試用期間中の看護師も社会保険に入る?加入義務の根拠と「入らない」と言われたときの確認先、転職直後の保険の空白
転職先の病院やクリニックで「試用期間の3か月は社会保険に入れません」と言われて、戸惑った看護師もいるのではないでしょうか。入職直後は通院や家族の扶養の手続きも重なるため、保険の扱いは早めにはっきりさせておきたいところです。
この記事では、試用期間中でも社会保険に入る必要があるのかを法律の条文から確認し、「入らない」と言われたときの確認先と、転職直後に保険の空白を作らない手順を整理します。
看護師専門転職サービス
「クリアス看護」
LINE友だち追加で、希望条件に合った求人紹介や
非公開求人のご案内を無料で受けられます。
給与・働き方・勤務条件など、
転職に関するご相談もLINEで気軽に可能です。
看護師の試用期間中も社会保険に入る義務がある理由
結論から言うと、加入の条件を満たす働き方なら、試用期間中でも入職日から社会保険に入ります。「試用期間だから入らない」という扱いは、法律上は認められていません。
入職日から資格を取得する
健康保険法35条と厚生年金保険法13条は、被保険者の資格を「適用事業所に使用されるに至った日」に取得すると定めています。試用期間は雇用契約の最初の期間であり、すでに「使用されている」状態です。そのため、入職日が資格の取得日になります。
健康保険法3条1項には加入しない人の例外が並んでいますが、そこにあるのは「日々雇い入れられる人」「2か月以内の期間を定めて使用され、その期間を超えて使われる見込みがない人」などです。試用期間を理由にした例外はありません。
3つの保険ごとの加入要件
| 保険 | 加入の要件(正職員・フルタイムの場合) | 試用期間中の扱い |
|---|---|---|
| 健康保険 | 適用事業所で働く人は加入(健康保険法3条) | 入職日から加入 |
| 厚生年金保険 | 適用事業所で働く70歳未満の人は加入(厚生年金保険法9条) | 入職日から加入 |
| 雇用保険 | 週20時間以上、かつ31日以上雇用される見込みがある人(雇用保険法6条) | 入職日から加入 |
| 労災保険 | 働く人全員(労働者災害補償保険法3条) | 1日目から対象。保険料は全額事業主負担 |
事業主には、健康保険の資格取得の届出を事実があった日から5日以内に出す義務があります(健康保険法施行規則24条)。雇用保険は翌月10日までです(雇用保険法施行規則6条)。
2か月の有期契約から始まる場合
最初の契約が「2か月の有期契約」で、その後に正式採用となる形もあります。この場合、健康保険法3条1項2号の書き方では、2か月を超えて使われることが見込まれるなら、最初から加入になります。求人票や面接で「長く働いてほしい」と説明されているなら、見込みがある状態と考えられます。
パートの場合は別の要件になる
パートなど所定労働時間が短い人は、週20時間以上であることや、勤務先の規模などの要件で加入が決まります。ここでも試用期間かどうかは関係ありません。要件の詳細と2026年10月以降の変更は106万円の壁撤廃は2026年10月で整理しています。
小規模なクリニックは例外がある
個人で開業しているクリニックで、常時働く従業員が5人未満の場合は、健康保険・厚生年金への加入が法律上の義務になっていません(健康保険法3条3項)。このときは、国民健康保険と国民年金に自分で入るか、医師国保などクリニック側が加入している国保組合に入る形になります。
「試用期間だから入らない」のではなく、「そもそもクリニックが適用事業所ではない」ケースがあるということです。面接の段階で確認しておきましょう。
試用期間は社会保険に入らないと言われたときの確認先
1. まず書面を確認する
雇用契約書や労働条件通知書には、社会保険の加入の有無が書かれていることが多いです。試用期間の扱いも含めて、書面の記載を確かめましょう。口頭で「入らない」と言われただけの場合は、書面で確認したいと伝えるのが確実です。
2. 加入状況を公的機関で確かめる
入職後に本当に加入手続きがされたかは、自分で確認できます。
| 確認したいこと | 確認先 | 方法 |
|---|---|---|
| 厚生年金に入っているか | 日本年金機構(年金事務所) | ねんきんネット、または年金事務所で加入記録を確認 |
| 健康保険に入っているか | マイナポータル | 保険者・資格取得日を確認できる |
| 雇用保険に入っているか | ハローワーク | 被保険者資格の確認を請求できる(雇用保険法8条) |
健康保険・厚生年金・雇用保険のいずれも、本人が「被保険者であることの確認」を請求できる規定があります(健康保険法51条、厚生年金保険法31条、雇用保険法8条)。
3. 相談先
勤務先と話しても加入手続きがされない場合は、年金事務所(健康保険・厚生年金)やハローワーク(雇用保険)に相談できます。加入が認められると、さかのぼって手続きがされることがあります。
転職直後の看護師の保険証の空白を作らない手続き
いまは「保険証」ではなくマイナ保険証か資格確認書
従来の健康保険証の有効期限は2025年12月1日で終了し、医療機関では「マイナ保険証」か「資格確認書」を出す仕組みに移っています(厚生労働省)。転職直後に困りやすいのは、新しい保険者のデータがマイナ保険証に反映されるまでの数日間です。
| 状況 | 受診するときに出すもの |
|---|---|
