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退院支援看護師とは?仕事内容と1日の流れ、MSW・ケアマネとの役割分担、求人が出る理由と向いている人の境界線

退院支援看護師とは?仕事内容と1日の流れ、MSW・ケアマネとの役割分担、求人が出る理由と向いている人の境界線

退院支援看護師は、入院した患者が退院後にどこで、どう暮らすかを入院の早い段階から組み立てる看護師です。病棟でケアをする代わりに、患者・家族との面談、多職種のカンファレンス、地域の訪問看護やケアマネジャーとの調整が仕事の中心になります。

「退院支援看護師」は法律上の職名ではありません。病院によって退院調整看護師、入退院支援看護師などと呼び方が違います。ただ、多くの病院でこのポジションが置かれている理由ははっきりしています。診療報酬の「入退院支援加算」を取るには、専従や専任の看護師を決まった数だけ配置する必要があるからです。

この記事では、仕事内容と1日の流れ、病棟看護師・MSW・ケアマネとの役割分担、加算の施設基準で求められる配置を順に整理します。最後に、異動や転職に「向いている人/まだ早い人」の境界線を表にまとめます。

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目次
  1. 退院支援看護師の仕事内容は「入院後7日以内」の段取りが軸
    1. 「退院が難しくなりそうな要因」はこう決まっている
    2. 退院支援看護師の1日の流れ(病棟専任の例)
  2. 病棟看護師・退院支援看護師・MSW・ケアマネの役割分担
    1. ケアマネ・訪問看護師とは「退院前」に組む
  3. 入退院支援加算で求められる専従・専任の看護師(ここが求人の出る理由)
    1. 病棟が増えるほど看護師が要る
    2. 入院前の支援でも看護師がもう1人要る
  4. 退院支援看護師に必要な経験と、向いている人・まだ早い人の境界線
    1. 退院支援看護師に向いている人の特徴
  5. 退院支援看護師に必須の資格はない(あると役立つもの)
  6. 退院支援看護師の求人を実際に見る
  7. よくある質問
    1. 退院支援看護師に夜勤はありますか?
    2. 退院支援看護師とMSWの違いは何ですか?
    3. 訪問看護師も退院支援に関わりますか?
    4. 何年目から退院支援看護師になれますか?
  8. まとめ
  9. 参考

退院支援看護師の仕事内容は「入院後7日以内」の段取りが軸

退院支援看護師の仕事は、入退院支援加算の算定ルールに沿って組み立てられています。厚生労働省の通知では、入退院支援加算1を算定する病院に次の段取りを求めています。

時期の目安 やること
入院後3日以内 患者の状況を把握し、退院が難しくなりそうな要因がある患者を抜き出す
入院後7日以内 患者・家族と、病状や退院後の生活を含めて話し合う(療養病棟などは14日以内)
入院後7日以内 関係職種と連携して、退院支援計画の作成に取りかかる
入院後7日以内 病棟の看護師、病棟専任の入退院支援職員、入退院支援部門の職員でカンファレンスを開く
計画ができたら 計画を文書で患者・家族に説明して渡し、退院先の病院や介護サービスと調整する

入退院支援加算2の場合は、要因のある患者を抜き出す期限が入院後7日以内で、話し合いとカンファレンスは「できるだけ早期に」とされています。

「退院が難しくなりそうな要因」はこう決まっている

患者を抜き出す基準は、通知で具体的に挙げられています。病棟で「この人は退院が大変そう」と感じる場面とほぼ重なるはずです。

  • がん、認知症、誤嚥性肺炎などの急性の呼吸器感染症
  • 緊急入院
  • 要介護認定が必要そうなのに未申請、または今の区分が合っていない疑いがある
  • 入院前よりADLが落ち、退院後の暮らし方を組み直す必要がある
  • 排泄に介助が要る、退院後も胃瘻などの医療処置が要る
  • 入退院を繰り返している
  • 虐待やその疑いがある、生活に困窮している
  • 家族や親族と連絡が取りにくい

