助産師の求人はどこで探す?病院・クリニック・助産院の違いと、分娩取扱いの有無で変わる働き方
助産師の求人を探し始めると、あることに気づきます。求人の数そのものが、看護師と比べてかなり少ない。
これは需要がないからではなく、就業先が特定の施設種別に集中しているためです。就業助産師の6割近くが病院に勤務しており、そこに求人が偏ります。
この記事では、助産師の就業先の実際を公的統計で確認したうえで、施設種別ごとの働き方の違いと、求人を探すときに確認すべき点を整理します。
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助産師はどこで働いているのか
厚生労働省の「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」によると、2024年末時点の就業助産師は38,721人。前回調査(2022年)から658人、1.7%の増加です。
就業場所の内訳は次のとおりです。
| 就業場所 | 実人員 | 構成割合 |
|---|---|---|
| 病院 | 23,054人 | 59.5% |
| 診療所 | 8,672人 | 22.4% |
| 助産所 | 2,905人 | 7.5% |
| 市区町村 | 1,689人 | 4.4% |
| 看護師等学校養成所・研究機関 | 1,534人 | 4.0% |
| 保健所 | 435人 | 1.1% |
| 訪問看護ステーション | 102人 | 0.3% |
| 事業所 | 61人 | 0.2% |
| 社会福祉施設 | 40人 | 0.1% |
| 都道府県 | 35人 | 0.1% |
| その他 | 194人 | 0.5% |
出典:厚生労働省「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」
病院と診療所で81.9%。求人もこの2つに集中します。
なお雇用形態を見ると、助産師の80.2%(31,073人)が正規雇用、非正規雇用が19.6%(7,572人)、派遣が0.2%(76人)です。
施設種別で何が変わるか
同じ助産師でも、分娩を扱うかどうかで働き方が根本的に変わります。
病院(総合病院・大学病院)
- ハイリスク分娩を扱う。合併症のある妊婦、早産、緊急帝王切開
- 医師・NICU・麻酔科と連携するチーム医療
- 夜勤あり。オンコール体制の施設も多い
- 教育体制が整っており、新人の受け入れが比較的多い
分娩件数が多く、経験を積みやすい一方、業務の分業が進んでいるため「一人の妊産婦を通して見る」機会は限られる場合があります。
診療所(産科クリニック)
- 正常分娩が中心
- 妊婦健診から産後ケアまで一貫して関わりやすい
- 少人数体制のため、オンコールの頻度が高くなることがある
- 院長の方針が働き方に直結する
継続的なケアに関わりたい人に向く一方、急変時の対応を少人数で担うことになります。
助産所
- 正常分娩のみを取り扱う(異常時は嘱託医療機関へ搬送)
- 妊産婦との関係が最も近い
- 開業助産師として自ら経営する道もある
- 就業者は2,905人と少なく、求人はさらに限られる
⚠️ 助産所には嘱託医師・嘱託医療機関の確保が法律で義務付けられています。就職を検討する際は、その体制が整っているかを確認してください。
🔴 分娩を扱わない職場もある
見落とされがちですが、分娩に関わらない助産師の働き方があります。
- 市区町村(1,689人)——母子保健事業、両親学級、産後ケア事業
- 学校養成所(1,534人)——助産師・看護師の教育
- 訪問看護ステーション(102人)——産後の母子訪問
- 不妊治療クリニック——生殖医療の相談・支援
夜勤やオンコールから離れたい場合、この選択肢が現実的です。ただし求人数は多くありません。
求人の探し方
| 経路 | 向いている施設 | 特徴 |
|---|---|---|
| 看護師向け転職サイト | 病院・診療所 | 求人数が最も多い。助産師で絞り込む |
| ハローワーク | 診療所・助産所 | 地域の小規模施設が出ることがある |
| 施設の採用ページ | 病院 | 大規模病院は自院サイトで通年募集 |
| 自治体の職員採用 | 市区町村・保健所 | 公務員採用試験。年1回が基本 |
| 日本助産師会など職能団体 | 助産所 | 会員向けの情報が出る場合がある |
🔴 市区町村で働く場合は公務員採用試験が必要です。求人サイトには出ません。志望する自治体の採用ページを直接確認し、募集時期を逃さないようにしてください。
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求人票で確認する6項目
① 分娩件数(年間・月間)
経験を積みたいのか、じっくり関わりたいのかで見方が変わります。月◯件という数字は、1人あたりの担当数に直結します。
② 夜勤・オンコールの体制
- 夜勤は月何回か
- オンコールは月何回で、実際の呼び出し頻度はどのくらいか
- オンコール手当の額
オンコールは「待機しているだけ」ではありません。呼び出しがなくても行動が制限されます。実際の出動頻度を確認してください。
③ 助産師の人数と経験年数の構成
少人数の施設では、1人抜けたときの負担が直撃します。
④ 産科医の常勤・非常勤
診療所では、分娩時に医師が常駐しているかどうかが業務範囲に影響します。
⑤ 助産外来・院内助産の有無
助産師の裁量が大きい業務です。キャリアの幅を広げたい場合は確認したい項目です。
⑥ 教育体制
ブランクがある場合、復職支援の有無は重要です。
よくある質問
Q. 助産師の求人が少ないのはなぜですか。
就業者数が38,721人と、看護師(1,363,142人)の3%程度しかいないためです。母数が小さいぶん、求人の絶対数も限られます。
Q. 未経験・新卒でも病院に入れますか。
病院は教育体制が整っており、新卒の受け入れが比較的多い傾向にあります。診療所や助産所は少人数体制のため、経験者を求める傾向があります。
Q. 看護師から助産師に転向した場合、給料はどうなりますか。
施設によりますが、助産師手当が加算される施設が多く、看護師より高く設定されているのが一般的です。詳しくは 助産師の給料はいくら?看護師との差・勤務先別の傾向と、収入を上げる4つの道 で整理しています。
Q. 分娩を扱わない働き方はありますか。
あります。市区町村の母子保健事業、教育機関、産後ケア施設、不妊治療クリニックなどです。ただし求人数は限られ、公務員の場合は採用試験があります。
Q. ブランクがあっても復職できますか。
分娩介助は技術の維持が求められるため、復職支援研修を受けてからのほうが安全です。都道府県のナースセンターや日本助産師会が研修を実施している場合があります。
まとめ
- 就業助産師は38,721人。病院59.5%・診療所22.4%で8割を超える。求人もここに集中
- 分娩を扱うかどうかで働き方が根本的に変わる。病院はハイリスク中心、診療所は正常分娩と継続ケア
- 助産所は2,905人(7.5%)と少なく、求人はさらに限られる
- 🔴 市区町村(1,689人)は公務員採用試験。求人サイトには出ない
- 求人票では、分娩件数・オンコールの実際の頻度・助産師の人数・産科医の常勤有無・助産外来の有無・教育体制を確認する
特にオンコールの実態は、入職後のギャップが最も出やすい部分です。「月◯回待機」だけでなく、実際に呼び出される頻度を面接で確認しておくことをおすすめします。
参考