| マイナ保険証を持っていて、新しい保険の資格が反映済み | マイナ保険証 |
| マイナ保険証を持っているが、反映がまだ | マイナ保険証と、新しい保険者から届く「資格情報のお知らせ」 |
| マイナ保険証を持っていない | 新しい保険者から交付される資格確認書 |
| 上のどれも手元に無い | いったん医療費を全額払い、あとで保険者に療養費として請求する |
退職日と入職日の間を空けない
健康保険の資格は、退職日の翌日に失われます(健康保険法36条)。たとえば3月31日に退職して4月1日に入職すれば、間は空きません。
退職日と入職日の間が空く場合は、その期間の健康保険を次のどれかで手当てします。
| 方法 | 期限 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 国民健康保険に入る | 資格を得た日から14日以内に市区町村へ届け出る(国民健康保険法施行規則3条) | 空白が1か月以上になる人 |
| 前の職場の健康保険を任意継続する | 資格を失った日から20日以内に申し出る(健康保険法37条) | 前の職場で2か月以上加入していた人 |
| 家族の扶養に入る | 家族の勤務先を通じて届け出る | 収入の見込みが扶養の基準内の人 |
空白が数日だけでも、その間は法律上どこかの健康保険に入る必要があります。入職日を決めるときに、退職日の翌日に合わせられないか相談しておくと、手続きを減らせます。
退職後に失業手当を受けながら転職活動をする場合は、看護師は失業保険をいくらもらえる?もあわせて確認してください。
看護師専門転職サービス
「クリアス看護」
LINE友だち追加で、希望条件に合った求人紹介や
非公開求人のご案内を無料で受けられます。
給与・働き方・勤務条件など、
転職に関するご相談もLINEで気軽に可能です。
社会保険の条件が明記された求人を探す
社会保険の加入条件は、求人票の待遇欄に書かれていることがほとんどです。試用期間中の扱いまで確認したうえで応募すると、入職後のトラブルを避けられます。
よくある質問
Q. 試用期間中に辞めた場合、社会保険はどうなりますか。
入職日から加入していれば、退職日の翌日に資格を失います。その後は国民健康保険、任意継続(加入期間が2か月以上ある場合)、家族の扶養のいずれかに切り替えます。
Q. 試用期間中は社会保険に入らない代わりに、給料の手取りを増やすと言われました。
加入の要件を満たしているなら、本人が希望しても加入しない選択はできません。後から加入が判明すると、さかのぼって保険料を納めることになる場合もあります。
Q. 試用期間中に病院にかかったら、医療費は全額自己負担ですか。
加入していれば、資格が反映される前でも、資格情報のお知らせなどで通常の負担割合で受診できます。手元に何も無いときは全額を払い、あとで保険者に請求します。
Q. クリニックの面接で「医師国保」と言われました。社会保険に入らないということですか。
医師国保は医療従事者向けの国民健康保険組合です。健康保険の代わりに医師国保に入り、年金は厚生年金に入る形と、国民年金に自分で入る形があります。どちらになるかは、クリニックが法人か、従業員数が何人かで変わります。職場ごとの違いは、別記事の「看護師の社会保険の種類」で表にまとめています。
まとめ
- 加入の要件を満たす働き方なら、試用期間中でも入職日から社会保険に入る(健康保険法35条、厚生年金保険法13条)
- 法律上の例外に「試用期間」は無い。2か月以内の有期契約でも、延長の見込みがあれば最初から加入
- 個人開業で従業員5人未満のクリニックは、健康保険・厚生年金が任意になる
- 加入状況はねんきんネット、マイナポータル、ハローワークで自分で確認できる
- 退職日と入職日の間が空くときは、国保(14日以内)、任意継続(20日以内)、扶養のどれかで埋める
看護師専門転職サービス
「クリアス看護」
LINE友だち追加で、希望条件に合った求人紹介や
非公開求人のご案内を無料で受けられます。
給与・働き方・勤務条件など、
転職に関するご相談もLINEで気軽に可能です。
参考
- 健康保険法(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/211AC0000000070
- 厚生年金保険法(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000115
- 雇用保険法(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/349AC0000000116
- 労働者災害補償保険法(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000050
- 国民健康保険法施行規則(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/333M50000100053
- 厚生労働省「マイナンバーカードの健康保険証利用(マイナ保険証)について」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08277.html
- 全国健康保険協会「任意継続」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/benefit/voluntary_continuation/