ほかにも、家族の介護を担っている子ども(ヤングケアラー)や、強度行動障害なども要因に入っています。

退院支援看護師の1日の流れ(病棟専任の例)

1日の流れは病院の規模や担当病棟の数で変わります。2病棟を受け持つ病棟専任の看護師の場合、たとえば次のようになります。

時間 仕事
8:30 前日の入院患者をカルテで確認し、退院が難しくなりそうな要因がある人を抜き出す
9:30 担当病棟の朝の申し送りに顔を出し、病棟看護師から気になる患者を聞く
10:30 新しく入院した患者・家族と面談。退院後の暮らしの希望と、家の状況を聞く
13:00 退院支援計画を作る。リハビリや栄養管理の内容を各職種に確認する
14:00 病棟でカンファレンス。医師、病棟看護師、MSW、リハビリ職と退院の見通しをそろえる
15:30 ケアマネジャーや訪問看護ステーションに電話し、退院日とサービス開始日を調整する
16:30 退院前カンファレンスの日程調整、記録

病棟勤務と大きく違うのは、夜勤がない職場が多いことと、1日の大半が「話す・調整する・書く」で占められることです。点滴や処置の手を動かす時間はほとんどなくなります。

病棟看護師・退院支援看護師・MSW・ケアマネの役割分担

退院支援は1人で抱える仕事ではありません。誰が何を担うかを整理すると、退院支援看護師の立ち位置が見えてきます。

職種 主な役割 退院支援で担うこと
病棟看護師 入院中のケア 日々の状態の変化を伝える。退院指導(服薬、処置の手技)を行う
退院支援看護師(病棟専任) 担当病棟の退院支援 要因のある患者の抜き出し、患者・家族との面談、計画づくり、カンファレンスの運営
退院支援看護師(部門専従) 入退院支援部門の中心 病棟専任の支援、難しい事例の調整、地域の連携先との関係づくり
MSW(社会福祉士) 生活・経済面の相談 医療費や制度の相談、転院先・施設探し、家族関係の調整
ケアマネジャー 介護保険のケアプラン 退院後の介護サービスの計画を立て、事業所を手配する
訪問看護師 退院後の在宅看護 退院前に病院で指導に加わり、退院当日・翌日からの訪問につなぐ

看護師とMSWの分け方は、ざっくり言えば「医療と看護の見通し」が看護師、「制度とお金と生活の手配」がMSWです。とはいえ現場では重なる部分が大きく、看護師とMSWがペアで病棟を受け持つ病院も多くあります。MSWの仕事の詳細は医療ソーシャルワーカー(MSW)とはで解説しています。

ケアマネ・訪問看護師とは「退院前」に組む

ケアマネジャーとの接点は、要介護認定の申請と、退院後のサービス計画です。退院支援看護師は、入院中に必要な医療処置やADLの見通しをケアマネに伝え、ケアプランに反映してもらいます。

訪問看護師の側から見ても、退院支援は仕事の一部です。訪問看護ステーションの看護師が入院中の病院に出向き、主治医や病院の職員と一緒に在宅での療養について指導すると「退院時共同指導加算」、退院日に病院以外の場所で指導すると「退院支援指導加算」が算定できます。病院の退院支援看護師から見ると、退院前カンファレンスに訪問看護師を呼ぶことが、そのまま在宅へのスムーズな引き継ぎになります。

入退院支援加算で求められる専従・専任の看護師(ここが求人の出る理由)

退院支援看護師の求人が出るのは、入退院支援加算の施設基準で看護師の配置が決まっているからです。令和8年度改定後の通知(基本診療料の施設基準等の取扱い)の要件を、看護師に関係する部分に絞って整理します。

項目 入退院支援加算1 入退院支援加算2
入退院支援部門 院内に設置する 院内に設置する
部門の専従職員 十分な経験のある専従の看護師または専従の社会福祉士を1名以上 同じ
部門の専任職員 専従が看護師なら専任の社会福祉士、専従が社会福祉士なら専任の看護師 同じ
病棟ごとの配置 算定する各病棟に、専従の看護師または社会福祉士を専任で置く。1人あたり2病棟・計120床まで 求められていない
連携先 あらかじめ協議した連携機関が25以上。年3回以上の面会 求められていない

