児童扶養手当の計算方法|看護師の年収別に月額を出す早見表と、夜勤を増やしたときに手当が止まる境目
児童扶養手当の月額は、前の年の所得で決まります。所得が「全部支給」の線より低ければ満額、「一部支給」の線までは所得に応じて減り、その線を超えると支給が止まります。
令和8年4月分からの月額は、子ども1人で全部支給48,050円、一部支給48,040円〜11,340円です。2人目以降は1人につき全部支給11,350円、一部支給11,340円〜5,680円が加わります。令和7年度(2025年4月〜2026年3月分)は、子ども1人の全部支給が46,690円、2人目以降の加算が11,030円でした。
看護師の場合、気をつけたいのは一部支給の上限です。子ども1人なら給与収入およそ385万円がその線で、ここを1円でも超えると月11,000円台の手当が0円になります。夜勤を1〜2回増やしただけで超えることもあるので、この記事では源泉徴収票から月額を出す手順と、夜勤を増やしたときの境目を順に見ていきます。
看護師専門転職サービス
「クリアス看護」
LINE友だち追加で、希望条件に合った求人紹介や
非公開求人のご案内を無料で受けられます。
給与・働き方・勤務条件など、
転職に関するご相談もLINEで気軽に可能です。
児童扶養手当の計算は3ステップ
計算は次の3つの段階で進めます。
- 前の年の「所得」を出す
- 子どもの人数(扶養親族の数)に応じた所得制限と比べ、全部支給・一部支給・支給停止を判定する
- 一部支給なら、計算式で月額を出す
ステップ1:所得を出す
給与だけで働く看護師なら、所得は次の式で出せます。
所得 = 給与収入 − 給与所得控除 − 10万円 + 養育費の8割 − 8万円 − 諸控除
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| 給与収入 | 源泉徴収票の「支払金額」。夜勤手当・残業代・賞与も含む |
| 給与所得控除 | 収入額に応じて決まる。令和7年分は下の表 |
| 10万円 | 給与所得がある人は、さらに10万円を引く |
| 養育費の8割 | 子どもの父(母)から受け取った養育費の8割を足す |
| 8万円 | 社会保険料に相当する額として、全員が一律に引く |
| 諸控除 | 障害者控除・医療費控除・小規模企業共済等掛金控除などを受けている場合に引く |
令和8年11月から令和9年10月までの手当は、令和7年中の所得で決まります。令和7年分の給与所得控除は、最低額が55万円から65万円に引き上げられています。
| 給与収入(令和7年分) | 給与所得控除 |
|---|---|
| 190万円まで | 65万円 |
| 190万円超〜360万円 | 収入×30%+8万円 |
| 360万円超〜660万円 | 収入×20%+44万円 |
| 660万円超〜850万円 | 収入×10%+110万円 |
源泉徴収票に「給与所得控除後の金額」が書かれていれば、その数字から始めると早く出せます。
ひとり親控除と寡婦控除は引きません。 受給者が母の場合、税金の計算では引いているひとり親控除(35万円)や寡婦控除(27万円)を、児童扶養手当の所得からは引かない決まりです。父の場合も、ひとり親控除は引きません。税金の計算で引いた控除をそのまま引くと所得が低く出て、手当を多く見込んでしまうので注意してください。
ステップ2:所得制限と比べる
所得を、下の所得制限限度額と比べます。「扶養親族の数」は税法上の扶養の人数で、16歳未満の子どもも数えます。子ども1人を育てるひとり親なら1人です。
| 扶養親族の数 | 全部支給(この額未満) | 一部支給(この額未満) | 同居の親など扶養義務者(この額以上で全部停止) |
|---|---|---|---|
| 1人 | 107万円 | 246万円 | 274万円 |
| 2人 | 145万円 | 284万円 | 312万円 |
| 3人 | 183万円 | 322万円 | 350万円 |
| 4人以上 | 1人につき38万円を加える | 1人につき38万円を加える | 1人につき38万円を加える |
高校生・大学生の年齢の子(特定扶養親族など)がいる場合は、受給者の限度額に1人15万円が加わります。対象の範囲は税法と少し違うので、住んでいる市区町村で確かめてください。
ステップ3:一部支給の月額を計算する
所得が全部支給の線以上、一部支給の線未満なら、月額は次の式で出します。αは、ステップ2の表の「全部支給」の額です。
子ども1人目 = 48,040円 −(所得 − α)× 0.0264029
2人目以降の加算(1人につき) = 11,340円 −(所得 − α)× 0.0040719
(所得 − α)× 係数の部分は、10円未満を四捨五入します。係数は物価の変動に合わせて見直されます。
