看護師がカフェで副業できる?就業規則の確認から確定申告までの実際
「看護以外の仕事をしてみたい」——そう思ってカフェのアルバイトを考える看護師は、意外と多くあります。
病院とはまったく違う環境で働いてみたい。人の生死に関わらない時間を持ちたい。単純に、コーヒーやお菓子が好き。理由はいろいろだと思います。
結論として、カフェでの副業は可能です。 ただし、確認しておくべきことが3つあります。就業規則、労働時間の扱い、そして税金です。この記事ではその順に見ていきます。
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まず就業規則を確認する
禁止されている職場もある
看護師の副業を禁止している職場と、そうでない職場があります。
最初にやるべきことは、勤務先の就業規則を読むことです。「副業」「兼業」「二重就業」といった項目を探してみてください。
規定の書き方には、いくつかのパターンがあります。
- 完全に禁止 — 副業そのものを認めない
- 許可制 — 届け出て承認を得れば可能
- 届出制 — 事前に届け出れば可能
- 規定がない — 明示的な禁止はない
禁止されている職場では、副業はしないほうが賢明です。 見つかった場合、懲戒の対象になる可能性があります。
公立病院は法律上の制限がある
見落とされやすいのがここです。
公立病院に勤務している場合、地方公務員として扱われるため、法律上の兼業制限がかかります。 就業規則以前に、法律の話になります。
任命権者の許可が必要であり、許可される範囲は限定的です。カフェのアルバイトが認められることは、まずありません。
規定がない場合の考え方
就業規則に何も書かれていない場合、禁止されていないと解釈できます。
ただし、次の点は押さえておく必要があります。
- 本業に支障が出れば問題になる — 遅刻や欠勤が増えれば、副業が理由として問われる
- 信用を損なう業種は避ける — 職場の信用に関わる業種は、規定がなくても問題になりうる
- 守秘義務は当然に及ぶ — 患者さんの情報を漏らせば、副業とは無関係に責任が生じる
労働時間は通算される
ここが最も見落とされる点
労働基準法では、事業場が異なる場合でも、労働時間は通算されるという扱いになっています。
つまり、病院の勤務時間とカフェの勤務時間を合計して考える必要があります。
これが意味するのは次のことです。
- 通算して1日8時間・週40時間を超えれば、時間外労働にあたる
- 割増賃金の負担が発生する場合がある
- どちらの雇用主が負担するかは、契約の順序などで決まる
実務としては、カフェ側に「本業がある」ことを伝えておくほうが、後々のトラブルを避けられます。伝えずに働いて、後から時間管理の問題が出るほうが面倒です。
夜勤との組み合わせは慎重に
夜勤明けにカフェのシフトを入れるという組み方は、避けたほうがよい選択です。
夜勤明けは判断力も体力も落ちています。そこで接客や調理をすれば、事故のリスクが上がります。 カフェでの怪我は自分の問題ですが、その後の本業にも影響します。
シフトを組むなら、夜勤明けの翌日以降に入れるほうが安全です。夜勤の負担そのものについては看護師の夜勤手当の相場はいくら?、夜勤中の体調管理は夜勤中の食事はいつ、何を食べる?で扱っています。
税金と確定申告
カフェのバイトは「給与所得」
ここは正確に押さえておきたい部分です。
カフェのアルバイトは雇用されて働く形なので、収入は「給与所得」になります。在宅ワークや業務委託の「雑所得・事業所得」とは扱いが違います。
20万円という基準
よく言われる「20万円」の基準ですが、給与所得の場合の考え方を確認しておきます。
年末調整を受けていない勤務先での給与収入が年間20万円を超える場合、確定申告が必要になります。本業の病院で年末調整を受けていて、カフェの分が年末調整されていない——という状態が該当します。
20万円以下であれば、所得税の確定申告は不要とされています。
住民税の申告は別
ここが最も注意すべき点です。
所得税の確定申告が不要なケースでも、住民税の申告は別に必要になることが多くあります。 所得税と住民税は別の制度で、基準も異なります。
金額が小さくても、お住まいの自治体に確認してください。 「20万円以下だから何もしなくていい」と考えると、住民税の申告漏れになる場合があります。
職場に知られたくない場合
副業を職場に知られたくない場合、住民税の徴収方法が論点になります。
住民税が給与から天引き(特別徴収)されると、本業の勤務先に副業分を含めた税額が通知されます。ここで気づかれることがあります。