「専従」はほぼその業務だけに就くこと、「専任」は主にその業務を担うことを指します。加算2は、加算1の(1)〜(3)の基準(部門の設置、面会の取り扱い、部門の専従・専任職員)を満たせばよいとされています。

病棟が増えるほど看護師が要る

求人の多さに直結するのが、加算1の病棟ごとの配置です。病棟専任の看護師または社会福祉士は、1人で受け持てるのが2病棟・計120床までです。20床未満の病棟は病棟数からは除けますが、病床数には含めます。

たとえば50床の病棟が6つある病院なら、病棟数の上限で少なくとも3人、病床数の上限(300床÷120床)でも3人が必要です。さらに、病棟専任の職員は部門の専従を兼ねられないため、部門の専従・専任とは別に人を確保しなければなりません。

非常勤でも、週3日以上かつ週22時間以上働く専従の看護師を2人組み合わせ、常勤と同じ時間帯に配置すれば、専従1人分とみなせます。時短やパートで退院支援の求人が出ているのはこのためです。

入院前の支援でも看護師がもう1人要る

入退院支援加算1・2に上乗せする「入院時支援加算」を取る病院では、入院前の支援を担う看護師がさらに必要です。部門に、十分な経験のある専従の看護師1名以上、または専任の看護師と専任の社会福祉士を1名ずつ置くことが求められます。

許可病床数が200床未満の病院は、専任の看護師1名以上でよく、加算1・2の専従・専任の看護師と兼ねることもできます。外来で予定入院の患者に面談する「入退院支援センター」の看護師の求人は、この基準に沿ったものです。

なお、加算そのものの点数は、加算1が一般病棟入院基本料などの場合700点、加算2が190点です(いずれも退院時1回)。病院にとっては専任の人件費をかけても届け出る価値がある加算なので、ポジションがなくなりにくい仕事と言えます。

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退院支援看護師に必要な経験と、向いている人・まだ早い人の境界線

施設基準が求めているのは「入退院支援及び地域連携業務に関する十分な経験」で、何年以上という年数は定められていません。年数の条件は病院ごとの採用条件で決まるため、求人票で確かめる必要があります。

そのうえで、病棟でどんな経験を積んでいるかで、すぐ活躍できるかどうかの差が出ます。次の表で自分の位置を確かめてください。

あなたの状況 判定 理由・次の一手
病棟で退院前カンファレンスに出たことがあり、家族面談も経験している 向いている 仕事の流れがすでに見えている。部門専従や病棟専任の求人にそのまま応募できる
要介護認定の申請や、介護保険サービスの種類を患者・家族に説明できる 向いている ケアマネや地域との調整で最も使う知識を持っている
回復期リハビリ病棟や地域包括ケア病棟で働いている 向いている 在宅復帰の調整を日常的にしているため、移りやすい
急性期病棟で3年未満、退院調整はリーダーやMSWに任せていた まだ早い 病棟で退院調整の担当を引き受け、カンファレンスに出る経験を先に積む
処置や急変対応など、手を動かす看護にやりがいを感じている まだ早い・合わない可能性 1日の大半が面談・電話・記録になる。見学で働き方を確かめてから決める
新生児集中治療の経験が長く、小児の在宅移行に関わりたい 加算3の要件を確認 加算3は、新生児集中治療と小児看護の経験5年以上(うち新生児集中治療3年以上)などが要件

退院支援看護師に向いている人の特徴

表の「向いている」に共通するのは、患者の「退院後の暮らし」を具体的に想像できることです。病状だけでなく、家の段差、同居家族の働き方、通院の手段まで聞き出せる人は、計画づくりで頼られます。

