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看護師の「燃え尽き症候群」とは? 原因・症状・対処法を徹底解説

看護師の「燃え尽き症候群」とは? 原因・症状・対処法を徹底解説

「休み明けは憂鬱な気分になる」「仕事にやりがいが感じられなくなった」。そんな気持ちを払しょくしきれずにいる人は、「燃え尽き症候群」の可能性を疑ってみてもいいかもしれません。

「燃え尽き症候群」は誰もが陥る可能性のある状態ですが、特に看護師をはじめとする医療職には多いとされています。この記事では、その理由や対処法を詳しく解説していきます。

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目次
  1. 「燃え尽き症候群」とは?
    1. 燃え尽き症候群の症状とは?
    2. 情緒的消耗感
    3. 脱人格化
    4. 個人的達成感の低下
  2. 燃え尽き症候群とうつ病の違いは?
  3. 看護師が燃え尽き症候群になりやすい理由とは?
    1. 感情労働
    2. 慢性的な人手不足
    3. 努力が報われない経験
    4. 理想と現実のギャップ
    5. 人間関係のストレス
    6. プライベートとの両立の困難
  4. 燃え尽き症候群を発症している可能性があるかどうかのチェックリスト
  5. 看護師が燃え尽き症候群を防ぐ/乗り越えるには
    1. 日ごろから自分をケアすることを心がける
    2. 働く環境を定期的に見直す
    3. 専門的サポートを受ける
  6. 燃え尽きそう…と感じたら転職も視野に入れよう
  7. 燃え尽き症候群は誰にでも起こり得る

「燃え尽き症候群」とは?

燃え尽き症候群とは、仕事などに熱心に取り組んでいた人が、心身の過度の疲労によって、燃え尽きてしまったかのように意欲や熱意を失い、社会生活が困難になる状態をいいます。

別名として「バーンアウト症候群」ともいわれますが、“バーンアウト(burnout)”とは、「燃え尽きる・焼き尽くす」などを意味します。

燃え尽き症候群の概念は、1974年にアメリカの精神心理学者であるハーバート・フロイデンバーガーによって提唱されました。

以降、この症候群に関するさまざまな研究がおこなわれるようになり、2022年には、WHOの「国際疾病分類(ICD-11)」において、「持続的な職場のストレスにうまく対処できないときに生じる症候群」として正式に認定されています。

参照: 日本神経学会「医療者のバーンアウトの原因と対策を学ぼう」

燃え尽き症候群の症状とは?

1974年の提唱以降、燃え尽き症候群に関してはさまざまな研究が進められており、そのなかで、燃え尽き症候群には代表的な症状が3つあり、それぞれの症状は独立したものではなく、互いに関係し合っていることがわかっています。3つの症状とは、具体的には次の通りです。

情緒的消耗感

情緒的消耗感とは、仕事を通じて感情を豊かに働かせきって、消耗してしまった状態をいいます。

身体的な消耗ではなく、感情面に関する消耗であることが大きなポイントで、とりわけ、思いやりや気遣いを持って努力を重ねたものの、努力が報われなかった際などには消耗感が大きくなります。

脱人格化

脱人格化は、同僚またはサービスの提供対象者に対して、思いやりのない態度をとってしまうことをいいます。

なぜそのような態度をとるようになるかというと、先に説明した情緒的消耗感によって、情緒的なエネルギーがなくなることで、無意識のうちにも自分を守るための行動をとるようになってしまうのです。

たとえば、「問題が起きたら人のせいにする」「他人を悪くいうことによって自分をよく見せようとする」などが典型的な例として挙げられます。

個人的達成感の低下

情緒的消耗感および脱人格化が起きている状態だと、同僚やサービス提供対象者とのコミュニケーションもうまくいかなくなり、サービスやケアの質が落ちてしまいます。

そうなると、サービスを提供する本人も達成感を得られなくなり、仕事にやりがいを見いだせなくなったり、自信を失ったりしやすくなります。

その結果として、自尊心が傷つき、休職・離職するケースもあります。

また、上記3つの症状以外に、次のような身体症状も現れやすくなります。

  • 睡眠障害:不眠、中途覚醒、早朝覚醒など
  • 食欲変化:食欲不振または過食
  • 身体的不調:頭痛、肩こり、胃痛、めまいなど
  • 免疫力低下:風邪をひきやすくなるなど
  • 集中力低下:記憶力や判断力の減退

燃え尽き症候群とうつ病の違いは?