20万円以下でも確定申告をして、住民税の徴収方法の欄で「自分で納付」(普通徴収)を選択する——という方法が取られます。
ただし、普通徴収が認められるかは自治体の運用によります。 給与所得については特別徴収が原則とされているため、希望しても認められないことがあります。事前に自治体へ確認するのが確実です。
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カフェを選ぶかどうかの分かれ道
副業にはいろいろな選択肢があります。カフェが自分に合っているかどうかで考えてみてください。
カフェの副業が向く人
こんな人なら——次に当てはまる場合。
- 看護から完全に離れた時間を持ちたい
- 決まった曜日・時間に働ける生活リズムがある
- 収入より、環境を変えることが目的である
カフェの時給は、看護師のアルバイトより低いのが一般的です。 つまり、収入効率で選ぶ副業ではありません。「看護以外の場所に居場所を持つ」ことが目的なら、それは十分な理由になります。
看護スキルを活かす副業が向く人
こんな人なら——次に当てはまる場合。
- 副業の目的が収入を増やすことにある
- シフトが不規則で、固定の勤務を入れにくい
- 短時間で効率よく働きたい
単発の健診業務やイベントナース、ツアーナースなどは、時給水準が高く単発で入れます。 収入目的なら、こちらのほうが合理的です。
バイト・派遣を含めた副業の選択肢全体は看護師の副業におすすめのバイト・派遣は?で整理しています。在宅でできる副業は看護師におすすめの在宅ワーク・副業、資格を活かす道としては治験コーディネーターになるにはも参考になります。
副業しないほうがよい人
こんな人なら——次に当てはまる場合。
- 夜勤が月8回以上あり、休日は休息に充てないと回復しない
- 本業で残業が多く、勤務時間が読めない
- 就業規則で禁止されている、または公立病院に勤務している
副業の疲労が本業のミスにつながれば、失うもののほうが大きくなります。
収入を増やしたいのであれば、副業より転職のほうが効率がよい場合もあります。 同じ時間で得られる収入が変わるためです。看護師で土日休みは実現できる?では、働き方と年収のバランスを扱っています。
よくある質問
Q. 副業は職場に必ず知られますか?
必ずではありません。住民税の徴収方法と、社会保険の加入状況が主な経路です。カフェでの勤務時間が社会保険の加入要件に達すると、その手続きから判明することがあります。
Q. 社会保険はどうなりますか?
カフェでの勤務が加入要件(週の所定労働時間など)に達すると、二重加入の手続きが必要になります。この場合、勤務先に知られることになります。要件に達しない範囲で働くかどうかは、確認しておくべき点です。
Q. 確定申告をしないとどうなりますか?
申告が必要な場合に行わなければ、無申告加算税や延滞税がかかります。 金額が小さくても、支払い義務がなくなるわけではありません。判断に迷う場合は税務署に確認してください。
Q. 履歴書に副業歴は書く必要がありますか?
転職の際、副業の経歴を書く義務は基本的にありません。 ただし、応募先が副業を禁止している場合、現在も続ける意向なら伝えておくべき事柄になります。
Q. カフェの時給はどのくらいですか?
地域と店舗によりますが、看護師のアルバイトより低い水準が一般的です。収入目的で選ぶ副業ではないという前提で考えてください。
まとめ
看護師がカフェで副業することは可能です。ただし、確認すべきことが3つあります。
- 就業規則の確認が最初 — 禁止されている職場では避ける。公立病院は法律上の兼業制限があり、認められる範囲は限定的
- 労働時間は通算される — 病院とカフェの時間は合計して考える。夜勤明けにシフトを入れる組み方は避ける
- 税金は所得税と住民税を別に考える — 年末調整されていない給与収入が20万円を超えれば確定申告。20万円以下でも住民税の申告が必要な場合がある。自治体に確認する
カフェの副業は収入効率で選ぶものではありません。 「看護以外の場所に居場所を持ちたい」——その目的なら十分な理由になります。収入を増やしたいなら、看護スキルを活かす単発業務か、転職のほうが効率がよい選択です。
参考
– 厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」
– 労働基準法第38条(労働時間の通算)
– 地方公務員法第38条(営利企業への従事等の制限)
– 国税庁「給与所得者で確定申告が必要な人」