もう1つは、立場の違う人の間に立てることです。医師は早く退院させたい、家族は不安で退院を延ばしたい、という場面は珍しくありません。どちらの言い分も聞いたうえで、現実的な落としどころを提案する力が求められます。

退院支援看護師に必須の資格はない(あると役立つもの)

退院支援看護師になるのに、看護師免許以外の資格は必要ありません。入退院支援加算1・2の施設基準も、看護師に求めているのは「経験」であり、認定資格を要件にはしていません。

役立つ資格として挙がることが多いのが、介護支援専門員(ケアマネジャー)です。看護師として働いた期間が通算5年以上、かつ従事した日数が900日以上あれば、実務研修受講試験を受けられます。ケアプランの考え方を知っていると、ケアマネとの調整で話が早くなります。

ただ、資格を取ってから異動・転職する必要はありません。まずは今の病棟で退院調整の担当を引き受け、経験を積むほうが近道です。

退院支援看護師の求人を実際に見る

退院支援の求人は、「入退院支援」「退院調整」「地域連携室」「患者支援センター」など、病院ごとに違う名前で出ています。夜勤の有無、病棟専任か部門専従か、非常勤の可否も求人によって違います。

条件を比べたい方は、看護師の求人一覧から気になる病院の求人を見てみてください。部署の名前だけで判断せず、受け持つ病棟の数や、入院前の支援も担当するのかを確かめると、入ってからのギャップを減らせます。

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よくある質問

退院支援看護師に夜勤はありますか?

日勤のみの職場が多いです。入退院支援部門は平日の日中に面談や調整を行うためです。ただし、病棟と兼務する形の配置では夜勤が残る場合もあるので、求人票の勤務形態を確かめてください。

退院支援看護師とMSWの違いは何ですか?

看護師は病状や医療処置の見通しから退院後に必要なケアを組み立て、MSWは医療費や制度、転院先・施設探しなど生活面の手配を担います。入退院支援加算1では、部門に専従の看護師を置くなら専任の社会福祉士を、専従の社会福祉士を置くなら専任の看護師を置くことになっており、両者がペアで動く前提です。

訪問看護師も退院支援に関わりますか?

関わります。訪問看護ステーションの看護師が入院中の病院に出向いて、主治医や病院の職員と一緒に在宅療養の指導をすると「退院時共同指導加算」が算定できます。退院支援看護師から見ると、退院前のカンファレンスで訪問看護師と顔を合わせておくことが、在宅への引き継ぎを確実にします。

何年目から退院支援看護師になれますか?

施設基準には年数の定めがなく、「十分な経験」とされています。実際の採用条件は病院ごとに違うため、求人票で必要な経験年数を確かめてください。病棟で退院調整や家族面談を担当した経験があると、応募のときに説明しやすくなります。

まとめ

  • 退院支援看護師は、入院後3日〜7日以内に退院が難しくなりそうな患者を見つけ、面談・計画・カンファレンスで退院後の暮らしを組み立てる仕事
  • MSWは制度と生活の手配、ケアマネは介護サービスの計画、訪問看護師は在宅での看護と、それぞれの役割の間をつなぐ
  • 入退院支援加算1では病棟専任の看護師などを1人あたり2病棟・120床までで配置するため、病床の多い病院ほど人が要る
  • 年数の要件はなく、病棟で退院調整や家族面談を経験しているかが境界線。必須の資格もない

参考

  • 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html
  • 厚生労働省「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和8年3月5日保医発0305第7号、0730訂正後)https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001732097.pdf
  • 厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」別添1 医科診療報酬点数表に関する事項(令和8年3月5日保医発0305第6号、0730訂正後)https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001732089.pdf
  • 厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部を改正する件」(令和8年厚生労働省告示第69号)別表第一 医科診療報酬点数表 https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001686842.pdf
  • 厚生労働省「訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法の一部を改正する件」(令和8年厚生労働省告示第74号)https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001665206.pdf
  • 厚生労働省「介護支援専門員実務研修受講試験の実施について」の一部改正について(平成27年2月12日老発0212第2号)https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc0780&dataType=1&pageNo=1