燃え尽き症候群とうつ病の大きな違いは、前者が、主に職場ストレスに起因して発症するため、職場環境の改善によって症状を緩和できる可能性が高いのに対して、後者は、プライベートも含めた生活全般に対するアプローチなしには根本的な解決には至らない場合が多いことにあります。

しかし、症状としては似た症状が出ることもありますため、自分で、自分はどちらであるのかを見極めるのは難しい場合もあります。

燃え尽き症候群うつ病
発症原因職場での過度なストレス遺伝・環境・心理的要因などさまざま
症状が出るタイミング主に仕事中や仕事前などいつでも症状が出る可能性がある
回復のために必要なこと職場環境の改善によって比較的早期に回復継続的な治療が必要
発症パターン急激に意欲が低下徐々に症状が悪化

 

看護師が燃え尽き症候群になりやすい理由とは?

看護師が燃え尽き症候群になりやすい理由は次の通りです。

  • 感情労働
  • 慢性的な人手不足
  • 努力が報われない経験
  • 理想と現実のギャップ
  • 人間関係のストレス
  • プライベートとの両立の困難

感情労働

冒頭で述べた通り、燃え尽き症候群には、働いている人の誰もが陥る可能性がありますが、特に医療職は発症する確率が高いとされています。

また、そのほかには、教師や保育士などの教育関係者、ソーシャルワーカーやカウンセラーなどの社会保障関連の仕事の従事者、接客業や営業職などのサービス業従事者が発症しやすいとされています。

これらの仕事は、職務遂行上、感情を抑制することが重要な「感情労働」に分類されるもの。

他者への共感や配慮を継続的に求められることから、情緒的消耗感を覚えやすく、多職種に比べて燃え尽き症候群に陥りやすい環境であるといえます。

慢性的な人手不足

医療業界は常に人手不足であるため、十分な休養をとれないケースが多いです。

心が疲れていて、本来なら休むべき状態であっても休むことができず、無理してでも働き続けなければならないこともあります。その結果、情緒的消耗感を覚えるようになることがあります。

努力が報われない経験

看護師の仕事は必ず報われるとは限りません。患者との信頼関係を築きたいと思って声をかけた結果、冷たくあしらわれることもあれば、一生懸命、看護を続けても、患者の状態が改善しなかったり、命をつなぎとめることができなかったりすることがあります。

理想と現実のギャップ

実際に看護師として働き始めるまでに抱いていた看護観とは程遠い現実に悩み、個人的達成感を得られなくなることがあります。

人間関係のストレス

人間関係のストレスが過多な職場で働き続けると、感情がうまく働かなくなることから、情緒が不安定になったり消耗したりしがちです。

結果として、周囲に対してやさしくなれない、脱人格化を起こしてしまうケースはよくあると考えられます。

プライベートとの両立の困難

やりがいのある仕事を任されていたとしても、家族との時間をまったくもてないなど、プライベートを大事にできないとなると、「このままでいいのだろうか?」と立ち止まり、仕事に対してこれまでのように心が動かなくなる瞬間が訪れる可能性が考えられます。

燃え尽き症候群を発症している可能性があるかどうかのチェックリスト

「自分も、もしかしたら燃え尽き症候群かもしれない……」と気になった人は、まずは次の12のチェックリストそれぞれに、0点~4点の点数をつけて足し算してみましょう。

  • 0点:まったくない
  • 1点:まれにある
  • 2点:ときどきある
  • 3点:しばしばある
  • 4点:いつもある

※なお、チェックリストの10~12に関しては、0点が「いつもある」、4点が「まったくない」と逆になります。

分類内容点数
1情緒的消耗感に関する項目仕事から帰ると疲れ果てている
2朝起きて「また1日仕事しなくては」と思うと憂鬱である
31日働くことは本当にストレスフルだと感じる
4仕事のペースについていけないと感じる
5仕事で消耗していると感じる
6脱人格化に関する項目同僚や患者を物のように扱っていると自覚することがある
7仕事に就いてから、人に対して冷たくなったと感じる
8患者に何が起きても関心がない
9同僚や患者のことをあまり気にかけていない
10個人的達成感に関する項目※人と楽しいことは楽しい
11※仕事で価値のあることを成し遂げていると感じる
12※自分の仕事が世の中の役に立っていると感じる
(合計点数)

 

合計点数が出たら、次の表のどこに当てはまるかによって、燃え尽き症候群の可能性があるかどうかがわかります(ただし、自己判断であるため、あくまでも“可能性がある”という目安です)。

