談もLINEで気軽に可能です。
改訂水飲みテストの評価点(1〜5点の判定基準表)
学会の資料に載っている評価基準を、言葉を整理して並べると次のとおりです。
| 評価点 | 判定基準 |
|---|---|
| 1 | 飲み込みが起きず、むせと呼吸切迫の一方または両方がみられる |
| 2 | 飲み込みは起きるが、呼吸切迫がみられる |
| 3 | 飲み込みが起き、呼吸も落ち着いているが、むせと湿性嗄声の一方または両方がみられる |
| 4 | 飲み込みが起き、呼吸も落ち着いていて、むせもない |
| 5 | 4点の条件を満たし、さらに30秒以内に2回、反復嚥下ができる |
「一方または両方」は、どちらか一方でもあれば当てはまるという意味です(学会の資料では「and/or」と表記)。判定は「飲み込めたか」「呼吸はどうか」「むせや声の変化はあるか」「追加の空嚥下ができるか」の4つを順に見ていくと整理できます。
学会の資料では、評価点のカットオフを4点とした場合、摂食嚥下障害のある人で、嚥下造影検査(VF)で確認された誤嚥を検出する感度は1.0、特異度は0.71と報告されているとしています。
改訂水飲みテストの手順(準備から評価まで)
学会の資料にある方法は、次のとおりです。
- 冷水3mLをシリンジなどで用意する
- 冷水を口腔底に注ぎ、飲み込むように指示する
- 嚥下の有無、むせ、呼吸の様子、声の変化を観察する
- 嚥下の後、追加で空嚥下ができるかを30秒間見る(5点かどうかの判定)
- 評価点が4点以上なら、最大でさらに2回テストを繰り返し、最も悪い結果を評価点とする
舌の上ではなく口腔底に注ぐ理由
学会の資料は、咽頭に直接水が流れ込むのを防ぐため、舌背ではなく口腔底に水を注ぐとしています。舌の上に乗せると、本人が飲み込む準備をする前に水が奥へ流れてしまい、本来の嚥下の様子を見られなくなります。シリンジの先を舌の下側に向け、ゆっくり注ぎましょう。
実施前に確かめること
学会の資料では、反復唾液嚥下テストや改訂水飲みテストなどは、口腔ケアを行い、口腔内を清潔にしたうえで実施するとしています。ほかにも、次の点を事前に確かめておくと、評価が安定します。
- 指示が理解できる程度に覚醒しているか
- 体位(座位、ベッドの角度など)が施設の手順どおりか
- 実施の指示や、施設で決めている実施の条件を満たしているか
体位によって飲み込みやすさは変わります。学会の資料も、実施した体位などの情報を記載するとしています。
改訂水飲みテストで迷う境目(2点と3点、4点と5点、評価不能)
評価点がずれやすいのは、次の場面です。
| 迷う場面 | 付け方の考え方 |
|---|---|
| 飲み込んだ後、むせはないが呼吸が速く浅くなった | 嚥下あり、呼吸切迫なので2点。むせがないからといって4点にしない |
| 飲み込んだ後、むせた。呼吸は落ち着いている | 嚥下あり、呼吸良好、むせありなので3点 |
| むせはないが、飲み込んだ後の声がガラガラと湿っている | 湿性嗄声があるので3点 |
| むせも声の変化もなく飲み込めた。追加の空嚥下は30秒で1回 | 4点。5点は30秒以内に2回の反復嚥下ができた場合 |
| 1回目は4点、繰り返した2回目でむせた | 最も悪い結果を採るので3点 |
| 口に含んだまま飲み込まない、指示が伝わらない | 評価不能として、その旨と理由を記録する |
声の変化は飲み込んだ後に確かめる
湿性嗄声は、聞こうとしないと見逃しやすい所見です。テストの前に一度声を出してもらって普段の声を聞いておくと、飲み込んだ後の変化に気づきやすくなります。
とろみ水で行ったときは濃さを書く
学会の資料は、臨床ではとろみ水を使い、改訂水飲みテストの基準を参考に評価する場合があるとしています。その場合は、日本摂食嚥下リハビリテーション学会の嚥下調整食分類2013(とろみ)を参考に、使ったとろみの程度を明記するとしています。水で行った結果と並べて比べられるよう、記録に必ず残しましょう。
看護師専門転職サービス
「クリアス看護」
LINE友だち追加で、希望条件に合った求人紹介や
非公開求人のご案内を無料で受けられます。
給与・働き方・勤務条件など、
転職に関するご相談もLINEで気軽に可能です。
改訂水飲みテストとほかのスクリーニングテストの違い
学会の資料には、改訂水飲みテストのほかにもいくつかのスクリーニングテストが載っています。看護師が関わることの多いものを並べると、次のとおりです。
| テスト | 使うもの | 方法の要点 | 判定の要点 |
|---|---|---|---|
| 反復唾液嚥下テスト(RSST) | なし(唾液) | 喉頭隆起と舌骨に指を当て、30秒間に何回空嚥下できるかを数える | 30秒間に3回未満で陽性 |
| 改訂水飲みテスト(MWST) | 冷水3mL | 口腔底に注いで嚥下を指示する | 1〜5点で評価 |