子どもの人数別:給与収入で見る児童扶養手当の早見表
ステップ1〜3を、給与収入の額に置き換えた早見表です。給与のほかに収入がなく、養育費も諸控除もない場合の目安です。
| 子どもの人数 | 全部支給になる給与収入 | 一部支給になる給与収入 | 支給停止になる給与収入 | 停止の直前の月額 |
|---|---|---|---|---|
| 1人 | 190万円未満 | 190万円以上〜385万円未満 | 385万円以上 | 約11,360円 |
| 2人 | 約244万円未満 | 約244万円〜約432万円 | 約432万円以上 | 約17,040円 |
| 3人 | 約298万円未満 | 約298万円〜480万円 | 480万円以上 | 約22,720円 |
子ども1人の190万円・385万円は、こども家庭庁が示している「2人世帯の収入ベースの限度額」と一致します。実際の給与所得は、収入660万円未満では所得税法の別表で計算するため、数千円単位のずれが出ることがあります。境目の近くにいる人は、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」で計算し直してください。
看護師の年収別の計算例
例1:パート・日勤のみで年収300万円、子ども1人
| 計算 | 金額 |
|---|---|
| 給与所得(300万円−給与所得控除98万円) | 202万円 |
| −10万円 −8万円 | 184万円(所得) |
| 全部支給の線107万円との差 | 77万円 |
| 77万円×0.0264029=20,330円 | 48,040円−20,330円 |
| 月額 | 27,710円(年332,520円) |
同じ年収で、養育費を月3万円(年36万円)受け取っていると、所得に28.8万円(36万円の8割)が足されます。所得は212.8万円になり、月額は20,110円まで下がります。
例2:常勤・夜勤ありで年収350万円、子ども2人
| 計算 | 金額 |
|---|---|
| 給与所得(350万円−給与所得控除113万円) | 237万円 |
| −10万円 −8万円 | 219万円(所得) |
| 全部支給の線145万円との差 | 74万円 |
| 1人目:48,040円−(74万円×0.0264029=19,540円) | 28,500円 |
| 2人目:11,340円−(74万円×0.0040719=3,010円) | 8,330円 |
| 月額 | 36,830円(年441,960円) |
例3:常勤で年収420万円、子ども1人と2人の違い
年収420万円だと、所得は274万円です。
- 子ども1人:一部支給の線246万円を超えるので、支給停止(0円)
- 子ども2人:一部支給の線284万円の内側なので、1人目13,980円+2人目6,090円で月20,070円
同じ年収でも、子どもの人数で一部支給の線が38万円ずつ上がるため、結果が変わります。
看護師専門転職サービス
「クリアス看護」
LINE友だち追加で、希望条件に合った求人紹介や
非公開求人のご案内を無料で受けられます。
給与・働き方・勤務条件など、
転職に関するご相談もLINEで気軽に可能です。
夜勤を増やすと児童扶養手当はどう変わるか:境目の判定
一部支給の範囲では、収入が増えても手取りの合計は増える
一部支給の範囲にいる間は、給与収入が10万円増えると、手当は年2.2万〜2.5万円ほど減ります(子ども1人の場合)。手当の減り方より収入の増え方のほうが大きいので、夜勤を増やせば手当と給与を合わせた額は増えます。
一部支給の上限をまたぐと、月11,000円台が一度に消える
注意が必要なのは、一部支給の線をまたぐときです。子ども1人の場合、年収384万円なら月11,550円出ていた手当が、385万円を超えると0円になります。年に直すと約14万円です。
夜勤手当を1回1万円と仮定して、日勤中心で年収360万円の人が夜勤を増やした場合で比べます。
| 夜勤の増やし方 | 年収 | 手当(月額) | 手当(年額) | 給与+手当 |
|---|---|---|---|---|
| 増やさない | 360万円 | 16,620円 | 199,440円 | 約380万円 |
| 月2回増やす | 384万円 | 11,550円 | 138,600円 | 約398万円 |
| 月3回増やす | 396万円 | 0円 | 0円 | 396万円 |
月3回に増やすと、月2回のときより給与は12万円増えますが、手当が約14万円なくなり、合計では減ります。税金と社会保険料も給与に合わせて増えるので、手取りの差はさらに広がります。
判定の目安は次のとおりです。
| いまの年収(子ども1人の場合) | 夜勤を増やすときの判断 |
|---|---|
| 360万円未満 | 一部支給の範囲に収まる回数なら、増やすほど合計は増える |