点数が16点以上だった場合、なんらかの対策を講じることが望ましく、26点以上の場合、専門の医療機関を受診することが望ましいといえます。

合計点数評価対応
0~15点正常範囲予防的なセルフケアを継続することが大切
16~25点軽度リスクストレス管理の見直しが推奨される
26~35点中等度リスク専門家への相談を検討することが望ましい
36点以上高リスク早急な専門的介入が必要

 

看護師が燃え尽き症候群を防ぐ/乗り越えるには

看護師が燃え尽き症候群を防ぐためには、「日ごろから自分をケアすることを心がける」「働く環境を定期的に見直す」の2つが大切です。

また、燃え尽き症候群を乗り越えるためには、「専門的サポートを受ける」ことも必要になってきます。

日ごろから自分をケアすることを心がける

日常的に自分をケアするためにまずすべきことは、限られた時間のなかでも心身の健康をキープもしくは高められるよう、睡眠・食事・運動習慣を見直すことです。

「疲れすぎてうまく寝付けない」「自炊する時間がない」「運動する時間なんてもっととれない」という人は多いですが、同じだけ働いていて、通勤時間もほとんど同じでも、睡眠・食事・運動習慣ともに質を保っている人がいるのも事実です。

たとえば、睡眠に関しては寝具を変えてみるだけでも睡眠の質が上がることがありますし、自炊に関しては、休日に1週間分の食事を冷凍ストックするなどすれば、毎日コンビニに買い物に行くよりも帰って時間がかからないこともあります。

また、運動に関しては、寝る前5分のストレッチを習慣化するだけでも、まったく身体を動かさない場合と比べて、体調がよくなることが考えられます。

また、精神面のケアに関しては、たとえば一日の業務を振り返る際に「その日できなかったこと」を確認するにしても、必ず「できたこと」にも目を向けるようにすることで、個人的達成感をきちんと味わえるようになります。

働く環境を定期的に見直す

現状、働く環境に関してなんらかの不満や不安を感じているのであれば、信頼できる上司や同僚に相談したり、もしくは働き方の変更について交渉したりといったことを考えることが推奨されます。

場合によっては、転職を検討したほうがいいこともあります。

専門的サポートを受ける

「自分は燃え尽き症候群かもしれない」。そう感じているなら、まずは心療内科もしくは産業医などに、どんな対策をとればいいのかを相談しましょう。

なお、専門家に相談したことによって、燃え尽き症候群ではないと診断される可能性もありますが、「燃え尽き症候群かと思っていたけど燃え尽き症候群ではなかった」というケースにおいては、「燃え尽き症候群ではなくてうつ病だった」ということがあります。2つの違いについてはこのあと説明していきます。

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燃え尽きそう…と感じたら転職も視野に入れよう

前述の通り、燃え尽き症候群の発症原因は職場での過度なストレスであって、回復のためには、職場環境を改善することが必要です。

職場環境を変える方法としては、異動、雇用形態の変更、担当業務の変更などいくつか考えられますが、いずれの場合も、職場の人間の協力が不可欠です。そのため、上司や同僚の理解を得られないとなると、どうにも症状改善を目指すことが難しくなります。その場合、転職を視野に入れることが得策です。

ただし、転職すれば必ず症状が回復するかというとそんなことはありません。なぜかというと、転職先でも同じような不満や不安を覚える可能性があるためです。

そのため、転職によって燃え尽き症候群の改善を目指すなら、必ず、同じような職場環境となる可能性を排除することを念頭に置いたうえで、転職活動を進めることが大切です。

具体的には、「希望する業務を任せてもらえそうか」「十分な休養をとることができるのか」「教育体制は整っているのか」「過度な残業などを強いられる可能性はないのか」などをしっかりと見極めることが重要になってきます。

求人票や面接時の質疑応答を通して判断するのはもちろん、転職エージェントの担当者などにも意見をもらいながら、確実に職場環境を変えることを目指しましょう。

燃え尽き症候群は誰にでも起こり得る

冒頭でも述べた通り、燃え尽き症候群は誰にでも生じ得る症状です。

特に、辛いことがあってもぐっと堪えてがんばるタイプの人は、自分でも気づかないうちに限界を超えてしまい、気づいたら燃え尽き症候群を発症しているということもあるかもしれません。

症状が悪化してからでは回復にも時間がかかる可能性が高いので、早めのケアや環境の見直しを意識することで、心身の健康をキープするよう心掛けてくださいね。