| 水飲みテスト(WST) | 常温の水30mL | コップで「いつもどおりに」飲んでもらう | 回数とむせの有無で5段階のプロフィール |
| フードテスト(FT) | プリン ティースプーン1杯(約4g) | 嚥下後に口腔内の残留を見る | 1〜5点で評価。残留の有無と量も見る |
どのテストを、どんな順で行うかは施設の手順で決まっていることが多いので、所属先のフローを確かめておきましょう。
学会の資料は、あるテストで状態が不良と判断されても、別のテストではよい結果が出ることがあるとも述べています。たとえば唾液の嚥下は難しくても、食物の嚥下には問題がないこともあります。1つのテストの点数だけで判断せず、ほかのテストの結果や普段の様子とあわせて共有することが大切です。
改訂水飲みテストの記録の書き方と例文
記録には、評価点だけでなく、観察した所見と実施の条件を書きます。学会の資料も、評価不能ならその旨を、また実施した体位などの情報を記載するとしています。
書く要素は次の5つです。
- 実施した日時と、口腔ケアの後かどうか
- 体位(座位、ベッドの角度など)
- 評価点と、実施した回数(繰り返した場合はそれぞれの結果)
- 嚥下の有無、むせ、呼吸、声の変化、追加の空嚥下の回数
- とろみ水で行った場合は、とろみの程度
例文
4点だった例
10:00 口腔ケア後、ベッド挙上60度の座位で改訂水飲みテスト実施。冷水3mLを口腔底に注ぎ嚥下指示。嚥下あり、むせなし、呼吸の変化なし、嚥下後の声の変化なし。追加の空嚥下は30秒で1回。2回繰り返し、いずれも同じ所見。評価点4点。
繰り返しで点数が下がった例
14:00 端座位で改訂水飲みテスト実施。1回目は嚥下あり、むせなし、呼吸良好で4点。2回目の嚥下後に湿性嗄声あり、むせなし、呼吸良好。最も悪い結果を採り評価点3点。医師・言語聴覚士へ結果を報告。
評価不能だった例
9:30 ベッド挙上60度で改訂水飲みテストを試みたが、傾眠傾向で嚥下の指示に応じず、冷水を口に含んだまま飲み込まないため中止。評価不能。覚醒の状態をみて再評価の予定。
結果を受けて食事を始めるか、どんな食形態にするかは、医師・言語聴覚士の指示に従います。看護記録では、所見と条件を正確に残し、次に評価する人が同じ条件で比べられるようにしておきましょう。
回復期・療養病棟の看護師求人を探す
嚥下の評価や食事の援助に関わる機会が多いのは、脳卒中の患者が多い病棟や、回復期リハビリテーション病棟、療養病棟、介護施設などです。看護師の求人一覧では、勤務地や働き方などの条件で求人を絞り込めます。
看護師専門転職サービス
「クリアス看護」
LINE友だち追加で、希望条件に合った求人紹介や
非公開求人のご案内を無料で受けられます。
給与・働き方・勤務条件など、
転職に関するご相談もLINEで気軽に可能です。
よくある質問
改訂水飲みテストは常温の水でもよいですか?
日本摂食嚥下リハビリテーション学会の資料では、冷水3mLを使う方法になっています。常温の水30mLを使うのは別のテスト(水飲みテスト)です。結果を比べられるよう、所属先で決めた方法をそろえて実施しましょう。
何点なら食事を始められますか?
点数だけで一律には決まりません。スクリーニングは障害の有無を推定するもので、詳しい評価や、食事の開始、食形態の判断は、医師・言語聴覚士の指示に従います。
看護師が実施してもよいですか?
病棟では看護師が実施することも多いテストです。ただし、誰が、どの条件で実施するかは施設で決まっています。実施の指示や手順を確かめてから行ってください。
まとめ
- 改訂水飲みテストは、冷水3mLを口腔底に注いで飲み込んでもらい、1〜5点で評価する嚥下のスクリーニング
- 4点以上なら最大2回繰り返し、最も悪い結果を採る。むせがなくても呼吸切迫があれば2点
- 実施前に口腔ケアを行い、体位を整える。体位や評価不能の理由も記録する
- 結果を受けた食事の進め方は、医師・言語聴覚士の指示に従う
参考
- 日本摂食嚥下リハビリテーション学会 医療検討委員会「摂食嚥下障害の評価 2019」 https://www.jsdr.or.jp/wp-content/uploads/file/doc/assessment2019-announce.pdf
- 戸原玄、才藤栄一、馬場尊、小野木啓子、植松宏「Videofluorographyを用いない摂食・嚥下障害評価フローチャート」日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 2002;6(2):196-206 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsdr/6/2/6_196/_article/-char/ja/