| 360万〜385万円 | 385万円を超えるかを先に計算する。少し超えるだけなら、超えない回数に抑えたほうが合計は多い |
| 385万円を十分に超える(例:400万円以上) | すでに手当は止まっている。夜勤の回数は手当と関係なく決めてよい |
子ども2人なら約432万円、3人なら480万円が同じ境目です。
収入が増えた年と手当が減る年はずれる
手当は前の年の所得で決まるので、2026年に夜勤を増やした分は、2027年11月から2028年10月までの手当に反映されます。逆に、夜勤を減らして収入を下げても、手当が戻るのは翌年の11月からです。働き方を変えた年に手当がすぐ変わるわけではないので、1年後の家計で見込んでおきましょう。
同居の親の所得で手当が止まることもある
夜勤の間に子どもを見てもらうため、自分の親と同居している看護師もいると思います。同居して生計を同じくする親や兄弟姉妹(扶養義務者)の所得が、上の表の右列の額以上だと、本人の所得にかかわらず手当は全部止まります。親の扶養親族が0人なら236万円が線です。親が働いている、年金が多いといった場合は、親の所得も確かめておきましょう。
受給5年後の半額停止は、働いていれば対象外
手当を受け始めて5年(子どもが3歳未満で請求した場合は3歳になってから5年)などが過ぎると、手当が半分に減らされる仕組みがあります。働いている人は、毎年8月の現況届とあわせて「一部支給停止適用除外事由届」を出せば減りません。看護師として勤めていれば、勤務先の証明などで届け出ます。
ひとり親の看護師が使える支援制度全体は、看護師とシングルマザーを無理なく両立する働き方|2026年最新の支援策でまとめています。
夜勤の少ない働き方の求人を探す
境目の近くにいる人は、夜勤の回数を決めて働ける職場か、日勤のみで年収を確保できる職場かで手当の出方が変わります。夜勤の回数の相談ができるか、日勤常勤の募集があるかは、求人の段階で確かめておきたい点です。
よくある質問
賞与(ボーナス)も児童扶養手当の計算に入りますか?
入ります。所得の計算に使う給与収入は、源泉徴収票の「支払金額」で、毎月の給与・夜勤手当・残業代・賞与をすべて合わせた額です。通勤手当のうち非課税の部分は含まれません。
年の途中で転職した場合、所得はどう計算しますか?
前の職場と今の職場の給与を合わせた1年分で計算します。年末調整で前職分を合算していれば、今の職場の源泉徴収票の「支払金額」が合計額です。合算されていない場合は、両方の源泉徴収票の金額を足して計算してください。
手当の額はいつ見直されますか?
所得による支給区分は、毎年11月分から見直されます。8月の現況届で前の年の所得を確認し、11月分からの1年間の額が決まります。月額そのもの(48,050円など)は物価に合わせて毎年4月に改定されます。支払いは奇数月の年6回で、2か月分ずつ振り込まれます。
看護師専門転職サービス
「クリアス看護」
LINE友だち追加で、希望条件に合った求人紹介や
非公開求人のご案内を無料で受けられます。
給与・働き方・勤務条件など、
転職に関するご相談もLINEで気軽に可能です。
まとめ
- 所得は「給与収入−給与所得控除−10万円+養育費の8割−8万円」で出す。母はひとり親控除・寡婦控除を引かない
- 子ども1人なら給与収入190万円未満で全部支給、385万円以上で支給停止。子ども2人なら約432万円、3人なら480万円が停止の線
- 一部支給の範囲では、夜勤を増やすほど給与と手当の合計は増える
- 停止の線をまたぐと月11,000円台が一度に消えるので、境目の近くでは夜勤の回数を先に計算する
- 手当に反映されるのは翌年11月から。同居の親の所得でも止まることがある
参考
- こども家庭庁「児童扶養手当について」https://www.cfa.go.jp/policies/hitori-oya/fuyou-teate
- こども家庭庁「児童扶養手当制度の概要(令和8年4月8日更新)」https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/71de338f-5ed2-4c95-9848-3fd387d0b4d7/a4e6f323/20260408_policies_hitori-oya_fuyou-teate_19.pdf
- 奈良県「児童扶養手当制度のしおり(令和8年度版)」https://www.pref.nara.lg.jp/documents/5238/r8jifushiori.pdf
- 岡山市「児童扶養手当」https://www.city.okayama.jp/kurashi/0000011187.html
- 国税庁「No.1410 給与所得控除」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1410.htm